TPS『SAROS(サロス)』は弾幕を使った遊び場?「自分から向かっていく立ち回りで"弾幕との触れあい"を拡張した」【開発陣インタビュー】

TPS『SAROS(サロス)』は弾幕を使った遊び場?「自分から向かっていく立ち回りで"弾幕との触れあい"を拡張した」【開発陣インタビュー】
 ソニー・インタラクティブエンタテインメントより、プレイステーション5(PS5)にて2026年4月30日に発売を予定している、新作シューティングアクション『SAROS』。2021年に発売された『Returnal』をさらに発展させ、"ローグライク×弾幕×TPS"(※)の要素がより深く楽しめるタイトルとなっている。
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※TPS:三人称視点シューティングのこと。

 本記事では、本作を制作したスタジオHousemarqueの開発陣へのインタビューの内容をお伝えする。なおこのインタビューは、メディア向けに開催された先行体験イベントで、プレビュー版をプレイしたメディアを対象に行われたもの。プレビュー版の内容についてはリポート記事を参照してほしい。
TPS『SAROS(サロス)』は弾幕を使った遊び場?「自分から向かっていく立ち回りで"弾幕との触れあい"を拡張した」【開発陣インタビュー】

Gregory Louden

『SAROS』クリエイティブディレクター。(文中はGregory)

Simone Silvestri

『SAROS』アートディレクター。(文中はSimone)

脅威だった弾幕をチャンスに変える


――本作をどのような作品にしようと考えて開発したのか、教えてください。

Gregory
 まず、『Returnal』のような歯応えのあるアクションであることは維持しつつ、永続的な成長システムを導入することで、何度もチャレンジできるゲームを目指しました。挑戦に失敗しても、つぎの挑戦につながるような仕組みにしています。

 そして弾幕TPSとして、単に敵弾を避けるだけでなく、自分から向かっていきシールドでパワーを吸収するシステムを導入しました。シールドのほかにパリィもあります。弾幕に自分から向かっていくような立ち回りを取り入れることで“弾幕との触れあい”を拡張しています。このふたつを軸にして開発を進めていきました。

――シールドを張ったり、パリィするアクションは前作と比較してどのような体験をしてもらおうと考えたのでしょうか。

Gregory
 『Returnal』は弾幕を利用した障害物競走のようなもので、『SAROS』は弾幕を使ったプレイヤーの遊び場になることをイメージしました。危険な存在だった“弾幕”が、今回はチャンスにもなります。そういった変化を付けたくて導入しました。

TPS『SAROS(サロス)』は弾幕を使った遊び場?「自分から向かっていく立ち回りで"弾幕との触れあい"を拡張した」【開発陣インタビュー】
――各バイオーム(エリア)を順番に攻略していくゲーム性になっていますが、最初のバイオームから始める以外に、途中からスタートすることもできます。どのような違いがありますか?
Gregory
 いずれの方法で始めても問題ありませんが、イチからスタートした場合は、そのぶん道中で得られる強化アイテムやポイントが増えていくので、ボスに到達するころには、途中から始めたときより強い状態で挑めるでしょう。ボス戦で苦戦したときには、前のバイオームから始めてみると攻略しやすいはずです。もちろん、途中から始めればつぎのボスにすぐ挑めます。好みのプレイスタイルで選んでください。

――『Returnal』は基本暗いシーンが多く、ダークな空間を進んでいくゲームでした。『SAROS』ゲーム全体が明るめな印象で、差別化を図っているのかなと感じましたが、どのようにデザインされたのでしょうか。
 
Simone
 『Returnal』では独特の雰囲気をうまく作り上げることができたと思っており、思い入れも強いです。そこで築き上げた我々の哲学は大切にしつつも、まったく新しい物語を描きたいと考えいたので、『SAROS』では違うアプローチを取って表現しようと考えました。 

 本作の舞台となる惑星・カルコサは日蝕に包まれています。“日蝕”によって、ストーリー、アートスタイル、そしてゲームプレイに至るまで、ゲームのあらゆる要素に関わってきます。日蝕を際立たせるために、まずは土台となる世界のトーンを設定し、日蝕によってそれをどう変化させるのか考えていきました。異なる色調を使うに至った理由でもあり、とくに意識したのは、プレイヤーにスケール感を味わってもらえるような世界を作ることです。

 また、ゲーム序盤はまず落ち着いたトーンのバイオームから始まりますが、そこから徐々にプレイヤーをカルコサという狂気の世界に誘っていくように、ビジュアルデザインや色彩表現も過激になっていきます。

