
『マジック:ザ・ギャザリング—FINAL FANTASY』の発表は、TCG界とRPG界双方に多大な衝撃を与えた。ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社が展開する異世界コラボレーション企画“ユニバースビヨンド”の中でも、本作は“もっともエキサイティングなコラボレーションのひとつ”であり、“ファイナルファンタジーシリーズへのラブレター”と位置づけられている。
この待望のセットは、2025年6月13日に全世界で同時発売される予定。そんな発売直前の期待が大いに高まっている中、Summer Game Fest Play Days 2025にて、開発を率いた主要メンバーのザキール・ゴードン(Zakeel Gordon)氏への単独インタビューを行ったのでお届けする。
なお、このインタビューはゴードン氏とMTGで勝負しながら行った。
この待望のセットは、2025年6月13日に全世界で同時発売される予定。そんな発売直前の期待が大いに高まっている中、Summer Game Fest Play Days 2025にて、開発を率いた主要メンバーのザキール・ゴードン(Zakeel Gordon)氏への単独インタビューを行ったのでお届けする。
なお、このインタビューはゴードン氏とMTGで勝負しながら行った。
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アートの総数はなんと約1100点。MTG×FFが情熱もって制作
――自己紹介と今回のプロジェクトでの役割を教えてください。
ゴードン
ザキール・ゴードン(Zakeel Gordon)です。マジック:ザ・ギャザリング(以下、MTG)のエグゼクティブ・プロデューサーを務めています。今回の『FINAL FANTASY』(以下、FF)とのコラボレーションでは、プロダクトアーキテクトとして製品開発を主導しました。
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――このすばらしいコラボレーションはどのようにして始まったのですか? MTG側からスクウェア・エニックス(以下、スクエニ)に声をかけたのでしょうか?
ゴードン
はい、私たちMTG側からスクエニにお声がけしました。このセットの開発には5年近くかかっています。
『ユニバースビヨンド』(さまざまな作品とMTGがコラボするシリーズ)が始まったばかりのころで、ちょうど『ロード・オブ・ザ・リング』とのコラボを発表した時期でした。その流れで日本のスクエニに連絡を取ったところ、彼らもこのアイデアに非常に興奮してくれて、プロジェクトがスタートしました。
今回のコラボセットでは初めて英語版と日本語版を同時に用意するなど、非常に力を入れています。開発中に5回も日本へ渡航し、スクエニとゲームデザインや世界観構築の会議を重ねました。プレリリースは先日行われ、グローバルでの発売も間もなくです。
『ユニバースビヨンド』(さまざまな作品とMTGがコラボするシリーズ)が始まったばかりのころで、ちょうど『ロード・オブ・ザ・リング』とのコラボを発表した時期でした。その流れで日本のスクエニに連絡を取ったところ、彼らもこのアイデアに非常に興奮してくれて、プロジェクトがスタートしました。
今回のコラボセットでは初めて英語版と日本語版を同時に用意するなど、非常に力を入れています。開発中に5回も日本へ渡航し、スクエニとゲームデザインや世界観構築の会議を重ねました。プレリリースは先日行われ、グローバルでの発売も間もなくです。
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――『FF』シリーズには象徴的なキャラクターが数多くいますが、スターターキットではクラウドとセフィロスがメインに選ばれていますね。ほかのキャラクターはどのように選んでいったのですか?
ゴードン
製品のラインナップは非常に幅広く用意しています。メインセットには、初代『FF』から『FF16』までのシリーズ全体を網羅した300枚の新規カードがあります。それに加えて、特定の作品をテーマにした4種類の“統率者デッキ”(『FF6』、『FF7』、『FF10』、『FF14』がテーマ)もあります。
スターターキットでクラウドとセフィロスを選んだのは、彼らがシリーズでもっとも象徴的なキャラクターの一組だからです。しかし、私たちはシリーズ全体を網羅することに全力を注ぎました。モーグリやチョコボ、トンベリのようなおなじみの存在から、イシュトラ、ローザ、ティナ、ケフカ、ユウナ、ティーダといった各作品の人気キャラクター、さらには『FF6』で有名な“魔列車にメテオストライク”のような象徴的なシーンまで、たくさんの要素をカード化しました。
スターターキットでクラウドとセフィロスを選んだのは、彼らがシリーズでもっとも象徴的なキャラクターの一組だからです。しかし、私たちはシリーズ全体を網羅することに全力を注ぎました。モーグリやチョコボ、トンベリのようなおなじみの存在から、イシュトラ、ローザ、ティナ、ケフカ、ユウナ、ティーダといった各作品の人気キャラクター、さらには『FF6』で有名な“魔列車にメテオストライク”のような象徴的なシーンまで、たくさんの要素をカード化しました。
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――アートの総数は最終的に何点になったのですか?
