
2025年7月18日にPC(Steam)にて配信開始となったアドベンチャーゲーム『魔法少女ノ魔女裁判』。完全オリジナルのインディー作品ながら、発売直後から好調な滑り出しで、Steamストア評価も“圧倒的に好評”を獲得し話題となりました。さらには9月1日の発表にて、Steamでの販売本数が10万本を達成したことが発表。2026年春にはNintendo Switch版の発売も予定されています。
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本作は孤島に囚われた13人の少女たちが魔女裁判でお互いを断罪する“魔法議論ミステリーアドベンチャー”。少女たちはそれぞれ、いずれ魔女になる“魔女因子”を有しており、魔女化が進むと殺人衝動が抑えられなくなるという特徴があります。その結果、魔法という人知を超えた力がトリックに絡む殺人事件が発生。さらには魔女裁判の結果による処刑、明らかになる少女たちの心の闇……と、残酷な描写が続く作品です。
ですがそれだけではなく、膨大なテキスト量かつ、フルボイスで描かれる13人の少女たちの人物像やドラマが、多くのプレイヤーを惹きつける魅力となっています。
そんな『魔法少女ノ魔女裁判』を世に送り出したのは、シナリオ制作会社Re,AER(レ・アエル)発のオリジナルブランド・Acacia(アカシア)。今回はそのAcaciaで本作のプロデューサーを務める畑俊行氏と、桜羽エマ役を務めた声優・三木谷奈々さんへインタビューを行いました。Acaciaが発足した経緯や、『魔法少女ノ魔女裁判』の制作秘話、各キャラクターへ込めた思いなど、盛りだくさんの内容でお届けします。
ですがそれだけではなく、膨大なテキスト量かつ、フルボイスで描かれる13人の少女たちの人物像やドラマが、多くのプレイヤーを惹きつける魅力となっています。
そんな『魔法少女ノ魔女裁判』を世に送り出したのは、シナリオ制作会社Re,AER(レ・アエル)発のオリジナルブランド・Acacia(アカシア)。今回はそのAcaciaで本作のプロデューサーを務める畑俊行氏と、桜羽エマ役を務めた声優・三木谷奈々さんへインタビューを行いました。Acaciaが発足した経緯や、『魔法少女ノ魔女裁判』の制作秘話、各キャラクターへ込めた思いなど、盛りだくさんの内容でお届けします。
畑 俊行(はた としゆき)
合同会社Re,AER代表。『魔法少女ノ魔女裁判』ではプロデューサーを担当。(文中は畑)
三木谷 奈々(みきたに なな)
Acacia所属の声優。『魔法少女ノ魔女裁判』では桜羽エマ役を担当するほか、主題歌『LaVI-Bavellabion』の歌唱も担当している。(文中は三木谷)
“クリエイターたちの楽園”を目指して合同会社を設立
――まずはおふたりのプロフィールと、『魔法少女ノ魔女裁判』で担当された部分を教えていただけますか?
畑
僕は合同会社Re,AER代表を務めており、『魔法少女ノ魔女裁判』にはプロデューサーとして関わりました。プロデューサーと言っても雑事全般を行っており、具体的には資金・人材管理、シナリオ制作、コンセプト設計など、いろいろなことを担当しています。もちろん、それぞれの領域にはちゃんとディレクターがいますので、広く浅く、いろいろな部分に関わらせてもらった感じでしょうか。
三木谷
私は声優として桜羽エマ役を担当させていただきました。あとは、意外に思われるかもしれませんが、制作関連の外部発注や進行管理なども行っていました。小さい会社なので、声優の仕事以外にも臨機応変に対応しています。
――作家が中心となって2018年に設立されたシナリオ制作会社Re,AERですが、設立の経緯はどのようなものだったのでしょうか?
――作家が中心となって2018年に設立されたシナリオ制作会社Re,AERですが、設立の経緯はどのようなものだったのでしょうか?
畑
そもそものきっかけとしては12年くらい前でしょうか。友人や作家仲間たちと「“楽園”を作りたいね」っていう話をずっとしていたんです。
――それは、作家にとっての“楽園”ということでしょうか?
――それは、作家にとっての“楽園”ということでしょうか?
畑
はい。僕は大学生のときに集英社さんから小説の賞をいただいて作家デビューしました(※)。小説の世界はとても楽しかったのですが、商業の世界ということもあり……本当にすごい才能を持っているのに、巡り合わせの都合で思うようにいかない人もたくさん見て、もどかしい思いをしました。
その後ゲーム会社に就職してディレクターなどを経験しました。その仕事も楽しかったのですが、やっぱり“自分たちの資本で自分たちの好きな作品を作って、それを僕が好きな方々におすそ分けできるような場所”……そんな楽園のような場所があったらいいなと思ったんです。それで立ち上げたのが合同会社Re,AERでした。
※2011年、葉巡明治の作家名で、第10回スーパーダッシュ小説新人賞特別賞を史上最年少(18歳)で受賞し、『嘘つき天使は死にました!』でデビュー。その後ゲーム会社に就職してディレクターなどを経験しました。その仕事も楽しかったのですが、やっぱり“自分たちの資本で自分たちの好きな作品を作って、それを僕が好きな方々におすそ分けできるような場所”……そんな楽園のような場所があったらいいなと思ったんです。それで立ち上げたのが合同会社Re,AERでした。
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――つぎに『魔法少女ノ魔女裁判』の開発と並行して、Re,AERから新たなクリエイティブブランド・Acaciaが生まれたわけですが、こちらはどういった経緯やコンセプトで発足したのでしょう。
畑
Re,AERは、いろいろな会社から受託で“企画制作”や“シナリオ制作”を請け負う会社で、この活動はいまも続けています。そうやってしばらくは助走期間として資金やノウハウを貯めていたのですが、設立から6年くらい経ったころに「そろそろ会社のお金を使ってドカンと1発、自分たちの好きなもの作ろうぜ!」となったのが始まりです。
ただの“想い”から始まった、本当にゼロからのスタートなんです。
Acaciaのスタンスは、あくまで“原作屋さんである”ということですね。『魔法少女ノ魔女裁判』をゲームとしてリリースしたのは、ゲーム市場の大きさや受け入れてもらいやすさを考慮した結果ですが、今後制作するのが漫画や音楽プロジェクトであったとしても、弊社がシナリオ屋さんである以上、根本の“原作屋である”という部分はブレないと思います。
――では、その原作屋であるAcaciaに三木谷さんが所属することになったのは、どのような経緯からでしょうか?
