『The Outer Worlds 2』では個々のプレイスタイルを尊重するシステムを実装。テーブルトークRPGを礎に自由で奥深い物語に。開発陣へのインタビューでSFRPGシリーズ最新作の魅力に迫る【TGS2025】
 Xbox Game Studiosは、Obsidian Entertainment開発によるプレイステーション 5、 Xbox Series X|S、 PC用ソフト『The Outer Worlds 2』を2025年10月30日に発売予定だ。Xbox Game Passにも対応する。

 同作について、東京ゲームショウ2025の開催に合わせて、来日した開発陣によるメディアブリーフィングと合同インタビューが実施されたので、その模様をお届けする。
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※この記事はXboxの提供でお届けします。

数千にも及ぶストーリー展開の中で、自分だけの物語を味わってほしい

 メディアブリーフィングを担当したのは、本作のエグゼクティブプロデューサーを務めるJustin Britch(ジャスティン・ブリッチ)氏。『The Outer Worlds 2』は、一人称視点で展開されるSFRPG。自由なキャラクターカスタマイズと、プレイヤーの選択によって分岐していく物語が大きな特徴のタイトルだ。
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『The Outer Worlds 2』エグゼクティブプロデューサー・Justin Britch氏。
 本作の舞台となるのは、“アルカディア星系”。数多くの惑星が存在するこの世界では、恒星間航行に必要な技術“ワープ・ドライブ”が活用されているが、これにより時空間を引き裂く亀裂が発生し、さまざまな問題が起きている。この裂け目は、触れると死んでしまうほどの危険な存在。物語が進むにつれて、裂け目がなぜ存在するのか、その意味などが明らかになるそう。ゲームとしては、パズルの要素も存在しているようだ。

 そんな裂け目の問題を解決するため、地球評議会から派遣されたプレイヤーは、地球から切り離された巨大なコロニー“アルカディア”に降り立ち、星々の調査を行いながら問題を解決すべく活動する。ジャスティン氏によれば、前作とはまったく異なる新しい世界が舞台となっているため、前作を遊んでいなくても十分に楽しむことができるそうだ。
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 “アルカディア”では、3つの派閥が存在。土地の支配権を巡って争っており、その影響で崩壊寸前の危機に。この解決もプレイヤーの任務のひとつ。コロニーに到着したプレイヤーは、各派閥の活動を手助け、あるいは妨害などを行い、争いを終結させていくのだ。

 登場する勢力のひとつ目は、護国帝政府。かつて“アルカディア星系”を掌握していた軍事政権で、完璧な社会を実現するためには強硬な手段も厭わない、全体主義的な思想を持っている。

 ふたつ目は、昇華律団。宗教集団のような勢力で、もとは護国帝政府に属していたものの、そこから独立。科学者集団でもあり、緻密な計算、未来予測の精度を上げることで問題の解決を目指している。

 3つ目は、Auntie’s Choice(アンティーズ・チョイス)。ふたつの企業が合併して誕生した巨大企業。個人の自由と自己実現を目標に掲げて活動しており、第三の勢力として“アルカディア”に侵攻してきた。
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 これらの勢力とともに描かれる『The Outer Worlds 2』だが、Obsidian Entertainmentが目指しているのは、自由で奥深い物語。同社の開発の礎となっているのは、テーブルトークRPGだという。友人とともにテーブルを囲み、自由にアイデアを出しながらシナリオを構築して進めていくテーブルトークRPGを愛しているため、その魅力を本作でも表現したいと考えているそうだ。

 そのために、キャラクターやプレイスタイルのカスタマイズ要素は豊富に用意。キャラクターの属性、スキル、防具などを細かく設定でき、これにより問題へのアプローチが自由自在となる。そうして選んだ行動が、大きく物語に影響していく。

 また、“フロー(flaw)システム”と呼ばれる本作ならではのゲームシステムも登場。プレイスタイルに合わせて能力の強化などを提案してくれるシステムで、より個性的なプレイを実現できるようになる。

