怪人になって戦隊ヒーローを倒す、魔女になって魔法少女をぶちのめすなど、章ごとに激変する世界観の中で、さまざまな悪事を働ける異色のシミュレーションRPG『デモンズナイトフィーバー』。 アークシステムワークスから2026年10月22日に発売予定の本作は、日本一ソフトウェア在籍時に『マール王国の人形姫』シリーズや『魔界戦記ディスガイア』シリーズを手掛けた新川宗平氏の完全新作タイトルだ。対応プラットフォームは、Nintendo Switch、プレイステーション5、PC(Steam)。

本作はマス目状のマップを移動して戦う王道のシミュレーションRPGをベースに、仲間を容赦なく犠牲にする“しもべ酷使システム”を搭載。“しもべ”をみずからの手で爆散させる“キルスキル”や“生贄”などを駆使して敵を撃破できる。

また、拠点となるアジトでは“悪行”や“ぶんどり”、“勧誘”、“お宝探し”、“悪徳昇華”を実行可能。ここで行動するとストーリーが進行していく。限られた時間の中で悪事を働き、稼いだ悪徳ポイントを注ぎ込んで最凶の軍団を作り上げる楽しみも味わえる。

本稿では新川宗平氏を始め、キャラクターデザインを担当した日向悠二氏と、サウンドを手掛けた矢野達也氏にメールインタビューを実施。ストーリーやゲームシステム、デザイン、サウンドのこだわりなどをたっぷりと訊いた。
新川宗平 氏(にいかわ そうへい)
合同会社スーパーニッチ代表。日本一ソフトウェア在籍時に『マール王国の人形姫』シリーズや『魔界戦記ディスガイア』シリーズを手掛けた。近年の代表作は『エトランジュ オーヴァーロード』など。本作ではプロデューサーを担当しているほか、喜多山浪漫名義でシナリオライターを務めている。(文中は新川)
日向悠二 氏(ひむかい ゆうじ)
キャラクターデザイナーとして、さまざまな作品に携わる。おもな代表作は、『吉永家のガーゴイル』、『タマラセ』、『世界樹の迷宮』、『時の工房』、『A列車ではじめて』、『モンスターカーファンタヴ』、『ガシャポンクエスト』、『リンクトラベラーズ』、『ペルソナストーカークラブ』、『メタファー:リファンタジオ』、『ワールドオブファイナルファンタジー』など。本作でもキャラクターデザインを担当。(文中は日向)
矢野達也 氏(やの たつや)
コーエーテクモゲームスのガストサウンドチームを経て、現在はLOVE ANNEX所属。『パルワールド』のBGM、『アトリエ』シリーズの楽曲、“ずっと真夜中でいいのに。”『お勉強しといてよ』の編曲、花譜やヰ世界情緒への楽曲提供、『アイドルマスター SideM』、『SSSS.DYNAZENON』の楽曲などを担当。本作のサウンドを手掛けている。(文中は矢野)
ダークコメディとして新しい方向性を開拓した意欲作
――本作の企画がスタートした時期や経緯を教えてください。
新川
約4年前に日本一ソフトウェアから独立して小説家から再スタートしました。私のライフワークとして、“ファンタジー”、“ダークコメディ”、“ホラー”のみっつがありまして、ファンタジーは2026年3月に発売した『エトランジュ オーヴァーロード』で実現しました。
『デモンズナイトフィーバー』はダークコメディとして新しい方向性を開拓したくて、独立してすぐに企画をはじめました。将来的にはゲーム化することを視野に入れつつも、小説やマンガなどのエンターテインメントとして展開できるIP(知的財産)を生み出すというスタンスで創作しています。コンセプトは最初から明確で“悪を楽しむ”です。悪と言ってもダークコメディなので、どこか憎めないダークヒーローものに仕立てています。

