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【ボボステ】舞台『ボーボボ』主演の加藤将さんたちから2.5次元舞台の魅力を教えてもらう

【ボボステ】舞台『ボーボボ』主演の加藤将さんたちから2.5次元舞台の魅力を教えてもらう
 2.5次元舞台に興味がある。興味はあるが、何となくハードルの高さを感じていた。フレンドリーな作品はないものかと、ぐるぐる悩んでいた僕の前に舞い降りたのが、2024年10月公開の舞台『超ハジケステージ☆ボボボーボ・ボーボボ』だった。通称“ボボステ”。
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 週刊少年ジャンプで連載され、アニメも奇妙な人気を博した伝説のギャグマンガ『ボボボーボ・ボーボボ』の舞台化作品である。どうしてそんなことするんだ。
※記事本文中にある舞台写真は、2024年10月公開『超ハジケステージ☆ボボボーボ・ボーボボ』の、サムネイル画像の背景は2026年6月公開『超ハジケステージ☆ボボボーボ・ボーボボ ~因縁!鼻毛!決戦!~』ものです。【ボボステ】舞台『ボーボボ』主演の加藤将さんたちから2.5次元舞台の魅力を教えてもらう
(C)澤井啓夫/集英社・ボボステ製作委員会
 このときはスケジュールの都合で観劇できなかったが、2026年6月12日~6月21日に第2弾公演が実施された。その名も『超ハジケステージ☆ボボボーボ・ボーボボ ~因縁!鼻毛!決戦!~』。僕は思い立った。

 要するに『ボボボーボ・ボーボボ』の2.5次元舞台。作っている人は2.5次元舞台の専門家だから、教えてもらおう。
【ボボステ】舞台『ボーボボ』主演の加藤将さんたちから2.5次元舞台の魅力を教えてもらう
この人たちに。
 本番の少し前、脚本・演出の川尻恵太さん、主人公ボボボーボ・ボーボボ役の加藤将さん、首領パッチ役の鯨井康介さん(上の写真の左から順に)の時間がたまたま空いていた。いやー、そんな偶然あるんですね。

 では、満を持して教えてもらおうではないか。

ユースケ
 よろしくお願いします。最近、2.5次元舞台に興味があるんです。観劇デビューをしたいので、2.5次元舞台の魅力を教えてください。

川尻
 どうしてそれを我々に聞くんですか?

ユースケ
 わあ。

 そんな気はしていた。ここで「
『ボーボボ』はデビューに最適ですよ!」と言われたら怖すぎるなという不安もあった。この人たち、信頼できるぞ。

 なお、この取材は前回公演を配信で楽しんだ後に行っている。で、話を聞いてから数日後、6月12日に実施されたゲネプロを拝見したのだが、結局よくわからないままだった。疑問はひとつも解消されていないのものの、お話はすごくおもしろかった。せっかくなので記事として残しておく。

 僕はボーボボワールドに迷い込んでしまったので、読者も道連れにしたいのである。
【ボボステ】舞台『ボーボボ』主演の加藤将さんたちから2.5次元舞台の魅力を教えてもらう
自己紹介が遅れました。この記事を担当しているミス・ユースケと申します。前回公演を参考に、いろいろ教えてもらおう。

頭の中をボーボボにしないとやっていけない

川尻
 2.5次元舞台の裏口入学として『ボーボボ』は最高ですよ。

ユースケ
 裏口。

鯨井
 正規のものじゃないかもしれないけど、原作の再現度が2.5次元舞台の大きな魅力だとすると、かなりすごい作品です。

川尻
 そうですね。見るだけで楽しめますから。

鯨井
 「あれがこうやって出現するのか」、「原作の世界をこうやって見せるのか」。舞台の制作手法に関してはすごくハイレベルだと思います。
【ボボステ】舞台『ボーボボ』主演の加藤将さんたちから2.5次元舞台の魅力を教えてもらう
ハイレベル。[(C)澤井啓夫/集英社・ボボステ製作委員会]
川尻
 外国の方でも楽しめるんじゃないかな。言葉がわからなくてもいいですから。日本語がわかっても意味はわからないので。

鯨井
 セリフを言っている僕もよくわかってないです。

加藤
 すごい言葉をいっぱい言わされますもんね。

ユースケ
 前回の公演を配信で拝見しました。まぁ~すごいですよね。緩急がない。ずっと急。念のためお聞きしたいんですけど、2.5次元舞台ってこれで合ってますか?

