ハードの制約から生まれた傑作
『メタルギア』は、コナミ(当時)から発売されたステルスアクションゲーム。全世界で圧倒的な支持を得る『メタルギア』シリーズの記念すべき1作目にして、ゲームデザイナー小島秀夫監督のデビュー作でもある。当時はファミコンブームの真っ只中だったのだが、意外(?)なことに本作はMSX2というパソコン向けに発売されている。

MSXというのはこのころ普及していたパソコンの共通規格のひとつで、MSX2はそのパワーアップ版。とは言え、アクションゲームをするには性能は十分とは言えず、表示制限などの制約が多かったようだ。しかし、小島監督はそれを逆手に取り、大勢の敵兵士や大量の銃弾を表示させずに戦争の緊張感を表現する手法を考案。それが『メタルギア』の潜入要素の誕生に繋がっていったというのだからおもしろい。
当時は敵をバンバン撃って全滅させるようなゲームがまだまだ主流だというのに、真逆の“ステルスアクション”を作ってしまったのだからすごいとしか言いようがない。なお、隠れる要素を含んだゲームは以前からいくつか存在していたようだが、ステルスアクションとしてのゲーム性が確立されたのは『メタルギア』で間違いないだろう。ギネス世界記録“GAMER'S EDITION 2008”においても本作は“ステルス要素を完全に取り入れた最初のビデオゲーム”として認定されている。

『メタルギア』と言えば、無線通信を使った会話やネタが後のシリーズでも定番になっているが、無線通信は初代作品から存在。ビッグボスやジェニファーが無線でゲームのヒントなどを話して、スネークの支援を行ってくれる。

「コレハ メイレイ ダ!! MSX ノ デンゲン ヲ キレ!! ...OVER」というメタ的なフレーズがあるのだが、これは『メタルギア ソリッド 2 サンズ・オブ・リバティ』で登場した「雷電、今すぐにゲーム機の電源を切るんだ!」という衝撃発言の元ネタのセリフ。もはやパロディーのほうが有名で、筆者は元ネタがあったことも以前まで知らなかった。

シリーズが再始動するのは1998年9月3日発売の『メタルギア ソリッド』から。ハードをプレイステーションに移し、すべてを3D化。3D空間で身を潜めながら遂行するミッションの臨場感の高さに誰もが驚かされたのではないだろうか。
GENE(遺伝子)をテーマにした物語は、アメリカのビジネス雑誌『フォーチュン』で「20世紀最高のシナリオ」と称され、セールスも600万本を超える大ヒットを記録した。本作をきっかけに、小島監督の名が世界に広く知られるようになったと言っても過言ではないはずだ。筆者も『メタルギア』シリーズに本格的に触れたのは『メタルギア ソリッド』からで、ファミ通編集部にサンプルロムが届いて起動チェックをした際、あまりにも楽し過ぎてそのまま編集部に泊まり込んで遊んだ思い出がある。
















