SNSのタイムラインに、突然お尻が現れるという奇妙なできごとを経験したことはないだろうか。
このゲームの世界では、手ではなくお尻で剣を持つ。お尻で振り下ろす鋭い剣撃で、敵を一閃する。彼らを操作するプレイヤーは技をくり出すため、一心不乱にお尻を振る。笑えるのに、真剣だ。これが一部のゲームプレイヤーのあいだで話題沸騰となっている『ケツバトラー』である。
2024年12月12日にNintendo Switch向けに発売された本作は、Joy-Conをズボンとお尻のあいだに挟み込み、お尻の動きで刀を操って相手の頭を一撃で仕留めるというルールの、一風変わった対戦格闘ゲームだ 。
出オチ感(ちょっと失礼な言いかただが)のある見た目に反し、コロコロコミックでのコミカライズや『グランブルーファンタジーヴァーサス -ライジング-』(以下、『グラブルVSR』)とのコラボを実現。さらに、格闘ゲームの祭典EVO JAPAN 2026のサイドイベントに選定されるなど、予想外の展開をつぎつぎと巻き起こしてきた。
直近では、大型アップデートであるVer2.0の情報も公開。既プレイヤーにとっても、まだ本作をプレイしたことがない人にとっても、いまが『ケツバトラー』史上、もっともお尻がアツいシーズンとなっている。
しかし、諸君は、このゲームのことをどのくらい知っているのだろうか。ゲームの魅力をもっとシリたい……。そんな人のため、ファミ通.comでは、本作の開発を行うトモぞヴP氏に加え、『ケツバトラー』のコミュニティーを牽引するトッププレイヤーのKOH藻氏とソウ氏の計3名にインタビューを実施した。
本稿では、開発者とプレイヤーの視点から、誰もシリ得ない『ケツバトラー』の魅力を掘り下げていく。
この夏、シリが割れる。

■インタビュー参加者
トモぞヴP
面白法人カヤック所属。『ケツバトラー』では開発から広報まで、幅広くゲームに携わる。
KOH藻(こうそう)
『ケツバトラー』プレイヤー。Cygames Cup 2026『ケツバトラー』部門優勝を果たす。大会を主催するなど、コミュニティーリーダーとしても活動。2026年8月16日には、第7回ケツバトラーオフライン交流会も開催予定。
ソウ
『ケツバトラー』プレイヤー。EVO JAPAN 2026の『ケツバトラー』部門優勝を果たす。SNK World Championship 2025にて『ART OF FIGHTING 龍虎の拳 外伝』部門優勝を果たした実績も。
※本インタビューは2026年6月に実施しています。ゲームの方向性をケッ定づけたのは“刀を持ったケツだけ星人”
――まず、トモぞヴP氏にお訊きします。そもそもなのですが、なんでこのゲームはお尻で剣を持っているのでしょうか。ふつうに生活していると、まず出てこない発想だと思うのですが……。

マンガ版『ケツバトラー』より。©高出なおたか ©面白法人カヤック/小学館
トモぞヴP
いきなりですね(笑)。もともとこのゲームは、Unity1週間ゲームジャムというイベントに応募したゲームがベースになっているんです。
――1週間でお題に沿ったゲームを作るというイベントですよね。
トモぞヴP
そうです。そのときのお題は、“ワンボタン”でした。そのときに作ったのが、Webブラウザ上でも遊べる『決刀(けっとう)』というゲームでした。

――あっ! すでに『ケツバトラー』の面影が。
トモぞヴP
この時点でほぼほぼ『ケツバトラー』の遊びはでき上がっていましたね。
――お尻のことはとりあえず後で聞くとして……、『ケツバトラー』のゲームシステムはどういったところからアイデアが生まれたのでしょうか。
トモぞヴP
ワンボタンでプレイできるゲームというと、連打やタイミング合わせなど、考えられる遊びのバリエーションが少なくて同じようなゲームになりがちです。そこを差別化するために、タイミングの遊びに駆け引きを持たせようと考えたんです。重力を考慮して戦ったり、相手の頭を狙ったりといったルールは、駆け引きを演出するために設定しました。
――ゲームルールだけでもかなりユニークですが、もっともユニークなのは、やはりお尻……。
トモぞヴP
これは本当に思いつき以外の何物でもないです。開発中のメモが残っていたのですが、そこには「ケツだけ星人(※)が刀を持っている」と書かれていました。

