『盛世天下~女帝への道~』美男美女の実写恋愛ものかと思ったらまさかの死にゲー。死亡エンドは100種類、油断すると瞬殺されるトンデモ宮廷サバイバル
 唐の時代を舞台にしたインタラクティブドラマが楽しめる新作ゲーム『盛世天下~女帝への道~』が、2025年9月9日にリリースされた。

 4K実写の映像に選択肢を追加した、FMV(フルモーションビデオ)と呼ばれる実写アドベンチャー。映画、ドラマと同じような映像が流れる中、時折出現する選択肢を選ぶことによって、その後の展開が変化していくゲームだ。

 舞台は唐の時代の中国で、プレイヤーは中国史上唯一の女帝であった武則天の波乱万丈な物語を追体験することになる。

 美男美女の恋愛モノかと思いきや、油断すると一瞬で暗殺される死にゲー顔負けの死亡率を誇る、なかなかにインパクトの強いゲームだったので、ネタバレを避けつつレビューをお届けしていこう。
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恋愛ものかと思いきやクライムサスペンス

 映像を見ながら選択肢を選ぶゲームなので、難しい操作は一切ナシ。「ゲームに詳しくないけど中国ドラマが好きという人でも気軽にプレイできるだろう。

 衣装や舞台の作り込みもハイクオリティで、本物の唐の時代に入り込んだような体験ができる。最初はゲームと実写映像の相性はよくないのではと思ったが、いざプレイしてみるとまったく気にならなかった。
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 プレイヤーがやることはシンプルで、物語の途中に入る選択肢を選ぶだけ。ときおりボタン連打のQTEも入るが、失敗しても巻き戻しが容易で、シビアな操作は求められない。

 この選択肢やQTEの結果によって、その後のストーリーが変化していくのがインタラクティブドラマの醍醐味だ。誰の味方するか、ピンチな場面でどんな選択をするか、プレイヤーの決断次第で主人公の未来が変化していく。
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 操作する主人公は、14歳の武元照。後の武則天だ(中国史上唯一の女帝)。物語は実家で虐げられていた彼女が、おばである楊淑妃の引き立てによって後宮に入るところからスタート。

 後宮で出会う人々や皇帝、イケメンな皇子たちに翻弄されながらたくましく生きていく、幼いころの武則天の物語が追体験できる。
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 ただ、実際にプレイしてみると誰も彼もとんでもない勢いで主人公を消しにかかってくる。後宮という名の伏魔殿に足を踏み入れて3分後に、最初のバッドエンドを迎えるくらいに容赦がない。

 序盤だけでも数回の裏切りに遭うほど、登場人物のほとんどが腹に一物抱えており、緊張感漂うストーリーが展開される。

 久しぶりに再会した幼馴染であっても信用できない。権力者に逆らえば速攻で毒殺、または牢屋行きが確定。親切心がいい結果を生むこともない、まさに伏魔殿だ。バッドエンドを避けるなら目立たない、ひとりにならない、味方を信用しないが鉄則で、サバイバルホラーと同じ感覚でプレイしないとならない。
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ピンチな場面での3択。このうちふたつはバッドエンドに直行する。
 美男美女の恋愛ものだと思って、日本のラブコメ的な感覚でプレイするとアッサリ死ぬことになるので要注意。皇子様の誘いをやんわり断ったら「おもしれー女」になるかと思ったら、速攻で背中を刺されて死んだときは「二度と権力者に逆らうまい」と誓うほかなかった。

 後宮で求められるのはおもしろさではなく、賢さなのだ。
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 ちなみに死亡エンドは100種類ほどあるらしく、主人公を苦しめることに余念がない。なんてことのない選択肢が思わぬ結末に向かうこともあるので、理不尽な暗殺にツッコミを入れながらプレイするのも楽しみかたのひとつだ。
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 あまりにも主人公の命が軽すぎて、序盤は理不尽死にゲーなテイストを笑いながら遊んでいたのだが、途中からは認識が変わる。このゲーム、バッドエンドの多さを除いてもシンプルに物語としてかなりおもしろい。

 後宮でのドロドロ愛憎劇や皇子たちとの恋愛ものかと思いきや、やっていることはクライムサスペンスだ。

 主人公が悪い状況から抜け出そうと足掻いた結果、犯罪の片棒を担がされ、次第に抜け出せない泥沼に入り込み、ついには殺人まで犯してしまう。後宮内の権力争いだけでなく、皇子たちの皇位を狙った策略にも巻き込まれる物語はかなり見応えがある。

 最終的なエンディングまでたどり着いたときの満足感は、ドラマを1シーズン見終わった感覚に近い。
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 主人公と皇子である李治や李泰との関係性など、権力争いだけでなく人間ドラマの部分も見どころが豊富だ。とくに李泰とは序盤から互いに利用し、牽制し合うような仲になるため、最終的にどのような決着を迎えるのかも見逃せない部分になる。
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 本作は史実に沿って話が進みながらも、随所に主人公が関わる独自の物語が展開されていくのも見逃せないところ。

 称心という美男を寵愛していた皇子・李承乾のストーリーにも主人公が介入しており、美しい物語に仕上がっている。皇子という権力者として生まれながら、愛する人ひとりを手に入れられない苦しみを嘆くシーンなど、詩的な言い回りや熱演は必見だ。
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 本編のストーリーは正解の選択肢を選べば自然と進んでいくが、サブエピソードも用意されていてボリュームは非常に多い。各登場人物の裏での暗躍などが短編集としてチェックできるため、さまざまな分岐を経てサブエピソードも回収していくと、本作をより楽しめるだろう。

 なお、バッドエンドに進んでしまった場合も、すぐに直前の選択肢まで戻れるため全ルートの攻略自体は容易だった。失敗の選択肢を選んだ場合、「失敗したかな」とドキドキする間もなく殺されるので、よくも悪くもプレイヤーにかかる負荷が少ないゲーム性だ。
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 おまけ要素として、エンディングを迎えた後は性格診断レポートもしてくれる。選んできた行動によって性格を出してくれるので、結果をシェアしてほかのプレイヤーとの違いを比較してみよう。
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 そのほかにも、キャラクターや登場した道具の図鑑など、アーカイブ類も豊富でトコトンこの世界に浸らせてくれる『盛世天下~女帝への道~』。

 映像コンテンツとしての側面が強いのだが、プレイヤー自身が介入できることによって高い没入感を得られる作品になっている。

 アドベンチャーゲームやノベルゲームが好きな人におすすめ。中国ドラマや宮廷での恋愛ものが好きな人にはとくにおすすめのタイトルなので、気になった人はぜひプレイしてみてほしい。
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ドラマの途中に図鑑を読むと、世界観の理解が深まる。
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