2026年4月25日(土)、Bokeh Game Studio開発の『野狗子: Slitterhead』のファンミーティングイベント“愛鳴會”が開催。 イベントには開発元のBokeh Game Studioから、プロデューサーの佐藤一信氏、クリエイティブディレクターの外山圭一郎氏、コンセプトアーティストの高橋美貴氏、ゲームディレクターの大倉純也氏が出演。『野狗子: Slitterhead』のスーパープレイや開発秘話などが披露された。
以下、プレスリリースを引用
2026年4月25日、「『野狗子: Slitterhead』ファンミーティング“愛鳴會”」が開催。ゲームのファンイベントと見せかけた秘密集団の初会合となったその会場では、脳みそドリンクが提供されたというウワサも。我々も急ぎ調査に当たった。

皆さまは人の脳みそ、すすってませんよね? やめな?
それが生きるうえでのサガだとしても、脳をすするのは野蛮な愛なき行為。我々“愛鳴會(あいめいかい)”はそのような行為を恥じる者を受け入れ、すべての者に分け隔てなく愛を説く集いでございます。

そんな我らの秘密会合が、ついに実現したのです。
いきなりの脳みそ話で面食らわせてしまいましたら、たいへん申し訳ございません。今回皆さまにお伝えしたいのは、2026年4月25日(土)に開催されました、Bokeh Game Studio開発のゲームタイトル『野狗子: Slitterhead』のファンミーティングイベント“愛鳴會”の模様です。


本作開発チームのお歴々とファンの皆さまが、直接交流できる貴重な機会となりました。
当イベントには『野狗子: Slitterhead』を愛してやまないファン50名が招集され、開発チームのお歴々による、ここでしか見聞きできないスーパープレイや開発秘話が披露されました。さらに愛鳴會の名物“レーション”をはじめとするドリンク&フードの提供や、脳を食らう存在“野狗子(やくし)”になれる体験コーナーなど、ファンの皆さまには存分にお楽しみいただけたようで何より!


脳み……じゃなくてその代替品である“レーション”をすすりつつ、貴重なお話をたくさん伺えました。なんたる法悦。


この顔の部分、私(ライター、カイゼルちくわ)です。憧れの野狗子になれましたぞぉ!
このようにゲームのファンミーティングという形をとりつつ、じつは愛鳴會の皆さまによる会合となりました当イベント。以下、取材にはせ参じたライターと見せかけてじつは信徒のひとりであった私の視点から、リポートをお届けいたします……!
脳みその代替品、レーションで乾杯!
『野狗子: Slitterhead』は2024年11月に発売された、PC(Steam、Epic Games Store)、プレイステーション5(PS5)、プレイステーション4(PS4)、Xbox Series X|S用のバトルアクションアドベンチャーゲーム。『SILENT HILL』や『SIREN』のクリエイターである外山圭一郎氏が設立したBokeh Game Studioの、記念すべき第1作であります。
本作では架空の都市“九龍”を舞台に、人の脳を食らう異形の存在“野狗子”と、それを人に憑依して狩り続ける“憑鬼(ひょうき)”の戦いが描かれるのです。

憑鬼はそこらへんの人間につぎつぎと憑依しては操り、我々の同志も含む野狗子たちを追い詰めていくのです。卑劣!
我ら愛鳴會は『野狗子: Slitterhead』の物語のなかで描かれておりますとおり、人間から野狗子に転じても人の脳を食らうのを拒否する者や、人間社会に居場所がない者など、人と野狗子の区別なく愛をもって迎え入れる団体であります。
我らがゲームのなかだけの存在と見せかけるのもまた、我らが宗首様、ならびにその右腕にして慈悲深き指導者であらせられる銀月様の見事な策。おかげさまで、我らはこうしてリアルの地に集うことができました!