発見されたメモ。SAMURAI。


開発中のスクリーンショット。
※ケツだけ星人:臼井儀人氏によるマンガ『クレヨンしんちゃん』でしんのすけが扮するキャラクター。腰を折って身をかがめ、お尻だけの姿になる。――「書かれていました」と言いますが、書いたのはトモぞヴPさんですよね(笑)。
トモぞヴP
これを書いた瞬間、「あ、これはもうできたな」って感じでした。そのときは、まさかこんなに大きな企画になるとは思っていませんでした。その後、コロコロコミック編集部主催の“第二回コロゲープロジェクト”というゲームコンペイベントがあって、それに応募したところ特別賞をいただくことができました。そうしてコロコロコミック編集部さんのご協力のもと、『ケツバトラー』をリリースしたという経緯があります。
――週刊コロコロコミックでマンガが連載されているのも、そういった経緯があったからなんですね。マンガ版についても、新しい話がアップされるたびに話題になっています。
トモぞヴP
マンガについては作者の高出なおたか先生とコロコロコミック編集部さんにお任せしています。キャラクターデザインなどについては、いったん我々のほうで考えていて、氷月と悪月みたいなアップデートで逆輸入させていただいたキャラクターもいます。

マンガ版からゲームに登場している悪月(おげつ)と氷月(ひょうげつ)。
――「お尻と同じだ」など、ネットミームにもなる名言も頻出していますが、ああいった名言はどうやって生まれたのでしょうか。

マンガ版『ケツバトラー』より。©高出なおたか ©面白法人カヤック/小学館
トモぞヴP
ほぼすべて、高出なおたか先生のアイデアです。先生は天才だと思います。ストーリーの構成についてもお任せしていますが、自分としてはケツバトラーたちが戦うトーナメントがあるくらいのシンプルなシナリオを想定していたのですが、あんなに大スペクタクルになるとは思っていませんでした。

マンガ版『ケツバトラー』より。©高出なおたか ©面白法人カヤック/小学館
――少年マンガらしいアツい展開ですよね。ちなみに、ゲーム側の開発は、どのくらいの人数で行っているのでしょうか。
トモぞヴP
『ケツバトラー』のプロジェクト開発にかかわるスタッフはごく少数で、モデリングやキャラクターデザイン、契約周りなどはほかのメンバーに任せているのですが、それ以外の開発周りに関するほとんどは自分ひとりで行っています。
――広報活動も含めてですか?
トモぞヴP
自分でやっています。新しいキャラクターとか新モードを追加するときは近くにいるスタッフに声をかけてちょっとプレイしてもらうことはありますが、それ以外はほぼほぼ自分が作業しています。
――ではトモぞヴPさんが本作のブレインなんですね。
トモぞヴP
ブレインというか、お尻というか。

――プレイヤーであるKOH藻さんとソウさんにもお聞きしたいのですが、それぞれどういったきっかけでこのゲームを知ったのでしょうか。
KOH藻
最初のきっかけは、トモぞヴPさんが手掛けた『スゴイツヨイトウフ』でした。そこからトモぞヴPさんの情報を追っていたら、また変なゲームが出るようだと知ったのがきっかけです。
――また変なゲームが出るようだと(笑)。

『スゴイツヨイトウフ』ゲーム画面
KOH藻
トモぞヴPさんが作るゲームは全部変なゲームなんですけど、全部おもしろいんですよ(笑)。
ソウ
自分はふだんは対戦格闘ゲームをメインでやっていまして、格闘ゲームの知り合いから「こんなゲームがあるよ」と教えてもらったのがきっかけです。
――おシリ合いから。
ソウ
GBVS Cygames Cup 2026というゲーム大会があって、そこで『ケツバトラー』の大会が開催されていたこともあり、また大会があるんじゃないかと思ってノリでプレイし始めたのが最初ですね。
>2:00:00付近から『ケツバトラー』トーナメント
――ノリで始めたのにEVO JAPAN 2026で優勝できるほどの実力に。
ソウ
始めたのは2026年2月くらいだったと思います。ゲームシステム的にはシンプルなので、誰でも始めやすいゲームだったことが勝因ですね。自分がメインでプレイしているのはほかのゲームなのですが、少し前に世界大会が終わって、つぎの大会までの休止期間にプレイしようと思ったのが『ケツバトラー』でした。どうせやるなら大会で優勝したいと思って、けっこうやり込んだ自負はあるんです。
トモぞヴP
約3ヵ月のプレイでも世界王者になれるのが『ケツバトラー』となっております。
――アピールも欠かさない開発者の鑑。EVO JAPAN 2026の大会をご覧になって、トモぞヴPさんはどんな感想を持たれましたか?
トモぞヴP
ロイシー一強なのかなと思っていたんですけど、けっこういろいろなキャラクターを使ってくれる選手が出場していたので、いい意味で想定外でした。どの試合もすごくドラマチックでしたし、開発者にとってこんなうれしいことはないですよね。
――本作をやり込んでいるおふたりに聞きたいのですが、ここまでハマってしまった理由についてもお聞かせください。

