『SacriFire』大きな影響を受けたゲームは『ゼノギアス』と『ヴァルキリープロファイル2』。期待のポーランド産JRPGの開発者にインタビュー。桜庭統氏に音楽を依頼した経緯も
 2026年、PC向けプラットフォームのSteamとGOGにて発売予定のRPG『SacriFire』。
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※後日、Nintendo Switch、プレイステーション5、プレイステーション4、Xbox Series X|S、Xbox Oneでも発売予定。
 本作はポーランドを拠点とする開発会社Pixelated Milkが手掛けるタイトルでありながら、ゲームデザインやアートなど、あらゆる点で日本産のRPG、いわゆる“JRPG”スタイルのゲームを標榜している。

 音楽を『
ヴァルキリープロファイル』や『テイルズ オブ』シリーズをはじめさまざまな国産RPGに関わってきた桜庭統氏が担当している点からも、開発陣の強い“JRPGリスペクト”が感じられる。

 実際のところ、本作はいったいどんなゲームなのだろう? そして、この“JRPGリスペクト”はどこから湧き出ているものなのか? 開発チームにメールインタビューを実施すると、その輪郭が徐々にくっきりと見えてきた。
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伝統的なJRPGの感覚と、ヨーロッパ的、ポーランド的な感性を融合

――本作がどんなゲームなのか、教えてください。

 『SacriFire』は、日本の昔ながらのRPGから着想を得つつ、現代的な要素を取り入れたストーリー重視のRPGです!

 プレイヤーがアクションを起こしたときのみ時間が進行する独自のハイブリッドバトルシステムを採用しており、ターン制とリアルタイム要素を融合させた戦闘を楽しむことができます。ふたつの平行世界を行き来しながら、それぞれに特有の隠し要素やキャラクター、試練に出会いつつ冒険をくり広げます。

 また、2Dのドット絵と3Dレンダリング技術を組み合わせた美しいデザインを特徴としています。サウンドトラックは、旧作から新作に至るまで数々の名作JRPGを手掛けた桜庭統さんが担当しています。

 このジャンルの定番要素も豊富に盛り込まれています。たとえば、深いキャラクター育成、多種多様でユニークな武器、心奪われるミニゲーム、そして謎解きや敵キャラでいっぱいの無数のダンジョンなどです。過去のJRPGへ敬意を表するとともに、新しさも追及したゲームです。
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――ストーリーや世界設定において注目してほしい点はどこですか?

 私たちは常に、登場人物とその周囲の世界との相互作用に焦点を当てています。物語としては、信仰の揺らぎと向き合うことになる若き司祭・エゼキエルと、彼の旅路を中心に構想が練られました。

 つぎに、主人公であるエゼキエルの周囲の人々を作って行きました。周囲の世界は、広大な地下都市“アンティオキア”に、のどかな精霊の楽園“エレバス”、そしてまだ明かせない場所も含めて、すべて登場人物たちをベースにして作り上げています。困難を抱える人が登場したとして、その人を生み出すような社会や環境を検討していったのです。

 物語のテーマについては、解釈の余地を残したいと考えています。プレイヤー自身が自分なりの結論を導き出せたほうが、味わい深い体験になると信じているからです。
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――とくに大きな影響を受けたJRPGを教えてください。また、どのような点が心に残っていますか?

 『SacriFire』が大きく影響を受けたゲームはふたつあります。ひとつ目は『
ゼノギアス』です。ゲーム史上でも屈指の力強く野心的なストーリーを誇る作品であり、その複雑なテーマや哲学的な意図に深い感銘を受けました。『SacriFire』では世界観や物語の随所にその影響が見られると思います。

