ということで、この夏は本気で引きこもってアドベンチャーゲームを遊びたい。しかし筆者の体感では、アドベンチャーゲームというだけで食わず嫌いしている人も少なからずいるように思う。ここでは、その誤解をぜひとも解きたい。アドベンチャーゲームはおもしろいのだ。
アドベンチャーゲームにはほかのジャンルにない魅力がいっぱい!
その理由はさまざまあると思うが、今回は近年名作アドベンチャーゲームを多数リリースしている集英社ゲームズのタイトルを例に紐解いてみよう。
物語の中に実際に入り込む楽しさ
ひとつ例を挙げよう。『シュレディンガーズ・コール』は、21ナノ秒(10億分の1秒)後には世界が滅亡してしまう、生と死が重なり合う世界で、この世に未練を残す人々と電話を通してお話をすることで、その魂を救済していくという作品だ。

電話の向こうにいる人々は記憶が薄らいでおり、会話を通じて記憶を呼び覚ますところから始まる。そして関連する人たちとも会話を重ね、通話相手の未練の根幹にある記憶・感情を汲み取り、そこに寄り添っていくことで救済が進んでいく。

これが読み物や映像作品であった場合、我々受け手は「感動的な話だなぁ」と、どこか客観的に物語を見て完結してしまうだろう。そこに受け手が入り込む余地はない。登場人物と自分を重ねることはできても、第三者でしかいられないのだ。
しかしゲームでは、プレイヤーは本作の主人公・メアリとともに、“通話相手の気持ちを汲み取る”という心のアクションをしていくことになる。小説や映像作品でも“心が揺り動かされる”という受動的なアクションはあるが、アドベンチャーではそれに加えて自問自答や葛藤といった能動的な心・思考のアクションが入るのだ。この体験は受け身のコンテンツでは味わえないもの。
集英社ゲームズからは『OPUS: Prism Peak』という作品もリリースされている。うまくいかない境遇への後悔により心が疲れ、多くのことを諦めてしまった中年男性・ユージンが、異世界で自分の深層心理に触れ、過去の自分と、そしてこれからの自分とどう向き合っていくかが描かれる作品だ。


この作品では、プレイヤーも過去の自分と、そしてこれからの自分とどう向き合っていくかを深く考えさせられることになる。これが映像作品であれば、感動的なストーリーであっても、どこか他人事で終わってしまうだろう。
しかし自身がコンテンツの中に入り込んで、物語を進めていくゲームでは、プレイヤーはユージンとして考え、悩む。そして、そこで得られる決断や感情はプレイヤーの心にも深く根を張り、ふとした瞬間に思い出すほどの爪痕を残すのだ。
考えて考えて真実を見つけ出すおもしろさ
RPGでは文字通り主人公のロールプレイ(なりきり)を楽しむ作品なので、みずから思考して真実へと向かっているように思えるが、じつのところ、ほぼ誘導されるような形で強制的に真実に向かっていくことになる。
一方アドベンチャーゲームでは、選択肢という形でプレイヤー自身が答えを出していかねばならない。そして選択の中には誤答もあり、正解するまでゲームが進行しなかったり、ものによってはバッドエンドへと進んでしまうものもある。つまり、プレイヤーがちゃんと真実へと向かえるかどうかは、プレイヤーの思考に委ねられているのだ。
大ヒットを果たした集英社ゲームズの『都市伝説解体センター』は、情報の組み立てをしっかりと味わえる作品だ。マルチエンディングはなく、真実に向けて推理をするゲームではないが、情報を集めて噂と真実を結びつけ、比較しながら真相へと向かう体験が味わえる。


先に挙げた『シュレディンガーズ・コール』でも、真実を探していく体験は楽しめる。通話相手の心に寄り添うゲームだが、そのためにもまずは相手が何を未練としているのかを知らなくてはならない。つまり記憶を取り戻してもらう必要があるわけだ。

記憶を取り戻す作業は、対象と近しい人と会話を重ね、断片的な情報を得ていくところから始まる。得た情報は手帳にまとめられていくので、プレイヤーは通話相手の背景にあるものを想像しながら情報を組み合わせ、記憶、そして真実を浮かび上がらせていく。

推理アドベンチャーでは断片的な事実をつなぎ合わせて真実を手繰り寄せていくことになる。しかし『シュレディンガーズ・コール』では断片的な事実だけでなく、相手の気持ちに立って寄り添う選択も真実に到達するためのパーツになるのだ。

