ライトフライヤースタジオが手掛ける『アナザーエデン 時空を超える猫』(以下、『アナデン 時空を超える猫』)は、シングルプレイ専用のスマートフォン・PC向け王道タイムトラベルRPG。9周年を迎えた人気ゲームである同作のメインストーリー第1部をベースに、さまざまな要素を追加した新作RPGとして『アナザーエデン ビギンズ』(以下、『アナデン ビギンズ』)が2026年9月17日にNintendo Switch 2、Nintendo Switch、PC(Steam)向けに発売された。

『アナデン ビギンズ』では、新たなゲームエンジンを採用し、グラフィックが格段にパワーアップ。ライティングやカメラ演出なども進化を遂げており、フィールドはより立体的に表現される。
暖かい日差しが差し込む村、廃墟と化した工場跡、恐竜が徘徊する草原など、冒険中に訪れる多彩なフィールドが美しくなり、冒険の臨場感が増している。


さらに、本作は『アナデン 時空を超える猫』にはない新要素が満載。豪華声優陣によるフルボイスのストーリーや10種類以上のエンディング、個性豊かな仲間ごとの専用シナリオなどが、時空を超える冒険の旅をさらに盛り上げてくれる。


週刊ファミ通 2026年9月24日号(No.1963/2026年9月10日発売)では、『アナデン ビギンズ』の発売直前特集を掲載した。本稿では、同特集に掲載した加藤正人氏と大川真奈実氏のインタビューを加筆修正してお届けしよう。
※インタビューは2026年8月上旬に実施週刊ファミ通『アナザーエデン ビギンズ』発売直前特集号が発売中
発売直前特集では、進化した物語の見どころやマルチエンディングが楽しめる“ニューゲーム+”などを紹介。26ページにわたり、『アナデン ビギンズ』をさまざまな角度から掘り下げている。
加藤正人氏の『アナザーエデン』への想いを聞いた九問九答、担当ライターによるプレイレビュー、Nintendo SwitchとNintendo Switch 2のソフトのパッケージを差し換えられる付録のジャケットなど、企画も満載で要注目だ。