 たとえば、スニーキングが好きなプレイヤーに、“しゃがみ時の移動速度の向上”を提案。受け入れるとしゃがみ状態でスムーズに移動ができる反面、立ったときに大きな音が鳴ってしまい、敵に気づかれやすくなる。メリットとデメリットが存在するシステムだが、それだけにより自身のプレイスタイルが追求でき、没入して楽しめる魅力があるそうだ。

 自分だけのキャラクター、プレイスタイルで探索できる“アルカディア星系”。さまざまなNPCが登場し、ストーリー展開は何千にも及ぶため、自分だけの物語をぜひ味わっていただけたらと、ジャスティン氏はブリーフィングを締めくくった。
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プレイヤーのプレイスタイルを尊重して再構築した“フロー(flaw)システム”も魅力

 ブリーフィングの後は、ゲームディレクターのBrandon Adler(ブランドン・アドラー)氏とデザインディレクターのMatt Singh(マット・シン)氏への合同インタビューが実施されたので、その模様をお届けする。
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Brandon Adler氏(ブランドン・アドラー)

Obsidian Entertainment『The Outer Worlds 2』ゲームディレクター。写真・左

Matt Singh氏(マット・シン)

Obsidian Entertainment『The Outer Worlds 2』デザインディレクター。写真・右

――本作のβテストが行われましたが、皆さんの反応はいかがでしたか?

ブランドン
 好意的な反応が多数寄せられました。ただ、βテストでお届けしたのは全体のごく限られた一部分だけでした。ですので、そこから先に広がるゲームの世界をどのように受け取っていただけるのか、とても楽しみにしています。

マット
 強調しておきたいのは、プレイヤーの選択が物語に大きく影響することが、早い段階から見えてくるということです。銃を用いた駆け引きを始めとするプレイヤーそれぞれのプレイスタイルによって、本作の世界がどんどん開けていくはずです。その中で、風刺的なユーモア表現も織り交ぜながら我々らしい物語を表現しています。
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――本作は、前作の魅力をしっかりと受け継いだ正統続編という印象ですが、前作から大きく変わった要素はどういったところですか?

ブランドン
 『The Outer Worlds 2』を開発するにあたり、まずは前作でしっかりと表現できた点、表現したかったけれど叶わなかった点を、私たち開発とプレイヤー、それぞれの目線からしっかりと把握することに努めました。

 プレイヤーからは、反応性や選択肢の多さ、そこから広がるより深い世界観が求められていました。ですので、私たちもその点を大きく広げるため、派閥やNPCの反応、世界そのものに影響する選択肢など、物語を大きく左右する要素を追加しました。

 一方で、前作では見送った仕様が、本作では存在しています。たとえば、3つの派閥のひとつに味方をするような活動をすると、ほかのふたつの派閥に肩入れできなくなります。「うちとはわかりあえないよね」という形で、自分の選択肢によって、あり得た可能性が消滅します。そういったことを取り入れることで、選んだ選択によって変化する物語をより追求しています。

マット
 クエスト中の行動によっても仲間のリアクションが変化します。自身の行動に対して、仲間が「自分はそうは思わない」と考えると、敵対関係になる可能性があります。派閥はもちろん、NPCともさまざまな可能性が存在しています。

 それと、派閥の多様化も、本作の大きなポイントです。軍事政権、宗教集団、巨大企業と、価値観の異なる派閥が登場し、風刺を利かせたユーモア表現とともに、バラエティー豊かな物語を描いています。

 物語自体は、前作を遊んでいない人でも問題なく楽しめます。とはいえ、前作を遊んでいるとより深く楽しめる要素も存在していますので、前作のファンの方にはその点にもご期待いただければと思います。
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――どの勢力も特色があって魅力的ですが、どのような発想のもと生まれたのですか?

