2026年9月17日~21日に千葉県・幕張メッセで開催中の東京ゲームショウ2026(17、18日はビジネスデイ)。
コーエーテクモゲームスのブースでは、Nintendo Switch 2、Nintendo Switch、プレイステーション5、PC(Steam)で今冬発売予定の歴史シミュレーション『信長の野望・飛翔』(以下『飛翔』)の試遊台が出展されている。
1983年に戦国時代を舞台にしたウォー・シミュレーションとして産声を上げた『信長の野望』。その後シリーズとして作品を重ねるごとに内政や調略、外交といったシステムや戦国時代ならではの個性付けが行われていき、いまや同社の『三國志』シリーズとともに歴史シミュレーションの代名詞的なタイトルとなった。
本稿では、直後に公式生放送への出演を控えていたプロデューサー・劉迪氏へのインタビューをお届け。新機軸となった“大義名分”システムや“ストーリーモード”の狙い、『飛翔』をプレイする際のポイントなど、読み応えたっぷりの内容となっている。
劉 迪(りゅう みち)
『信長の野望・飛翔』プロデューサー。前作の『新生』ではディレクター兼リードプランナー、『新生 パワーアップキット』では開発プロデューサー兼ディレクターを務め、今回満を持してプロデューサーに。
インタビューは2026年9月17日に実施。伝統は残しつつ世界市場や独自色を見据えた新要素を投入
――2005年発売の『信長の野望・革新』からは、だいたい4~5年間隔でシリーズの新作がリリースされてきました。今回もその流れに見えるのですが、企画はどのくらいの時期から動き始めていたのでしょうか?
劉
たしか2024年の夏ごろだったと思います。その前にゼネラルプロデューサーの小笠原(賢一氏)と話をする機会があって、「もし新作を出すなら、こういう感じでやりたいよね」とアイデア出しをしていたのですが、そこでふたりが同じアイデアを持ってきていたんです。それが“大義名分”でした。
――今回のタイトルコンセプトにもなっているキーワードですね。
劉
その時点では私がプロデューサーになるといった話は出ていなかったのですが、せっかくコンセプトが一致したのであればそこからの構成も考えてみないかと。その流れで、正式にプロジェクトが立ち上がった際にも私に「プロデューサーをやってみないか」と声が掛かりました。
(劉氏が手掛けた)『新生 パワーアップキット』から、次回作を期待してくれているユーザーさんも多かったようで、そのあたりも会社として評価してくれたのだと思います。

――『新生』の後も、基礎技術の研究などは進められていたのでしょうか?
劉
じつはそこについては(リリースが続いていたこともあって)あまり進んでいませんでした。たとえば、グラフィック面では今回は弊社の“KATANA ENGINE”を使うことにしたのですが、その運用でも少し難航してしまうなど、苦労した部分は多かったかもしれません。
――そうだったのですね。今回、試遊をしてみてUIを含めたビジュアル、操作感がこれまでとだいぶ変わった印象があったので、かなり前から準備していたのかと思っていました。
劉
その印象は間違っていません。いまおっしゃった要素に関しては、プロジェクトが動き出す前から「こうしよう」と決めていました。私は自分の中でしっかりとイメージを持ち、それを実現したいと強く思うタイプで、今回もプロジェクトが動き出す前から綿密に考えていました。なので、チームでは調整に時間が掛かりそうなところもかなりのスピード感をもってやれていたと思います。

――色使いなどもちょっと変わりましたよね。全体的に淡くなったというか、幻想的な雰囲気が出てきたというか……。
劉
それに関しては、海外市場を意識したところが大きいですね。海外で売れているシミュレーションの有名タイトルを分析したりして、「こういう感じのビジュアルが支持されるのか」といった考えを取り入れていきました。もちろん、『信長の野望』としての特徴というか、芯のようなものは消してはいけないので、新しさを入れつつも伝統は残す、そんなイメージを持ってビジュアル作りは進めています。
技術的には、世の中の潮流に沿って空気感や光の使いかたを強化しています。海外作品とは異なるみずみずしさや豊かな色味の表現といったものですね。また、戦いによる景観の変化や、荒れた雰囲気の表現などは今後も引き続き取り組んでいきたいと思います。