鯨井
 合ってますよ。これが、これこそが2.5次元舞台です。

川尻
 聞かれたらそう答えられるようにしています。
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ユースケ
 『ボーボボ』が舞台になると最初に聞いたとき、(加藤さんと鯨井さんの)印象はどうでした?

加藤
 「……まじか?」です。

ユースケ
 主演が頭を抱えることから始まるインタビューってないな。

加藤
 「舞台になるのかー。……どうやって?」ですよね。20代の頃から2.5次元舞台をやらせてもらっていて、『刀剣乱舞』とか『テニスの王子様』とか、かっこいいキャラクターもの=2.5次元舞台のイメージでした。ボーボボはいろいろな意味でかっこいいですけど、どう考えても王道のかっこよさじゃない。

加藤
 できるのかなと疑問はあったんですけど、気になりすぎるから「やりたい!」と食いついて、そこから「どうなるんだろう……」と不安を1年半くらい引きずりながら過ごしました。

ユースケ
 「ほんとにボーボボになったらどうしよう」って不安としては斬新すぎる。

加藤
 (2024年の)エイプリルフールに発表されて、まじでやるんだとハッとしました。それまでずっと嘘だと思っていたので。

川尻
 もっと信じてほしいな。
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この人が、
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こうなる。
加藤
 演出が川尻さんだったから、ほんとにやるんだなと実感が沸きましたけど、まさかほんとにやるとはね。

ユースケ
 加藤さん、いまだに疑っている気がする。鯨井さんはいかがですか?

鯨井
 僕は今作から参加なんですけど、前作の盛り上がりは聞いてましたし、話題作に出させていただける喜びは大きかったです。最近の2.5次元舞台の流れは『テニスの王子様』から始まって(※)、どうやって舞台上でテニスをやるのか話題になりましたよね。「どうやって」がキーなんです。
※2.5次元舞台のルーツは1974年に宝塚歌劇団が上演した『ベルサイユのばら』と言われている。昨今のブームの火付け役は2003年の『ミュージカル「テニスの王子様」』説が濃厚。
鯨井
 想像を超えてきた作品たちがお客様に愛されていく。そういうものを見てきた中で、『ボーボボ』に関しては、もうひとつ深いところにいる気がして。原作ではつぎのコマでボーボボが急に車になったりするわけですよ。これをどうやってリアルで再現するのか。「どうやってやるの?」の宝庫ですよね。
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鯨井
 それを川尻さんとか将ちゃん(加藤将氏)たちが初演でしっかり作り上げた。成功させたんですよ。それがこのボボステのすばらしいところ。オファーをいただいたとき、「これはきっとすばらしいものなんだ」と安心して参加できました。

ユースケ
 ……。

加藤
 どうしました?

ユースケ
 冗談みたいな話を聞きに来たつもりなんですけど、予想外にアツくて若干引いています。そこまで言わせる役作りってどうやったんですか?

加藤
 それは僕もめっちゃ悩みました。思ったんすよ。鯨井君がさっき言ったように、つぎのシーンで車になったりナスになったり魔女っ娘になったり大砲になったり。

ユースケ
 それは人間には不可能じゃないですか?

川尻
 ……ねえ?

加藤
 もうわけわかんなくて、前回すごく悩んだんですよ。もちろん基本的なやることはちゃんとやってるんですけど、根本的な部分が(一般的な役とは)違う。前回の公演は全体で2時間40分あって、初演というか予告編なんですけど……。

ユースケ
 予告編だったの!?