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加藤正人氏(かとうまさと)
ライトフライヤースタジオ所属のシナリオライター、スクリプター、演出家。代表作は『クロノ・トリガー』、『クロノ・クロス』、『ファイナルファンタジーⅪ』など。
大川真奈実氏(おおかわまなみ)
『アナデン 時空を超える猫』にて外史“彷徨える少女と久遠の渦”などのシナリオ・演出を担当。『アナデン ビギンズ』ではニューゲーム+やキャラクタークエストのシナリオを手掛ける。
開発スタッフの熱意によって家庭用ゲームの開発が実現
──『アナデン ビギンズ』が間もなく発売を迎えますが、現在の率直な感想は?
加藤
今回は『アナデン 時空を超える猫』のメインストーリー第3部の作業と並行して動いていたので、立ち上げのタイミングを過ぎ、各シナリオの監修や担当箇所の執筆が終わってからは、大川さんたちにかなり手を動かしてもらいました。なので、じつはあまり実感がなくて……。
『アナデン ビギンズ』の企画がスタートしたときに、どんなゲームにしたいか相談を受けて、マルチエンディングにしようといったアイデアを出したりしましたね。
大川
私は、加藤さんから受け取ったバトンをなんとか形にしてきましたが、フルボイス化の影響で動き出しが早く、1年前くらいに担当箇所がすべて終わりました。ですから発売するという現実感があまりなくて、「いよいよ出るんだ」というのが率直な感想です。
加藤
『アナデン 時空を超える猫』の家庭用ゲームを作るという話は、何年も前から出ていたんですが、『アナデン 時空を超える猫』のサービスを続けながらの挑戦なので、なかなか実現できない期間が続いていました。
それが今回、単なる移植ではなくて完全新作のRPGとして開発できたのは、平澤さん(平澤信之介氏。『アナザーエデン』シリーズのプロデューサー。『アナデン ビギンズ』を開発したスタジオプリズマの代表も担う)の力が大きかったと思います。彼は典型的なプロデューサーといいますか、バイタリティーがすごいので。
大川
たしかに、平澤さんは物事を前に進める力が強いですよね。
加藤
でも、メインキャラクターだけではなく、NPC(ノンプレイヤーキャラクター)もフルボイスにするのは正気なのかと思いました。マルチエンディングを作るだけでもたいへんなのに、「本当にやるの?」って(笑)。
──(笑)。
加藤
『アナデン ビギンズ』の作業をするときに改めてメインストーリー第1部のテキストを読み返してみたのですが、シナリオのボリュームが膨大で驚きました。「これを全部ひとりで書いたのか」って。
大川
私は入社前に加藤さんとお話しする機会があったのですが、そのときに第1部は短期間で仕上げたとうかがいましたよ。加藤さんのシナリオ生産力はすごいなとびっくりしたのを覚えています。
加藤
『アナデン 時空を超える猫』は10人くらいの小さなチームで開発がスタートして、シナリオは僕がほぼひとりで書いていました。スクリプト(簡易プログラム言語。絵素材を表示するなど、ゲーム内の演出を行う)も僕が担当していて、いまにして思うと、無駄の多い作りかたをしていたなと思いますね(苦笑)。
大川
シナリオを執筆しながらスクリプトもご自身で担当されるからこそ、加藤さんはゲームデザイナーなんだなと思います。じつは私も加藤さんと同じことがしたくて、スクリプトを組んでいるんですよ。
加藤
そうなんだ?
大川
『アナザーエデン ビギンズ』には早期購入限定で『アナデン 時空を超える猫』で新キャラクターのラミュと出逢えるチケットが付くのですが、そちらはシナリオだけではなくて、スクリプトも私が担当しています。加藤さんが執筆した第1部と似ている演出があったので、加藤さんのスクリプトを参考にしながら組みました。スクリプトを担当するとやることが一気に増えるのですが、すごく楽しかったです。
加藤
楽しいよね(笑)。セリフを書いて、カメラや演出を好きなように考えて。ある意味で画面全体を支配できる仕事なので、スクリプターの気持ちよさを覚えちゃうと、人に任せられなくなる。
大川
そう思います。
――大川さんがスクリプトまで担当した『アナデン 時空を超える猫』のラミュのシナリオも注目ですね! そもそも、マルチエンディングにするのはどのように決まったんですか?
大川
最初は「マルチルートにしよう」という話だったと思います。私がマルチルートからメインストーリーに合流するシナリオを書いて加藤さんに見せたら、「このままエンディングまで書いちゃえばいいのに」と言われました。
でも、私もメインストーリーをものすごく大事にしているので、結末を変えることに最初は抵抗があって……。守りに入っていたのですが、加藤さんが背中を押してくれて、マルチエンディングを描くことになりました。
加藤
僕は『アナデン 時空を超える猫』のメインストーリー第1部でやりたいことは入れ込みましたし、描ききれなかった部分に関しては、第1.5部、第2部と続ける中でフォローしてきました。
ですから僕が第1部のシナリオを新たに書くよりも、大川さんたちに任せたほうがおもしろい物語ができると考えました。なので、任せられるところは任せようと思って。大川さんたちに任せるから、好きなように書いていいよと。
大川
加藤さんは、自由と責任をどちらも託してくれるのがすごいなと思います。
加藤
問題が発生したら、きっと僕のところに連絡が来るはず。連絡が来ないうちは、うまくいっているんだろうなと信じて任せるのが僕のコンセプトなので(笑)。
大川
アドバイスがほしいときは、ちゃんとリターンを返してくれますしね。マルチルートではなく、「マルチエンディングにしてもいい」と言ってくれたように、大事な局面で背中を押してくれる存在でもあるので、私たちは加藤さんといっしょに自由にストーリーを作ることができているなと感じています。

