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『ファレイドリア』インタビュー。露骨なセクシーに頼らないドキドキを。サウンドはキラキラした『ブルアカ』と比べて“穏やか”

『ファレイドリア』インタビュー。露骨なセクシーに頼らないドキドキを。サウンドはキラキラした『ブルアカ』と比べて“穏やか”
 『ブルーアーカイブ』(ブルアカ)の開発スタジオが手掛ける完全新作『ファレイドリア』。“キャラクターたちとの”生活”を重視した、Unreal Engine 5採用の美少女ゲームだ。
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 東京ゲームショウ2026にもプレイアブル出展され、世界観や音声認識によるコミュニケーション、ターン制のコマンドバトルなどゲームの一端が明らかになった。

 本稿では、統括プロデューサーのキム・ヨンハ氏、音楽を手掛けるミツキヨ氏へのインタビューを実施。目指しているコンセプトやデザイン、音楽などについて伺った。

キム・ヨンハ

韓国のゲームクリエイター。NEXON Gamesにて『ブルアカ』の統括Pも務める。日本のアニメやサブカルチャーにも造詣が深い。文中はキム。

ミツキヨ(Mitsukiyo)

韓国出身の音楽プロデューサー。『ブルアカ』では数多くの楽曲を手掛け、ユーザーから高い支持を得ている。TGSへの参加は初めて。文中はミツキヨ。

テーマは日常感あふれる“異世界ホームステイ”

――TGSに出展して、印象はいかがでしたか。

キム
 TGSはゲームの展示会として最高の場だと捉えています。『ブルアカ』と同じように、『ファレイドリア』を体験したユーザーにどのように受け止められるのかは非常に大切なことです。重要なコンテンツであるインタラクションをうまく体験できるようなブース構成を心がけたので、この場でお客様の意見をちょうだいして、つぎのステップを踏んでいきたいです。

ミツキヨ
 TGSは初めての経験でした。どんな存在なのか、情報としては知っていましたが、初体験してみて、まるで赤ちゃんのような気分です。私は厳密に言うとネクソンの関係者ではないんですが、プロジェクトをともに開発していく立場なので、参加の機会をいただけて光栄ですね。

――東京ゲームショウを選んでくださって、ありがとうございます! 試遊版をプレイさせていただいたのですが、とても雰囲気がよくて、キャラクターといっしょにいる感じに気恥ずかしさを感じるほどでした。

キム
 それが狙いです。キャラクター収集系のゲームとしては近年、オープンワールドが主流になってきていますが、私たちが追求したいのは、もっとキャラクターに集中できるものでした。『ファレイドリア』では、いっしょに過ごしたくなるような日常感、生活感を突き詰めていきたいと思っていて、TGS2026ではそのコンセプトが伝えられるような試遊ビルドをご用意いたしました。
展示ブースを満喫するおふたり。
――テーマとして、“異世界ホームステイ”を標榜しているそうですが、そうなった経緯はなんでしょうか。

キム
 新プロジェクトにあたって、学園ものである『ブルアカ』とはまた違うゲームを作る、という点のは難しいポイントでした。『ブルアカ』の主人公は先生。学生とのあいだでいろいろな物語が発生して、先生という立場があるうえでの関係性を築いていきます。それとは異なる関係性をどうやって作るのか、悩みどころです。

 そこで、「お互いがいっしょに生活をしながら、だんだん距離が近づいていく」という、キャラクターと距離を縮めていく過程の関係を演出しようと。生活の中で何らかのインタラクションが発生して、問題を解決していく。その関係性をできるだけシンプルに表現するために、“異世界ホームステイ”へたどり着きました。
――なるほど。『ブルアカ』が日本でヒットした際、この開発チームは日本のクリエイター以上に日本のアドベンチャーゲームや昔ながらの美少女ゲームに造詣が深いのではないか、と話題になりました。そういった部分のこだわりはあるのでしょうか。

キム
 非常に難しい質問です。日本のゲームはやはり日本の方々が、もっと詳しいのではないかと思います。ただ、昔から自分がプレイして体験してきたゲームを、どのように自分たちのゲームの中で活かすか、はつねづね考えてきました。

 かつてプレイして感じたときめく気持ちを、どうしたら“日常”としてこのゲームに溶け込ませられるのか。現代的な表現として、ワクワクドキドキを日常的に感じられるような実装の仕方、開発の仕方を模索しています。