ただの“想い”から始まった、本当にゼロからのスタートなんです。
Acaciaのスタンスは、あくまで“原作屋さんである”ということですね。『魔法少女ノ魔女裁判』をゲームとしてリリースしたのは、ゲーム市場の大きさや受け入れてもらいやすさを考慮した結果ですが、今後制作するのが漫画や音楽プロジェクトであったとしても、弊社がシナリオ屋さんである以上、根本の“原作屋である”という部分はブレないと思います。
――では、その原作屋であるAcaciaに三木谷さんが所属することになったのは、どのような経緯からでしょうか?
三木谷
畑さんにお声がけいただいて、声優として入社した形です。畑さんと知り合ったのはAcaciaとは関係のないオーディションだったのですが、その後「楽園を作るからいっしょにどう?」と言われて(笑)。
畑
いや、さすがにもうちょっと真面目に誘った気がしますけど……。三木谷とは声優オーディションの最終選考で何度もすれ違っていて、実力も知っていましたし、いっしょに何かを作りたいという気持ちで声をかけました。
入社してからしばらくは、おもに制作進行として働いてくれていましたが、「自社作品で大きい役を担当してほしい!」という思いもあって、今回桜羽エマ役をお願いすることにしました。
入社してからしばらくは、おもに制作進行として働いてくれていましたが、「自社作品で大きい役を担当してほしい!」という思いもあって、今回桜羽エマ役をお願いすることにしました。
――Acaciaは原作屋として多くのシナリオライターさんが所属しているのはもちろん、三木谷さんをはじめとする声優さんも在籍しているのが興味深いです。
畑
もともと僕の出自が作家ということもあり、メンバーの半数はライターが占めているのですが、ほかにも声優だけでなく音楽家、イラストレーター、制作進行、プロデューサーなど、さまざまなポジションの方が在籍しています。さらにさまざまなクリエイターを現在募集中です。
目標金額の33倍以上の資金が集まったクラウドファンディング
――そうやって設立したAcaciaブランドの第1弾が『魔法少女ノ魔女裁判』なわけですが、企画の立ち上げはどのように行われたのでしょうか?
畑
ある程度予算を決めて、まずは企画コンペのようなものを行いました。きっかけとして、裁判パートのメインライターを務めている滝口(滝口流氏。本作のディレクターも務める)から「論理ゲーム的な題材はどうか」という案が生まれ、ひとつの軸が決まりました。テキストを読むアドベンチャーゲームは、物語を“シナリオ”として表現できますので、確かに我々の強みが表現できる題材でした。
その時点ではストーリーやコンセプトは明確に決まっていなかったものの、ストーリーパートのメインライターを務めている喜多(喜多南氏。本作の原作・世界観設定も担当)から、“魔女裁判”というピッタリの案が上がってきて、そこからどんどん“ゴシックの囚人服”、“血の蝶”、“消えない魔法”など、『魔法少女ノ魔女裁判』のアイデンティティとなるアイデアや設定が生まれました。
――企画が立ち上がった時期はいつごろになりますか?
その時点ではストーリーやコンセプトは明確に決まっていなかったものの、ストーリーパートのメインライターを務めている喜多(喜多南氏。本作の原作・世界観設定も担当)から、“魔女裁判”というピッタリの案が上がってきて、そこからどんどん“ゴシックの囚人服”、“血の蝶”、“消えない魔法”など、『魔法少女ノ魔女裁判』のアイデンティティとなるアイデアや設定が生まれました。
――企画が立ち上がった時期はいつごろになりますか?
畑
2022年の夏ごろだったかと思います。キャラクター設定やシナリオ、世界観などは受託業務の合間に喜多と私でゆっくりと作り、少しずつながら、各メンバーから素敵なイラストなども生まれていきました。
――そして大枠が固まった段階でクラウドファンディングが開始されたわけですね。
――そして大枠が固まった段階でクラウドファンディングが開始されたわけですね。
畑
はい。クラウドファンディングを開始したのは2024年5月になります。
――目標金額が200万円だったのに対し、最終的に集まった金額がなんと6600万円超、ということで話題となりましたが、当時どういうお気持ちでしたか?
――目標金額が200万円だったのに対し、最終的に集まった金額がなんと6600万円超、ということで話題となりましたが、当時どういうお気持ちでしたか?
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畑
熱が出ました。寝られなくなりました。当時からプロモーションが盛り上がっていたとはいえ、暗中模索のなかで目標金額の200万円は、決して低く見積もっていた額ではなかったんです。なんなら到達できないのではないかと思っていたくらいです。
――オリジナルの第1弾作品のクラウドファンディングとしては、異例中の異例ですよね。
――オリジナルの第1弾作品のクラウドファンディングとしては、異例中の異例ですよね。
畑
きっかけとしては、クラウドファンディング開始の1ヵ月前くらいから始めたゲームのプロモーションでしょうか。それによるSNSでの拡散は、影響が大きかったと思います。
――たしかに、SNSでのバズはすごかったです。やはりSNSの運用は当初から重要視されていたのでしょうか?