加藤
 その前にずーっと考えました。仕事をいっさい入れないでほしいと2週間お休みをもらって、頭の中をボーボボにしたんです。
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“頭の中をボーボボにする”ということを丁寧に説明する加藤さん。ジャンプ作品における修業パートである。
加藤
 アニメを全部見てマンガを全巻読んで、ボーボボ脳でいかないと無理だと判断しました。役作りはいろいろなやり方があります。役者の皆さんそれぞれ。真剣にやったつもりなんですけど、ボーボボはいままでとは違う感覚がある。ここでやり取りしてるのにシーンが変わった瞬間に急に別人みたいなやつがしゃべり出すみたいな。つながらないんですよ。つながらなくてもいいというところまで行きついたけど、後で「じつはつながっている」と川尻さんから教えてもらいました。

加藤
 前回の最終稽古の頃かな、川尻さんとご飯に行ったときに相談したら導いてくれた言葉があって。それは「ボーボボにはマルハーゲ帝国を潰すという目標がある。だから相手を油断させるんだ」ということ。ボーボボは「隙あり!」とよく言うんですけど、ほんとに隙ありなんです。おかしなことをやって相手が乗ってきたら攻撃する。一応、ボーボボの中では筋が通ってるんですよね。その筋を言葉で教えてもらった瞬間に自分の中で腑に落ちたというか。
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(C)澤井啓夫/集英社・ボボステ製作委員会
加藤
 「ボーボボはそういう意味でやってるんだ」と気付いたら、何でも割り切ってできるようになりました。ふつうの芝居……と言ったらちょっとアレですけど、そういうモードもあるし、違うモードもあって、人格がパッと変わる感じ。ボーボボという人間として、根本的な目標があることに気づけたんです。

ユースケ
 マルハーゲ帝国を倒したい。攻撃するために敵の隙を作りたい。だから変なことをする。こう考えると、たしかにとても自然ですね。

加藤
 ずっと出てるメインキャラクターよりも、きっとサブキャラクターのほうが難しいですよ。サブキャラのおもしろさがすごくある作品だと思います。演技力のあるベテラン俳優でも死ぬほど難しいと思います。
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ところ天の助(左)の役作りはたいへんだが、それ以上に想像しにくいのが店長(右)の役作り。[(C)澤井啓夫/集英社・ボボステ製作委員会]
加藤
 意味わかんないですもん。出てきて変なこと言って一瞬ではけるとか。ベテランのアンサンブル(※)の方も出演されますけど、どうやってるんですかね、そういう役作り。
※アンサンブル:集団での演技などを担当し、物語の背景を支える出演者たちのこと。
鯨井
 たしかに。話を聞いてみたい。

加藤
 中村哲人さんとか砂川禎一郎さんとか。

鯨井
 よっぽど筋なんか通ってないもんね。

川尻
 ひとり10役以上ですから。

ユースケ
 10役。意味がわからない。

鯨井
 ほんとにすごいですよ。あの方たちに支えられています。

ユースケ
 “『ボーボボ』の雰囲気作り”という意味では、アンサンブルの皆さんこそが主役なのかもしれない。

鯨井
 それは間違いないですね。

加藤
 プリンシパル(主要キャスト)とアンサンブルって分けるのもアレですけど、両方ともここまで忙しい舞台は珍しいと思います。プリンシパルが舞台に出続けるのは当然として、アンサンブルも違う役でずっと出てはけてをくり返す。すべてに責任があって、すべてが重要なんです。
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(C)澤井啓夫/集英社・ボボステ製作委員会
ユースケ
 鯨井さん(首領パッチ)はどうですか?

鯨井
 役作りか……。ふだんの“台本を読み解いていく”作業とは明らかに違いました。前後関係を大事に台本を読んでたんですけども、その前後関係がまず意味がわからない

川尻
 (笑いをこらえる)

鯨井
 それを飛ばしていく作業があるんです。

ユースケ
 飛ばすんですか!?

鯨井
 (ボーボボ役の加藤)将ちゃんと話すと、演じた先にボーボボとしての整理を見出している気がするんです。となると、僕もやった先に首領パッチを整理できていくのかなと信じて稽古しています。
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鯨井さん、こんなにかっこいいし、いいこと言ってるのに、
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首領パッチなんだよな……。
鯨井
 もうひとつ。何て言うんでしょう。脊髄反射でセリフを言えるように自分のモードを変えられると、よりその場を生きるハジケリストになれるんです、きっと。

加藤
 首領パッチは(戦う理由が)描かれてないですもんね。ボーボボは主人公だから芯が通る部分もあるんですけど、首領パッチはそこがない。

鯨井
 「おもしろいからこうやってるんだよ」という反射的な強さはあると思います。パンってハジケて、パンってこっち行って、パンってあっち行って。これが彼の魅力。そこに行きつきたい。役作りという点で言うと、速さだったりハジケ具合に終始するのかなって。