 もうひとつは『
ヴァルキリープロファイル2 シルメリア』(VP2)です。その独特な戦闘システムは、『SacriFire』のバトルシステムを考案するうえで大いに刺激を受けました。『VP2』のファンなら、『SacriFire』の戦闘に親しみを覚えることでしょう。また、ダンジョンの仕組みについても『VP2』の2.5次元で構築されたダンジョン探索や軽やかなアクション要素に影響を受けています。
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『ゼノギアス』/『ヴァルキリープロファイル2 シルメリア』
――音楽を桜庭統氏が手掛けることになった経緯を教えてください。

 『SacriFire』の開発初期から、著名な日本人の作曲家の方にお願いしたいと考えていました。桜庭統さんはまさに理想の方でした。『
ダークソウル』のような近年のヒット作を思い浮かべる方もいるかもしれませんが、桜庭さんは『スターオーシャン』や『テイルズ オブ』といった古典的(から現代まで続くシリーズの)なJRPGの音楽も手掛けています。

 桜庭さんのシンセサイザーを活かした電子的な楽曲のスタイルが、『SacriFire』の雰囲気にはぴったり合うと感じました。そこで彼にコンタクトを取ったところ、このプロジェクトに興味を持っていただけたのです! 夢のようなコラボレーションが実現することになり、胸がいっぱいです。
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――クリエイター個人としてのテーマや、ポーランドで開発していることによる文化の影響など、JRPGからの影響とはまた別に本作で大事にしているものがあれば教えてください。

 じつは、JRPGに影響を受けたゲームを作るのはこれが初めてではありません。我々にとっての1作目である『
Regalia: Of Men and Monarchs』も、古きよき日本のシミュレーションRPGを意識していて、『ディスガイア』のような作品へのオマージュとなっています。

 『SacriFire』と『
Regalia』のいずれにおいても、伝統的なJRPGの感覚と、私たちのヨーロッパ的、ポーランド的な感性を融合させることを目指しました。この融合によって、ほかにはない新鮮な作品が生まれましたと自負しています。

 『SacriFire』では、キャラクター育成システムにその傾向がよく表れています。西洋RPGの要素を取り入れることで柔軟性と自由度を実現しているのです。また、物語やキャラクターの成長に関する要素にも、私たちの文化的背景に起因する暗めのトーンが反映されています。
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『Regalia: Of Men and Monarchs』
――JRPGから影響を受けたヨーロッパのタイトルといえばフランスを拠点とするSandfall Interactiveの『Clair Obscur: Expedition 33』の大ヒットが記憶に新しいです。また、ポーランドといえば『ウィッチャー』や『サイバーパンク2077』のCD Projektがいまや世界トップレベルのRPG開発会社だと思います。これらスタジオの躍進をどのように感じますか?

 JRPGに影響を受けた作品が日本以外で作られ、成功していくのを見るのは喜ばしいことです。『
Clair Obscur』に加えて、『Sea of Stars』、『CrossCode』などのヒットと高評価は、まさにこのジャンルが世界で広く親しまれていることを示しています。必ずしも日本のスタジオでなくとも、魅力的なJRPGスタイルの作品を生み出せることの証です。

 CD Projektについて言えば、世界トップレベルの影響力を持つRPG開発会社となったいま、ポーランドからそのようなスタジオが輩出されたことをたいへん誇りに思います。
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『Clair Obscur: Expedition 33』
――長年JRPGに親しんできたプレイヤーが多い日本のゲームファンに向けたメッセージをお願いします。

 ぜひ『SacriFire』をプレイしていただければと思います。開発チームの多くのスタッフはJRPGを遊びながら育ちました。Pixelated Milkというスタジオ自体が日本のゲームなしには存在しなかったことでしょう。日本のゲームを通して、私たちは物語やキャラクターデザイン、ゲームの奥深さを追求できるようになったのです。

 『SacriFire』では、昔ながらのJRPGへ敬意を表しつつ、独自の新しいアイディアやユニークな仕組みを取り入れることを目指しました。 本作は、敬意と憧れを込めた、本当の意味での“オマージュ”です。2026年に、この旅へと参加していただけたら光栄です!
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