
この機能はおもしろそうではあるが、システムだけを聞いてもピンとこない部分が多かった。だが、実際に遊んでみると「なるほど、こうなるのか」と奇妙な体験を味わえた。
独特な仕掛けがゲーム体験にどのような影響を及ぼすのか、実際にエンディングまで遊んでみてのプレイレビューをお届けしていこう。
※この記事はTHQ Nordicの提供でお届けします。プラスチックに汚染された滅亡間近の世界
舞台となるのは、水没した海洋惑星“エリンド”。この世界の海には大量のゴミが漂い、人々は謎の疾病“プラステミア”に汚染されているというポストアポカリプスな世界観だ。


各章の開始時点で、残りの人口が減少していく演出から「もう本当に滅亡寸前なんだな」と明確に理解される。最初に訪れる街では文字通りの意味に「死ぬまで騒ごうぜ」なパーティーが開かれていて、世界観の掴みはバッチリだ。


そして、プレイヤー自身もこのプラステミアという病にかかっており、定期的にオーゼンという薬を摂取しないといずれ死にいたってしまうのが見どころのひとつ。

オーゼンを巡ってときには人を傷つけ、裏切り、奪い合うことになる。このあたりはプレイヤーの選択次第で、数少ないオーゼンをほかの人間に譲る高潔さを選ぶことも可能だ。

ストーリーではオーゼンを求めての旅路から、プラステミアを根本から解決する治療薬の探索へと舵を切っていく。次第に減少していく人類をプレイヤーは救えるのか、それともあえて救わない道を選ぶのか……というのがストーリーの大筋だ。

本作はマルチエンディングとなっており、その道中もプレイヤーの選択次第で大きく変化していく。人を優先するのか、それとも自然を愛するのか、はたまた自分の思うままに暴れるエゴイストになるのか。
プレイヤーの決断によるストーリーの分岐に加え、さらに“オンラインストーリーリンク”で話が広がっていくので、くり返し遊んでも楽しめる作りになっていた。
緩やかなつながりがもたらす奇妙な体験

今回は開発チームが用意した“Evil_Pete”というプレイヤーをフォローして進めたのだが、このEvil_Peteがとんでもないトラブルメーカーだった。

奪える物は根こそぎ奪い、壊せるものは機械も人間関係も壊し、散々なトラブルを起こして街を去っていく。だれひとりとして、Evil_Peteを賞賛する者はいない。


プレイヤーたちはタイドウォーカーと呼ばれる存在で、しばしばひと括りにして扱われる。なので、新しい街に行くたびに「うわっ、またタイドウォーカーが来たよ……」といきなり非難の目で見られるのだ。

スニークミッション中、タイドウォーカーを恨む住民に大声で警備員を呼ばれたりと踏んだり蹴ったりだ。


そのため、本来はすんなり行けたであろう場所も、抜け道を探してコッソリ進んだり、警備員の目をかいくぐって動くハメになったりする。プレイ中は定期的に「またEvil_Peteだ!」と恨むことになった。


今回のプレイ中はずっとEvil_Peteに振り回されていたが、逆に善行を行っていたプレイヤーをフォローすれば、まったく異なるストーリー展開へと変化していくのがこのシステムの見どころだ。タイドウォーカーに助けられた人は、つぎに訪れるタイドウォーカーを手助けしてくれる場合がある。
これがユニークな部分で、善行を行ったとしても自分自身へのリターンはほとんどない。その恩恵を受け取れるのは、自分をフォローして軌跡を追うつぎのプレイヤーだ。

ゲーム中にはたびたび、欲を出すか、必要最低限の物を得るかという場面が出てくる。たとえば、生命線となるオーゼンという薬。
これはお店で購入することができるが、数には限りがある。ここで買い過ぎると、つぎのプレイヤーが訪れたときには売り切れてしまっているのだ。ちなみにEvil_Peteが買い占めているお店も多々あった。

