Heal (ヒール)(プレイステーション5)のレビュー・評価・感想情報
老人が主人公という異色の謎解き脱出ゲーム。テキストやセリフを排除した静寂な空間で、視覚情報を手掛かりに進める謎解きは、老人のゆっくりした移動とともに孤独感を高め、雰囲気があります。システム自体はオーソドックスな脱出ゲームで、移動スピード以外は、老人の主人公ならではの要素は薄め。シンプル操作で遊びやすいが、ミスしたときにキャンセルできないなど一部不便なところが気になりました。
週刊ファミ通1695号より
主人公がお爺さんで認知症をテーマにしているのが珍しい。パズルを解いていくポイント&クリックアドベンチャーの作りで、ほどよく悩まされる謎解きはおもしろく、ギミックに好奇心を刺激される。しかし、物語性はそれほどなく、認知症に対して造詣が深まるといったこともないのは、少々寂しいかな。気軽に手を出しやすい価格なのはいいけれども、ボリュームは小振りですぐに遊び終えてしまう。
週刊ファミ通1695号より
老人の歩みに合わせたスローなテンポで、静けさを味わう。そんな作品性と、脱出ゲーム風パズルの取り合わせは、なんだかチグハグな気もしますが、まとまりとして悪くありません。ときに美しくときに不安を誘う、終始もやがかかったような景色や、寂しげなメロディーが、老人の身の上を想像させます。ドアをスライドさせたりダイヤルを回したりといった、パズル上の動作の感触がいいアクセントに。
週刊ファミ通1695号より
演出面はおとなしめながら、場面ごとに印象的な絵画的世界の居心地がいいですね。各章のパズルは、ギミックを見て触って最終的に何をすればいいかを自分で考えるタイプ。基本的にノーヒントのため、苦手な人はとことん詰まるでしょう。携帯モードのタッチ操作の反応は良好です。やや物足りないボリューム面と、雰囲気やテーマは伝わるものの、もう少し描写が欲しいストーリー要素に関しては、承知の上で。
週刊ファミ通1695号より
ファミ通公式レビューアーイラスト:荒井清和
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