――たしかに、SNSでのバズはすごかったです。やはりSNSの運用は当初から重要視されていたのでしょうか?
畑
そうですね。クラウドファンディング以前の僕たちにはあまりお金がなく、あるのはコンセプトとシナリオの腕、SLAVE.V-V-Rさん(※)の音楽、梅まろさん(※)やアートディレクターすがわら おむさんのアート数点のみでしたから、お金をかけずに宣伝できるSNSは重要な戦場として捉えていました。
段階としては、まずプレスリリースを出していろいろなメディアで取り上げてもらい、そこからある程度公式Xのフォロワーが増えたのですが、その時点では一過性のものでした。でもある日フォロワーが1万くらいボンッと増えた日があって、それが“Q&A”を始めた日でしたね。
※SLAVE.V-V-R:人気ボーカロイドP。YouTube再生数1600万回以上の『んっあっあっ。』など、多数のヒット曲を持つ。
※梅まろ:本作のキャラクターデザインを手掛ける気鋭のイラストレーター。段階としては、まずプレスリリースを出していろいろなメディアで取り上げてもらい、そこからある程度公式Xのフォロワーが増えたのですが、その時点では一過性のものでした。でもある日フォロワーが1万くらいボンッと増えた日があって、それが“Q&A”を始めた日でしたね。
――「Q.どの子からいなくなりますか?」という質問に対し、「あなたの好きな子からいなくなるよう努力します」という回答はかなり衝撃でした。
畑
ありがとうございます。Q&Aではストーリーの内容、ゲームシステムには極力触れずに、「このゲームをプレイすることで、どういった感情体験を得られるか」という部分に注力しました。
そのうえで「この女の子たちがひどい目にあいます」、「それをするのはあなたたちです」、「あなたたちを共犯者と呼んで巻き込むので、いっしょに地獄まで来てください」という感じで、ゲームのことが気になった人には同じ船に乗っていただきたかったのです。
そのうえで「この女の子たちがひどい目にあいます」、「それをするのはあなたたちです」、「あなたたちを共犯者と呼んで巻き込むので、いっしょに地獄まで来てください」という感じで、ゲームのことが気になった人には同じ船に乗っていただきたかったのです。
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/52614/a135007e7085979a7d5b41ce54c0e54d7.jpg?x=767)
――結果、ゲーム発売の約1年前からセンセーショナルな作品として認知されることになりました。そのいっぽうで、ある意味露悪的なプロモーションに対して拒否感のあった人も一定数いたかと思います。でも発売後は「実際にプレイしてみたら一気に物語に引き込まれた」という声が多かったのが印象的でした。とくに10代の女の子など、若い層に反響が大きいなと。
畑
30~40代のゲームファンからすると、この作品のコンセプトを見て「中二病っぽくて痛々しい」と感じたり、ちょっと既視感のあるものに感じたりするかもしれません。でも、それは我々がさまざまな作品に触れてきたからで、それに対していまの10代の子は『魔法少女まどか☆マギカ』、『ダンガンロンパ』、『シュタインズ・ゲート』といった名作を知らない、見たことがないという子も多いと思うんです。それぞれ世に出てから15年くらい経っているので、世代がまるっと入れ替わっているんですね。
ですから僕らがそれらの作品から受けた衝撃やリスペクトを、今度は『魔法少女ノ魔女裁判』でいまの若い子たちに伝えることができたら……と考えていました。そういった作品を初めて体験したときの衝撃って、なかなか忘れられないじゃないですか。その初めての衝撃を『魔法少女ノ魔女裁判』が与えられたら、一生心に残る作品になるのではないかと思いまして。
――たしかに、いまの若い世代の子たちが『シュタインズ・ゲート』をプレイしても、もちろん感動すると思います。でもリアルタイムで作品を知り、発売と同時に誰も予備知識がない状態でプレイし、衝撃を分かち合うといった感覚は、その時代の真っ只中にいないと体験できないですからね。
ですから僕らがそれらの作品から受けた衝撃やリスペクトを、今度は『魔法少女ノ魔女裁判』でいまの若い子たちに伝えることができたら……と考えていました。そういった作品を初めて体験したときの衝撃って、なかなか忘れられないじゃないですか。その初めての衝撃を『魔法少女ノ魔女裁判』が与えられたら、一生心に残る作品になるのではないかと思いまして。
――たしかに、いまの若い世代の子たちが『シュタインズ・ゲート』をプレイしても、もちろん感動すると思います。でもリアルタイムで作品を知り、発売と同時に誰も予備知識がない状態でプレイし、衝撃を分かち合うといった感覚は、その時代の真っ只中にいないと体験できないですからね。
畑
うちの作品で「初めてゲームで泣きました」となってくれたら、こんなにうれしいことはないですね。
――なおクラウドファンディングが開始された当初、三木谷さんは『魔法少女ノ魔女裁判』とどういった関わりかたをされていたのでしょうか?
――なおクラウドファンディングが開始された当初、三木谷さんは『魔法少女ノ魔女裁判』とどういった関わりかたをされていたのでしょうか?