我らが銀月様は、残念ながら当日はご欠席。半狂乱になって走り去ったというマユツバの目撃談もありましたが、まさかそんな。
会場には『野狗子: Slitterhead』世界の素晴らしいアートを再現したグッズの物販コーナーに加え、“アバタリウム”によって撮影したご自身の顔がゲーム内のムービーシーンに反映されるという、素晴らしい体験コーナーも用意されました。作成したムービーは、その場でスマホにダウンロードして持ち帰れるという至れり尽くせりっぷりです。


この日のために用意してくださったという御本尊の掛け軸など、会場を彩るアートに感嘆の息が漏れます。


アバタリウムで用意されたムービーは3種類。違和感なく顔がなじむ非常によくできたムービーを、3回並んでコンプリートしていた方も多かったですぞ。

九龍住人のデータが記された、謎の報告書が山積みになったコーナーも。こちらの詳細はまた後ほど。
会場へ銀月様に代わって駆けつけてくださったゲストも、豪華絢爛のひと言。開発元のBokeh Game Studioから佐藤一信氏、外山圭一郎氏、高橋美貴氏、大倉純也氏がご登壇くださいました。

プロデューサーの佐藤一信氏。

コンセプトアーティストの高橋美貴氏。

ゲームディレクターの大倉純也氏。

企画原案担当、ならびにクリエイティブディレクターの外山圭一郎氏。
イベントの始まりは、まずは会合の実現を祝しての乾杯から。参加者各位がドリンク&フードのコーナーで販売されております飲み物を片手に、外山氏の乾杯の音頭でひとつになりました。

「乾杯レーション!」


そう。会場では“レーション”がいただけたのですよ。
レーションとは、脳をすすらねば生きていけないが人は手にかけたくないという心優しい野狗子の信徒に愛鳴會が用意した、脳の代替食品であります。これさえあれば、野狗子と人は平和的に共存できるのです! 原料? はて、なにをおっしゃるのやら。
私も会場で実際にいただきましたが、これがじつに美味! どろりとした食感とのどごしはもはやゼリードリンクの域を超え、まさに人の眼窩から脳を体液ごとすする充足感のごとし! ベリー系の甘酸っぱさが心を落ち着かせてくれまして、まるでグミのようにかわいらしく成形して乗せられたレーション本体と一緒に口に入れれば、脳を食うことに抵抗がある野狗子でも安心していただけることでしょう。
スーパープレイや新企画にファンも騒然
檀上ではBokeh Game Studioの皆さまから『野狗子: Slitterhead』の知られざる情報をはじめ、本作の魅力を改めてさまざまな形でご提示いただけました。
まずは大倉ゲームディレクターによる、最高難易度“ナイトメア”でのスーパー憑依プレイを披露。開発で一番うまいお方ということで、開始前には「すごい久々だけど大丈夫かな」などともおっしゃっていましたが……。

まずは肩慣らしとばかりに“ミシェル”戦へ。
スーパー憑依プレイと銘打つだけあり、ボスの周囲に一般人を集め、その間をつぎつぎと憑依して高速移動。執拗にボスの背後を取って攻撃してのヒット&アウェイで、被弾ゼロとは残念ながらいきませんでしたが見事な勝利!
我ら野狗子、我ら愛鳴會としてはにっくき憑鬼を応援したくはないはずなのですが、会場からは惜しみない拍手が送られておりました。それだけ見事だったという証左ですな。


要所要所でディフレクト(弾き)も成功させ、一気に撃破。完璧です。
大倉氏は引き続き、さらに強力なボス“リサ”にも難易度ナイトメアで挑戦。「やっちまった!」などという言葉が漏れる場面もありましたが、プレイヤー目線ではあるあるのミスでしたので会場からはむしろ応援の声が増しました。
最終段階に突入すると大倉氏もエンジンがかかってきたのか、憑依移動による回避とディフレクトがより冴えわたります。最後は本作ならではの“憑依を解除されてもキャラクターは攻撃を継続する”という特性を生かし、離れた場所に憑依移動しながら別キャラクターにボスを攻撃させて倒すという、やや慎重……ではなくオシャレなフィニッシュを決めてくださいました!

