初期の昇竜拳はまさに必殺だった。 波動拳とともに広まっていった定番のコマンド入力

ちなみに、“ヨガ”コマンドや“逆ヨガ”コマンドは63214(レバーを前から下を通って後ろへ半回転)のことを指す。ふたつの言いかたがある理由は以下の通り。
『ストリートファイターII』(ストII)ではヨガフレイムのコマンドが41236+パンチボタンであり、のちの作品で63214+パンチボタンに変更されたという経緯を持つ。これには、深い歴史があったり、『ストII』のインストラクションカードには“ヨガブラスト”と表記されていたりと、話したいことはたくさんあるのだが、今回の趣旨とは異なるので割愛。
昇龍拳コマンドが初登場したのは、もちろんカプコンの第1作『ストリートファイター』。稼動開始日は1987年(昭和62年)8月30日で、6月23日ではないので要注意。

拳を天に突き上げ、昇り龍のように攻撃するなんともカッコいい必殺技。第1作での昇龍拳はうまくヒットさせれば即K.O.となるほどに体力を大きく奪うことができる、文字どおり“必殺”技級の威力を有した。
続編の『ストII』では威力こそ控えめになったものの、入力の受付時間が調整されたのか、前作と比べてかなり出しやすくなった。
なお、昇龍拳系の技には“無敵時間”が生じるものが多く、これを利用して相手の攻撃を避けつつ反撃するのがお約束。対戦シーンが過熱していった当時としては昇龍拳が使えるか使えないかでかなり実力に差が出るものになっていた。
前述の通り『ストII』になって入力の難度が緩和されたが、それでも当時のプレイヤーにとって昇龍拳を自在に操るのは至難の業だった。しっかりとナナメ下が入力されていなかったり、前が入力されていなくて波動拳が出てしまったり……。相手がジャンプ攻撃を仕掛けてきたときに対空攻撃として昇龍拳を出せるプレイヤーは、上級者として一目置かれる存在だった。


『スーパーストリートファイターII X』では、ケンがスーパーコンボで昇龍拳をアレンジした“昇龍裂破”を会得。昇龍拳を2連続でくり出すという見た目もカッコいいものだが、こちらのコマンド(23623+パンチボタン)も非常に入力が難しく、出したつもりなのに波動拳やふつうの昇龍拳、ただのアッパーが出てしまうということも多かった。

このほかにも、シリーズ作ではリュウの滅・昇龍拳(『ストリートファイターZERO3』)、真・昇龍拳(『ストリートファイターIII』シリーズ)や、剛拳の禁じ手・昇龍拳(『ストリートファイターIV』シリーズ)など、昇龍拳だけでもさまざまなバリエーションが存在する。
剛拳の昇龍拳はスーパーコンボやウルトラコンボでのみ使用できるものになっている。これは「本来の昇龍拳は闘いでは使ってはいけない“禁じ手”とされているため」なんだとか。
禁じ手となった理由は、威力が高すぎて文字通り“必殺”になってしまうから、使いすぎると殺意の波動に飲まれてしまうから、拳を天に突き上げる行為だから、必殺の威力を持つが未熟な者が使うと大きな隙を晒して反撃されてしまうから……など、さまざまな理由や説があるとされている。しかし、剛拳の弟子であるリュウやケンはバンバン使っているが、まあいいだろう。

SNK作品では、『餓狼伝説』シリーズのテリーのパワーダンク(ライジングタックルは初期は溜め技である場合がほとんど)や『ザ・キング・オブ・ファイターズ』シリーズの草薙京の百式・鬼焼き、アークシステムワークスの『ギルティギア』シリーズでもソル=バッドガイのヴォルカニックヴァイパーが有名。それぞれ技の性能こそ異なるが、主人公に相当するキャラといえば“波動(飛び道具)昇龍(無敵対空)”と言われるほどに2D対戦格闘ゲームでは恒例の文化となっていった。
あんな昇龍拳 こんな昇龍拳
ストリートファイター:昇竜拳(リュウ)

ストリートファイターII:昇龍拳(リュウ)

竜虎の拳:ビルドアッパー(リョウ)

スーパーストリートファイターII X:昇龍裂破(ケン)

ヴァンパイア:シャドウブレード(モリガン)

ザ・キング・オブ・ファイターズ '94:百式・鬼焼き(草薙京)

餓狼伝説3 ~遥かなる闘い~:パワーダンク(テリー・ボガード)

サイバーボッツ - FULLMETAL MADNESS -:フルメタルチャージ(ブロディア)

ワールドヒーローズパーフェクト:光龍破(服部半蔵)

ウォーザード:レヴェリー・ソード(タバサ)

ストリートファイターIII -NEW GENERATION-:真・昇龍拳(リュウ)

幕末浪漫 月華の剣士:一刀・空牙(楓)

ギルティギア:ヴォルカニックヴァイパー(ソル=バッドガイ)

ストリートファイターZERO3:滅・昇龍拳(リュウ)

ザ・キング・オブ・ファイターズ '99:クロウバイツ(K')

餓狼 MARK OF THE WOLVES:パワーダンク(テリー・ボガード)

ギルティギア イグゼクス シャープリロード:ヴォルカニックヴァイパー(ソル=バッドガイ)

ウルトラストリートファイターIV:禁じ手・昇龍拳(剛拳)

ストリートファイターV チャンピオンエディション:昇龍拳(ケン)

ギルティギア ストライヴ:ヴォルカニックヴァイパー(ソル=バッドガイ)

ストリートファイター6:真・昇龍拳(リュウ)

餓狼伝説 City of the Wolves:ライジングタックル(ロック・ハワード)

天地を喰らうII-赤壁の戦い-:飛翔剣(趙雲)

『Gダライアス』:背ビレ(リバースディレクション)
※技名は当時の表記に準拠しています。
※『Gダライアス』の画像は『GダライアスHD』のものです。コマンドこそ難しいが、出せればヒーローになれた憧れの昇龍拳。いまでも初心者にとっては扱いづらいコマンドであることには変わりはないが、近年では方向とボタンの入力のみで技が出せる『ストリートファイター6』のモダン操作をはじめ、コマンドが簡易化されているゲームもある。格ゲー初心者にとっての“必殺技を出すこと”へのハードルはかなり低くなっているのは間違いない。
ここまで書いて、近年の格ゲー界隈はより熱く盛り上がっていることに気付かされた。パッと思いつくだけでも、以下のタイトルが話題に上っている。
- 『餓狼伝説 City of the Wolves』
- 『ギルティギア ストライヴ』
- 『鉄拳8』
- 『VIRTUA FIGHTER CROSSROADS』
現在発売中でアップデートを重ねているものや、これから発売が予定されているものを含めて、各社ともに力を入れてタイトルを手掛けていることがわかる。いままさに令和の格ゲーブームが訪れていると言っても過言ではない。
隙は大きいが超強力なロマンあふれる昇龍拳。ぜひ今宵も、対戦相手のジャンプ攻撃に叩き込んでほしい。「ショーリューケン!」。