三木谷
初期はおもにイラストや音楽の発注のほか、制作進行などを担当していました。
畑
外注の発注という点では、じつは主題歌の制作を担当していただいたSLAVE.V-V-Rさんは三木谷の案出しで決まったんですよ。
三木谷
もともと私がSLAVE.V-V-Rさんのファンで、よく曲を聴いていたんです。ものすごくダークで尖った曲を書かれるので、『魔法少女ノ魔女裁判』に合うのではと考えて提案させていただきました。
収録自体はけっこう前で、クラウドファンディング企画が始まる前だったと思います。歌詞はSLAVE.V-V-Rさんが作った独自の謎言語で書かれていてるんですよ。
収録自体はけっこう前で、クラウドファンディング企画が始まる前だったと思います。歌詞はSLAVE.V-V-Rさんが作った独自の謎言語で書かれていてるんですよ。
畑
最初は主題歌用に作られた言語だったのですが、後からBGMなどにも使用されるようになりました。
三木谷
ちなみに歌詞については自分が歌うにあたり、最初にSLAVE.V-V-Rさんから「英語でいくか、謎言語でいくか」という選択肢をいただいたのですが、そのときに「謎言語でがんばります!」と言ってよかったですね。より幻想的で作品にマッチした曲になったのではないかと思います。
――クラウドファンディング後は、資金が集まったことで、ゲームのボリュームアップ、クオリティアップの選択肢がかなり広がったかと思われます。とくにフルボイス化は、いまとなってはボイスなしが考えられないほど重要な要素となりました。
畑
開発当初からパートボイス的なものは実装しようと決めていたのですが、これだけ資金が集まったなら「もうフルボイスしかない」と。みなさんの共犯によりストレッチゴールがつぎつぎと達成されていくなかで、追い詰められた我々には、もはやフルボイスしか残された手段はありませんでした。
――そのときに三木谷さんが桜羽エマ役を担当することも決定したのでしょうか?
――そのときに三木谷さんが桜羽エマ役を担当することも決定したのでしょうか?
三木谷
いえ、パートボイスを実装する時点で、桜羽エマ役を演じさせていただくことは決まっていました。ただフルボイスとなると物量が段違いでしたね……。演じるにあたり、まずは台本をいただいたのですが、それを読み込むとiPadのアプリが落ちるくらい物量がすごくて(笑)。
畑
シナリオのテキスト量に関しては、驚きの声をよくいただきます。当初はフルボイス化なんてまったく考えていなかったものですから、むしろ「ボイスがないならたくさん書ける!」という感じでした。そしてこれだけのお金を集めた以上は、何の制約もおかずに書かれた最高のシナリオをお見せするのが筋だと思い、フルボイス決定後もボイス数の削減は行いませんでした。
――完成版ではバッドエンドまでフルボイスですから、収録もかなり長丁場になったのでは?
――完成版ではバッドエンドまでフルボイスですから、収録もかなり長丁場になったのでは?
三木谷
そうですね。丸1日収録に使う日が合計14日間くらいありました。エマちゃんはけっこう感情を爆発させるシーンがあるので、収録後は毎回頭痛になって電車に乗って帰宅……ということが多かったです。
――フルボイス化のほかに、クラウドファンディング後に追加したもので苦労した部分はありますか?
畑
クラウドファンディングが成功して、お金をかけてもOKになったぶん、「よりクオリティを上げて仕上げないといけない」というプレッシャーはありました。さらに、社内にはシナリオを書ける人も、絵を描ける人も、音楽を作れる人もいるいっぽう、1本のゲームを作り上げるのは初めてのことですから、スケジューリングにはかなり苦労しました。メンバーには苦労を掛けたと思います。
――本作はUIも特徴的ですが、意識したポイントはどこでしょうか。
――本作はUIも特徴的ですが、意識したポイントはどこでしょうか。
畑
ビジュアルのテーマとしては“ゴシック”なのですが、そのうえでより“美しいもの”にしたいと思っていました。僕がしつこく言っていたのは「最悪ほど美しく」です。大まかにくくればゴシックパンクもゴシックメタルもゴシックですし、骸骨に剣が突き刺さっていて……といった方向のイメージもあるかと思います。でも『魔法少女ノ魔女裁判』で使いたかったのは“退廃的な美”としてのゴシックのイメージでした。
今回、設定などを担当している喜多南は映画『ミッドサマー』などが好きで、そういった「美しいけれど、どこか不気味」という独特な世界観は意識していると思います。
――世界観とあわせ、裁判パートも本作を特徴づける要素かと思います。こちらについて開発で苦労した点はありましたか?
今回、設定などを担当している喜多南は映画『ミッドサマー』などが好きで、そういった「美しいけれど、どこか不気味」という独特な世界観は意識していると思います。
――世界観とあわせ、裁判パートも本作を特徴づける要素かと思います。こちらについて開発で苦労した点はありましたか?
