2026年8月21日から8月26日にかけての6日間、灯白社は東京都・渋谷にて『つみみじかん 狂オシイホド愛シテル』(以下、『つみみじかん』)のリアルイベントを開催。 『つみみじかん』は、失踪した主人公の推し・ましろの行方を探るべく、アイドルユニット“わたあめチェンソー”でましろの元相方だった配信者・つみみの配信に介入して謎を探っていくアドベンチャーゲームだ。Steamにて2026年10月22日発売予定。
今回のイベントでは試遊台が出展されるほか、作品の世界観を楽しめる展示物も登場。また、8月23日までの来場者には限定特典としてクリアファイル型バッグとオリジナルステッカーもプレゼントされる。
本稿では、イベントブースの様子とともに、イベントで試遊できる『つみみじかん』の最新バージョンのプレイリポートをお届けする。
わたあめチェンソーが渋谷に降臨
リアルイベントが開催されたのは、東京都・渋谷にあるRAYARD MIYASHITA PARK内“THE [ ] STORE”。
会場の入り口ではつみみとましろのパネル、ふたりの大型タペストリーが来場者を迎える。なかなか攻めた内容の本作だが、表向きはエグみの要素が鳴りを潜めており、シンプルにかわいさが目立つ。

現役時代のわたあめチェンソーのイベントにやってきたような気分になれるかも?
入り口の正面と左手に合計5台の試遊機が用意され、壁には主題歌『推推推推推推推推金金金金金金金金』のMVが投影されている。
また、右手側には大型タペストリー2枚も展示。1枚はアイドル時代のましろとつみみが、もう1枚には廃屋の中で怪しい影に迫られるつみみの姿が描かれている。


本作の振れ幅の広さがひと目で伝わるイラストの温度差。
2026年8月21日から8月23日までの事前予約制となっている3日間については、来場者特典としてクリアファイル型バッグとステッカー3種がプレゼントされる。

ステッカーはましろとつみみの立ち絵に加えて、キービジュアルを使ったチェキ風ステッカーがもらえる。
なお、上記の3日間でも来場者の状況を見て追加の予約を受け付ける可能性があるとのこと。予約を忘れていた人は公式Xをチェックしておこう。
さらに、会場に用意されているQRコードからSNS投稿を行えば、ゲーム序盤に登場するつみみの自撮りスチルを使ったチェキ風ステッカーももらえる。

なお、本イベント開催にあたり、『つみみじかん』開発チームより以下コメントをいただいた。
私たちが守りたかったのは、かわいいつみみとリアルな廃村の不気味さが同居する、あの居心地の悪さです。Next Fest後のブラッシュアップは、すべてそのために行いました。
つみみじかんの世界にのめり込める、使いやすいUIへの改善。章の変わり目に分岐の瞬間を感じ取れるような、演出の追加。集めた情報が確信に変わる瞬間を作るための、遊びごたえのある推理パート。そして新たに実装したルート分岐は、プレイヤーのメガチャと推理がその運命を握ることになります。
BGMやSEもまだ途中ながら、環境音の距離感ひとつまでシチュエーションに寄り添わせています。細部に宿らせた不穏を、ぜひ会場で味わってください。
投げ銭で配信の行方を変え、真実に迫る
ここからは、今回のイベントで試遊できたDAY7までの内容やその所感をお届けしよう。
冒頭でも触れた通り、本作は元アイドルの配信者・つみみの配信に視聴者として介入していくアドベンチャーゲーム。つみみは配信の企画でいわくつきの廃村を調査することになり、そのなかで主人公は失踪したつみみの相方・ましろに関する情報を得ていく。

左が配信者となる今世つみみ、右が謎の失踪を遂げた月岡ましろ。
プレイヤーが操る主人公は、昼間はアルバイトで投げ銭やプレゼントの資金を稼ぎ、配信で得られた情報を手掛かりにSNSやファンサイト、地図などを調べ、夜はつみみの配信を見ながら投げ銭によって配信に介入していく。
基本的にはこのサイクルをくり返し、製品版では全15日間で物語が展開する。今回の試遊版はDAY7まで、ちょうど物語の中間となる部分であり、ひとつの大きな分岐を迎えるポイントまでがプレイできた。


ファンシーなアイドルとリアルな廃村のミスマッチが生む不気味さ
月岡ましろと今世つみみは、アイドルユニット“わたあめチェンソー”として活動していた。しかしある日、ましろは突如として姿を消してしまう。
その後事務所を抜けてフリーになったつみみは、ましろに気づいてもらえるくらい有名になりたい、とソロでの配信を開始する。
ソロでの再始動として特別なことをしようと、くじ引きで企画を決めたつみみ。しかし引き当てたのは事故物件だらけの廃村を調査するというものだった。

そして翌日から実際に廃村を訪れ、調査がスタート。最初こそ怖がるつみみの姿を楽しむ配信といった雰囲気だが、カルト教団が管理していたという噂もある廃村でつぎつぎに不気味な事件が起き、配信は加速度的に不穏なものになっていく。


かなり早い段階で配信を切り上げるべき状況になるのだが、つみみは止まらない。配信者として、ここで引き下がるわけにはいかないと、怯えながらも配信を続けていく。
自身が血を流す怪我を負い、どう考えても危険がすぎる状況にありながらもましろのために突き進むつみみ。ましろに対して異様な執着を見せる場面もあり、メインキャラクターでありながらどこか恐ろしさもある。