加藤氏のアイデアでとあるキャラクターがアイドルに!?
──マルチエンディングのアイデア出しは、どのように進められたのですか?
大川
どんなエンディングがあるとおもしろいか、みんなでアイデアを持ち寄って会議を行いました。私たちシナリオチームは、真面目なエンディングを提案したんです。でも、加藤さんからとんでもないエンディングの提案をもらって(笑)。10種類以上のエンディングがあるのですが、その中に、加藤さんが考案したエンディングも実装されています。
加藤
どれのことだっけ?
大川
ほら、あのキャラクターがアイドルになるエンディングですよ。
──それはとんでもないですね(笑)。
大川
加藤さんからいただいたとんでもないアイデアを、私がありえなさを担保したままきちんとシナリオとして成立させたので、「何だこれ?」と戸惑いながら遊んでほしいです。
加藤
僕は「何だこれ?」というネタを丸投げするのが好きだから(笑)。それに、「こんなのありえない」という発想からスタートしたほうが、おもしろい展開を考えやすいんですよ。最初からできないと決めつけるのではなく、閃いたアイデアをどうやったら実現できるのか。広げる力が企画を考える人間には必要になりますね。
大川
加藤さんの遺伝子は、私たちシナリオチームに受け継がれています。『アナデン 時空を超える猫』では、以前よりも振り切ったシナリオが増えていますし、『アナデン ビギンズ』のほかの真面目なエンディングにも、加藤さんのシナリオが好きな方たちが「そうそう、これこれ」と反応してくれる要素が散りばめられていると思うので、お楽しみに。
マルチエンディングは宿題ではない。すぐにすべて遊ばなくてもいいと言う真意
──マルチエンディングで注目してほしいポイントを教えてください。
大川
私はやっぱり、加藤さんがアイデアを出してくださったエンディングです。2周目である条件を満たすと見ることができますよ。
加藤
僕は特定のエンディングに注目してほしいというよりも、好きなようにプレイした結果として迎えたエンディングを、ひとつの冒険として楽しんでほしいですね。
マルチエンディングは宿題ではないので、用意されたものをすぐにすべてクリアーする必要はありません。本を読み終わったときのように、いったんゲームを終えて、ちょっと時間を置いてから別のエンディングを目指してもらうのが、いちばん楽しめると思います。
──無理にすべてのエンディングを見ようとせず、自分が満足したタイミングでいったんプレイを終えてもいいと?
加藤
もちろん、いずれはすべてのエンディングを堪能してほしい気持ちはありますが、購入してすぐにエンディングを全部見るようなプレイは控えてほしい。
長い時間をかけて遊んでもらいたいので、『アナデン ビギンズ』をずっと手もとに残しておいて、プレイするたびに新たな発見であったり、自身の成長を感じたりしてもらえるとうれしいですね。
大川
私も同感です。ひとつのパッケージの中で完結したずっと変わらない世界だからこそ、プレイヤーが好きなときに何度でも戻って来られるのが家庭用ゲームのよさであり、『アナデン ビギンズ』で実現したかったことのひとつでした。
自分が体験したマルチエンディングの世界をいつでも覗きに行ける。その記念碑というか、人生の中のセーブポイントとして、『アナデン ビギンズ』を手もとにずっと残しておいてほしいです。
──なるほど。
加藤
いまは大量消費される時代で、エンタメも一気に消費されてしまう一過性のものが少なくありません。でも、何年経っても忘れられないゲームやマンガ、アニメ、映画、小説などのエンタメがそれぞれあると思います。『アナデン ビギンズ』も皆さんの心に刻まれたタイトルと同じように、今後の人生に寄り添えるゲームにできたという自負があります。
『アナデン 時空を超える猫』のファンの方はもちろんですが、スマートフォン向けRPGだから遊んでいなかったという方にも、家庭用ゲームの『アナデン ビギンズ』をプレイしてもらいたいですね。