制作楽曲はすでに70〜80曲。日常を彩る独自のローファイサウンド

――“日常”を大事にする『ファレイドリア』の楽曲は、どのようなことを意識して制作されているのでしょうか。

ミツキヨ
 同じく日常感を表現していた『ブルアカ』では、ちょっと音量が大きめな、刺激的なBGMが採用されるケースがあったのですが、今回は真逆の構成で曲を作っています。BGMの強弱を考慮して、ややスローテンポな楽曲に仕上げています。

 ただ、“遅い”だけで日常感が表現されるかというと、そうではありません。耳が疲れないアコースティックな楽器構成など、バランスを取りながら制作しています。

キム
 『ブルアカ』は、「EDMを採用して、早いテンポで、キラキラしているイメージで作ってほしい」とお願いしています。一方で、今回の『ファレイドリア』に関しては、それとはまた違う、本当に楽で穏やかな雰囲気をイメージしてオーダーしています。

――楽に、聴きやすい音楽というオーダーはたいへんではありませんか?

キム
 伝え方には悩みました。ジャンルとしては、Lo-Fi(ローファイ)に近いものではないかなと。この音楽ジャンルの専門家が多いわけではないので、開発時には、実際にローファイ系の音楽を流しながら進めるといった工夫もしています。

 また、方向性としてはローファイですが、必ず“こういう曲でないといけない”のような縛りが厳しいわけではありません。過去に『ブルアカ』で協業しているぶん、そのあたりの解釈はうまくできるのではないかと思い、依頼した背景があります。

ミツキヨ
 “日常感”というオーダーについて、「難しくないか?」と聞かれることは少なくありません。私の意見としては、もちろんオーダーの仕方にもよりますが、ふわっとしたイメージでのオーダーは、逆に作りやすいんですね。

 専門家どうしで、その音楽ジャンルに則って、細かい専門用語を使いながらコミュニケーションをして……というアプローチの仕方だと、逆にお互いの求めてるポイントがあまりにも明確すぎて、意見がぶつかりやすくなってしまう。我々の場合は、長い間連携していることもあり、そういった大まかなそのオーダーな方が音楽を作りやすいのです。

――長くコンビを組んできたからこそなのですね。現状は何曲ぐらい作られていますか。

ミツキヨ
 現時点では、70~80曲ぐらいですね。

――もうそんなに!

ミツキヨ
 TGSで公開されたPVはシーンも多く、関連した効果音もたくさん作っています。都市的な雰囲気よりは、もう少し郊外、田舎の雰囲気を表現しました。

TGS2026で公開されたアニメPV
ミツキヨ
 日本の文化には15年ぐらいほど前の幼い頃から触れていまして、とくにゲーム音楽に興味がありました。『ファレイドリア』においても、そういった過去の記憶や経験が影響していると思います。

――制作の中で、お気に入りの楽曲はありましたか。

ミツキヨ
 木が多い田舎的なファンタジーの場面や、草が風に揺れる穏やかな住宅街など、場面に合わせた曲を作るのが好きですね。量産的なローファイサウンドを作るのではなくて、過去のゲーム音楽によるいい経験を総合的に混ぜ合わせた音楽を作りたくて追求しています。

音声入力で近づく距離感。露骨なセクシーに頼らないドキドキを

――音声入力でのコミュニケーションが非常に印象的でした。なぜ導入したのでしょう。
キム
 過去に『Focus On You』(※)を開発した際、コントローラーで選択肢を選ぶのは現実感に欠けると思い、音声認識での選択ができるようにしました。その結果、キャラクターとの距離感として、すぐ近くにいるように体感できた経験がありまして。

 そういった経験が『ファレイドリア』にも活かせるのではないかと、開発チームには無理を言って実装してもらったという経緯があります。
※『Focus On You』:キム・ヨンハ氏がプロデューサーを務めたVR恋愛アドベンチャーゲーム。
――たしかに、実際に話しかけることで生まれる“近い”距離感がありました。でもやはり開発はたいへんなのですね。