加藤
 原作者の澤井先生も「ハジケたいから首領パッチという名前をつけた」とコメントしてますからね。

鯨井
 じゃあ正解だ。

ユースケ
 正解なんてあるんですね。

鯨井
 あとはどう実行するかですよ。僕は頭で考えちゃうんで。余計なことを忘れてハジけられるかどうかが勝負です。

本気のパンチを浴びせ続けるのが『ボーボボ』

ユースケ
 そういうところを活かすのが脚本であり演出ですよね。そもそも、“『ボーボボ』を舞台にする”ってどういうことなんでしょうか。

川尻
 まずは、先ほどもおふたりが言っていたように、一見、キャラクターとしての一貫性がないんですよね。つぎのシーンで前言撤回するくらい別のこと言ったりする。僕はコメディ畑出身で、コメディをやるときに気を付けてもらってることがあって、それは“ボケない”ってことなんですよ。

ユースケ
 ボケない。と言いますと?

川尻
 笑いを取りに行く、ボケると、そこにケレン味が生まれてしまう。わざとらしさみたいなものですかね。あと、欲。ウケたいという欲。それがバレると笑えなくなっちゃう部分があるんです。
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川尻
 役者の皆さんに言うのは「この人はボケてるんじゃなくて本気で言ってるんです。その連続が『ボーボボ』なんです」。めちゃくちゃなことだけど、すべてに芯を通して本気な人たち。ふつうのコメディ作品では、決めどころでボケることはありますけど、こんなに連続してボケ続けることはない。ひとつひとつのボケが本気。よくわからない本気のパンチを浴びせ続けるコンテンツが、『ボーボボ』。

ユースケ
 それが2時間以上も同じテンションで続くわけですよね。

川尻
 みんな汗だくですよ。本気だと、わけのわからないことでも心を動かされてしまうんです。魔法みたいに、その方がすごいものと感じてしまうのかもしれない。

川尻
 たとえば食べものだったら、これは醤油味だな、味噌味だなと感じますよね。でも、何の味かまったくわかんないけどすごくおいしかったということはあると思います。この“形容しがたいうまさ”みたいなものを作りたい。

ユースケ
 “よくわからないけどおもしろい”か……。そこを目指したいのはわかる気がします。『ボーボボ』くらい連続する作品はこれまでに作ってこられましたか?

川尻
 いや、ないですね。けっこうよくわかんないものを作ってきた自負はあるんですけど。

加藤
 ですよね。

川尻
 意味付けしたくなるのが人間なんですよね、どんなものでも。
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ソフトンのバトルシーン。これは意味付けしやすいほう。[(C)澤井啓夫/集英社・ボボステ製作委員会
川尻
 前回観て「めちゃめちゃ『ボーボボ』だな」と評価してくださった人に、より濃度の高い『ボーボボ』を見せられるんじゃないかと。
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これ以上に濃度の高いものを?[(C)澤井啓夫/集英社・ボボステ製作委員会]
ユースケ
 致死量ですよ。

川尻
 あれ以上に意味がわかんないことをずっと見せられることになります。

加藤
 いやでもほんとに、僕、川尻さんの話を聞いて泣きそうになりました。

ユースケ
 情緒不安定?

加藤
 それが「全力でみんながやり続けるから生まれる」感情やと思うんですよ。いま泣きそうになったけど、腹がつるくらい笑ったりとか、泣き笑いとか、その人が劇場に来たコンディションによって、いろいろな感情があると思います。

加藤
 お芝居には、演出の意図や原作者の想いがあると思います。どういう風にお客さんに感じてもらいたいか。『ボーボボ』は役者自身で詰め込めるだけ詰め込む作品なんだと思っています。勝手に。

ユースケ
 加藤さんはどういったものを伝えたいですか?