畑
おもに裁判パートシナリオを担当した滝口が悩んだ部分だと思います。“プレイヤーがテキストを読んで、制限時間内に答えを見つける”というプロセスの最適化に苦労がありました。
動線はこちらである程度用意して、そこにピタッと当てはまるものをプレイヤーに選んでいただく。それが気持ちいい体験になるように考えて作っていたかと思います。はじめての試みでここまで仕上げてくれたことに感謝しています。
動線はこちらである程度用意して、そこにピタッと当てはまるものをプレイヤーに選んでいただく。それが気持ちいい体験になるように考えて作っていたかと思います。はじめての試みでここまで仕上げてくれたことに感謝しています。
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/52614/ae4bde0eb46b8f32ef4b4207f5344b4d4.jpg?x=767)
10年経っても語ってもらえるような愛されるキャラクターを作る
※以降はキャラクターに関するネタバレを含みます。未プレイの方はご注意ください。――ここからは物語の核となる13人の少女たちについてお聞きします。まずはキャラクターを生み出すうえで意識したポイントなどを教えてください。
畑
キャラクターに関しては、ストーリーパートのメインライターである喜多を監修・取りまとめ役として、何人かのスタッフで、2~3人ずつキャラクターの原案を作りました。その時点ではまだ口調や属性などのみでザックリとしたものもあり、喜多と私でパーソナリティや生い立ち、ほかのキャラクターとの関係性などを時間かけて作り込んでいきました。ナノカやアリサは最後に出来上がりました。
気をつけたポイントとしては、全員が15~17歳の少女であり、その“少女らしさ”を失わないようにするという点ですね。キャラとしての個性は持ちつつも、奥底はつねに生身の女の子であり、等身大の女の子であることを意識しました。さらに女の子がたくさん集まったとき特有の、繊細な雰囲気が出るように努力しました。
――それぞれのパーソナリティを設定するうえで重視したことはなんでしょう。
気をつけたポイントとしては、全員が15~17歳の少女であり、その“少女らしさ”を失わないようにするという点ですね。キャラとしての個性は持ちつつも、奥底はつねに生身の女の子であり、等身大の女の子であることを意識しました。さらに女の子がたくさん集まったとき特有の、繊細な雰囲気が出るように努力しました。
――それぞれのパーソナリティを設定するうえで重視したことはなんでしょう。
畑
どのキャラクターも最終的にはプレイヤーに好きになってもらえるように作っていますが、一面的にならないように意識していて、それぞれいい面があれば悪い面もあります。主人公のエマだって、ぱっと見は善性の塊のように見え、それもまた嘘ではないのですが、奥底では彼女なりにズルい部分や歪んだ部分は持っています。
たとえば宝生マーゴというキャラクターは、妖艶で「あらあら、うふふ」みたいな年上のお姉さんっぽさがありますが、内心はデスゲーム的な魔女裁判に巻き込まれてかなり焦っているんです。でも過去のせいで他人を信じられず、詐欺師のように振る舞うことでしか自分を保てないから、外面はお姉さんらしく振舞っている。
だから序盤はけっこうコテコテなセリフ回しなんですよね。「あらあら可愛い子ばっかりで食べちゃいたいわぁ」みたいな。でもストーリーを進めていくとマーゴの本質のようなものが見えてきて、「あぁ、あのときは取り繕ってたんだな」とわかってもらえるような話の作りにしたつもりです。マーゴだけでなく全員がそうですね。キャラクターとして噛めば噛むほど味が出るようにしました。
――デスゲーム的な展開の物語では、序盤で退場してしまうキャラクターがどうしても出てきてしまうため、その人物の印象が薄くなってしまいがちです。でも『魔法少女ノ魔女裁判』の場合は、とある仕掛けによって13人全員にスポットライトが当たるようになっていることに、とても驚きました。これは企画当初から考えられていたことなのでしょうか。
たとえば宝生マーゴというキャラクターは、妖艶で「あらあら、うふふ」みたいな年上のお姉さんっぽさがありますが、内心はデスゲーム的な魔女裁判に巻き込まれてかなり焦っているんです。でも過去のせいで他人を信じられず、詐欺師のように振る舞うことでしか自分を保てないから、外面はお姉さんらしく振舞っている。
だから序盤はけっこうコテコテなセリフ回しなんですよね。「あらあら可愛い子ばっかりで食べちゃいたいわぁ」みたいな。でもストーリーを進めていくとマーゴの本質のようなものが見えてきて、「あぁ、あのときは取り繕ってたんだな」とわかってもらえるような話の作りにしたつもりです。マーゴだけでなく全員がそうですね。キャラクターとして噛めば噛むほど味が出るようにしました。
――デスゲーム的な展開の物語では、序盤で退場してしまうキャラクターがどうしても出てきてしまうため、その人物の印象が薄くなってしまいがちです。でも『魔法少女ノ魔女裁判』の場合は、とある仕掛けによって13人全員にスポットライトが当たるようになっていることに、とても驚きました。これは企画当初から考えられていたことなのでしょうか。
畑
そうですね。ある意味インディーゲームでは“メタ的な展開を利用してプレイヤーを楽しませる工夫”がけっこう定番ですから、本作でもその挑戦的な文脈は汲むべきだという話は、当初からありました。それもあり、あのような展開になっています。
――声優さんのキャスティングについてもお聞きします。三木谷さんが桜羽エマ役に決まったときの感触はいかがでしたか?
――声優さんのキャスティングについてもお聞きします。三木谷さんが桜羽エマ役に決まったときの感触はいかがでしたか?