――今回の試遊で驚きだったのは“ストーリーモード”です。とくに最初のムービーはかなりインパクトがありましたね。昔の『伊忍道』をオマージュしたような画も出てきたりして。
劉
あれはけっこう狙って作ったんですよ(笑)。今回も映画監督の樋口真嗣さんにお願いしてオープニングムービーを制作していただいたのですが、昔の要素も取り入れながら、現代の世相も反映させたような演出を目指しました。その結果、既存のユーザーさんだけでなく『信長の野望』を知らない人にも「これは何だろう」と思ってもらえたのではないでしょうか。
――そういう意味では、まんまと思惑に乗ってしまったと思います(笑)。実際にプレイしても、本編のチュートリアル的な要素をストーリーの中にうまく落とし込んでいて、今回の新システムを自然に覚えながら楽しくプレイできました。
劉
構成は相当力を入れて考えました。ベースとしてストーリーがありつつ「このタイミングでこういうことをやらせたい」、「だったらここはこういうふうにセリフを変えよう」といった具合に、RPGを作っているような感覚で細かく微調整をくり返しながら作り込みました。シミュレーションゲーム上でRPGらしく遊ばせる、という今回の仕組みは、ほかにないのではないかというくらい挑戦的なものになっていると思います。
――本編のチュートリアルのような流れは、ずっと続いていくのでしょうか?
劉
序盤はチュートリアル要素を厚めに作っていますが、一定の段階からは教える内容は減らして、それまでに学んだ仕組みを使って自力で進める形になっていきます。
――ちなみにストーリーモード全体の長さはどのくらいに?
劉
まだ調整中なのですが、クリアーまではだいたい20~25時間ほどくらい掛かるようになっています。テキパキ進める人だともっと早めに終わるかもしれません。
――Xで「この男は誰だ!?」とポストされ、ファンのあいだでも話題になっていた武将の正体も、開始早々に明かされましたね。
劉
あれはいままでやったことがないようなプロモーションで、うまく注目を集められたのではないかと思っています。狙って取り組んだものではありますが、すぐに答えを出すのではなく、1週間ほど寝かせてみたところ、けっこう盛り上がってくれましたね。

信長の初期の障壁となった坂井大膳。シリーズ初登場の悪役だ。
――本編シナリオでは、九州の大友義鎮を選んでプレイしてみたのですが、守護大名だけあって“九州探題”のようなスケールの大きい大義名分を持っていたりして、すごくプレイしやすそうな印象を持ちました。
劉
大友氏のような守護大名出身の勢力は、おっしゃる通り大義名分で実力がブーストされるので、やりやすい部分はあるかもしれませんね。ただ、大友氏はいいのですがほかの守護大名は弱体化してしまっているところも多いので、大義名分を活用するのが難しい側面もあります。
――大義名分の効果としては、能力値のアップ、ダウンが大きいところかなと思われますが、実際どのくらい増減するものなのでしょうか?
劉
影響力によって効果の幅も変わってきますし、まだまだ調整中の要素でもあるので正確な数字は出せないのですが、現在のところ多くて10~15くらいは増減させる予定です。
――これまでは優秀な家臣団を揃えている大名が強い、というのがあったのですが、大義名分を活用すれば多少劣る武将でもブーストで互角に戦えるようになるので、戦いかたも変わってきますね。
劉
まさにそれが狙いで、『信長の野望』シリーズはどうしても武将の力が強くなってしまう側面がありました。今回は“戦う理由”をそれぞれが掲げ、それに対して家臣が納得するかしないかで大幅に能力値が変わっていきます。現代もそうですが、上司についていきたいと思うか思わないかで、その課の力もだいぶ変わってきますよね。そういう人間らしさを表現したいと考えて今回、大義名分という要素を入れました。