――新川さんがプロデューサー、喜多山浪漫名義でシナリオライターを務めることになった経緯も伺いたいです。
新川
独立した当初は、以前勤めていた会社への配慮と、無名の状態でどこまで通用するかを試してみたかったことから、ペンネームで活動をスタートしました。独立して3年くらい経ってから“喜多山浪漫=新川宗平”であることを明かしたのですが、そのタイミングでは喜多山浪漫の名前がある程度定着しつつあったので、小説やシナリオを書くときは喜多山浪漫、プロデューサーは新川宗平という使い分けをすることにしました。
――日向さんはキャラクターデザイン、矢野さんはサウンドを担当されたと伺っています。最初に今回担当した仕事内容をそれぞれ教えてください。
日向
人数を言ってしまうとネタバレになりそうなので具体数は伏せますが、メインとなるキャラクターはもちろん、本作のアートの指針となるイメージボードの一部から“しもべ”たちのデザインや装備まで、かなり広範にわたって関わらせていただきました。
矢野
『デモンズナイトフィーバー』のBGM全曲の作編曲,およびED曲の作詞・作編曲を担当いたしました。BGMは35曲程度と、それに加えて歌ものを1曲担当したことになりますね。
――おふたりはどのような経緯で本作に携わることに?
日向
たしか3年ほど前に新川さんからオファーがありまして、ボリュームが控えめで比較的コンパクトな企画であり、なにより企画書がおもしろすぎたことからお引き受けしました。しかし、ふたを開けてみれば、章ごとに狂死狼とマリアの姿は変化し、それに伴い“しもべ”の数も激増し、当初想定していたボリュームからは考えられないほどあらゆる仕様が盛りに盛られ、「なるほどこれが修羅場をくぐってきた敏腕経営者の巧妙な術策……!」と感心したとかしないとか。
矢野
私は開発のドリコムさんのサウンドディレクターからお声掛けをいただきました。以前別の仕事でごいっしょしたことがあり、ご好評をいただけていたようです。
本作は、インターネット音楽に強い作曲家を起用するという方針があったようで、“ずっと真夜中でいいのに。”やVTuberさんたちの楽曲にも関わっていた自分に白羽の矢が立ったようです。実際、ゲームのディレクターさんも、ご挨拶をするまで、自分が『アトリエ』シリーズや『パルワールド』を担当していたことはご存知ではなかったようで……。「ゲーム作曲家ではない人にゲームのBGMを依頼する」ことを不安がられていましたが、経歴をお話すると「え、バリバリゲーム業界の人じゃないですか。じゃあぜひ」ということになり、スムーズに話が進みました(笑)。
――『デモンズナイトフィーバー』の企画書や世界観に初めて触れた際の、率直な第一印象をお聞かせください。
日向
企画書の段階から「めちゃくちゃするぞ!」の気概に溢れていて、指数関数的に途方もなく巨大化するスケールと意外にピュアなラブコメ、そこに足される一匙のミステリーも実にいい塩梅で、「これぞ新川節!」とすっかり魅了されてしまいました。
矢野
企画をプレゼンしていただいた際、やはり最初に目に入ってきたのは日向悠二さんのキャラデザでした。トゥーン調でハイコントラストな画づくりが印象的で、とてもポップだな、と感じました。
ゲームシステム自体は説明を受けて「トリッキーだな」と感じたのを覚えています。新川さんの『ディスガイア』も遊んだことがあるのですが、それと同じかそれ以上に独特で、通常のシミュレーションRPGとは全然違う、ひと筋縄ではいかない新しい遊びが作られている最中だという話に、ワクワクしました。ネタバレになるので詳しくは言えませんが、シナリオ、企画のそもそものコンセプトも、普段自分が発信したいと考えていたコンテキストにドンピシャでハマっていたので、とてもモチベ高く制作することができました。

さまざまな悪行を体験できるゲームシステムとストーリー
――まずはゲームの全体的な流れをご紹介いただけますでしょうか?
新川
ゲームサイクルは大きく分けて“育成”と“バトル”のくり返しになります。それぞれ、悪を楽しむというコンセプトに基づいて独自性の高いシステムを目指して開発しました。育成では、主人公・邪龍院狂死狼が悪行をおこなうことで、悪徳ポイントを溜めつつ、邪神の使徒としてレベルアップしていきます。バトルの駒として使う“しもべ”を勧誘(≒誘拐)したり、アイテムを盗んだり、ランダムマップでお宝を略奪したりとやりたい放題できますが、悪徳ポイントを消費してスキルボードを拡張するような真面目(?)な要素も一応あります。