三木谷
入社したのがけっこう前でしたから、「やっときた!」という気持ちと、自社の第1作目の主人公をまかせていただける喜びがありました。
エマちゃんはほかのキャラクターと比べても感情がそのまま出るタイプというか、とにかく素直な子なので、収録では感情がダイレクトに伝わるように演じさせていただきました。
エマちゃんはほかのキャラクターと比べても感情がそのまま出るタイプというか、とにかく素直な子なので、収録では感情がダイレクトに伝わるように演じさせていただきました。
畑
公開オーディションを行ったヒロとシェリーを除けば、今回はすべてこちらからオファーを出す形で決めさせていただきました。僕が出したオーダーとしては、「有名な方にこだわらなくていいので、とにかく作品をおもしろくしてくれる方がいい」というものでしたね。
――それではつぎに、13人のキャラクターそれぞれについて語っていただければと思います。
――それではつぎに、13人のキャラクターそれぞれについて語っていただければと思います。
桜羽エマ(声:三木谷奈々)
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畑
エマの設定に関しては紆余曲折ありましたね。最初は“男の子にする”という案もあったのですが、最終的に一人称を“ボク”にして、ボーイッシュで中性的な雰囲気にする方向で落ち着きました。
あとは梅まろさんから上がってきたデザインがかわいらしかったのが印象的ですね。当初は漫画『宝石の国』の主人公であるフォスフォフィライトに近いイメージだったのですが、梅まろさんのデザインもあって、結果的によりかわいらしい方向になりました。
あとは梅まろさんから上がってきたデザインがかわいらしかったのが印象的ですね。当初は漫画『宝石の国』の主人公であるフォスフォフィライトに近いイメージだったのですが、梅まろさんのデザインもあって、結果的によりかわいらしい方向になりました。
三木谷
ボイスも「元気な男の子っぽい感じを出してほしい」という要望だったのですが、最初の収録で演じた際に「これくらいかわいくてもいいかも」という方向になっていきました。
二階堂ヒロ(声:東雲はる)
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畑
ヒロはデザインの修正がいちばん多かったキャラクターです。“正義の人だけれど、どこか危うい空気も持っている”という雰囲気を出すのに苦労しました。最初は厳格さを強調して軍服っぽいデザインの服装だったのですが、最終的にいまの優等生っぽいデザインに落ち着きましたね。髪のハイライトも白ではなく赤にするなど、梅まろさんが細かい部分までこだわってくれています。
夏目アンアン(声:葵あずさ)
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畑
衣装もドレッシーで、『魔法少女ノ魔女裁判』っぽさを体現してくれています。キャラクターの設定に関しても、あまりしゃべらないとか、スケッチブックで会話するとか、独自性を意識しました。魔法によって自身の立ち振る舞いが決定づけられているキャラクターでもあり、魔法設定を強調する一助になっていると思います。
城ヶ崎ノア(声:井口裕香)
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畑
ノアはプレイヤーにとっていちばん「殺されてほしくないな」と思われるような子にしよう、とオーダーした記憶があります。まぁ、オープニングの時点で死んでいるんですけど……。
――たしかに。オープニングでいろいろなシーンがフラッシュバックするように出てきて、そのなかですでに遺体になっているという……。
――たしかに。オープニングでいろいろなシーンがフラッシュバックするように出てきて、そのなかですでに遺体になっているという……。
畑
物語においていろいろな殺人事件が起こるなかで、ひとつくらいは開示しておかないと、このゲームがサスペンスであることが伝わらないかなと思いまして。
13人もキャラクターが一気に登場するなかで、いちばん目立ってかわいくて、パッと見で気に入ってもらえそうな子にしよう。そのうえでその子から死んだら衝撃的だろう、という魂胆です。
13人もキャラクターが一気に登場するなかで、いちばん目立ってかわいくて、パッと見で気に入ってもらえそうな子にしよう。そのうえでその子から死んだら衝撃的だろう、という魂胆です。
蓮見レイア(声:小清水亜美)
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畑
レイアは初見プレイヤーにとって重要なシーンを担う子でもあるので、「声優さんをめちゃくちゃ上手い人にしたい!」という気持ちがスタッフ全員の間にあったのですが、結果的に小清水亜美さんの演技は最高でしたね。
「目立ちたい」、「脚光を浴びたい」という印象が先行しがちなキャラクターではありますが、同時に責任感も感じている子です。だから「自分がみんなを引っ張っていかなければ」という気持ちは本物だろうと思います。ストーリーの後半でガラッと印象が変わる子ではありますが、あれは人格が変わったのではなく、ストレスから解き放たれて本来のふるまいができるようになったためですね。
「目立ちたい」、「脚光を浴びたい」という印象が先行しがちなキャラクターではありますが、同時に責任感も感じている子です。だから「自分がみんなを引っ張っていかなければ」という気持ちは本物だろうと思います。ストーリーの後半でガラッと印象が変わる子ではありますが、あれは人格が変わったのではなく、ストレスから解き放たれて本来のふるまいができるようになったためですね。
佐伯ミリア(声:高森奈津美)
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畑
おもしろい子ですよね。見た目はギャルなのに一人称は「おじさん」っていう。彼女の魔法はコンセプトの段階で決まっていたのですが、トラウマに関してはわりと最後のほうに決まりました。彼女についてはネタバレせずに説明するのがとても難しいですが、とにかくおもしろい子です。
宝生マーゴ(声:樹冬華)
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畑
マーゴに関しては先ほど触れた通り、15歳らしからぬ発言をするんですが、ちゃんと中身は15歳の女の子です。彼女が取り繕っている嘘の仮面と、その仮面から本当の内面がどうにじみ出るか、といったことの描きかたは、ライターの腕の見せどころかと思っていました。彼女の背景を知ると、なぜ嘘をつくのか、なぜ人を信用しないのかが見えてきます。
黒部ナノカ(声:大熊和奏)
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畑
ナノカに関しては、プロットを作っていくなかでどんどん新たな一面が出てきたキャラクターです。クールな雰囲気に反して抜けたところもありますが、もともとそういう性格であり、ふつうの女の子が超無理してがんばっているだけなんですよね。ワケありっぽくて物知り顔で、みんなより一歩先に行っているように見えますが、本来はお菓子作りが好きで、世話を焼かれる側の女の子です。
紫藤アリサ(声:石井未紗)