加藤
 わかんないんですけど。

川尻
 わからないんだ。
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加藤
 ですけど、(観客が)キャッチできる要素がいっぱいあるんすよ。このシーンがあった、こういうセリフがあった、これもあった。もういろいろ。取りたい放題。詰め放題。おっきい袋を持ってきたらどれだけ詰めていいんですよ。詰めすぎて破れる人もいると思うんですけど、それくらいいろいろな何かを持って帰れる作品です。すばらしいです。ほんとによかった、『ボーボボ』という作品に出会えて(穏やかに拍手をする)。

ユースケ
 すごい熱量が駆け抜けていった

鯨井
 熱量だけがある。

川尻
 舞台は説明できない方がいいと思っています。どんな舞台だったの? と聞かれたとき、誰かの説明によってそのすばらしさがある程度伝わる舞台よりも、説明できないからそれを摂取するには観るしかない方がいいといいますか。ほんとに再現不能なことをやっていると思うので、実際に観ることでしか体験できない感情がわくんじゃないかな。

ユースケ
 2.5次元舞台を観に行くときはどういう気持ちで挑んだらいいですかと聞きに来たんですけど、何も考えずに感じた方がいいということでしょうか。

鯨井
 「Don't think. Feel.」です

ユースケ
 『ボーボボ』はブルース・リーだったのか……。

川尻
 そうそう。これはお伝えしておきたいんですけど。
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前回、ネギを買っていらっしゃった方がいて

ユースケ
 ん?

川尻
 前回、当日券をかなりのお客様にお買い求めいただいたんですね。その中に、ネギをね、ネギを買ってきた方がいらっしゃったんですよ

ユースケ
 2回聞いてもよくわからないな。

鯨井
 いいですね。おいしいですよ、ネギ。

川尻
 ネギを1本持って、当日券の列に並び。

加藤
 うんうん。

川尻
 チケットが売り切れていたから、ネギだけを持って帰ったっていう。
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『ボーボボ』すぎるエピソードに爆笑する一同。
ユースケ
 どういう状況? ビュティのツッコミがないと成立しない。

鯨井
 運営側はイーブンということですよ。ネギを持ってきたからといって優先はしないぞって。

川尻
 その人は劇場に入れなかったけど、もう観たようなものですよ。

鯨井
 そうです。その人の人生の中で、『ボーボボ』の舞台を感じたわけですからね。

加藤
 ハジケてたもん。

鯨井
 こうやって語り継がれているわけですから。

川尻
 やっぱりハジケていたと思います。その人は今回もネギを持って来てほしい。

ユースケ
 でもチケットがないと入れない。

鯨井
 “彼は観られなかったからハジケられた”までありますもんね。

川尻
 そういう、それぞれの思惑が集まった空間でしたね。ほんとにみんなどういうつもりで集まったんだろう。

稲荷さん(前回の首領パッチ役)、キレるんじゃないかな

加藤
 ファミ通さんの読者はアニメ好きやゲーム好きの方が多いですよね。原作が好きでも、舞台はなかなか足を運びづらいと思うんですよ。舞台というジャンルに踏み込んだことがない人は多いはず。さっき川尻さんが言ってくれた、“2.5次元舞台の裏口入学”というのは、ほんとにその通りで。夜間学校とも言えるかもしれない。自分のやりたいことをして通って知識を学べる、みたいな。これまで舞台に興味を持っていなかった人でも踏み込みやすい作品だと思いますね。できれば、生で観てほしい。配信で観てくださった方も多いと思うんですけど、生で観ないと味わえないものがたくさんあるので、第一歩をぜひ踏み出してほしいですね。

ユースケ
 加藤さんは急にフルスロットルでアツく語り出すから気が抜けない。あまりにもボーボボ。

川尻
 ただ、この舞台を観に来て、ほかの人に「2.5次元舞台が好きなんだよね」とは言っちゃいけない。

鯨井
 それはそう。

川尻
 2.5次元舞台が好きな人とは話が合わないですから。
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ユースケ
 前回を振り返って、ここはすごいな、この役者さんやっぱりすごいなですとか、いい意味で「ヤバい」と思ったことがあったら教えてほしいのですが。

加藤
 みんなです。みんなすごいんですよ。全員が全員、意味がわからないことをしていて、それを2時間40分もやりきった。まず、これがすごい。中でもいちばんすごいと思ったのは首領パッチの稲荷卓央さん(※)ですかね。
※今回首領パッチを演じるのは鯨井康介氏だが、前回の公演ではベテラン俳優の稲荷卓央氏が演じていた。【ボボステ】舞台『ボーボボ』主演の加藤将さんたちから2.5次元舞台の魅力を教えてもらう
稲荷卓央さんは首領パッチ(左)をどんな気持ちで演じたのだろう。[(C)澤井啓夫/集英社・ボボステ製作委員会]
加藤
 肉体的にすごいんです。ずっと膝立ちじゃないですか。稲荷さんは元気にやられてましたけど、物理的な負荷もあるのに、辛い顔をいっさい見せないで首領パッチという名に恥じないハジケっぷり。まじですごいです。