見どころはバトルです。シミュレーションRPGといえば、普通は仲間を集める、仲間を育てる、仲間をひとりも脱落させずに敵を殲滅する、というのが一般的です。
しかし、本作ではこのシミュレーションRPGの常識を完全にブチ壊しています。まず、仲間という概念がありません。悪に仲間など必要ありません。
味方(?)は、“しもべ”として誘拐されてきたキャラのみです。“しもべ”は反抗的なので言うことを聞きません。バトル中も勝手に行動します。そんな“しもべ”たちに対して悪行コマンドを使用して戦うのが、本作の醍醐味になります。強制的に“しもべ”との位置を入れ換える“テレポート”や、任意のタイミングで“しもべ”を呼び出す“召喚”などを駆使しながら、言うことを聞かない“しもべ”たちをコントロールします。

そして、もっとも特徴的なのは“キル”と“キルスキル”です。キルは読んで字のごとく、“しもべ”をキルするコマンドです。味方殺しのための、ひどいコマンドです。キルされた“しもべ”は断末魔の叫びとともにキルスキルを発動します。そのキルスキルの効果と威力によって敵勢力を一網打尽にするというのが、邪神流キルバトル……『デモンズナイトフィーバー』のバトルシステムの基本となります。ゆえにバトルが終了したときには敵も味方も誰も残っておらず、主人公だけが立っているということもよく発生します。それは決して悪いことではなく、キルした“しもべ”は強くなって転生して再登場するので積極的にキルするのが正解というわけです。

――“敵も味方もキルキルキル死ねば死ぬほど強くなる育成RTAシミュレーションRPG”というジャンルも非常にユニークです。このジャンルが生まれたきっかけを教えてください。
新川
ジャンル名は後付けです。悪を楽しむというコンセプトと、シミュレーションRPGというジャンルを掛け合わせた結果生まれたゲームシステムをひと言で説明しようとしたら、敵も味方もキルキルキル死ねば死ぬほど強くなる育成RTAシミュレーションRPGになりました。一見、意味不明に感じるかもしれませんが、実際に遊んでみたら、「なるほど、これは敵も味方もキルキルキル死ねば死ぬほど強くなる育成RTAシミュレーションRPGだ!」と思っていただけるはずです。
――上記ジャンルをゲームに落とし込むうえで、苦労したこと、大変だったことがあれば教えてください。
新川
悪を楽しむというコンセプトの“悪のさじ加減”がいちばん難しかったです。私の中ではダークコメディというジャンルは確立されていたのですが、そのさじ加減を開発スタッフに共有し、認識を統一するのには苦労しました。どこまでがセーフでどこまでアウトなのか、人によって悪の物差しが違うんですよね。
――“章ごとに世界観が激変する”というストーリーの見どころを教えてください。どのようなストーリーが用意されているのでしょうか? また、バラエティー豊かなストーリーのアイデアの源泉もお聞きしたいです。
新川
本作の目的は、邪神ギガスゴイデスの使徒となって、邪神復活の儀式“デモンズナイトフィーバー”を成功させることです。この儀式は邪神の過去を追体験するもので、怪人、魔女、世紀末覇王、悪魔……と段階的に悪の道を突き進んでいくことになります。見どころとしては章ごとに主人公の見た目はもちろん、UI(ユーザーインターフェース)やバトルシステムまで変化することです。
怪人編では戦隊ヒーローが、魔女編では魔法少女が立ちはだかるなど、邪神復活を阻止しようと神の勢力が襲い掛かってきます。章ごとに新たに加わるバトルシステムを駆使しながら戦うことになるため、飽きずに遊ぶことができます。アイデアとしては“怪盗紳士vs名探偵”とか、“大怪獣vs光の巨人”とか、いろいろな光と闇の対立構造を考えましたが、シミュレーションRPGとして面白くできるものを優先して選択しました。

――赤ちゃんになってしまった天才邪神と、社畜プログラマーの青年のバディはユニークだと思いました。どのような経緯で誕生したのでしょうか?
新川
まず、邪神様が万能だと主人公の出番がないので、邪神様を赤ちゃんにして弱くしました。邪神様の代わりに悪の使徒として戦う主人公は好青年だと物語が成立しないため、社会や人類を憎んでいる社畜サラリーマンにしました。“悪を楽しむ”というコンセプトと“ダークコメディ”にするということは最初に決まっていたので、ここは悩むことなく決まりました。