メインキャラクターのクエストは加藤氏がみずから執筆!
──マルチエンディングの物語のほかに、親密度クエストも追加されていますよね?
大川
仲間クエストのほかに、仲間との“出逢い”を描いた出逢いクエストと、絆を深めると発生する親密度クエストを全キャラクターに用意しています。これらのクエストは私とTsumuさん(シナリオライターのひとり。これまでに協奏“悠かなる叡智と秘密の孤城”や、群像“落陽の墟と輝きの守手”などを執筆)で分担して書いていますが、サイラスやヘレナ、DLC Vol.5(第5弾)のアシュティアたちといったストーリーキャラクターの仲間クエストは、加藤さんの書き下ろしです。ファンがいちばん見たいのは加藤さんが書いたシナリオなので、「ストーリーキャラクターの仲間クエストは絶対にやって!」って(笑)。
加藤
書いたはずなんだけど、当時は本当に忙しかったので、記憶がなくて(苦笑)。日記には、「ヘレナの仲間クエストどうしよう」と記録しているから、僕が書いているはずなんだけど……。

大川
ボイス収録までにあまり時間がなくて、加藤さんがすごい勢いで仕上げてくれました。当時は私もひたすらシナリオを書くという孤独な作業をしていた時期だったので、加藤さんの新規書き下ろしの仲間クエストを読むことができて、めちゃくちゃ元気が出ました。私はシナリオに力をもらって生きているんだなというのを再確認できましたね。
──ボイス収録といえば、ディレクションを大川さんが担当されたとお聞きしています。収録で印象に残っているエピソードは?
大川
アルド役の内山昂輝さんを筆頭に、キャストの方たちがキャラクターの解釈をしっかりしたうえで、「このシチュエーションではどんな気持ちなんですか?」、「こんな気持ちだと思いますがどうですか?」といった質問をしてくれました。
キャラクターの感情について認識のすり合わせを行いながら進められたので、納期はきびしかったですが、収録はスムーズに進められました。

──フルボイスになったことで、キャラクターの印象が変わりましたか?
大川
印象は変わりませんが、キャラクターが立体的になったと感じました。声が付くことでゲーム画面の中にいるというよりは、同じ空間にいるような気持ちになれるので。
加藤さんも内山さんの収録に立ち会ってくれたのですが、「自分で何度も見たテキストだけど、フルボイスになると感慨深い」とお話しされていたのも印象的でしたね。
加藤
声が付くとものすごく新鮮なんですよ。改めて声の力はすごいなと思いました。
大川
テキストの力だけで、多くのお客様を惹きつけている加藤さんもすごいですよ。
加藤
僕は長年テキストだけで勝負してきた人間だから、テキストで勝ちたいという気持ちはあるけど、声が付くとすごいよね。
──ボイスが加わることで、キャラクターの感情がより伝わりやすくなることもありますからね。
大川
フルボイスになった影響がいちばん大きかったのは、親密度クエストだと感じています。親密度クエストでは、仲間にしたキャラクターとどのように親しくなっていくかが描かれるのですが、仲間との関係性は友情や恋愛だけではありません。ライバルのような共闘関係もあるのですが、親密度クエストのテキストには、ボイスが入ることでより生きてくるセリフが多くて。
たとえば、テキストでは怒っているけど、キャラクターの口もとは笑っているとか。親密度クエストを分担したTsumuさんがそういったニュアンスを表現するのがうまくて、ボイスが付いたことで職人技にびっくりすることが多かったです。