ユースケ
 フィジカルモンスターなのかもしれない。

加藤
 僕も役者としてたくさん舞台に立たせてもらって、観客としてもいろいろな舞台を観させてもらいましたけど、こんなに激しい舞台はないですよ。殺陣があるわけでもないのに。自分のファンやお客さんから聞いた感想は「そんなにハードだったんだ」。それくらい、ハードに感じさせないらしくて。僕たちは絶対に涼しくやり切らないといけない。みんな疲れを見せずに、最高にお客さんを楽しませる。それをできたのがすごいんです。

ユースケ
 膝立ちで暴れ回るってやったことないもんなあ……。鯨井さんもハードな首領パッチ役ですよね。稽古をしていて、どうですか?

鯨井
 負担のかかるものだと聞いて臨んでいますし、現場のチームが前回の経験を踏まえてサポートに尽力してくださっています。彼らのおかげで、僕は自分のやることに集中できていますね。

ユースケ
 スタッフに感謝するアスリートの話してます?

鯨井
 稲荷さんが作り上げてくださった首領パッチ像があるからこそ、僕はいま体を大事に安全にやらせていただいています。
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もはやアスリートの顔で語る鯨井さん。
加藤
 首領パッチのバトンが回ってきたんだ。

ユースケ
 稲荷さんも自分が首領パッチのファーストペンギンになるなんて思ってないでしょうね。

鯨井
 稲荷さん、だいぶ無茶をされていると思いますよ。笑いごとじゃないくらい。

加藤
 川尻さん、心配してましたよね。「稲荷さん、キレるんじゃないかな……」って。

一同 (爆笑)

鯨井
 怒ってもおかしくないですよ。

加藤
 あんな大ベテランの実力派俳優に、「膝立ちで演技してほしいんですけど」って。

鯨井
 僕は面識ないんですけど、お話を聞く限り、すごく真摯に演劇に向き合う方。だからこそ再現性にこだわったんでしょうね。膝立ちで歩き続けるということに真正面から挑む。俳優としてすばらしい先輩の背中を見せていただきました。
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先輩の背中か……。[(C)澤井啓夫/集英社・ボボステ製作委員会]
鯨井
 どこまでやるかのジャッジは難しかったと思いますよ。誠実さで突き進まれた結果、周りの関係者にも「ここまでやれるんだ」というラインが見えたというか。ほんとにすごい先輩だなと思うのと同時に、何やらせてんだという気持もあります。

ユースケ
 川尻さんはどちらかというとオファーした側ですよね。こんなのお願いしていいのかなみたいな葛藤はありましたか?

川尻
 うーん……体力的にたいへんそうかなとは思いました。自分も役者をやることがたまにあるのですけど、やったことない役は役者からすると楽しみなんですよね。おもしろがってもらえるんじゃないかなと。

ユースケ
 そりゃ、最後まで膝立ちの役なんてどこを探してもないですよねえ。

川尻
 いままで演じたどの役にも似てない何か。役者として研究のしがいがあるはず。

ユースケ
 今後の役者人生に活かしようがないのでは?

川尻
 そうですね。ここ専用のスキルです。

鯨井
 でも、そういうものだと思いますよ。これをやったからつぎはどうなる、という考えよりも、その役に対してどう向き合うか。それが僕らの仕事なので。先のことはいいじゃないですか。

ユースケ
 かっけぇ……。

鯨井
 太字で書いておいてください。

ユースケ
 わかりました。
【ボボステ】舞台『ボーボボ』主演の加藤将さんたちから2.5次元舞台の魅力を教えてもらう
でかく書いておきました!
川尻
 知らず知らずのうちに活かされていくかもしれないですね。

ユースケ
 何でも糧になるんだよなあ……。
【ボボステ】舞台『ボーボボ』主演の加藤将さんたちから2.5次元舞台の魅力を教えてもらう
(ほんとに糧になるのか……?)と疑っているときの写真が撮れていたので載せておきます。我ながら絶妙な表情をしている。

魚雷ガールの恐ろしさ

ユースケ
 妻は魚雷ガールをすごく気に入ってました。
【ボボステ】舞台『ボーボボ』主演の加藤将さんたちから2.5次元舞台の魅力を教えてもらう
(C)澤井啓夫/集英社・ボボステ製作委員会
川尻
 立道梨緒奈さん、真っ直ぐ役に向き合う人なんですよ。ストレートにぶつかっていた感じですね。

鯨井
 全然恥ずかしがることもなく。すばらしいですよ。

加藤
 あそこまでのハジケリストは貴重だと思いません?