KOH藻
絵面がおもしろすぎる、という一点に尽きます。ゲーム自体も熱い戦いになりますし、真剣にお尻を振っている人を観ているだけでもおもしろいです。この“観ているだけでもおもしろい”というのは、対戦ゲームとして本当に大きな魅力だと思っています。
――見た目的にはおもしろいんですけど、本人は超真剣なんですよね。
KOH藻
そうなんです。かなりリアル体力を使うゲームなので体力配分が重要で、お尻を振りすぎると疲れるというのもよくできていますね(笑)。一撃で決着するから攻め続けたい、でも攻めすぎると疲れてしまう。そのちょうどよいバランスがうまくできているなと思っています。
――格闘ゲームではこれだけ体を動かすゲームは類を見ないですし、本当に“スポーツ”ですよね。
KOH藻
自分はほかに『リングフィットアドベンチャー』のリアルタイムアタックもやっていて、体力には自信があったんです。なので、このゲームも体力というアドバンテージがあるので、いけるだろうという考えもありました。
――フィジカルも重要というのがかなり珍しいゲームですよね。ソウさんはいかがでしょうか。
ソウ
個人的にいちばんの魅力だと感じているのは、事前知識なしで遊べるところです。格闘ゲームって奥深いゲームシステムで、やり込めばやり込むほど強くなれるというのは魅力ですが、反面練習しないと対戦が成立しないハードルがあります。ですが、『ケツバトラー』は遊びかたの説明を見るだけですぐにプレイできる。
――基本的な操作は、お尻を振るだけですからね。
ソウ
はい。そのプレイしている見た目がおもしろい(笑)。ゲームの画面ではなく、プレイしている人の姿自体がおもしろいというのは、ほかにないんじゃないでしょうか。通常の対戦格闘ゲームでは、勝敗が決まる瞬間が盛り上がりどころですが、このゲームはゲーム画面を観ていなくてもおもしろいからズルいですね。
――やっぱりお尻。お尻はすべてを解決する。
トモぞヴP
観ているだけでもおもしろいというのは狙いどおりではあるんですが、ここまで話題になるとは思っていなかったので、正直驚いています。もともとコロコロコミックさんといっしょに作り始めたということもあり、シンプルなパーティーゲームのつもりで作っていたんです。
――もともとは、競技ゲームではなくサッと遊べるゲームのつもりだったと。
トモぞヴP
現在使われている“燕返し(※)”、“パイルバンカー(※)”、“チャキ(※)”みたいなテクニックは、競技シーンのスパイスになればと思ってゲームに仕込んでいるものもあって、こういったテクニックも駆使されて対戦が盛り上がればいいなという気持ちでもあったはあったのですが……、どうやらちょっとどころではなかった(笑)。
※燕返し:突き攻撃のあとに即座に刀を振って頭を狙うロイシーの強力なテクニック
※パイルバンカー:ムテキタロウのケツ奥義で剣が巨大化する瞬間に相手の頭を攻撃するテクニック
※チャキ:ナルメアのケツ奥義“胡蝶刃・決気舞”で相手を攻撃したあと、ナルメアの構えが変化するときに刀の向きが「チャキ」っと変わるのを利用して相手の頭を狙うテクニックKOH藻
この“燕返し”みたいなテクニックは、開発段階から意図していたものなのでしょうか。個人的に気になっています。
トモぞヴP
だいたいのテクニックは開発中にも鱗片みたいなものはあって、「研究したらこういうことができるだろうな」とは考えています。プレイヤーの皆さんが研究してテクニックに昇華してくれるだろうと、あえて残しているものもあります。ただ、唯一ロイシーの壁蹴り(※)だけは、明確に開発者でも意図していないテクニックで、「やられた」と思った瞬間でした。
※壁蹴り:ステージ左右の見えない壁に剣を叩きつけることで、反対方向への推進力を得るテクニック。なお、ロイシーに限らず、一定以上の機動力のあるキャラクターも使用できる――ついにプレイヤーが開発者を越えてしまったと。
KOH藻
最初にテクニックをやり始めたプレイヤーがいて、自分でも練習してできるようになりました。コミュニティーはけっこう幅広くオープンなので知りたい情報が交換しやすく、けっこう温かい界隈になっています。
――KOH藻さんは攻略Discordサーバーを運営していると聞いていますが、いま何人くらいいるんですか?
KOH藻
おかげさまで、100人を越えました。Cygames Cupから爆発的にプレイ人口が増えた印象があります。対戦格闘ゲームをしている人も参加されていますし、いろいろなタイプのプレイヤーがいる印象です。

