岡島Pインタビュー「会社をめちゃめちゃにしたい人に遊んでほしいです」サイボーグJKがブラック企業をぶっ飛ばす『ゼンシンマシンガール』でこだわったのは“壊しがい”【TGS2025】
 2025年9月25日~28日にて、千葉・幕張メッセにて開催されている”東京ゲームショウ2025(TGS2025)”。ディースリー・パブリッシャーがパブリッシングを手掛ける『ゼンシンマシンガール』は、2025年10月23日の発売に先駆け、ハピネットブース(07-N12)にて試遊ブースを設けていた。

 本作について気になることが多かった筆者は、試遊ブースでガッツリと遊ばせていただいた後、本作のプロデューサーである岡島信幸氏(文中は岡島)にお話を伺ってみることに。そこで見えてきた『ゼンシンマシンガール』のコンセプトとは。

 ちなみにTGS2025では、試遊だけでなくハピネットブースにてユーザー参加型ゲーム大会“もうすぐ発売! ゼンシンマシンガールNo.1決定戦”を開催するほか、TGS公式番組で“『ゼンシンマシンガール』生プレイ大公開スペシャル放送”も配信予定。気になる方はそちらも要チェックだ。
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『ゼンシンマシンガール』ファミ通DXパック(ebten)
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岡島信幸 氏(おかじま のぶゆき)

ディースリー・パブリッシャーのエグゼクティブプロデューサー。『地球防衛軍』シリーズや『お姉チャンバラ』など、数多くのタイトルでプロデューサーを務める。(文中は岡島)

TGS2025では参加型イベントも! 試遊ブースでの感触を聞いてみた

――まず確認なのですが、今回の試遊ではどこまでのコンテンツが遊べるのでしょう。
岡島
 冒頭の出撃からある程度のフロアまで登って、イベントが発生して……という序盤のチュートリアル部分までは確実に遊んでいただけるようにしております。試遊台がふたつ(PS5版ひとつ、Nintendo Switch 2版ひとつ)しかございませんので、一般公開日にどれぐらいお客様がいらっしゃるかによって運用が変わる形になるとは思いますが、まずそこ(チュートリアル)までは確実にプレイしていただけるかと。

――僕も試遊させていただきましたが、チュートリアル終了までもけっこう長いですよね。10分ぐらいはあるような。

岡島
 そうですね。“掴みはオッケー!”というぐらいには遊んでいただけるんじゃないかと。

――十分、ゲームのおもしろさを体験できるプレイ範囲だと思います。あのオープニングだって見れますし。

岡島
 あそこはすでにYoutubeなどPR動画として上がってますから、「スキップする人が多いんじゃないかなー」と思っていたのですが……皆さん、しっかり見てくれますね。初めて体験するタイトルなので、どんなものか全部見てみようっていう意識でやってくださっているのかなと。とてもうれしかったです。
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――「知っていても実機で聞きたい!」という欲求もありますからね。ほかにも“TGS 2025”では、ブース内で参加型のイベントも実施しますよね。こちらの詳細を伺っても?

岡島
 嫌です!

――そんな!? なにか少しだけでも……

岡島
 冗談、冗談です(笑)。イベントのほうは、“10分間にどれだけビルを上がることができるか”というものを予定しています。PS5版と、Switch2版で最大4人ずつ、遊んでいただくような形ですね。

――スコアアタック的なものなんですね。

岡島
 いちばん高く上がった人が勝ちになるので、ちょっとでも躊躇すると勝てないです。最初に入ったところにある“ワーキングデッドが回す謎のやぐら”とかに気を取られているだけで、もうダメですよ。
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通称“なんか奴隷が回してるやつ”。岡島氏いわく、100階建てのビルすべての動力をまかなっているらしい。
――岡島さんはどういった形で関わられるのでしょう。

岡島
 MCも実況も別の人がやるので、なにかしらゲストとして。一応ゲームの解説として出る……という立場なんですが、なにか聞かれても「ここは気合ですよ」とか答えちゃいそう(笑)。

――世界観としても昭和164年ですしね。昭和的根性論みたいな。
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「馬鹿だな」と笑ってくれる人を喜ばせたい

――改めてゲーム本編についてもお聞きしたいのですが、まずそもそも『ゼンシンマシンガール』はどういった層に遊んでもらいたいゲームなのでしょう。

岡島
 真面目にお答えしますと、アクションゲーム好き。それと女の子キャラを動かしてみたい、女の子のキャラ以外ではアクションする気が起きない人。あとは機械の体がそろそろ欲しい人……と、いろいろあります。ちょっと大きな声では言えませんけど……、やっぱりいちばんは職場とかに不満を持っていて、めちゃめちゃにしたい人ですね。

――それは確かに(笑)。ありとあらゆるオフィス用品を破壊できますし。
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岡島
 こういうもの(会議室の机を指しながら)が真っ二つになったりしていますよね。それと舞台が昭和(※作中は昭和164年)なので、いろんなものが壊しがいのある大きさをしています。PCモニタとか、コピー機とか。

 いまのモニタってだんだん薄くなってるじゃないですか。それじゃ壊しがいがないですよね。昔のブラウン管は厚くてデカくて、しかも壊れるときに「ボンッ!」っていうじゃないですか。やっぱり壊すならあれですよ。

――まさかモニタを見て“壊しがい”を考える日が来るとは思いませんでした。

岡島
 じつは、そういったオブジェクトは壊すことでMJ(メタジョブ)ポイントがもらえるというメリットがあるんです。

――レアな装備が入った宝箱を開けるために必要なポイントですね。ボス戦前にあったんですが、試遊した際はポイントが無くて開けられなかった覚えがあります。
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岡島
 私はあるものをすべて、全部壊して進んでいくようにしています。そうすればちゃんと開けられますから。

――……おや、となると岡島さん自身も“職場に不満を持っている人”のように聞こえますが……。

岡島
 いえいえ。まあ、ゼロとは言わな……いや、そんなこと聞かないでください(笑)。まあでも少しは、そういう叛逆心もある……かも?