――キャラクターのビジュアルのこだわり、見どころを教えてください。デザインに関連して、UIのこだわりなどもお聞きしたいです。
新川
キャラクターデザインは『世界樹の迷宮』シリーズなどで有名な日向悠二さんです。この企画を考えたときから、本作のダークコメディ感あふれる世界と愛嬌のあるキャラクターたちを描けるのは日向さんしかいないと思っていたので、日向さんに依頼しました。複数のタイトルを手掛けておられたのでスケジュール的にかなり厳しかったのですが、無理を言って引き受けていただきました。
UIを含めたゲーム画面全般において、日向さんのイラストのテイストと、“悪を楽しむ”というコンセプトをしっかり出していけるようにデザイナーたちが苦心しながら今の画面に仕上げてくれました。章ごとに変化するUIやアニメーションなど、細部にわたるこだわりをぜひお楽しみください。
――日向さんがキャラクターをデザインするにあたって、プロデューサーの新川さんからはどのような発注がありましたか? やり取りの中で、とくに印象に残っているエピソードや、すり合わせに苦労した点などがあれば教えてください。
日向
「とにかく自分らしい絵柄で」と背中を押してもらう形で、基本的にはだいぶお任せしてもらった気がします。新川さんがシナリオを書いた端から共有してくれて、都度打ち合わせでイメージの齟齬を解消できたのもありがたかったです。総じて新川さんの作るゲームのシナリオは最初から最後までずっと熱量が高い印象でしたが、ゲームのシステムと密接に関わる部分の設定や内容に関しては柔軟に変更対応できるゆとりもあって、長くゲーム制作に関わってきた経験の深さを感じました。

――日向さんが本作のキャラクターデザインを考える際、こういう方向性にしようなど、統一のテーマなどはありましたか?
日向
ゲーム的にどう落としこむかは完全におまかせして、とにかくコンセプトや世界観の外連味を存分に発揮するための表現を優先しました。“シルエットは大きく羽目を外す”、“歯を食いしばって二次元の嘘をつく”、“黒(#000000)や白(#ffffff)は恐れず使う”、“色数は三色程度、質感は基本色にハイライトと照り返しを足すにとどめる(ただし特別に主張したいパーツはその限りでない)”、“特効は乗せない”あたりが本作における自分の中の基本ルールでした。
――登場人物の簡単な紹介と併せて、ストーリーを進めるときに注目してほしいポイントや、見どころをそれぞれ教えてください。また、日向さんにはデザインを考えるときに意識したポイント、注目してほしいポイントなどをそれぞれお聞きしたいです。
新川
邪神ギガスゴイデスは、神殺しを目指すネコ型邪神様です。邪神を名乗る割には丁寧なチュートリアルを用意したり、アドバイスをしてくれたりする人間味のある存在です。物語は主人公の邪龍院狂死狼を軸にして進行していきますが、過去の経緯も含めると本作の真の主人公と言えるぐらい重要な存在で、戦友・水橋かおりさんを起用したのはそのためです。
日向
どんな姿、どんな表情でもどこか憎めないマスコット的なかわいさは外さないよう意識しています。
邪神ギガスゴイデス/声:水橋かおり

悪の天才邪神。ある日突然、大半の魔力を失い赤ちゃんになってしまう。失った力を取り戻すため、狂死狼を使徒にした。
新川
邪龍院狂死狼は、邪神復活の儀式に巻き込まれた本作の主人公です。世界はクソ、人類はクソだと思っているボクらの同類です。最初は現実だと思っていないので、ノリノリで邪神様と悪の道を楽しむわけですが、徐々に現実であることがわかってきたときの彼の葛藤や、邪神様との奇妙な友情が見所です。
日向
描いているとつい斜に構えている感に同調してやりすぎてしまい、やさぐれすぎない、愛せるふてくされ具合に抑えるのに苦労しました……。
邪龍院狂死狼/声:広瀬裕也

世界を激しく憎んでいる社畜プログラマー。一連の出来事を夢だと勘違いしており、現実への恨みを晴らすべく邪神の使徒となる。
新川
釈迦堂マリアは、世界的に有名なハリウッドスターにして歌姫というチートキャラです。主人公の狂死狼とは対極にいます。しかし本人はスターになりたかったわけではなく正義のヒーローに憧れていたので、神の使徒として狂死狼の前に立ち塞がります。その狂死狼とはじつは中学時代の同級生だったという過去があり、ボーイミーツガール的な展開もお楽しみいただけます。
日向
中二時代もアイドル時代も、素直でまっすぐな“かわいい”が根っこに感じられるようベースに練りこみました。
釈迦堂マリア/声:鈴代紗弓