最終的に勝てばいいのです。大倉氏は大事なことを教えてくれました。

ちなみにこのボスステージは高橋氏いわく、香港に一番造詣が深いスタッフの力作とのこと。大倉氏は視界確保のため壊しまくっていました。無情。
続いて壇上で披露されたのは、新企画“九龍住人名簿計画”。九龍には憑依できる一般人が大勢配置されておりますが、なんとそのひとりひとりを調査し、300人分ものバックボーンをまとめたというのです。これはもう、どうにか書籍化していただきたいところですな!

大変な作業だったと思いますが、外山氏が愛鳴會のためにやってくださいました。
なお外山氏いわく「自分でも読み返してみたら“なにこれ?”ってなるものもありました」とのこと。300人分ですからそれはもう考えるのは大変……じゃなくて、九龍には変わり者が多いですからなぁ!
実際の名簿は会場内にもすべて印刷した状態で展示されており、自由に閲覧できました。ざっと見てみても一風変わった人物が多く、そのなかから何名かを檀上でもピックアップ。



変装時に付けヒゲで窒息しかけたり、オリジナル神話を作っていたりと、モブキャラなのにやたら濃い人ばかり。
高橋氏いわく、彼らモブの服装についてもかなりこだわったとのこと。香港をイメージしたこの街に出すキャラとして、半ズボンや肌着の首回りなどにも気を配られたそうです。近所ならパジャマのまま出かける人も多いという80年~90年代の文化面も調査し、ぜひ再現したいとこだわったとのことです。ゲーム内ではこだわりの柄などが見えづらいのが残念ですが……。
ほかにもムービーシーンにのみ登場するキャラにも、意外なドラマが用意されていました。高橋氏はその一瞬の出番のためだけに、スカーフの柄をデザインしたりもしたそうです。


キャラの名前がカメリア(椿)なのでスカーフの柄を椿にしたりしたのに、本編ではほとんど見えなかったそうです。


檀上では実機プレイで、実際に彼ら九龍住人に会いに行ってくださいました。目的のキャラとそっくりなキャラが見つかったりと、意外な発見も。
高橋氏いわく、香港の看板について調べ尽くした結果、看板の意味だけはすべて完璧に分かるようになったとのこと。そのあと実機プレイでは野狗子との戦闘になり、紹介したモブキャラたちが憑依で戦いに使われ、その人生とともに散っていく事態に……。やはり憑鬼は忌むべき存在ですな。

“押”は質屋のマーク。怪しい店の看板はだいたいピンクで、街中には水回り関係のチラシがやたら貼られているとのこと。

愛鳴會の施設内で発見できる謎のチラシを、街中で発見。その秘密もここだけの話と教えていただきました。

ひとりひとりに人生があると知ってからだと、憑依で一般人を使い捨てる戦闘がまた違った視点で見えてきます。
なお、会場に用意された住民データの紙資料は、会場に来られたファンの皆さまへのお土産として配られました。持ち帰られた皆さまは、ぜひゲーム内でその住民を探してみていただきたいところです!
貴重な初期資料も公開、開発陣トークショー
客席のファンの皆さんからも、笑いや拍手が始終絶えないステージ。その最後の締めくくりは、開発者各位による開発秘話トークショーとなりました。

トークショーには当日駆けつけていた、ファミ通グループ代表の林克彦氏もインタビュアーとして登壇。
トークショーでは開発初期段階の貴重な資料なども公開していただきましたが、諸般の事情によりこちらでは一部のみのご紹介となります。会場で実際に目にできた信徒の皆さまは、まこと幸運でいらっしゃいますな!
『野狗子: Slitterhead』が原点としては外山氏が「もしいまの自分が『SIREN3』を作るとしたら」 という発想から考えた作品であるということは、過去のインタビューでも語られておりますとおり。中国の短編小説集『聊斎志異』に登場する死人の脳を食う怪異を知ったこと、諸星大二郎先生や山岸凉子先生の漫画作品へのオマージュ、1980年~90年代の香港へ行ってみたかったという憧れ。そして「行きたいならゲームで作ればいい」という発想。改めて、本作のルーツは興味深いものばかりであります。