キャラクターデザインや配信UIこそポップでかわいい本作だが、ひとたび廃村に足を踏み入れれば背景はリアル寄りな描写になる。
初代PS時代のサスペンスホラーを思わせる、実写感の強いグラフィックがいい具合に不気味さを演出している。ドット調である点はキャラクターと同様だが、その解像度の低さがむしろ怖い。

ゴリゴリにファンシーなつみみと、リアルな不気味さが漂う背景。このミスマッチがいい意味で居心地の悪さを生む。足音などの環境音もリアル寄りな印象だ。
この背景は実際の写真を加工したもののようにも見えるが、じつはそうではない。
本作を手掛ける灯白社のCEO・小木曽一輝氏は、以前行ったインタビューの中で、一度3D空間で各場面の背景を作り、それをドット調に変換したと説明している。この画作りも本作をユニークなものにしている要素のひとつだ。
いい意味で悩ませてくれる投げ銭システム
アドベンチャーゲームと言えば選択によって展開が変化していくのが醍醐味だが、本作ではその選択肢が投げ銭コメント(作中では“メガチャ”と呼ばれる)で表現されているのがユニークなところだ。
メガチャによるコメントには当然お金が必要になり、コメントごとにメガチャの額も変わってくる。

所持金が少なければ高額コメントは選べず、選択肢が限られてしまう。
高額なメガチャを投げればいい結果が得られる、という単純な話ではなく、場合によっては安い金額のメガチャのほうが有用そうな情報を引き出せることもある。
また、メガチャで「○○しよう」と提案したとして、つみみが必ずその通りに動くわけではないのもニクいポイントだ。
メガチャを投げられるタイミングであえて投げない、という選択肢もあるため、奮発するか先を考えて節約するか、このあたりはなかなかに悩ませてくれる。

怪しい足跡を見つけた際、「足跡を追うのはやめよう」とメガチャを投げてもつみみが止まらない、といった展開も。彼女を理解し、反応を予測することも大事になりそうだ。
これはリアルと同じだが、高額メガチャをバンバン投げていると手持ちの資金がすぐさま底をついてしまう。
メガチャに使用する資金は日中(午前・午後の2フェーズ)に行えるアルバイトで稼ぐことができる。しかし、日中には配信で得た情報を調べ、真相解明のための調査も進めなければいけない。

配信のなかで見つけた手がかりをSNSや地図で調べれば新たな情報が手に入ることもあるが、この場合でも時間は経過してしまう。
限られた時間をメガチャやプレゼントのための資金稼ぎに使うか、謎を解き明かすために使うか、そして限られた資金をどのプレゼント、どのメガチャに使うか、このリソース管理が本作の肝とも言える。
プレゼントに関しては、廃村の調査に役立ちそうなハサミやビニール手袋といったものも用意されていたが、少なくとも今回プレイした範囲では直接活躍するのではなく、つみみに喜んでもらえるものといった印象だ。

プレゼントをすることで認知度が上がってメガチャの誘導が効きやすくなる、といった可能性も考えられそうだが……?
配信への介入や昼間の独自調査を進めていくことでさまざまな情報が手に入るが、これらはただ読みものやイベントのフラグとして用意されているわけではない。
今回のプレイ範囲のラストパートにあたる部分、DAY6の最後には、事件に関する推理を行う場面がある。推理パートでは穴の開いた文章に、これまで集めた情報=キーワードを当てはめていくことになる。

空欄ごとに入れられる情報が絞られているため、推理難度はそこまで高くないように思える(ゲーム終盤の推理になればまた話は別かもしれないが)。
ここで正しい推理を行えるかどうかによって、物語の展開は変化する。DAY6の推理パートでは、正しく推理すれば物語が発展する一方で、あり得ない推理内容にした場合は直後にゲームオーバーを迎えてしまう。

つみみ、まさかのアカウント停止。この後さらにサプライズが待っているが、そこはぜひ自分の目で確かめてほしい。
集めた情報を組み立てて推理する、というのは王道のスタイルだ。しかし、時間と資金のリソース管理、そして配信への介入という、ときに思い通りにはならない情報収集が、本作を遊びやすくもユニークな作品にしてくれている。
今回のプレイ範囲ではつぎつぎに謎が湧き上がってきただけに、製品版としてリリースされた際にどのような結末が用意されるのかが気になるところだ。


本作は一枚絵が多いのも印象的。かわいそうでかわいいつみみは製品版でさらに増えそう。
ひとつ個人的に気になったのは、いわゆる既読スキップ機能がなさそうな点。メガチャや推理による分岐などリプレイ性が高いだけに、高速ページ送りや既読スキップ機能が搭載されることに期待だ。
試遊もできる今回のイベントは、2026年8月23日までは事前予約制となっているが、8月24日〜8月26日の3日間は予約不要のフリー入場となっている。ゲーム自体はSteamにおいてもデモ版が配信されているが、今回遊べるのは6月の“Steam Next Fest”を経てUIとシナリオがブラッシュアップされたものになっている。
ブース全体で世界観を感じつつ、いちはやく最新バージョンの本作に触れてみたい人は、ぜひ会場に足を運んでほしい。