マンガ版『ケツバトラー』より。©高出なおたか ©面白法人カヤック/小学館
トモぞヴP
すごいですね。自分はメンバーには入っていないのですが、偽名で参加してみようかな(笑)。
KOH藻
ゲームの話題もそうですが、マンガが更新されたときもそれについて会話したりして、すごく盛り上がっていますよ。
トモぞヴP
本当にありがたいです。チャキについては、原型となる挙動を開発中に発見して「これで相手を倒すの気持ちいいな」って思ったので、途中からはその動きができること前提で性能を組み立てたんです。ちゃんとその使いかたが広まってくれてよかったと思っています。
――そういったテクニックは格闘ゲームっぽい要素ですが、通常の差し合いについても剣道のような刹那の技の応酬がありますよね。
トモぞヴP
おっしゃるとおり、最終的には剣道とか、侍の戦いみたいなふうになっていくんだろうなと思っていました。GBVS Cygames Cup 2026の準決勝で、あの回避しにくい豪傑のケツビームを完全に回避するシーンがあってすごく盛り上がったのですが、あれを観たときに、「このゲームは対戦ツールになれたな」と感じていました。
ただそれと同時に、初心者が闇雲に攻撃を振り回しているだけでも、それはそれでパーティーゲームとして成立するというラインは崩さないようにしています。子どもどうしがチャンバラをするだけでも楽しいし、その先には剣道のような駆け引きの楽しさもある。同じルール、同じ状況でどちらも成立しうる、そのバランスを大切にしています。ビギナーと熟練者が対戦しても、めちゃくちゃに攻撃してたら1ラウンド取れるようなこともありますし。
――ある程度のランダムさというか、番狂わせがあるようなゲームバランスでないと、詰将棋みたいになっておもしろくないですからね。
トモぞヴP
本当にそのとおりで、プレイしていておもしろくないようなゲームバランスにはならないように気をつけています。
――“敷居が低く奥が深い”というのは対戦ツールとしての目指すべき部分だと思います。意外というと失礼かもしれないのですが、『ケツバトラー』ってちゃんと作っているんですよね。
トモぞヴP
お尻の一発ネタのゲームだと思われがちなんですけど、ちゃんと作っています(笑)。
――作っているからこそ、EVO JAPAN 2026につながったのだと思います。プレイヤーのおふたりから見て、このゲームの奥深さはどこにあると感じますか。
トモぞヴP
ふたり……お尻と同じだ……。
ソウ
ゲームシステムはシンプルなのですが、熟練者どうしの戦いになるとものすごく奥が深いゲームです。お尻で操作するので、思いどおりの動きをしようとすると、針の穴を通すような操作が必要になります。
KOH藻
刀で頭に攻撃を当てると勝利できるのですが、その喰らい判定の範囲が絶妙なんです。少しでもずれると当たらないので、精度の高い動きが必要になります。刀と刀がぶつかり合うつばぜり合いの駆け引きも非常に繊細だと感じますね。
――どのゲームでもそうですが、熟練者どうしの戦いになると卓越した操作が必要になるんですね。
KOH藻
けっこう判定が怪しいときがあるんですけどね(笑)。喰らい判定ってグラフィックどおりなんでしょうか。
トモぞヴP
おおむね、見た目どおりの判定になっていますよ。なっているはず。
ソウ
ただ、これは熟練者でのお話で、ゲームを見てわかると思いますが、ハードルはものすごく低いゲームです。お尻を振りまくればとりあえず戦いにはなるので、ほかの対戦格闘ゲームと比べると楽しさを感じるまでが速攻です。
――お尻を振って楽しくないわけないですからね。ゲームがここまで愛されているのはそういったゲームとしてのおもしろさもあると思います。一撃決着というルールが特徴ですが、こうした理由もお聞かせいただけますか?
トモぞヴP
もともと面白法人カヤックが作るゲームはスマートフォンで遊ぶハイパーカジュアルゲームなどのシンプルなゲームが多く、そのようなものを作る方向が自分にも合っていたというのがあります。また、体力ゲージ制にしてしまうと、お尻を振って戦うというおもしろさが薄まってしまう気がしたんです。一撃決着のほうが緊張感がありますし、ゲームの本質的なおもしろさをより純粋に引き出せると思ったので、こういったシステムにしました。
KOH藻
本当に緊張感があってヒリつきます。意外とあっさりと決着することもありますが、ラウンド制なので1試合にかかる時間も短すぎず、長すぎずで絶妙な気がしますね。体力制だと中だるみしそうですし、後半は自分の体力がなくなって戦えなくなりそうです。
ソウ
3本先取したら勝ちですというルールなので、試合を荒らして勝つみたいなことが起こりにくいのも競技ゲームとして優れていると思います。
トモぞヴP
めちゃくちゃ褒めてもらえて、逆に怖いです(笑)。
――一撃で決着がつくので、“令和の『ブシドーブレード』(※)”みたいな感想もありますね。影響を受けた部分はあるのでしょうか。
※ブシドーブレード:スクウェア(当時)から1997年にリリースされた対戦ゲーム。急所に攻撃をヒットさせれば、一撃で相手を倒せるゲームシステムが特徴。トモぞヴP
あまり表立って言うことはないのですが、ゲームシステムとしてはかなり影響を受けた部分があります。一撃で決着がつくので、タイトル案として『一撃決闘ケツバトラー』というアイデアもあったのですが、『ケツバトラー』という言葉の力強さ一本で勝負したほうがおもしろいだろうということで、現在のタイトルになりました。
――シンプルですがインパクトがあるので、正解だったのではないでしょうか。そもそも“ケツ”という単語が強すぎる(笑)。
『グラブル』コラボ誕生秘話をシリたい
――『ケツバトラー』がこれほど競技ゲームとして成熟したことについて、開発者としてはどう感じていますか。
トモぞヴP
開発していたときに「大会もできたらいいな」といったことはぼんやりと考えていたのですが、ほぼ希望が叶ってしまったという印象です。ありがたいことだと思いつつ、こないだのEVO JAPAN 2026の会場では、ついに開発者である私もKOH藻さんに1ラウンドも取れなくなってしまいました。いまでは「世の中に怪物を生み出してしまったな……」と反省しています(笑)。
KOH藻
怪物呼ばわりされてる(笑)。
――2026年1月のアップデートでは、『グラブルVSR』とのまさかのコラボが大きな話題になりました。これはどういった経緯で実現したものだったのでしょうか。