ラミュはいっしょに冒険して楽しいキャラクターを目指した
──『アナデン ビギンズ』には、ラミュという新キャラクターが登場します。このキャラクターが誕生した経緯を教えてください。
大川
ラミュは2周目から登場するキャラクターですが、アルドを2周目以降の冒険に導くナビゲート役として生まれました。どういうキャラクターと冒険すると楽しいかを逆算して性格などを考えていったのですが、テーマは“令和レトロ”にしようと考えました。
──具体的なキャラクター像は……?
大川
加藤さんが手掛けられていた家庭用ゲームと近しい時代のマンガやアニメを見返して「なるほどな」と思ったのが、ヒロインとマスコットの中間みたいなキャラクターが話を動かしていることでした。
手塚治虫作品でたとえるなら、ピノコやどろろのような……。少しうるさいけど憎めなくて、登場しないと物足りない、どこか放っておけないヒロインとマスコットのあいだぐらいの仲間がこの作品にいてくれたら、冒険がさらに楽しくなる予感がしました。そんなキャラクターの空気感を令和のゲームで成立させるにはどのように描けばいいのか、意識してシナリオを書きました。
加藤さんが過去に手掛けた家庭用ゲームを遊んでいた方には懐かしいキャラクターになっていると思いますし、遊んだことがない方にとっては新鮮なキャラクターになっているという手応えを感じています。
──ラミュのシナリオを書くときに、加藤さんが手掛けた作品も意識しましたか?
大川
はい。加藤さんのゲームで遊んだときの思い出を掘り下げて、どんなキャラクターと冒険したから楽しかったのかを再解釈して作ったのがラミュになります。加藤さんのファンの皆さんには、ラミュはどのキャラクターにも似ていないのに、彼女を通して懐かしい気持ちになってもらえるとうれしいです。

──プレイヤーがラミュに抱く最初の印象と、物語を最後まで遊んだ後の印象では、どのような変化があると思いますか?
大川
ふたつのパターンがあると思っています。ひとつ目は、憎めない存在になること。最初は「コイツ!」と反発するかもしれませんが、最終的には「コイツ~♪」くらいの気持ちになってもらえるとうれしいですね。
ふたつ目は、じつは大きな存在だったことに、びっくりしてほしいかなと。ネタバレになってしまうので詳細は伏せますが、ラミュは最初、とても小さい存在なんです。でも、彼女の秘密をすべて知ったときに、こんなにも大きな存在だったんだと感じてほしいです。
ラミュとの冒険を描くうえで、最初と最後のサイズのギャップに関しても意識してシナリオを考えていますので、ぜひ注目してください。
──2周目以降のシナリオをプレイするのがますます楽しみになりました! 大川さんがラミュを作る際に、加藤さんの作品を意識していたことはご存知でしたか?
加藤
いえ。好きな作品を分析してキャラクターを作っていることも知りませんでした。
大川
お話しする機会がなかったですよね。私はエンタメを愛していて、エンタメから生きる理由をもらっているので、同じように人に生きる理由を作りたくてシナリオライターの仕事をしています。
ですから新しいシナリオやキャラクターを生み出すときは、同じくらい心を動かせるものにしたいという思いを出発点に考えていますね。それから、以前加藤さんがお話しされていたことも実践しています。「それまで見てきた作品や経験した人生を煮込んだスープから、シナリオやキャラクターは生まれる」といったことをFlyers' Lab(フライヤーズ ラボ。ライトフライヤースタジオが主催した業界交流イベント)で加藤さんがお話しされていて。こんなにおもしろい考えかたでゲームを作る人がいるんだと感銘を受けました。なので、分析も私なりのスープの取りかたなのかもしれませんね。加藤さんとはキャリアは違いますが、考えかたは離れていないと思います。
加藤
類は友を呼ぶというのかな。大川さんはもちろん、ほかにも『アナデン 時空を超える猫』を好きな人が開発スタッフとして入ってきてくれているので、みんなで同じ方向を向いて開発できる環境なのは、とてもありがたいですね。
ただ、愛が強すぎてときどき突っ込まれるんですよ。「アルドやフィーネはそんなこと言いません!」って(笑)。