正義感溢れる世界的人気アイドル。狂死狼とは中学時代の同級生という因縁を持つ。神様から授かった力で狂死狼たちに戦いを挑む。
新川
私はふだん、絶対的な悪も絶対的な正義も描かないのですが、この神は“クソ・オブ・ザ・クソ野郎”です。どれだけクソ野郎なのかは、ゲーム内でご確認ください! 声優の檜山さんとは『炎の料理人 クッキングファイター好』(1998年発売)のときからのお付き合いですが、こんなにムカつく檜山さんの演技は初めてでした(笑)。
日向
実在する宗教を連想させないよう配慮しつつ、無垢で傲慢・独善的な暴力の権化といったイメージでまとめています。
神/声:檜山修之

ギガスゴイデスと永きにわたって対立している存在。“正義の仮面”を被り、人々からは篤い信仰を集めているが、じつは裏でギガスゴイデスを消そうと画策している。
――本作は章ごとに世界観が激変し、邪龍院狂死狼や釈迦堂マリアの衣装がガラッと変わるのも特徴です。とくに印象に残っている衣装や、デザインするのがたいへんだった衣装はありましたか?
日向
一章の怪人と戦隊の衣装は大事な“つかみ”なので、キャッチーでありつつやんちゃな世界観が伝わるようとくに気を遣いました。狂死狼の衣装は章ごとにデフォルメできる遊びの余地を大きく残し、マリアは“コスプレ楽しんでいる感”を大切にデザインしています。どの章もまったく違うアプローチの衣装デザインなため、単純に必要とされる物量が膨大でたいへんでした……。

章ごとにBGMもジャンルがガンガン入れ換わる!?
――矢野さんが本作の楽曲を作曲するにあたって、新川プロデューサーからはどのような発注がありましたか? 新川さんとのやり取りの中で、とくに印象に残っているエピソードや、すり合わせに苦労した点などがあれば教えてください。
矢野
新川さんから直接の発注があったわけではなく、サウンドディレクターの方が間に入ってくれた形となります。新川さんに直接お会いしたのは、じつは今年の東京ゲームショウ2026が初となります。苦労した点……というかリテイク自体はほぼありませんでした。発注がとてもわかりやすかったので、BGMの制作で手が止まったことはなかったように記憶しています。あと、僕、そもそもBGMのお仕事ではリテイクが極端に少ないんです。ただ、『デモンズナイトフィーバー』のためにスケジュールを空けたつもりが結局他の案件と制作時期が被ってしまい、精神的にはだいぶヒリつきながら制作を進めていました。
印象に残っているエピソードとしては、やっぱり挿入歌ですね。ある章のBGMに、めちゃめちゃ往年の特撮作品の主題歌みたいな曲を作ったんですが、悪ノリで楽曲データの提出時に「これ歌ものにできません? 作詞はこっちでやっちゃいますので」と提案してみたら、新川さん御自らが作詞されるという話になり……。しかも楽譜をお渡ししたら、爆速で歌詞が返ってきました。音数も韻もちゃんと綺麗に作られていて……。「場数をこなしてきたプロデューサーはさすがすごいなぁ、作詞まできっちりできちゃうのか」と、びっくりしました。行動力もですが、外注とはいえライブ感のある制作に関われたのが、とても楽しかったですね。挿入歌はその後さらにノリでもう1曲増えました。
――矢野さんが本作の楽曲を考える際、こういう方向性にしようなど、統一のテーマなどはありましたか? こだわった楽器や音作りなどがあれば併せてお聞かせください。