ほかにもショップに寄付をすると、つぎのプレイヤーのためにオーゼンを補充してくれたり、通貨となるスクラップやオーゼンを残しておけるボックスまで設置されている。
オーゼンは本当に生命線なので、命の危機に瀕している中、どこまで他人を優先できるのか試されているような気分にもなった。気持ちとしては10本でも20本でも持っておきたい中、「つぎの人のことを考えて1本だけ」という選択をできるのかが試される。


ここから感じ取れるのは、「いまだけ金だけ自分だけ」の精神を取るか、後に続く人のことを考えて何かを残すかという命題だ。説教臭く訴えてくるわけではなく、ゲームのプレイを通じて自然とそういう感覚を得られるのがおもしろい。
これが本当の意味でシングルプレイゲームなら、ロールプレイとして悪逆非道の限りを尽くしたって構わないのだが、ストーリーリンクが違う視点をもたらしてくれる。ほかのゲームを遊んでいるときには考えもしない、「お天道様が見ている」という言葉が頭に浮かんだ。

悪行をした結果、自分をフォローしたプレイヤーにその行動が見られる、迷惑をかけてしまうという絶妙な居心地の悪さ。本当だったら手に入るものを根こそぎ持っていきたいところだが、つぎのプレイヤーのことを考慮して正しい行いを選んでしまう。ストーリーリンクという緩やかなつながりが、いい意味での閉塞感、監視されている気持ちにさせてくれた。

ゲーム体験としてはフレンドをフォローして友人の軌跡を追ったり、ストリーマーの記録をフォローして、NPCたちがストリーマーの行動をどう評価しているのか、アフターエピソードのように楽しむのもアリだろう。

選ぶのは人か、自然か。訪れる数々の分岐


システム面で特徴的だったのが、フォローしたプレイヤーの軌跡が見える幻視という機能。
幻視は重要な場面でフォローしたプレイヤー、筆者の場合はEvil_PeteがNPCたちとどんな会話をして、どんな展開になったのかを見ることができる。過去の出来事を覗けるような仕組みだ。


また、ストーリー中には数々の決断を迫られる場面があり、それによってプレイヤーのスタンスも決まっていく。人類の救済を目指すのか、人よりも自然やほかの生命体を優先するのかによって、ストーリーやエンディングが分岐する。

プラステミアは治療できるのか、タイドウォーカーとは何者なのか。そういった謎に迫りながら、各地でトラブル、または住民たちと協力しながら問題を解決していく物語は、ほかのプレイヤーとのリンクによって珍しいゲーム体験へと導いてくれた。

挑戦的なシステムなので、正直に言えばもっとカオスな展開になるかと思っていたが、よくも悪くも丁寧にまとまっていた印象を受けるゲームではあった。
ちょっとしたトラブルや善行をしてつぎのエリアへ、という流れになるので、定められたルートから大きく逸脱するような展開にはならない。つぎのプレイヤーに話をつなげるため、街が本当に壊滅するような大きなイベントが起きないのだ。
ほかのプレイヤーが物語に影響してくることが、展開の起伏を少し減らしてしまったような場面も見受けられる。

フォローする人によって印象が変わるので、なかなかに評価が難しいゲーム性だ。フレンドや、視聴しているストリーマーをフォローしてプレイすると、また違った味わいも出てくる可能性がある。
シングルプレイでありながら緩やかな共存・妨害関係にあり、物語にも影響してくるシステムはこれまでにはない奇妙でユニークな体験、感覚を味わえたのは間違いない。2周、3周と遊んで長く楽しめるゲーム性になっているので、この珍しいシステムに興味がある人はプレイしてみてはいかがだろうか。
『Tides of Tomorrow(タイズ オブ トゥモロー)』製品概要
- 発売日:2026年4月22日発売
- 対応プラットフォーム:プレイステーション5、Xbox Series X|S、PC
- ジャンル:アドベンチャー
- 発売元:THQ Nordic
- 開発元:DigixArt
- 価格:プレイステーション5版とSteam版は4389円[税込]、Xbox Series X|S版は4450円[税込]
- 対象年齢:CERO 15歳以上対象/IARC 16歳以上対象
