――壊しがいを求める理由がわかった気がします。今回遊んだのは試遊版でしたが、製品版はどれぐらいのボリュームになるのでしょう。

岡島
 意外と長い時間を必要とします。例えば開発スタッフさんとかには強化人間みたいな、とんでもないゲームの腕前を持つ方とかがいらっしゃるんですけど、そういう方がプレイしても最初は10時間ぐらいはかかると思います。普通のナチュラルな人間の方はけっこうかかると思いますよ。

――やりがいたっぷりですね! ちなみに難易度設定などは?

岡島
 あります。ビギナー、ノーマル、ハードの3種類ですね。ノーマルで攻略している最中に、「難しいからビギナーにしよう」とか「歯ごたえを感じたいからハードに」と、難易度を変えたからといって、最初からやり直しになったりすることもありません。

――ゲームとしては1階から100階に上がっていくわけですが、ショートカットとかはあるのでしょうか。

岡島
 10階や30階など、一定の階にはボスがいます。そのボスを倒すことで、1階のエレベーターで使えるエレベーターキーが手に入るんです。それを使えば一定の階まではショートカットできますね。

 ……ただ。

――ただ?

岡島
 このエレベーターキー、1回使うと無くなっちゃいます。なので10階のエレベーターキーを使ってショートカットしたとしても、15階ぐらいで倒されちゃうとまた最初から登り直しです。また10階のボスを倒せば手に入りますが、ずっと使い続けられるものではないんですよ。

――それはなかなかシビアですね……。

岡島
 とはいえ、1階から登るメリットもちゃんとあります。そのほうが、MJポイントがいっぱい手に入るんですよ。最初のボスは10階なのですが、その直前に大量のMJポイントが入ったオブジェクトがたくさんあります。この場所以上にたくさん獲得できる場所はほとんどないので、ぜひ活用していただければ。

――MJポイントを獲得することで、確実に強い武器も集めやすくなると。……にしても、MJ(メタジョブ)ポイントってすごい言葉ですよね。流石のネーミングといいますか。

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岡島
 なにがでしょう?

――いやその、会社の名前が“メターナルジョブズ”だったり、その会社の打ち出すデバイスがEndroid(エンドロイド)だったりして「攻めてるなー」と。

岡島
 そうですか? メターナルジョブズは私が考えたんですが、メタルなサイボーグたちが働いていて、永遠に仕事をし続ける。だからメタルなエターナルで、たくさんのジョブをするからメターナルジョブズというだけだったんですが……。

――な、なるほど……。なぜかアルファベット四文字が頭の中に浮かんでしまったもので、失礼いたしました。

岡島
 あと、たしか“社Tech”とかはユークスのクリエイターさんが考えられたものですね。社Tech、社ティック、社畜……。
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『ゼンシンマシンガール』2ndトレーラーより引用。
――“永遠に働き続けられる再生技術”ですよね。しかし、そんなものがあるぐらい技術力が高まっているのに、いまだブラウン管とかが現役なのもおもしろいですね。

岡島
 進化のしかたを間違えたような、そういうのがおもしろいってありますよね。機械化して休まず働けるのに、やっていることはWindows98時代みたいなパソコンをカチカチ操作しているとか、ギャップ萌えですよね。

――『ゼンシンマシンガール』は、技術のすべてを労働に費やしたようないびつさがありますよね。

岡島
 ビルの中には工場のフロアがあるんですが、そこもなかなかおかしいですよ。ロボットアームが作業をしているんですが、ワーキングデッドたちはそれを見守っているだけなんです。存在意義がもう……。

 しかも、戦うとなるとワーキングデッドよりロボットアームの方が強いんですよ。

――じゃあ彼らはいったいなんのために……。

岡島
 そういったことを感じながらプレイするのもおもしろいと思います(笑)。
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DLCでは肌色の多いアレが登場!?

――最後に、今後の展開なんかもお伺いできればと。DLCは現状衣装のみですが、ステージや新ボスなどの展開は考えられていたりするんでしょうか。

岡島
 現状では予定していないですね。ステージ自体も毎回変わりますので、まずはそちらをお楽しみいただけますと幸いです!

――承知しました。あと、DLCの衣装についてですが、2ndトレーラーで発表されたバニーやチアガール以外にはどういったものが予定されているのでしょう。
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『ゼンシンマシンガール』2ndトレーラーより引用。
岡島
 そちらは皆さんが好きな、肌色が多めなヤツがあります。ぜひお楽しみに。

――今日イチのありがたいお言葉でした。楽しみにしています! 発売も間近ですが、意気込みや手ごたえなんかをお聞かせいただいてもよろしいでしょうか。

岡島
 意気込みはありません!

――そ、そんなぁ……。

岡島
 でも、手応えはありますよ。PR動画などでも「またディースリー・パブリッシャーが馬鹿なもの作ってるよ」って言っていただけていますし。……我々はそれを誉め言葉として受け取っているのですが、そうやって「馬鹿だな、くだらないな」って言われているのはいいことですよね。

 実際、人を選ぶゲームだとは思うんですよ。ふつうの人がこのゲームを持つとしたらこう(紙の端っこを持ち吊り下げる)でしょう。でも中には、がっしり両側を挟み込んで、持ってくれる人だっているんです。そういう方たちには、喜んでいただけるものになっていると思います。
『ゼンシンマシンガール』ファミ通DXパック(ebten)