矢野
章ごとにキャラデザやUIのデザインまで変えるぜいたくな作りでしたので、その方向性には積極的に加担していこうと考えておりました。つまり、「BGMもジャンルをガンガン入れ換えちゃおう」ってことですね。ビジュアルが変われば楽曲のジャンルも変わる……これはサウンドデザインの面からしても機能的ですし、当時この言葉はまだなかったんですが、“ドパガキ”(※)需要にも対応できる内容になっています。
あと、お行儀のよろしくない(褒め言葉)シナリオに合わせる形で、パロディ路線のBGMもそこそこ収録していますね。いちいちネタ元の楽曲を調べまくり、聴きまくったりしたうえで、でも単なるコピーにはならない形で昇華させています。わかる人には「あ、あの作品のバンクっぽくね???」と伝わる曲もあるかもしれません。ジャンルとしては一応、ジャズのエッセンスを汲んだものが多めにはなるのですが、ジャズのアルバムとしては決して認識してもらえない自信があります。
長くなってすみません……余談ですが、ゲームのBGM……とくに和ゲーのポップな楽曲って、開発の方たちもけっこう聴いてくださるんですよね。プレイヤーを楽しませたいのはもちろんでしたが、長い開発期間中、開発チームの方々にもしっかり楽しんでもらえるよう、1曲1曲、丹精込めて制作いたしました。本当にカラフルでポップ、なんでもアリでエンタメ性たっぷりのサントラになったと思っております。
※ドーパミンとガキ(子ども)を組み合わせた造語。ショート動画やスマホゲームなどの強い刺激に慣れすぎ、つねに新しい快感や刺激を求めて集中力が続かなくなる状態を示す。
――今回制作された中で、とくに印象に残っている楽曲、またはプレイヤーにじっくり聴いてほしい楽曲を、その理由と併せて教えてください。
矢野
ティザームービーにも使われた『エレクトロスイングというジャンルが最近はあるそうな』という楽曲ですね。このジャンル自体は初挑戦だったんですが、作品のコミカルでダークな雰囲気を体現する象徴的な楽曲になったかな、と。ギガちゃんのテーマ曲『我が名は邪神ギガスゴイデス』も好きですね。ピコピコしたサウンドの楽曲を作っているイメージがない作曲家かもしれませんが、本人としてはとても楽しんで作っています。
あと、曲名はあえて伏せますが、ラスボス戦の楽曲は、自分なりの本作への思い入れ、プレイヤーたちに感じてもらいたい気持ちを詰め込んだこだわりの自信作です。完成してから聴き返すと、それまでのシナリオの流れを思い出してしまって、ひとりでガチで涙ぐんでしまう曲になりました。
――発売後のアップデートやダウンロードコンテンツ(DLC)などの予定はありますでしょうか?
新川
いまのところDLCの予定はありません。無事に国内外でしっかり売れたら続編を作りたいです!(続編の構想はすでにあります)。
――発売直前となりますが、プレイを始めるユーザーに向けて“まずはこれに気をつけるといい”、“序盤はこのシステムを活用して育成すべき”といった、攻略アドバイスをいただけますでしょうか。
新川
攻略アドバイスは以下のみっつです。
1. 悪いことをするのに躊躇しないこと。このゲームは悪いことをするのが正義です!
2. 敵に“しもべ”をキルされないこと。主人公がキルすると転生して強くなりますが、敵にキルされると二度と復活しません。
3. ゲームオーバーを恐れずにいろいろと試してみること。本作の攻略に絶対的な正解はありません。
試行錯誤しながら自分のプレイスタイルに合った攻略方法を見つけてください。また、最短でクリアーすることが目的なので効率重視での攻略をオススメします。
――本作の発売を楽しみにしているファンに向けてメッセージをお願いします。
新川
本作は既存のシミュレーションRPGとは対極にある常識外れのシミュレーションRPGです。ほかにないゲームであるがゆえに賛否両論あるかもしれませんが、「こんなプレイフィールのシミュレーションRPGは遊んだことがない!!」と思っていただけることだけはお約束できます。2026年10月22日にシミュレーションRPGジャンルに新たな歴史を刻むつもりで開発しました。ぜひ手に取って歴史の証人になってください!
日向
かなり風変わりで唯一無二なゲームに仕上がっていると思います。道徳と倫理を投げ捨てて、頭からっぽにして悪行の数々をたのしんでください!
矢野
新川さんに日向さんに矢野、そして開発チームや多くの関係者の方々が、価値ある1本にしようと全力でがんばってきました。それだけ思い入れの強い作品なので、みなさんのもとにお届けできるのが、本当に楽しみです。BGMひとつ取っても、とにかく楽しい気持ちになれる作品になったと自負しています。いまこの時代をともに生きているみなさんへ。決して損はさせません。ぜひお手に取って遊んでください。いっしょに狂死狼たちの物語を見届けましょう!
作品概要
タイトル:デモンズナイトフィーバー
メーカー:アークシステムワークス
発売日:2026年10月22日発売予定
対応ハード:Nintendo Switch、プレイステーション5、PC(Steam)
価格:各4950円[税込]
ジャンル:シミュレーションRPG
対象年齢:CERO 12歳以上対象
備考:原案・シナリオ:喜多山浪漫、キャラクターデザイン:日向悠二、サウンドクリエイター:矢野達也、プロデューサー:新川宗平