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畑
アリサはずっと「罰されたい」と思っていて、言い換えれば「ちゃんと愛されたい」に近い感情を抱いている子なのかなと思います。自分のせいで他人を傷つけてしまった過去があって、それから周囲に対して威嚇するように予防線を張っている。彼女が出来心で犯した罪はどうしようもなく重いのですが、本来なら誰よりもやさしいキャラクターだと思います。
橘シェリー(声:柊優花)
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畑
探偵っぽくて、サスペンスものには欠かせないキャラクターでありつつ、いろいろな人の感性に刺さるキャラクター性ではないかと思います。本当は他人なんて簡単に潰せる力を持っているけれど、かわいくて、いざとなったら笑顔のままグシャリ。そして細かいことは気にしない、みたいな。じつは初期の案では裁判パートのサポート役がシェリーだった、という裏話もあります。
遠野ハンナ(声:石崎紗彩)
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畑
ハンナは劣悪な環境で育ってきて、さらにはこんな最悪な島に閉じ込められてしまうのですが、シェリーやエマのような支えてくれる人に出会えたというのは大事なポイントかなと思います。あとはアンアンと同じく「ドレッシーな服装にしよう」と決めていて、作品の雰囲気を印象づける意味でも重要な役割でした。また、ハンナがいると、物語が明るくなりますよね。
沢渡ココ(声:比良坂芽衣)
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畑
意地の悪い女の子です。それが大好き。いままで「この子はこう見えるけど本来は~」みたいな説明をしてきましたけれど、ココに関してはちゃんと意地の悪いところを持っている子だと思っています。好感度を回復するポイントもあるのですが、意地の悪いところは嘘ではありません。でも、この孤島で起こる最悪な出来事に対して「キモい、うざい、死ね」と素直にリアクションしてくれるので、リアクションが輝くキャラクターですね。
氷上メルル(声:山下七海)
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畑
メルルはとても愛情深くて、かわいいと恐ろしいが一気に襲ってくるようなキャラクターです。一途で、彼女が見せてくれる愛情はどれも本物なんですが、だからこそ怖い。誰にでもやさしいし他人のことを配慮している、という事実がこの状況だとどんな風に恐ろしく見えるか、というのは意識しました。
全体としては、どの子も10年後まで語られるような、キャラクターひとりひとりを平等に愛してもらえるような作品にしようと思って作り上げた子たちです。
――ちなみに、おふたりが個人的に気に入っているキャラクターはいますか?
全体としては、どの子も10年後まで語られるような、キャラクターひとりひとりを平等に愛してもらえるような作品にしようと思って作り上げた子たちです。
――ちなみに、おふたりが個人的に気に入っているキャラクターはいますか?
畑
僕はココですね。ああいう意地の悪いことを言いたい放題してくれる子がいると読んでいても手応えがあるというか。開発側としてはテンポを作ってくれるので助かるし、プレイヤー側としても「この島ヤバすぎ!」みたいな部分を代弁してくれるキャラクターなんじゃないでしょうか。
三木谷
私はやっぱりエマへの思い入れが強いのですが、それ以外だとアリサとココが好きです。
アリサはふだんトゲトゲしたしゃべりかたなんですが、その言葉から透けて見えるやさしさが収録中からずっと大好きで、「アリサは推しだな」と思っていました。ココに関しては、じつは収録中うっすら嫌いだったんですよね(笑)。エマに対して当たりが強いし、ずっと意地悪なことを言ってくるし、嫌だなぁって。でも自分でゲームをプレイしてみると、ゆる~いしゃべりで、第三者からすれば場を盛り上げるツッコミをしてくれて、だんだん好きになりました。
――なお、13人以外のキャラクターについてもお聞きしたいのですが、ゴクチョーのキャスティングはどのように決められたのでしょうか。
アリサはふだんトゲトゲしたしゃべりかたなんですが、その言葉から透けて見えるやさしさが収録中からずっと大好きで、「アリサは推しだな」と思っていました。ココに関しては、じつは収録中うっすら嫌いだったんですよね(笑)。エマに対して当たりが強いし、ずっと意地悪なことを言ってくるし、嫌だなぁって。でも自分でゲームをプレイしてみると、ゆる~いしゃべりで、第三者からすれば場を盛り上げるツッコミをしてくれて、だんだん好きになりました。
――なお、13人以外のキャラクターについてもお聞きしたいのですが、ゴクチョーのキャスティングはどのように決められたのでしょうか。
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畑
ゴクチョーを演じる中尾隆聖さんも、ほかのキャラクターと同じで、こちらから指名でお願いした形なのですが、企画当初はけっこう悩みましたね。
こういうマスコット的なキャラクターの声は著名な方がいいだろうと考えてさまざまな候補を挙げていったのですが、あるとき中尾さんのお名前が出たときに、一気にスッと決まった感じです。あの独特のニュアンスをバチッと出せるのは、「もう中尾さんしかいない!」となりました。
こういうマスコット的なキャラクターの声は著名な方がいいだろうと考えてさまざまな候補を挙げていったのですが、あるとき中尾さんのお名前が出たときに、一気にスッと決まった感じです。あの独特のニュアンスをバチッと出せるのは、「もう中尾さんしかいない!」となりました。
まだまだ拡張していく『魔法少女ノ魔女裁判』とAcaciaの作品世界
――『魔法少女ノ魔女裁判』が発売されたあとは、Steamストアで“圧倒的に好評”の評価となっています。こちらの反響はどのように感じられていますか?
畑
このゲームは完成したのが本当の本当にギリギリで、僕ら開発側も「最終的な出来高をどう受け入れてもらえるか」という検証があまりできていない状態での発売だったんです。もちろんうちはシナリオ会社ですから話のおもしろさには自信がありましたが、その答え合わせがきちんとできて胸をなで下ろした感じですね。
うれしいというより先に、安心したという感情が先でした。関係各所や友人にも「絶対おもしろいから! やってみればわかるから!」って言い続けていたものですから。
うれしいというより先に、安心したという感情が先でした。関係各所や友人にも「絶対おもしろいから! やってみればわかるから!」って言い続けていたものですから。
三木谷
私自身けっこうゲーマーなため、Steamストアの“圧倒的に好評”は本当に選ばれしゲームだというイメージがありました。自社作品の1作目ですし、「“非常に好評”でも取れればもう満点だ」と思っていたところに“圧倒的に好評”がきて、すぐには信じられなかったです。何回も評価とレビューの内容を見て、やっと現実だと思えました。本当にうれしいです。
――Steamのコミュニティページでは中国語のコメントも多数見受けれるのが印象的でした。本作はいまのところ日本語と中国語に対応していますが、ほかの言語にも対応する予定はありますか?