一同 (笑)。
加藤
アルドに関しては、もうちょっと年相応のやんちゃな面が出てもいいと思っていますが、ほかのスタッフが書いたシナリオでいい子になりすぎちゃったせいかなと。僕が少しでもやんちゃな姿を描こうとすると指摘されます。
フィーネは僕も「どうだろう」と思いつつ、少し羽目を外して変化球を投げたときに指摘されることがありますね(苦笑)。
──生みの親である加藤さんにも突っ込みが入るんですね(笑)。
大川
私は加藤さんが描くやんちゃなアルドは大好きですよ。とくにオーガベインと話しているときのアルドは、ちょっとガラが悪くなるので印象的でした(笑)。
フィーネは、ただのいい女の子じゃないところがお気に入りで、アルドに対してちょっと独占欲を出したりするところが、人間らしくていいなと思っています。
――大川さんが執筆したマルチエンディングでは、アルドの新たな一面も描かれるのでしょうか?
大川
ネタバレになってしまうので、詳細を教えることはできませんが、マルチエンディングではいろいろなアルドを楽しんでいただけると思います。
アルドはもともといろいろな可能性を内包した存在なのですが、『アナデン 時空を超える猫』ではさまざまな要素の積み上がりがあったからこそ、あの結論を取れたのだとも思っていて。何かひとつ要素が違えば、きっと別の面を見ることもあったはず。そんな発想から多面的に彼を描く挑戦をしましたが、一方でどんなアルドもキャラクターの軸は同じなので、どのエンディングをプレイしてもアルドらしさはしっかり感じてもらえるのではないでしょうか。
加藤
みんないいアルドに騙されているんですよ(笑)。ヤバい状況に巻き込まれてしまったら、誰しも好青年ではいられなくなり、やさぐれてやんちゃな面が顔を出すと思うので。
――マルチエンディングをプレイするのがますます楽しみになりました(笑)。加藤さんと大川さんの関係性からも感じていましたが、キャリアに関係なく発言しやすい現場なのですね。
加藤
そうですね。意見を伝えるのに、経験や年齢、性別などは関係ありません。クリエイターとして同じ土俵にいるので、言いたいことがあるなら同じレベルで発言すべきだと思います。
『アナデン 時空を超える猫』の開発はもともと少人数でスタートしたので、最初から本音を言いやすい環境が整っていましたが、開発スタッフが増えても同じやりかたで開発を続けてこられたからこそ、おもしろいゲームを作れていると思います。
大川
若い世代のクリエイターも増えました。私の育成したライターたちが、もうつぎの世代を育成していて……。孫のように大事に思っています。
加藤
僕が第1世代で、大川さんが第2世代、若い子たちが第3世代みたいな。年齢的にも孫くらいの子たちといっしょに『アナデン 時空を超える猫』を作っていますね。
――ちなみに大川さんは入社して何年くらいになるんですか?
大川
2020年入社なので、6年になります。入社してすぐに、加藤さんからメインストーリー第2部のサブクエストをお願いされたのですが、当時から自由と責任を託してくれるスタンスは変わっていません。「君もプロなんだから大丈夫。責任を持ってやりなさい」って。懐かしいですね。
加藤
僕自身が楽をするために、任せられるところは任せるスタンスなので(笑)。
大川
そう言いながらも困ったときはアドバイスをしてくれますし(笑)、加藤さんという柱になってくれる人がいるので、新しい人が入ってきてもブレずに作り続けることができていると思います。
──加藤さんを中心に『アナザーエデン』好きのスタッフが集まっているからこそ、スマートフォン版の運営を続けつつ、家庭用ゲームの新作を開発できたのですね。最後にファンや読者にメッセージをお願いします。
大川
先ほどもお伝えしましたが、人生の中のセーブポイントとして、『アナデン ビギンズ』を手もとに残してもらえるとうれしいです。
加藤
昔から掲げていた『アナデン 時空を超える猫』を家庭用ゲームにするという目標が、ついに達成できました。しかも単なる移植作ではなく、フルボイス化したうえで、マルチエンディングや新キャラクターも実装し、ゲームシステムなどにも大きく手を加えた完全新作となっています。『アナデン 時空を超える猫』ファンの方たちも新鮮な気持ちでプレイできると思いますし、初めて遊ぶ方も楽しめると思うので、ぜひ手に取ってください。