昨年のBitSummit the 13thで取材し、大きな反響を呼んだサイコサスペンス&ロマンスアドベンチャーゲーム『Rain98』。
現代を生きていたはずの主人公が、1998年にタイムスリップ。謎の少女・雨原玲奈(声:土屋李央さん)の部屋で目覚め、彼女が“世界を滅ぼす”企てに手を貸すことになる本作。
そんな『Rain98』が現在開催中のBitSummit PUNCHにも出展されていたので、再び取材を決行。最新版のデモの試遊に加え、“もともと2026年内にリリースするつもりだった”開発の進捗や、現時点での手応えについても話をうかがいました。

出展場所は“1F-A13”Ukiyo Studiosブース
雨に濡れた玲奈があまりに美しい……さらに深まる没入感
今回のデモは、昨年出展されていたバージョンに含まれていた範囲をブラッシュアップした上で新規シーンも追加。だいたい1.5倍ほどのボリュームになっていました。
改めてプレイしてみて、玲奈という人物の圧倒的な魅力を再認識。ほぼ同じシーンをなぞっていても、その射るような視線や声色、一挙手一投足にとにかく夢中にさせられます。プレイ時間が伸びることで、彼女に幻惑されるような没入感はさらに深いものに……完成版をプレイしたらどうなってしまうのでしょう?

玲奈がこれほど魅力的に映る理由として多くを占めるのは、間違いなくアニメーションも取り入れたCGの膨大さ。作り手のこだわりが尋常じゃない“物量”と“クオリティ”の両立を実現させており、これもまたインディーゲームならではの“尖りかた”のひとつの形と言えるのではないでしょうか? そこに土屋李央さんのダウナー少女としての名演が組み合わさっているのですから、“無敵”です。
新規シーンでは、ガチャガチャのカプセルにおもちゃと説明書を詰めるバイトなど、製品版ではいろいろと追加されるというミニゲーム(内容が90年代末期を思い出させるものなのがイイ感じ)などもプレイしつつ、息を呑んだのがクライマックスのシーン。


ゲームタイトルにもなっている“雨(Rain)”に濡れる彼女の佇まいは、筆舌に尽くしがたいほどに美しく、「このまま時が止まってしまえばいいのに」という言葉が頭をよぎったほど。彼女が世界を滅ぼしたいのなら、自らの犠牲など厭わない……誰もがそう思ってしまうのではないかと感じました。
この直前にあったコインランドリーのシーンも別の意味で衝撃的。なんと、玲奈から依頼されて、彼女にルーズソックスを履かせることになるのです。ちょっと唐突に感じなくもないですが、なにをするにも気怠げで、部屋の掃除も主人公にやらせる玲奈なら、ルーズソックスを履くのも面倒で、人に履かせてもらいたくなる……のかも?


ルーズソックスをベストな形に整えるためにけっこう入念な調整が必要なこと、ソックスの上部にはずり落ち防止のために糊を塗ることなどを、筆者は初めて知りました。
国・文化・性別を超えて引き込まれる“玲奈”の魅力……反響の大きさから「見たことのないクオリティの作品を作りたい」

開発を指揮するインディーゲームスタジオ“C#4R4CT3R”所属ディレクターであるショーン・T氏に話をうかがうと、本作は全7章のストーリーを予定しており、デモ版の範囲は第1章の一部。
ただ、ゲームの進行においてメインとなるところまでは完成し切っていないとのこと。現時点でも凄まじい没入感ですから、かなり力を入れて作り込んでいることがわかります。
そんな本作を“もともと2026年内にリリースするつもりだった”というのはなかなか無謀な計画だったように(当時から薄々と)感じていましたが、販売計画を大きく超えて「序盤のクオリティアップを延々と続けている」ほど、本作に対するチームの士気が高いことがうかがえました。

また、今回のデモ版には含まれていない部分として、玲奈といっしょに町を移動して行き先を選択するようなパートも制作しているとのこと。ミニゲームや移動パートなども含めて、クリアーまでに掛かる時間は10時間くらいを想定しているということでした。
90年代末期という時代を選んだ理由について改めて聞いてみると、現代のコロナ禍や世界で起きている戦争、貧富の拡大といった社会問題により生じている空気は“暗い終末観”を連想させるもので、それは90年代末期に近しいものなのではないか? という発想があったとのこと。

現代を生きる主人公が90年代末期の世界を玲奈とともに体験することで、現代の見えかたも変わってくるかもしれない……という想いを、当時を思わせる退廃的な空気感と物語に込めているということでした。
現時点での手応えについてもうかがってみると、国内での反響はもちろん、海外からの注目度も高く、現時点でのウィッシュリスト登録の割合も50%以上が海外からのものであるとのこと。

また、とくに海外のゲームショウで出展した場合、試遊列には女性もかなり多く並んでプレイしてくれていると言います。これについては「玲奈はニュートラルにプレイヤーの心に入り込んでくる感覚があり、性別問わず愛される魅力があるのではないか」との見解を示してくれました。
「現状ではいつごろリリース予定ですか?」と聞いてみると、少し苦笑いしてから“2026年内を目指したい”としつつ、ちょっと難しそうな気配……。手応えや反響の大きさから「見たことのないクオリティの作品を作りたい」という想いがチーム内で大きくなったのも、見通しが立ちづらい要因となっているようです。

ただ、年内に“体験版の配信”などの大きな発表はしたいとのこと。こちらは期待してもよさそうな感触でした。玲奈とのひとときが待ち切れない方は、“C#4R4CT3R”公式アカウントをフォロー、Discordに参加して、今後の情報発信をチェックしてみてはいかがでしょう?