ゴードン
メインセットの300枚、統率者デッキの400枚(100枚×4種)、その他スターターキットやバンドル、コレクター向けのカードを含めると、アートの総数は約1100点にのぼります。
――1100点ものカードがあるとなると、それぞれの能力(メカニクス)を決めるのもたいへんだったと思います。どのようにデザインしたのですか?
――1100点ものカードがあるとなると、それぞれの能力(メカニクス)を決めるのもたいへんだったと思います。どのようにデザインしたのですか?
ゴードン
“トップダウン”と“ボトムアップ”というふたつのアプローチを組み合わせました。
“トップダウン”は、たとえば“スタイナーのカードを作ろう”と決めてから、「彼がMTGの世界に来たら何をするだろう? →装備品と連携する騎士だ」というように、キャラクターのイメージから能力をデザインする方法です。
“ボトムアップ”は逆で、「セットに相手クリーチャーを破壊する“除去呪文”が必要だ」と考えた時に、「FFシリーズで敵を倒すクールな方法は何だろう?」と探し、それをカード化するアプローチです。このふたつを融合させることで、『FF』らしさとMTGのゲームプレイを両立させました。
“トップダウン”は、たとえば“スタイナーのカードを作ろう”と決めてから、「彼がMTGの世界に来たら何をするだろう? →装備品と連携する騎士だ」というように、キャラクターのイメージから能力をデザインする方法です。
“ボトムアップ”は逆で、「セットに相手クリーチャーを破壊する“除去呪文”が必要だ」と考えた時に、「FFシリーズで敵を倒すクールな方法は何だろう?」と探し、それをカード化するアプローチです。このふたつを融合させることで、『FF』らしさとMTGのゲームプレイを両立させました。
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――天野喜孝さんや野村哲也さんのようなレジェンド級のデザイナーの方々とのお仕事はいかがでしたか?
ゴードン
まさに夢のようでした。“ファイナルファンタジー・ゲストアーティストシリーズ”として、スクエニから9人のすばらしいアーティストに参加していただきました。天野さん、野村さん、上国料勇さんなどです。
彼らに好きなキャラクターを自由に選んで新規イラストを描いてもらい、それをカードにしました。長年のFFファンとして、これを実現できたのは本当にうれしいです。とくに、セフィロスのカードを野村さんに描いてもらえたのは、10点満点中10点……いやそれ以上の体験でした。
――ゲストアーティスト以外にも多くのアーティストが参加していますが、アートディレクションはどのように進めたのですか?
彼らに好きなキャラクターを自由に選んで新規イラストを描いてもらい、それをカードにしました。長年のFFファンとして、これを実現できたのは本当にうれしいです。とくに、セフィロスのカードを野村さんに描いてもらえたのは、10点満点中10点……いやそれ以上の体験でした。
――ゲストアーティスト以外にも多くのアーティストが参加していますが、アートディレクションはどのように進めたのですか?
ゴードン
スクエニのゲストアーティスト以外に、約250人のアーティストに協力してもらいました。私たちのアートディレクターが「スタイナーを描いてください。背景はこうしてください」といった指示書を作成し、アーティストにはそれぞれのスタイルで描いてもらいます。
そして、完成したアートをスクエニに確認してもらい、「この部分は修正してほしい」といったフィードバックを受けながら、両社が納得するクオリティーに仕上げていきました。このやり取りを、5年間ずっと続けてきました。
各カードの左下にはそのカードの出典元となったタイトル名と、描いてくれたアーティストの名前が明記されています。
そして、完成したアートをスクエニに確認してもらい、「この部分は修正してほしい」といったフィードバックを受けながら、両社が納得するクオリティーに仕上げていきました。このやり取りを、5年間ずっと続けてきました。
各カードの左下にはそのカードの出典元となったタイトル名と、描いてくれたアーティストの名前が明記されています。
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――開発の舞台裏で、印象的だったエピソードはありますか?
ゴードン
スクエニ側にも、私たちと同じくらい熱心なMTGファンがいたことです。私は20年以上も『FF』をプレイしていますが、スクエニ側のプロデューサーの中には20年以上MTGをプレイしている方々がいました。日本での会議が終わると、いっしょに夕食に行き、その後はただひたすらMTGをプレイしていました(笑)。そこで「こんなメカニクスはどうだろう」と夢を語り合い、ビジョンを共有しました。
単なるライセンス契約ではなく、ふたつのゲーム会社が情熱を持って協力し合えた、本当に特別な体験でした。
――開発にあたり、スクエニ側から何か特別な要望やルールはありましたか?
