NeverAwakeManのおすすめゲーム
『SAROS』
- プラットフォーム: プレイステーション5
- 発売日:2026年4月30日発売
- 発売元:ソニー・インタラクティブエンタテインメント
- 開発元:Housemarque
- ジャンル:シューティング
- 価格:8980円[税込]
- 対象年齢:CERO 15歳以上対象
【こういう人におすすめ】
- ハイスピードなアクションが好き
- ド派手なエフェクトが見たい
- 弾幕を見ると興奮する
リターン・トゥ・リターナル
PS5で発売されたゲームのうち、もっとも過小評価されたタイトルはなにか?
思うにそれは『Returnal』だ。これを読んでいるあなたがこのサードパーソン弾幕シューターをプレイし、そしてクリアーしているなら、きっと首を縦に振ってくれるかと思う。超がつくほどスムーズな操作性に裏打ちされた爽快なプレイフィールは、発売から5年経ったいまでもまったく色褪せない。TPSというジャンルにおけるひとつの到達点とすら言えるだろう。
ただ、いかんせんキツかった。物理的にも、精神的にも、難度的にも。
舞台となる謎の惑星はどこへ行っても薄暗いし、主人公の過去も暗い。物語は不穏なうえに曖昧で、トゥルーエンドまでクリアーしてもなお不明瞭なまま。詳しいことはネタバレになるのでボカして言うが、本作は“終わりのないのが終わり”とでもいうべきループ構造になっており、それがそのままタイトルにも現れている。

……とまあこんなわけで、『Returnal』はTPSとして完成度が高いにもかかわらず「キツすぎる」という一点であまり正しく評価されてこなかった。“TPSが好きであり、ローグライクに心が折れず、なおかつ考察好きのコズミックホラーファン”というかなり狭い層にしか、このゲームを正面からオススメできないのだ。じつにもったいない。

では、その『Returnal』を作ったHousemarqueスタジオの新作『SAROS』はどうか?
結論から述べるなら、『SAROS』は『Returnal』から多くを受け継ぎ、磨き上げた逸品だ。しかもニッチな層にしか響かなかった『Returnal』とは異なり、幅広いアクションゲーマーにオススメできる傑作となっている。
ウェルカム・トゥ・カルコサ
人類が宇宙進出を果たした未来。惑星カルコサで発見された未知のエネルギー源”ルセナイト”を採掘すべく、巨大企業ソルタリ社は3つの部隊を派遣した。
だが、それら3つの先遣隊はすべて音信不通となる。事情の調査と先遣隊の救助のため、4番目の部隊が派遣されることとなった。主人公アルジュン・デヴラジは第四部隊”エシュロンIV”の護衛官であり、同時にニティアという女性を捜す目的も秘めている。そしてなぜかアルジュンだけが、カルコサでの死を免れる力を持っている……というかたちで『SAROS』の物語は幕を開ける。

本作はTPSなので銃を撃って戦うわけだが、ピストルからライフル、クロスボウにいたるまでどの銃も使っていて非常に気持ちいい。それぞれに特有の音と振動があり、聴覚と触覚の両方でその火力を脳に訴えかけてくるからだ。L2トリガーの半押しと全押しでアクションが変化するといった具合に、DualSenseコントローラーの本領であるトリガーエフェクトにもしっかり対応している。

『Returnal』からの些細な、しかし大きな変更点として『SAROS』では一部の武器を除いて精密なエイミングが不要となっている。画面に敵が映っていれば自動で照準を合わせるオートヒット機能があるからだ。そのおかげで、熾烈な弾幕をかいくぐりながら撃ち返す、という忙しいアクションがよりカジュアルに楽しめるようになっている。
勘違いしないでほしいが、オートヒット機能があるからといって『SAROS』は決して簡単なゲームではない。オートヒット機能がある前提で作られているため、敵の弾幕の密度は前作に輪をかけて濃厚だ。ダッシュやジャンプ、グラップリング、そして新機能のバリアやパリィをフル活用してやっとまともにわたり合えるかどうか、といったレベルでプレイヤーのスキルを試してくる。

また、どこに行ってもとにかく暗かった『Returnal』と違い、カルコサは明暗さまざまなバイオームを見せてくれるのもうれしい変化だ。大理石が白く光る遺跡や、パイプとピストンがひしめく地下坑道、じっとりとした沼地などステージは多彩である。

とはいえ、どこへ行ってもやることは変わらない。とにかく走りまくって撃ちまくれ!
死ぬたびに 君に近づく

ローグライクというジャンルについての詳しい解説はややこしい。しかもちょっと変なことを言うとローグライク警察が飛んでくるので深入りはしない。とにかくここで言いたいのは、『SAROS』においてゲームオーバーはプレイの終わりではなく新たな始まりを意味する、ということだ。
本作のキーアイテムでもあるルセナイトはおもに敵を倒すことで手に入る。死んだりボスを倒したりして拠点に戻ってきた際に、ルセナイトはアルジュンのステータスを恒久的に引き上げるアイテムとして用いることができるのだ。ステータスはツリー式に伸びていくのだが、このツリーがちょっと驚くほどに長い。それはつまり、本作のプレイボリュームを暗に物語っているといっていいだろう。

したがって、究極的に言えば『SAROS』にゲームオーバーは存在しない。『Returnal』において死は絶望的なループの終点であり起点であった。しかし『SAROS』においては、くり返す死はエンディングへと向かう大きな螺旋に組み込まれている。
死は終わりではない。死ぬたびに強くなれる。死ぬたびにクリアーが近くなる。そして、死ぬたびに君に近づく。

絶対に勝てないと思うようなボスがきっと現れることだろう。敵の弾幕に無惨に削り殺されることもきっとあるだろう。だがそこで終わりではない。プレイを経て手に入れたルセナイト、そしてリアル経験値がプレイヤーを少しずつ着実にクリアーに導いてくれる。この安心感がありがたい。

『Returnal』がハードコアだったのはひとえに“負けたら最初からすべてやり直し”というプレッシャーゆえだった。そのプレッシャーのせいで臆病なプレイを強いられることもあった。
しかし『SAROS』はその逆だ。負けたっていい。強くなって出直せるから。何度でも挑戦すれば、いくらでも強くなれる。この逆転のアプローチがプレイの間口を大きく広げ、勇敢なプレイを推し進めてくれる。
『SAROS』はけっして“易しい”ゲームではない。だが“優しい”ゲームではある。「つぎこそは」というガッツさえあれば、必ずプレイヤーをゴールまで運んでくれる。そんな熱血教師のようなアクションゲームなのだ。