企画書を最初に作られたのは、2020年の独立より少し前のお話のようですな。
システム面のアイデアについても、多く言及されました。血を武器にする“凝血武器”は大倉氏から出たアイデアとのこと。バトルで憑依した一般人が懐から包丁を出したり、マフィアに憑依すると銃が使えたりといったアイデアもあったそうです。ほかには功夫(カンフー)を会得し、素手で戦う技を覚えていくという、もし採用されていたら別ゲームになっていたであろうアイデアもあったとか。

物語が群像劇になるにあたり、当初は大企業の最新ビルに侵入する“企業編”の構想があったり、そもそも野狗子にあたる怪異が宇宙人であり、星の明滅を信号として意識を乗っ取るという構想もあったそうです。後者の設定については無理があると考えていたところ、チーム内の若手スタッフから「未来人」というアイデアが出たことで、何度も繰り返す展開と相性もいいと採用されたそうです。

とくに企画段階から大きく変更されたのは、メインキャラが3人であったという点。当初はAAAタイトルのような規模を目指して風呂敷を大きく広げていたところ、舞台を九龍という一都市に絞るコンパクト化が進んだことで、表裏一体のふたりとそれとは別のひとり、という関係から変更されたとのこと。ゲーム的にも、途中からモブキャラを憑依先としてたくさん使う仕様になったことで、メインキャラ3人体制の必要性はさらに薄れました。


コンパクト化により没になったアイデアも多数あり、二階建て観光バスで憑依バトルを繰り広げるなど、乗り物は船などいろいろと出したかったそうです。ほかにもインド人が多く住むビルがあるなどエリアごとの特色や、香港セントラルエリアの大企業ビルを再現して企業のトップがじつは野狗子で、人間を養殖・出荷しているといった展開も考えていたそうです。


ほかにも視界をジャックすることで画面が100分割され、都市の住民100名分の視界から目的のものを探すというアイテアもあったそうで、大倉氏はこれを外山氏から聞いて「はぁーん?」といったリアクションだったとか。憑依を気持ちよくしまくってもらうために苦心したアイデアも多く、人をたくさん出し、使い捨てていくという発想の転換に帰着したとのことです。

企画当初では、数名でインディーゲームを作るくらいの規模感で考えていたという本作。あれよあれよと敏腕スタッフが集まったことで規模が膨らみ、新規IP、新会社、新タイトルというなにもかも新しい状態で短期間の制作、しかも自社パブリッシングへ。同業の知人からは「よく期間内に出せたね」と驚かれるような、全部自力でないと動かない本作の企画は、どうしても粗削りとなって反省点も多くあったとのことです。佐藤プロデューサーいわく「つらいと考えるヒマすらなかった」そうで。

そんな開発を経て外山氏が今なにをしているのかという質問に対しては、「2年くらい人生で一番動きまわってきました。あとはお察しください」とのこと。これはつまり、何かが動いているということでしょうか……? ファンとしては期待が膨らむところですな!

トークショーはこうして閉幕となり、そのあとには供物抽選会を実施。我らが銀月様の胸像(フィギュア)などの豪華賞品が提供されました。

まだまだ宴もたけなわ、これからさらにレーションのおかわりを片手に秘密の情報をお訊きしたかったところなのですが、ここで会場ににっくき武装組織“SPEU”のガサ入れが迫っていると判明。愛鳴會の記念すべき会合は、これにてお開きとなってしまいました……。

最後に会合参加者全員で、愛鳴會の祈りの所作とともに記念撮影でございます。愛鳴會よ、永遠なれ!

銀月様の代行を務めてくださった登壇者各位に、改めまして至上の感謝を。
今後も我ら愛鳴會は、社会の影に隠れつつすべての野狗子と人とが共存できる社会を目指し、そのためにもゲーム『野狗子: Slitterhead』にて我らや野狗子について理解を深めていただけるよう、普及に努めて参ります。我らの活動やゲームにご興味を持たれたというかたは、ぜひゲームをプレイしてみつつ、さらなる会合や続報をお待ちください……!