この感情の予想はほかのゲームではあまり見られない要素。筆者は推理もので感情をベースに推理をして「異議あり!」と証拠品を相手に突きつけたところ、サイバンチョに怒られてしまった経験がある。事実と感情が分けられることは往々にしてあるのだ。しかし本作では感情由来の推理が正しくなる部分もある。相手の感情を予想するからこそ、全容が見えてきた際には相手への思い入れは深くなり、心の底から寄り添えるようになる。
真実をつまびらかにする過程においても、しっかりと心を感じられるゲームはほかにないだろう。
ボタンが重い。プレッシャーと比例して得られる達成感
その重さは、意思決定という心理的な作業により発生する。プレイヤーの思考も物語の一部となる世界で「これを直接相手に伝えていいものか」と悩み、真実を明らかにしていく過程では「本当にこれが真実なのだろうか」と逡巡する。
その決断によっては、誰かを不幸にすることもあるし、ペナルティを受けることもある。そのプレッシャーは思いの外大きく、ボタンを重く感じる。この重さは、半強制的に真実に到達するRPGではあまり経験できないだろう。この重さがあるからこそ得られる終着点にたどり着いた際の達成感は、アドベンチャーゲームならではの魅力だ。
集英社ゲームズが発売を予定している『UN:Me』というゲームは、ボタンの重さに関して、ほかに類を見ないほど重くなっていそうだ。
『UN:Me』は、少女に宿る4つの魂から、体の持ち主ではないと思われるものを、ひとつずつ消去していく物語が描かれるようだ。またどの魂を消去するのかはプレイヤーに委ねられているようで、どの魂を消すかの選択は、かなり大きな決断になりそう。どれを消しても後悔が残る可能性はありそうだが、消さないとゲームは進まない。このジレンマが生むボタンの重さは実際に体験してみないことにはわからない。しかし最後に得られる感情は、きっとプレイヤーに大きなインパクトを与えてくれるに違いない。発売が楽しみだ。
というのも、『シュレディンガーズ・コール』ではプレイヤーにも直接投げかけているかのような問いも多く登場するのだ。しかもその内容が重い。
たとえば「君の信念は“自分ひとりだけで生きていける”、“誰かのために生きていきたい”のどちらだろうか」と問われることもあれば、「君にとって本当に苦しい気持ちは“友をねたむ気持ち”と“自分を嫌う気持ち”のどっち?」と聞かれることもある。

これらは簡単に答えを出せるようなものではなく、どちらか一方のみが正解とも思えない。そして、この問いがゲームの進行に関わってくるのか、結末を変えるような問いなのかも不明。当然、決断は難しくボタンは非常に重く感じる。
少しネタバレになるが、こうした問いは各章ではなくゲーム全体を通して意味を持つ問いになっている。ただ世界観やトークテーマを匂わせるための、フレーバーとしての問いではないのだ。ここでの回答が最終的にどういった形で返ってくるのかは伏せておく。しかし重いと思った感覚が間違っていないことを十分に納得させてくれる展開になることは約束しておこう。
こう記してしまうと、きっとよりボタンは重く感じてしまうかもしれないが、それはそれでいいゲーム体験になると思うので、もしこの記事を読んで『シュレディンガーズ・コール』をプレイしようと思ってくれた人は、その重さをしっかりと噛み締めてボタンを押してほしい。
セール中の『シュレディンガーズ・コール』を遊ぼう!

『シュレディンガーズ・コール』は、この3点をしっかり味わえる感動作。実況プレイ動画もさまざまアップされているが、本作の魅力は自分の手でプレイして、感情の動き、ボタンの重さを感じてこそ真に楽しめる作品だと思う。
本作は20%オフになる現在セールを実施しているので、この機会に手に入れて、物語の結末、そして問いの意味に触れてみてほしい。
またここで紹介したタイトル以外にも、アドベンチャーゲームはたくさん市場にあり、名作も多い。腰を据えてじっくり遊べる環境でこそ楽しめる作品なので、今夏はじっくりアドベンチャーゲームを楽しんでみてはいかがだろうか?
【『シュレディンガーズ・コール』セール情報】
- 通常価格:2480円[税込]
- セール価格:1980円[税込](20%オフ)
■Nintendo Store
8/7(金)23時59分まで
■Steam
8/8(土) 2時まで
集英社ゲームズのADVゲーム
『シュレディンガーズ・コール』

- 発売日:2026年5月28日
- プラットフォーム:Nintendo Switch、Steam
- 通常価格:2480円[税込]
世界が終わる時、あなたが最後に話したい人は誰ですか?『シュレディンガーズ・コール』は、人と繋がることの痛みと救いを、まるで絵本をめくるように体験できるノベルアドベンチャーです。電話を通じて、生と死の狭間で彷徨う魂たちの心残りに寄り添っていく。これは、誰かの心残りを通して、あなた自身を照らす物語。出典:Steamストアページ
『都市伝説解体センター』

- 発売日:2025年2月13日(※)
- プラットフォーム:Nintendo Switch、PlayStation 5、Steam、iOS/Android
- 価格(ダウンロード版):1980円[税込]
呪いの箱、事故物件、異界... 「都市伝説」の正体とその向こう側にある真実... 呪物、怪異などの調査・回収を行う『都市伝説解体センター』。 その調査員である主人公が、能力者の廻屋渉とともにさまざまな依頼を解決していく、アドベンチャーゲームです。※iOS/Android版は2026年3月19日発売出典:Steamストアページ
『OPUS: Prism Peak』

- 発売日:2026年4月16日
- プラットフォーム:Nintendo Switch 2、Nintendo Switch、PlayStation5、Steam(※)
- 価格:3480円[税込]
『OPUS: Prism Peak』は、写真をテーマにしたアドベンチャーゲームです。プレイヤーは「ボウの地」に迷い込んだ中年の写真家となって、記憶を失った少女と2人で協力して、カメラを通して隠された世界の謎を解き明かしながら、「帰り道」を見つけ出す旅をします。※PlayStation 5版は2026年発売予定出典:Steamストアページ
『UN:Me』

- 発売日:2026年発売予定
- プラットフォーム:Nintendo Switch 2、PlayStation 5、Steam
- 価格:未定
『UN:Me』は複数の魂を体に宿した主人公の少女が、魂の選択と消去を重ね、不気味な精神の迷宮を脱出するアドベンチャーゲームです。あなたの"選択"により最後に残した魂。その”選択”の結果を見届けるのは、あなた。出典:Steamストアページ





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