トモぞヴP
これは本当に偶然なんです。我々『ケツバトラー』サイドからすると、完全に晴天の霹靂でした。『グラブルVSR』のクリエイティブディレクターを務める福原哲也さんが、「ナルメアとベルゼバブを『ケツバトラー』に出してほしい」というお話を持ってきてくださったんです。
――完全に名指しで。
トモぞヴP
最初は冗談かなと思ったんですよ。ですが、進めていくうちにどうやら向こうが本気だということがわかって。あ、冗談じゃなかったんだって(笑)。
――会社間のお話でしょうし、冗談ということはないのでは(笑)。
トモぞヴP
まあよくよく考えればそうなのですが。どこでこういったお話が生まれたのか、というのを福原さんに聞いたら、声優の安元洋貴さんがWebの配信番組で『ケツバトラー』を遊んでくださったことがあったようなんです。
安元さんはアークシステムワークスさんの『ブレイブルー』にも出演されているのですが、私がXで「『ブレイブルー』ファンだったので安元さんにプレイしていただけてうれしい」とポストしたところ、当時の『ブレイブルー』のプロデューサーだった森 利道さんが引用リポストをしてくださったんです。そこで森さんが『ケツバトラー』を知り、森さんが福原さんを誘って『ケツバトラー』をプレイした……というのが、福原さんが『ケツバトラー』を知った理由だったようです。
――ものすごい遠くまで波及している……。まるでバタフライエフェクトですね。
トモぞヴP
いろいろなことが重なって成立した企画なので、自分としてはうれしかったですし、それ以上に驚きました。
――GBVS Cygames Cup 2026でのコラボ発表は、会場もSNSもかなり話題になりました。
トモぞヴP
最初にベルゼバブをドーンと出して、映像が終わったあとにサプライズでナルメアを発表しました。この発表は最後の最後まで隠し通せて本当によかったと思いました。
KOH藻
発表時には驚きすぎて現地で地に伏していました(笑)。本当にびっくりしました。驚きすぎてNoteでテキストを書いたくらいです。
――あそこまで盛り上がると、開発者冥利に尽きるのではないでしょうか。
トモぞヴP
ああいうキャラクター発表とかサプライズって、ゲーム開発者なら一度はやってみたいことだと思うんです。まさか『ケツバトラー』でああいうサプライズをできる瞬間が来るとは思っていませんでした。言ってしまえば、『ストリートファイター6』にティファが登場するとか、そういった次元の話ですよね。これ以上ない形で、実現できたと思っています。
――プレイヤーのおふたりにお聞きしたいのですが、この記事を見て『ケツバトラー』に興味津々な人が大量発生していると思います。ぜひ、ビギナーに向けて本作のおすすめキャラクターを教えてください。
ソウ
勝ちを目指すならロイシーです。いまの環境では最強と言っていいと思います。格闘ゲームから参入してきた勝ちにストイックな人は、ほぼ全員ロイシーを使っていますね。