川尻
 たしかに。やりすぎると引いちゃいますからね。

ユースケ
 あー。そういうところありますよね。すごい絶妙だと思います。

鯨井
 品があるんですよ。

川尻
 “かっこよく見えるバカ”というのはすごく出せてたんじゃないですかね、魚雷ガール。

加藤
 本人も原作がめっちゃ好きらしいんですよ。オファーは超ギリだったけど、原作が好きすぎて、『進撃の巨人』の海外公演をしてるような時期なのにオファーを受けて、死ぬほど忙しいスケジュールだったけどやりきった、みたいな話を聞きました。
【ボボステ】舞台『ボーボボ』主演の加藤将さんたちから2.5次元舞台の魅力を教えてもらう
加藤
 ふざけたようなことをしても品がある。それよりも、本人はすごく楽しんで演じてたんですよね、きっと。だから僕たちも楽しいし、お客さんにも見えないけど伝わっていると思います。

ユースケ
 さっき仰っていた、ひとつひとつのことを真剣にやることのおもしろさってやつですよね。うわー。帰ってもう1回観たい。今日の話を聞いたうえで観たら印象が変わるかもしれない。

川尻
 最初は何も考えずに。2回目、3回目はいろいろなところにクローズアップして観ていただけると、意外と細かいことやってんだとか、まったく細かいことやってねえなとかあると思います。

鯨井
 真面目な話を聞いたうえで観られたくねえなって気持ちもあります(笑)。

ユースケ
 僕はこの記事を読んでもらいたいんですけど!

鯨井
 それはそうか! そうですよね。すみません。勝手に、好きに観ていただくのがいちばんですから。

ファミ通を『ボーボボ』に取り込みたい

【ボボステ】舞台『ボーボボ』主演の加藤将さんたちから2.5次元舞台の魅力を教えてもらう

今日は喋りつくしたいと思ってきてるんです

ユースケ
 急に!?

加藤
 僕はゲームやアニメが好きで子どもの頃からずっと雑誌のファミ通を買って読んでいました。(リアルの)イベント情報なんかも載っているじゃないですか。でも、行ったことがなかったんですね。好きなんだけど、行かない。イベントに行く勇気がなかなか出なかった。このインタビューを読んでくれる人の中にも、そういう人はいると思います。僕がそうだったから気持ちもわかります。まじ、そういう人に来てほしい。まじめな話をしたら「こんだけやってくれてんだ、じゃあ行ってみようかな」って人も中にはいるかもしれない。だから、話すだけ話したいんです。このままファミ通さんを取り込みたい。

ユースケ
 ファミ通は『ボーボボ』に取り込まれるのか……。望むところです。

鯨井
 望むんだ。

川尻
 望まないで。
【ボボステ】舞台『ボーボボ』主演の加藤将さんたちから2.5次元舞台の魅力を教えてもらう
加藤
 『ボーボボ』を演じて、前回は予告編を2時間40分やらせてもらって、今回もみっちりやっています。稽古の最初の頃に思ったんですよ。「ボーボボってすっげえかっこいいな。すごい少年ジャンプの主人公なんだな」って。僕いま33歳か34歳なんですけど、ごめんなさい、年齢を数えてないんですぐ忘れちゃうんですけど。

加藤
 小学生のときに原作とアニメで見たときはそんなにかっこよく感じなかったんですよ。おもしろいだけで変だな、何なんだろうと思ってました。大人になってボーボボのかっこよさがわかって、この人のことをもっと知りたくなったんです。演じたからなのか、成長したからなのか、理由はわからないんですけど、知りたい。

加藤
 もしこの作品が続いていくのであれば、ボーボボを通じて、もっと人間として成長できるんじゃないかなって。
【ボボステ】舞台『ボーボボ』主演の加藤将さんたちから2.5次元舞台の魅力を教えてもらう

(ボーボボで成長……?)