ブランドン
 各勢力にユーモアを利かせるのは前作から大事していました。その中で、前作のようにすべての勢力を同じトーンで描くのではなく、三つ巴の関係性で表現することにしました。各勢力はどのような位置づけなのか、どのように世界を統治するのか、しっかりと突き詰めて設定しています。

 権威主義、全体主義的な護国帝政府、宗教的な科学者集団・昇華律団、個人の自由と自己実現を目指す巨大企業・アンティーズ・チョイス。各派閥によって、世界の見えかた、問題に対するアプローチが異なります。

 プレイヤーの選択は自由ですので、ひとつの派閥に加担してもいいですし、すべての派閥を無視してもいいわけです。もちろん、ひとりでクエストも行えるようになっていますので、そこから見えてくる世界もあるでしょう。

マット
 ひとつの視点ではなく、あらゆる角度からこの世界を見てほしいです。その思いのため、今回のような三つ巴の関係性を構築しています。皆さんの自立性のもと、自由にストーリーを楽しんでいただけたらなと思っています。そのため、ゲームマスターのように舞台だけをご用意して、後は皆さんの好きに楽しんでいただくようにセッティングしています。

ブランドン
 ちなみに、各派閥にはラジオ局が存在しており、それぞれの視点から物語が語られます。それによって、本編をプレイするだけではわからない物語の裏話、登場人物・勢力の本当の考えなどが見えてきます。

 ラジオでは、プレイヤーの行動によっても、放送内容が変わったりします。たとえば、ガス漏れが発生した際、それを直すこともできますし、悪用することもできます。どの行動を取るかで、ある派閥では英雄のように賞賛され、ある派閥では酷い人間だと罵られたりします。ラジオからもプレイヤーの選択の影響を感じ取ることができますので、ぜひ注目して聴いてほしいですね。
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――ブリーフィングでは“フロー(flaw)システム”について紹介されました。こちらの詳細についてお聞かせください。

ブランドン
 前作でも存在していたシステムではあるのですが、十分に押し出すことができていませんでした。ですので、本作ではプレイヤーのアクションをつねにトラッキングしながら、プレイスタイルに応じたアクションを提案する仕組みにしています。

 たとえば、銃の弾切れを起こす前によくリロードをするプレイヤーには、大容量のマガジンに変更するか提案が行われます。これを受け入れると、大容量マガジンが提供される一方で、弾が空になるまでリロードをしなかった場合にペナルティが発生する、というようなトレードオフが行われます。

 このシステムによって、ゲームの流れの中で、プレイスタイルをより輝かせるような提案が行えるのが魅力的だと感じています。

マット
 フロー(flaw)は英語で“欠点”という意味があります。前作では、プレイヤーのアクションを観察して、苦戦している際にパワーアップを提案するような、どちらかと言えばネガティブな印象のあるシステムとなっていました。

 本作では、うまくいっていない習慣があったとしても、それを逆にプレイスタイルとして尊重できるシステムとして開発しています。つねにリロードをする習慣があれば、大容量のマガジンがもらえるボーナスが発生したりします。よりポジティブに、自身のアドバンテージとして実感できるシステムとなっているのです。

――最後に、本作を楽しみにしている日本のファンにメッセージをお願いします。

ブランドン
 日本のゲームファンの皆さんはRPGがお好きだと認識していますし、プレイヤーの行動に対する世界の反応、選択が物語に及ぼす影響力、プレイヤービルドの細かさなどをRPGでとても大事にしていらっしゃると理解しています。そんな皆さんにも『The Outer Worlds 2』は満足いただけると感じています。本作を通じて、日本のファンの皆さんとより深い関係性を構築しながら、西欧のRPGと日本のRPGファンとの橋渡しの役割ができたらうれしいです。

マット
 本作は、まったく新しい世界、キャラクターたちと、たくさんの選択を楽しんでいただけるゲームなっています。全編日本語対応で、プレイステーション5、 Xbox Series X|S、PCと、さまざまなハードに対応していますので、ぜひ気軽に手に取って遊んでいただけたらうれしいです。
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