――勝ちにこだわりたいなら、ロイシーと。
ソウ
ただ、ロイシーが強いと言いつつも、本作はけっこうバランスが取れているし、まったく勝負にならない組み合わせはないので、好みのキャラクターを使っていいと思います。SHINOPIなどケツ気(ゲージ)が溜まりやすいキャラクターは必殺技を連発できて爽快感があるので、そういったキャラクターもビギナーにはおすすめです。逆に氷月やナルメアはちょっと操作が難しいです。
トモぞヴP
ナルメアはふたつの構えを切り替えて戦うという原作再現を目指して作りました。
――構えがふたつ……お尻と同じだ……。
トモぞヴP
操作が難しいぶん、慣れるとおもしろい性能になっていると思います。
ソウ
ナルメアはたしかに難しいですが、かなり良キャラで個人的にはおすすめです。自分もよく使っていますが、慣れるとその操作のおもしろさはゲーム内でも随一だと思っています。最初に触るなら、ロイシー、氷月、SHINOPI、ナルメアがゲームのおもしろさを知るには丁度いいキャラクターですね。
――EVO JAPAN 2026では、SHINOPIのケツ奥義連発戦法が印象的でした。

KOH藻
SHINOPIはゲージが溜まりやすいので、ケツ奥義を連打する戦法が強いんです。プレイヤーが必死でお尻を振りまくれば、そのプレイスタイルとキャラクター性能が相まって、ものすごい勢いでゲージが溜まっていきます。
トモぞヴP
メタ(流行戦術)の変遷でいうと、去年まではゴリラ(本当にゴリラという名前のキャラクターがいる)が上位キャラクターだったんですが、ロイシーが研究によって強くなりすぎたことと、ベルゼバブがゴリラに相性的に有利ということで、重量級のキャラクターを使うならベルゼバブという流れになってゴリラの需要が少し下がりました。