加藤
 これは僕が育ってきた環境も影響しているかもしれない。スポーツをずっとやっていて、正直勉強はあまりやってこなかったから、ある意味、オオカミに育てられた感覚? ふつうの人間とのコミュニケーションもちょっと合わない部分が多いんですよ。

加藤
 合わせようとすることはできると思うんです。でも、無理に合わせることもないなと思って。自分は自分で芯を貫いていれば、それはいい。ボーボボにも似たような部分がすごくあって、演じたからこそ伝わってきたんですね。共通部分があったのかもしれない。

加藤
 彼はすごく孤独だし、人間は誰しも孤独なんですよね。たとえば誰かが音楽の話をしていたら何となくコミュニケーションを取ろうと話に乗ることもあるけど、別に乗らなくてもいい。ある意味、ひとりでいいと思ってるんです、僕はつねに。
【ボボステ】舞台『ボーボボ』主演の加藤将さんたちから2.5次元舞台の魅力を教えてもらう
加藤
 ボーボボは目標があるから突き進んでいく。ひとりで生きてきたようなものだけど、仲間ができていきます。ビュティ、ヘッポコ丸、首領パッチ、ソフトン。彼にもいろいろ思うところがあるんです、きっと。彼が歩んできた道のりを思うと泣きそうになります。軍艦とのシーンでも、たぶん彼の中に葛藤があるけど、突き進むべき信念があるからこそ、そっちを優先した。そういうことだと思うんです。汲み取れるものがたくさんある。大人になったいまだからこそ深い作品なんです。ギャグはめちゃくちゃです。わけわかんないかもしれない。でも、アツいです。ぜひ読者の皆さんに観てもらいたい。

ユースケ
 ノーカットで入れますからね。

加藤
 よろしくお願いします。僕は内容のないことを喋るんですけど、文字数だけは半端ないんで。

鯨井
 内容がないと自分で言っちゃうんだ。

加藤
 いまのはあったほうです。

ユースケ
 いまのお話を聞いて、おふたりはどうでした? 伝えたいものはありますか?

鯨井
 伝えたいものというより、まず大事にしたいのが、『超ハジケステージ☆ボボボーボ・ボーボボ』という作品を背負ってるのが将ちゃん(加藤将氏)であり、世界を統括しているのが川尻さんということ。ふたりともものすごいハジケリストなので、僕にとっても唯一無二の『ボーボボ』舞台だと思うし、いまの話を聞いたらわかりますよね。やっぱり将ちゃんはボーボボなんですよ。川尻さんの世界に入り、加藤将という男との隣にいるのがたぶん僕にとっての正解。いまの話を聞いて再認識できました。

川尻
 原作が掲載されていた雑誌は週刊少年ジャンプ。友情、努力、勝利なんですよ。根底に流れてるものはまさに王道のそれ。真っ当な、ジャンプ作品ですから。

【ボボステ】舞台『ボーボボ』主演の加藤将さんたちから2.5次元舞台の魅力を教えてもらう

いまからでもハジケリストになるには見逃し配信

 わかったような、わからないような、でも妙な熱量が伝わってくるインタビューだった。加藤さんはあまりにもボーボボである。

 公演リポートを書いたライターのオクドス熊田くんは「人生初の舞台観覧です」と言っていた。それでいいのかという気持ちもあるが、楽しんでいたようで何よりだ。

 千秋楽を含む3公演はDMM TVでライブ配信が実施された。配信チケットを購入すれば7月13日(月)23:59まで見逃し配信可能。期限まで何度でも視聴可能なので何度でも観よう。そして僕と感想を教えてほしい。たぶん「よくわからないけど、何かすごい」だと思う。

視聴可能な3公演(すべて見逃し配信付き)
2026年6⽉20⽇(⼟)12:00公演(マルチアングル対応)
2026年6⽉20⽇(⼟)17:00公演(マルチアングル対応)
2026年6⽉21⽇(⽇)12:00公演【千秋楽】(全景映像)

販売期間
2026年6⽉12⽇(⾦)18:00〜7⽉13⽇(⽉)20:00まで
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