キム
 開発担当者が非常に心配しているところではあります。選択肢が増えれば増えるほど、インゲームの要素として管理しないといけないものが多くなってしまいますから。

 いまごろ、担当者はTGSでの試遊(音声認識)に関して「反応が悪くなってくれ!」と思っているかもしれませんね(笑)。その一方で、いい反応ももらえているということで、ちょっとホッとしているかも。

 最終的な判断は、ユーザーの皆さんの意見を聞きつつ決めていきます。できれば増やしていきたいし、無理かもしれないし……開発チームにはちょっとがんばっていただこうかなと。

――“ちょっと”で済むのかな……? キャラクターモデルの作り込みにもこだわりを感じました。過度にセクシーなのではなく、健康的なデザインという印象です。

キム
 露骨に露出度を上げるだけと、逆にそのキャラクターに対する愛情が早くなくなってしまうと考えています。露出度を高めずとも、ドキドキする状況は十分に作れますし、ユーザーの想像が自由に広がるような余地を残すことが重要だと思います。
キム
 それから、刺激の強いコンテンツは二次創作でユーザーが自由に広げている側面がありますから、あえて開発の方から手を加える必要もないのかなと。ゲームの中ではちょっとエッチなシチュエーションがある、くらいのバランスを意識しています。

――とても心強いです。「ちょっぴりエッチ」には無限の可能性があります。

キム
 運営がキャラクターを第一にする姿勢を見せることで、ユーザーも安心して自ら愛情を注げるような環境を作りたいですね。

バトルはアクション性を抑え、戦略性を追求していく

――試遊で使えたキャラクターは、シャミが厄除けグッズ、オハナが本、ミニエが水平器のような武器を使っているなど、みんな変わったアイテムを使用していましたね。

キム
 試遊で使えた3人に限らず、キャラクターごとに持っている何かを使用して戦うようにデザインしています。一見、武器のように見えないものを武器として戦う、という方針で今後も開発していく予定です。
――バトルシステムについても聞かせてください。まだ調整段階だとは思いますが、動く敵がスキル範囲の中に入ってくるまで待つような場面もありました。システムの狙いを教えてください。

キム
 まず根底に、“アクション性を抑えたものにしたい”という方向性があります。あまりアクション性を強くしてしまうと、プレイ中のストレスが増えてしまい、我々の考える“異世界ホームステイ”というコンセプトと乖離してしまいます。

 私自身はアクションゲームが非常に好きですし、開発の過程でそういった要素も考えましたが、アクションゲームがうまい人だけがプレイできるゲームになってしまうのは避けたいので、バランスに気を付けながら進めています。

 また、『ファレイドリア』は全般的に“自然さ”を重要視していて、バトルにもそうした方針に則っています。味方と敵の配置が典型的なシチュエーションになるのを避け、できるだけ自然な戦闘の構図や配置になるよう設計しています。
キム
 ただ、散らばった敵が1ヵ所に集まるまでの時間がストレスに感じる、という点は開発チームも認知しており、戦略性を追求できるように試行錯誤しているところなので、今後にご期待していただきたいです。

――戦略性といえば、ブーストゲージを使った行動順の変更はおもしろくなりそうな要素ですよね。

キム
 そうですね。今回の試遊は1回のプレイ時間が短いので十分に体感するのは難しかったかもしれませんが、今後はブーストゲージを積極的に活用したバトルもお見せできると思います。そのほかに開発を継続しているシステムもありますので、もう少し深い戦闘に拡張していく予定です。

『ブルアカ』の開発体制は縮小せず、両タイトルに全力を注ぐ

――『ブルアカ』のファンを含め、多くの人が期待していると思います。

キム
 お伝えしておきたいのは、『ブルアカ』の開発においてはまったく規模感を縮小したり、力を抜いたりすることはありません。逆に開発者をちょっと増やして、今後もユーザーの皆様のための開発を続けていくので、ぜひ見守っていきたいです。

ミツキヨ
  『ファレイドリア』がサービスするからといって、曲数が減ることもありません。私が社会人になって『ブルアカ』に参加し、そこから7年以上曲を作りながら経験を積んだことで実力的にも、精神的にも成長することができました。

 成長したいま『ファレイドリア』のスタート地点に立ち、曲を作っていくなかで、『ブルアカ』においてもクオリティの高い楽曲を今後も提供していきます。ぜひ、両方に興味関心を持って聴いていただければと思います。

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