――ベルゼバブはゴリラに有利(笑)。ゴリラの需要(笑)。
トモぞヴP
ただ、ゴリラはSHINOPIへのカウンターピックとして独自の立ち位置はあるので、まだまだ見かけるキャラクターですね。
――こういうシンプルなゲームでも、きちんと流行の戦術が変わっていくのがおもしろいところですよね。
トモぞヴP
イベントなどで初めて遊ぶという小学生のプレイヤーを見ても、ちゃんと一定の流行の回りかたをするんですよ。まず、全員ゴリラを使います。
――ゴリラは見た目的に小学生が好きそうなデザインですしね。
トモぞヴP
何回か遊ぶと、ゴリラに対して悪月が有利に戦えることに気がつくので、プレイヤーが悪月に流れていく……という流れを必ずたどるんです。これは意図して設計したものなのですが、きちんと機能しているのを見るとうれしいですね。ただ主人公のデンスケは……ちょっと弱すぎてしまったので、なんとかします。
――アップデートの予定があるというのは、Xでも匂わせの告知をされていましたね。
トモぞヴP
近々アップデートを予定しています。いろいろと痒いところに手が届くものになっているので、プレイヤーの皆さんには楽しみにしていただきたいです。
――プレイヤーの視点から、今後改善してほしいと思う点はありますか? この機会に伝えるのもアリかと。
KOH藻
自分はけっこうバグ報告という形で、DMでいくつかお送りさせていただいています。この場で言うなら、SHINOPIのホーミング周りの挙動が改善されるといいかなと思っています。
トモぞヴP
いつもありがとうございます! SHINOPIのホーミングの挙動は修正対応が完了していますので、アップデートをお待ちください。
ソウ
自分としては1ラウンドに時間制限があるといいかなと思います。現在は相手を倒さない限りラウンドが終わらないので、ガチ対戦向けにはタイムアップがあるとメリハリが効くと思います。ただ、何を判定に勝敗を決めるのか……が問題ですが。
トモぞヴP
某ゲームみたく、一触即発のサドンデスを導入するとか……?
ソウ
そういうシステムもおもしろそうですね。
『ケツバトラー』はまだまだおもしろくなる! 開発者のケツ意
――グッズ制作の要望もプレイヤーから上がっているようです。たとえば、プレイヤーが自作しているJoy-Conの固定ベルトのようなものなど。
トモぞヴP
Joy-Conをセットできるベルトについては、けっこうリクエストをいただいています。ですが、大量生産となると弊社では流通とか製造ができないのが現状です。逆に言えば、そのあたりがクリアーできるのであれば、ぜひ作りたいと思っています。HORIさん、いかがでしょうか!?(笑)
KOH藻
私からもぜひお願いしたいです。自分は『ケツバトラー』の大会イベントを運営していて、そこで使うようにベルトを自作したりしているのですが、オフィシャルのものが販売されれば、ぜひ購入したいです。
――大会ではそれぞれ自前のベルトを持っていたりして、なんだかプロフェッショナル感がありますよね。『ケツバトラー』はワールドワイドで販売されていますが、海外での人気はいかがでしょうか。
トモぞヴP
ニンテンドーeショップでは英語版もリリースしているのですが、宣伝が十分にできていなくて売上はほとんどはない状態です。ただ、不思議なことにブラジルだけちょっとだけ売上があって。
――失礼な想像なのですが、ブラジルの方は強靭なフィジカルを持っていそうなので、なんとなく『ケツバトラー』が強そうなイメージがありますね。サンバもありますし。
トモぞヴP
適当なこと言いますね(笑)。ブラジルのどこかで強豪が生まれていて、いつかその人と日本の強豪が戦うみたいな展開があったらおもしろいですね。
――ブラジルのケツバトラーが日本で倒されて、「ブラジルには俺よりも強いケツバトラーがごまんといるぞ」みたいな。
トモぞヴP
そんな日を夢見て、今後も『ケツバトラー』を盛り上げていきたいと思っています。
――最後に、全世界のケツバトラーに向けてメッセージをお願いします。
トモぞヴP
KOH藻さんやソウさんをはじめ、いま『ケツバトラー』を楽しんでくれているプレイヤーの皆さん、本当にありがとうございます。『ケツバトラー』はご覧のとおり、ガチ対戦ツールとしても、ご家庭のパーティーゲームとしても楽しめる、ふたつでひとつのゲームです。
――ふたつでひとつ。お尻と同じだ……。
トモぞヴP
「お尻と同じだ」なんて話をするゲームの会議をしているのは、世界でここだけだと思っています(笑)。今日のお話にあったことも含めて……ちょっとだけ言わせてください。『ケツバトラー』はまだまだおもしろくなっていきますので、ご期待ください。あと、コラボなどのアイデアがある企業さまは、ぜひ面白法人カヤックまでご連絡ください。お待ちしています。
――会議の場で「ふたつ」みたいなワードが出ると、「お尻と同じだ」って誰が早く言うかで競ってそうですよね。
トモぞヴP
競ってますよ(笑)。
――(笑)。

マンガ版『ケツバトラー』より。©高出なおたか ©面白法人カヤック/小学館
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