単なるライセンス契約ではなく、ふたつのゲーム会社が情熱を持って協力し合えた、本当に特別な体験でした。
――開発にあたり、スクエニ側から何か特別な要望やルールはありましたか?
ゴードン
私たちが合意した唯一の大きなルールは、”ナンバリングタイトル(『FF1』~『FF16』)に限定する”ということでした。これだけでも膨大なコンテンツ量ですからね。
『FFタクティクス』のようなスピンオフ作品も非常に人気があることは知っていましたが、まずはこの16作品をきちんと描くことに集中しました。それ以外は、ゲームデザインに関してスクエニは私たちを完全に信頼してくれました。
『FFタクティクス』のようなスピンオフ作品も非常に人気があることは知っていましたが、まずはこの16作品をきちんと描くことに集中しました。それ以外は、ゲームデザインに関してスクエニは私たちを完全に信頼してくれました。
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――今回のFFカードは、既存のMTGカードと組み合わせて遊ぶこともできますか?
ゴードン
はい、もちろんです。『FF』のカードだけでデッキを組んでFFの世界観に浸ることもできますし、既存のMTGカードと自由に組み合わせることもできます。
たとえば、今回のセットのクラウドは、戦場に出たときにデッキから装備品を探してくる能力を持っています。『FF』セット内のバスターソードを持ってくることもできますし、過去のMTGのセットに登場した強力な装備品を持ってきて、クールなコンボを狙うことも可能です。マジックの長い歴史とFFの世界が融合する楽しみかたも、ぜひ体験してほしいです。
――開発が始まったのは2020年ごろとのことですが、当時はまだ『FINAL FANTASY XVI』(FF16)が発売されていませんでした。どのようにして『FF16』のカードを制作したのですか?
たとえば、今回のセットのクラウドは、戦場に出たときにデッキから装備品を探してくる能力を持っています。『FF』セット内のバスターソードを持ってくることもできますし、過去のMTGのセットに登場した強力な装備品を持ってきて、クールなコンボを狙うことも可能です。マジックの長い歴史とFFの世界が融合する楽しみかたも、ぜひ体験してほしいです。
――開発が始まったのは2020年ごろとのことですが、当時はまだ『FINAL FANTASY XVI』(FF16)が発売されていませんでした。どのようにして『FF16』のカードを制作したのですか?
ゴードン
『FF16』はほかの皆さんと同じ発売日に入手しました(笑)。
――え?! プレビュービルドなどの提供もなしですか?
――え?! プレビュービルドなどの提供もなしですか?
ゴードン
ありません(笑)。事前に明かされていた情報もほとんどみなさんと同じレベルでした。コラボカード開発の途中で、すでに10枚ほどのカードスロットをFF16のために確保していましたが、中身は白紙の状態でした。ゲームが発売されると、チーム全員で週末にかけてプレイし、グループチャットで「クライヴはイフリートになるぞ!」、「ジルもトルガルもカードにしなきゃ!」と夜中まで話し合いました。
『FF1』〜『FF15』のカードすべてが計画されていた中で、『FF16』だけは「何が出てくるかわからない」という状況だったので、ライブで開発しているような、非常に楽しい瞬間でした(笑)。
『FF1』〜『FF15』のカードすべてが計画されていた中で、『FF16』だけは「何が出てくるかわからない」という状況だったので、ライブで開発しているような、非常に楽しい瞬間でした(笑)。
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――このコラボは今回限りでしょうか? 将来的に新しいシリーズがリリースされる可能性はありますか?
ゴードン
それはまだ分かりません(笑)。スクエニとは非常にいい関係を築けていますが、現時点でお話しできるのは、今回のセットについてだけです。
――最後に『FF』ファンとMTGファンへのメッセージをお願いします。
――最後に『FF』ファンとMTGファンへのメッセージをお願いします。
ゴードン
『FF』ファンの皆さんへ。キャラクターたちが『FF』の世界でしていたことを、MTGの世界で忠実に再現できるよう、スクエニと密接に協力し、最大限の敬意と品質をもって本物らしさを追求しました。ぜひカードのアートとゲームプレイを楽しんでください。
MTGファンの皆さん。『FF』は伝説的なゲームシリーズであり、その世界観は呪文、クリーチャー、モンスターといったMTGの要素と非常に親和性が高いです。このふたつの素晴らしい世界の融合は、時代を象徴するものになったと信じています。ぜひ手に取って遊んでみてください。
MTGファンの皆さん。『FF』は伝説的なゲームシリーズであり、その世界観は呪文、クリーチャー、モンスターといったMTGの要素と非常に親和性が高いです。このふたつの素晴らしい世界の融合は、時代を象徴するものになったと信じています。ぜひ手に取って遊んでみてください。