――Steamのコミュニティページでは中国語のコメントも多数見受けれるのが印象的でした。本作はいまのところ日本語と中国語に対応していますが、ほかの言語にも対応する予定はありますか?
畑
そうですね。英語、韓国語、スペイン語など、多言語に対応する余地はあります。これだけ話題になりましたし、世界各国の方々にも楽しんでいただける自信はあるので、早めに対応したいですね。
――そして来年2026年春にはNintendo Switch版の発売も予定されています。さらにコミカライズもうスタートしていますが、これからの『魔法少女ノ魔女裁判』の展開についてお聞かせください。
畑
今後も原作屋として、さまざまな形での展開を予定しています。ファンの皆さまに愛していただくIPとして10年はしっかり続けていくつもりなので、ぜひ期待しください。
――さらにAcaciaとしては、すでに第2弾以降のタイトルが続々と発表されていますが、それぞれの内容についてもご説明お願いします。まずはタイトルの一部がまだ伏せられている『?????ノ裏????』についてですが、こちらはどういったジャンルのゲームになるのでしょうか?
――さらにAcaciaとしては、すでに第2弾以降のタイトルが続々と発表されていますが、それぞれの内容についてもご説明お願いします。まずはタイトルの一部がまだ伏せられている『?????ノ裏????』についてですが、こちらはどういったジャンルのゲームになるのでしょうか?
畑
ジャンルとしてはノベルRPGですね。ものすごくリッチな例えをすると『ペルソナ』シリーズに近い作品になるのではないかなと思います。ただ、どちらかというと読み物としての比重が大きいです。SNSを題材にしたお話で、とくに女の子の裏の顔にフォーカスした作品になっています。『魔法少女ノ魔女裁判』より“悪辣度”は高いかもしれません。
――では『偲ビ鬼』についてもお願いします。こちらはゲームではなく、音楽プロジェクトですよね。
――では『偲ビ鬼』についてもお願いします。こちらはゲームではなく、音楽プロジェクトですよね。
畑
音楽IPもやりたいよね、ということにお話をいただいて走り始めた作品です。ミュージックビデオを観て・聴いて楽しめるような作品に仕上がっていますのでご期待ください。
――そして『魔法少女ノ因習村』ですが、こちらは『魔法少女ノ魔女裁判』と関わりのあるゲームになるのでしょうか?
――そして『魔法少女ノ因習村』ですが、こちらは『魔法少女ノ魔女裁判』と関わりのあるゲームになるのでしょうか?
畑
『魔法少女ノ因習村』は、『魔法少女ノ魔女裁判』をプレイした方が追ってくれるような作品にしたいと考えています。話は独立しているものの、タイトルに“魔法少女ノ”とつくものは、やや作品同士の関連が強いかもしれません。『魔法少女ノ魔女裁判』と比べると、よりシナリオに特化したゲームになっていますね。アドベンチャーゲームのシナリオとしては、かなりたいへんなことにチャレンジしています。
ほかにも、まだいろいろと『魔法少女ノ魔女裁判』自体のIP拡張の余地を残していますので、楽しみにしていただければと思います。過去、未来、島の外部……この作品にはまだまだいろいろな可能性があることを、プレイした方はわかると思います。
――“まのさば”はまだ終わらないということですね。では最後に、ファンの方や、これから『魔法少女ノ魔女裁判』をプレイする方へ向けて、おふたりからメッセージをお願い致します。
ほかにも、まだいろいろと『魔法少女ノ魔女裁判』自体のIP拡張の余地を残していますので、楽しみにしていただければと思います。過去、未来、島の外部……この作品にはまだまだいろいろな可能性があることを、プレイした方はわかると思います。
――“まのさば”はまだ終わらないということですね。では最後に、ファンの方や、これから『魔法少女ノ魔女裁判』をプレイする方へ向けて、おふたりからメッセージをお願い致します。
畑
『魔法少女ノ魔女裁判』は到達点ではなく、これが始まりだと思って今後のAcaciaも見ていただけるとうれしいです。ひとつの作品に5個くらいはビックリする要素を入れたいと思っているので、楽しみに待っていてください。まだ発表できないことは山ほどありますが、すでに3年先くらいまでスケジュールは埋まっている、とだけお伝えしておきます。
三木谷
SNSで「一生心に残るゲームだ」、「記憶を消してもう1回やりたい」っていう感想が投稿されていて、いちゲーム好きとしても、声優としても、めちゃくちゃうれしいです。このゲームに関われたことを誇りに思います。畑さんがおっしゃったように、今後の展開もまだまだありますので、楽しみにお待ちください。
ちなみに未プレイの方のなかには、もしかすると「公式SNSのノリが合わないな~」と感じていらっしゃる方もいるかもしれません。そんな方もぜひ、公式にだまされず(笑)、一度プレイしてみてほしいです!
ちなみに未プレイの方のなかには、もしかすると「公式SNSのノリが合わないな~」と感じていらっしゃる方もいるかもしれません。そんな方もぜひ、公式にだまされず(笑)、一度プレイしてみてほしいです!