

『BLUE REFLECTION』(以下、『ブルリフ』)シリーズとはイラストレーターの岸田メル氏が、キャラクターデザインとシリーズ総監修を務めた作品群で、ゲーム、アニメ、アプリといった形で4作品にわたって展開。本作はそのシリーズすべてを、1本で遊べる形にまとめたタイトルとなっている。

本レビューではそんな大ボリュームのタイトルを、1作目の『幻』からシリーズを追いかけてきたコアファンの目線で解説しよう。各タイトルでの共通の調整以外は、オリジナル版をまるごと収録している『幻』、『帝』については、あらためてプレイして伝えたい作品の魅力を紹介。
そしてアニメで展開した『澪』、アプリで展開した『燦』は本作でどのように再構築され、それがどのような手応えだったのかをお伝えする。なお、物語のネタバレはないので安心してほしい。
高画質化・UI改善・データベース実装など『カルテット』で進化した快適なプレイ環境

これは単純にプレイフィールが格段に向上し、「遊びやすくなった!」とすぐ感じられる変更で好感触。一度クリアーしている人も、復習のために1作目の『幻』からプレイしやすいはずだ。
あとは映像の高解像度化もうれしいポイント。シリーズでの最大のウリは岸田メル氏が描く美少女たちであり、美しくなればなるほど作品の魅力が増すというもの。また、複雑に絡み合う物語の時系列が理解しやすいように、“REFERENCE”と呼ばれるデータベースを用意。出来事を時系列順に並べたフローチャートや、キャラクター相関図などを確認できる。これは各作品の進行度合いとリンクして要素が解放されていくので、いきなり確認してもネタバレを食らうことはないので安心だ。







『幻』は大胆な変更こそないがビジュアルの向上がいい塩梅に

『ブルリフ』シリーズのアイデンティティと言えるのが、すべての女の子を岸田メル氏が描いているという点。
『幻』では主人公の白井日菜子、そして彼女をリフレクターへといざなった司城夕月と来夢のふたり。それに加えて、本作には12人もの女の子たちが登場しており、それぞれがまったく異なるデザインで、岸田氏の本気に圧倒されたのを覚えている。そしてゲームでは、岸田メル氏が描く女の子たちをいかにかわいく見せて、魅力を伝えるかという点へのこだわりが半端ない。

女の子のモデリングのクオリティに始まり、イベントや戦闘のカメラアングルなど、「おっ!」と思わせる場面が随所に用意されている。とくに雨に濡れて服が透ける表現は、発売当時は「これはヤバい」と大興奮した覚えがあり、いまあらためてプレイしてみても……やっぱりヤバかった(笑)。

そして忘れてはいけない要素といえば浅野隼人氏が手掛けたサウンド。抑えている場面はしっとりとピアノで聴かせ、盛り上げるところは疾走感のあるエレクトロニカなどでガンと前に出る曲調は、どれもゲーム史に残る名曲ばかり。


『澪』はファン必見のアニメ補完作! ふたりの距離感に悶絶必至

アニメで描かれた『澪』の物語を、主人公の平原陽桜莉と羽成瑠夏を操作しながら能動的に追いかけていく本作。
ただし、物語は第1話から追いかけるスタイルではなく、ある程度先まで進んだ形で陽桜莉と瑠夏が記憶喪失になり、記憶を取り戻しながら過去のエピソードを掘り下げるという、ゲームならではの構成となっている。

アニメのシナリオをただ眺めるだけでなく、みずからの手でプレイして体感できる形に落とし込んだのは、うまいアプローチだと感じた。アニメを観た人ほど、散りばめられた記憶の欠片でどのエピソードが補完されるのか、拾うまでのドキドキ感が味わえるだろう。

なお、アニメ版を知っている視点で見れば納得の構成だが、これが初めて触れる立場になると登場人物を知った前提での切り出しかただったため、正直わかりにくさがあるのも否めなかった。機会があればやはり原作も視聴してほしい。
ゲーム性については、一本道を平均台のように渡ったり、手をつないで崖を登ったりなどの操作はあるが、あくまで目的は記憶を取り戻すためのフラグメントの破片を集めること。

欠片はマップに表示されないが、マップ自体があまり広すぎず遠くからでも光って見えるので、取り逃す心配がないのはストレスがなくていい。

いくつかの不満点もあるにはあるのだが、それを吹き飛ばしてしまうほど陽桜莉と瑠夏の3Dモデルがかわいい。というか、立ち止まるとふたりが自然と手を握り合うのだが、友情とも恋愛とも取れる微妙な境界線が尊いなと。

『燦』はアプリ版の物語を凝縮! 手軽に世界観とキャラを追える補完作

サービスが終了し、現在はストーリーを追うことができなくなっている『燦』。そんな状況をカバーすべく、本作はアプリ版のストーリーをダイジェストで追っていく形に再構築されている。
アプリ版では戦闘ステージをクリアーしていくことで物語が解放される仕組みだったが、本作では単純にストーリーへ集中できるスタイルに変更。バトルのテンポに水を差されることなく物語を追えるため、没入感が高まっているのは素直にうれしいポイントだ。とはいえ、スマホ版のように章ごとにしっかりとキャラを深掘りしていく形式ではなく、あくまでダイジェスト。全体を通してみると、どうしても説明不足に感じてしまう場面があるのは否めなかった。

また、育成要素は戦闘でキャラのレベルを上げるだけのシンプルな形に集約。位置づけとしては『澪』同様に、ストーリーやキャラクターの補完タイトルといった面が強く出ている。
武器の作成・強化や、ガチャでの衣装集めといったゲーム的なやり込み要素がなくなったのは、やり込み好きとしては個人的に少し物足りなさも残るところ(笑)。ちなみに戦闘システムは『帝』準拠となり、コンボを重ねてギアを上げ、イローデッドに変身していく爽快な流れを再現。

アプリ版はイローデッドのキャラをガチャで当てないと変身の強さを味わえなかっただけに、全員の変身の爽快感を平等に体験できるのはありがたい。

なお、本作は主人公がシリーズ初の男性となる。アプリ版ではいろいろな選択肢が用意されていたが、基本的にひとつだけに調整され、キャラ付けの色は薄くなっていた。
『帝』は前作の強みを継承しつつRPGとしての完成度が飛躍的に進化

『ブルリフ』シリーズとしては、当時2作目のゲームとして登場した『帝』。そのため、前作『幻』からさらにグラフィックのクオリティが進化した点が印象的だったタイトルだ。
光や水の表現からキャラクターの質感、モーションにいたるまで磨きがかかり、岸田メル氏のイラストがそのまま動いているかのような感動を味わえたが、それが高解像度化によって満足度がさらにアップ。
そして最大の進化ポイントだったのが、前作の『幻』で物足りないと感じていたゲームシステムのブラッシュアップだ。とくにやり込み的な要素の物足りなさがあったが、仲間たちと交流して校内を自分好みにカスタマイズする学校開拓や、少女たちとの絆を深めるデートイベントなど、日常パートの楽しさが一気に倍増。
さらにバトルシステムも大幅に刷新されており、エーテルをためてリアルタイムでコマンドを入力していくスピード感に加えて、どのタイミングで技を使うかという戦略性が融合した刺激的なバトルへと変貌を遂げている。

そして注目のストーリーだが、じつは本作は『燦』のあとの時系列となるが、当時はまだリリースされておらず、状況を飲み込めない部分があったのも事実。だが、『カルテット』には『燦』が収録されており、そちらをプレイして最後に『帝』をプレイすれば、「そういうことなのね」と、きっと膝を打つことになるはずだ。