――それから城下町の開発も試してみたのですが、なかなかスケールの大きそうな要素でした。
劉
開発で建てられる施設に関しては、じつは最初からすべてオープンになっています。ただ、特定の政策を解放する必要があるなどの制限は課しています。
――開発可能な土地もだいぶ広めに見えたのですが、1回のプレイで全部開発できるくらいの広さということなのでしょうか。
劉
まさしくその通りです。土地適性や、建設した施設からの隣接した施設への影響力なども考慮して開発していくことになりますが、1回のプレイでしっかり全エリアを開発できるくらいのボリュームにしています。
――前回、箱庭内政要素が採用されていた『天下創世』のように、戦争で壊れてしまうなども……。
劉
当時と同じ表現をすると、いろいろと難しいことになってしまうので形は変えていますが、ある程度壊れるようにはなっています。

――一方で、ここまでグラフィックが進化して、町作りや戦闘でもその地域の様子が細かく描かれるようになると、実際に自分が作った町を歩き回ってみるモードだとか、街道を歩いて隣の城や国に行ってみるような“お散歩”モードもできるのではないですか?
劉
現段階では何をどうするといったお話はできないのですが、ここまでのグラフィックを実現できたいま、どうにかしてさらなる没入感を実現できるような要素を取り入れてみたいとは考えています。
――こうして要素が増えていくと、初心者のプレイがたいへんになってしまいそうですが、初めて遊ぶ人はどういうところを見ながらプレイすればいいでしょうか?
劉
まずは画面左の“具申”を見たり、“評定”を開催したりしてみて、家臣たちがさまざまな施策を挙げてくれる中から、よさそうだと思ったものだけ決裁するなど、自分のできそうなところから内政を進めていくといいと思います。
――これまで新要素が紹介されてきましたが、今後はどんな要素を公開していく予定なのでしょうか?
劉
まずは定期的な生放送をやっていこうと考えています。さらにラジオ番組もやる予定です。ユーザーさんから作品に触れられるポイントを増やしていきたいと思っているので。プロデューサーとして、私にしかできないことをやっていきたいです。
――最後に、ファンの皆さんへひと言お願いします。
劉
コンセプトでもある“大義名分”は、本当に歴史好きな人にとっても重要なワードになってくると思います。どんな理由で武将たちが戦ってきたのか、そんなところが体験できるタイトルになるようこれからも開発を進めていくので、ぜひ楽しみにお待ちください。

20分の試遊時間で最大限の戦果を得るために……
東京ゲームショウ2026・コーエーテクモゲームス内の『信長の野望・飛翔』ブースの様子もお届け。

コーエーテクモゲームスの全景。こちらの反対側、外からの出入り口付近に『信長の野望・飛翔』ブースはある。



信長や信玄、謙信、元就ら大物大名が並ぶ中、存在感を見せる新武将。果たしてその実力は……。試遊(ストーリーモード)にて確かめてみてほしい。
試遊は、メインモードとストーリーモードのふたつから選んでプレイ可能。20分の制限時間以内なら何度でもやり直せるので、ふたつとも試してみるといい。ただ、初めてプレイするときはストーリーモードから始めてみることをオススメする。序盤に町の開発や大義名分についてのチュートリアルが入っているので、それを見てからメインモードをプレイすると、より入りやすくなるはずだ。
また、メインモードではシナリオこそ1560年の“桶狭間の戦い”だけだが、大名は全国の大小の武将から選択可能。ただ20分はあっという間に終わってしまうので、戦闘も味わってみたい人は勢力の大きな大名を選んで初月や2ヵ月目くらいまでに出兵するといい。
なお、出兵には大義名分が必要となるが、筆者が選んだ九州の大友義鎮など有力大名には、だいたい何かに使える大義名分が揃っている。プレイするなら、ネタに走って小田氏などの弱小大名を選ぶのではなく、織田や武田上杉、三好に伊達、北条、今川、毛利、大友に島津など、大勢力を選ぶことをオススメする。

会場では信長の顔うちわも。