 今回のプレビューイベントでは、最初のふたつのバイオームを体験していただきました。序盤ですので、親しみが持てるようにまだ表現も抑えめにしています。そこからカルコサの深部へと進んでいくにつれ激化していく様子を楽しみにしていただければと思います。そして最終的には日蝕の存在が、プレイ後まで強く皆さんの印象に残ってほしいという狙いがあります。

 また日蝕はアート面だけでなく、サウンドにも影響を及ぼします。作曲家サム・スレイターが手がけた音楽が、日蝕により様変わりする様子もぜひ楽しんでください。

TPS『SAROS(サロス)』は弾幕を使った遊び場?「自分から向かっていく立ち回りで"弾幕との触れあい"を拡張した」【開発陣インタビュー】
――六本の手を持つ怪物や、日蝕に入る際の無数の手が集まったオブジェなどが印象的でした。どのようにアートデザインを構築したのでしょうか?
Simone
 異星の文明、それも日蝕の崇拝を軸とした文明を描くという話になり、そうした文明にマッチしそうな様式として、まず新古典主義(Neo Classicism)に目を向けました。崇拝や神秘主義、壮大な建造物といった特徴を有しているからです。

 ですが新古典主義の建築物のデザインは、ソフトで親しみやすい印象を与えがちです。そこで新古典主義への反動として生まれた、イタリア未来派(Italian Futurism)のアートスタイルも取り入れました。相反するこれらの様式を組み合わせることで、暴力的で鋭く、それでいて美しいスタイルを構築することができました。カルコサの凶暴な美しさを表すことにつながったのです。

 そこから日蝕による啓発を受けた文明というのを練り上げていくわけですが、コズミックホラー的な側面も取り入れたく、結果として歪んだ啓蒙とも言うべき、おぞましき文明の有様が浮かび上がってきました。このように、新古典主義という私自身がよく理解する様式を土台としながら、さまざまな要素を混ぜ合わせていくことで、本作のアートスタイルを構築していったわけです。

 混ぜ合わせていった要素には、日本のアニメや漫画も含まれています。Housemarqueは奇妙・極端・異質なものが大好きであり、この凶暴ながらも美しい文明を描くにあたり、さまざまなものを組み合わせていきました。

TPS『SAROS(サロス)』は弾幕を使った遊び場?「自分から向かっていく立ち回りで"弾幕との触れあい"を拡張した」【開発陣インタビュー】
――ゲームに条件を追加して難易度を調整できる“カルコサ・モディファイア”があるそうですが、難しくした場合どのようなメリットがあるのでしょうか?
Gregory
 “カルコサ・モディファイア”には、プラスの効果を発揮する“プロテクション・モディファイア”と、マイナスの効果がある“トライアル・モディファイア”の2種類があります。このふたつのモディファイアを使用することで、難易度が上下します。メリットがあるというよりは、ゲーム内で難易度を自分好みに調整できることが目的のシステムになっています。

――具体的に“カルコサ・モディファイア”で調整できる項目で、とくにユニークだと思うものはありますか?

Simone
 “トライアル・モディファイア”では永続的アップグレードを無効化できるものなどがあります。たとえば、倒れても復活できる“セカンド・チャンス”を無効化できたりします。

 モディファイアの役割としては、ゲーム中に遭遇するさまざまな困難において、どれを維持して、どれを無効化するのかプレイヤーが選べるシステムになっています。自分が嫌になってしまうような要素を消してみたりと、プレイヤーレベルに合わせて選んでみてほしいです。

――登場する武器は、どのような意図で設計していますか?

Gregory
 アルジュンたちはとある目的をもって、地球から惑星カルコサに集団で訪れています。『Returnal』では、異星の技術を用いた武器だけ登場しましたよね。アルジュンたちは地球から来ているので、地球の技術を用いた武器を持ってきているほか、異星であるカルコサの技術を使った武器も登場します。

 このふたつのが合わさることで、よりバリエーション豊かな武器が使用できます。たとえば、ハンドキャノンひとつ取っても種類がたくさんあり、武器スキルも異なります。今回は武器においても、より多様性のある選択ができることを目指しました。

――開発陣のオススメの武器はありますか?

Gregory
 いちばん好きなものはゲーム後半に登場するものなので、この場では控えさせていただきます。プレビュー版のなかで触れられるもので言えば、武器の“リコシェ・ハンドキャノン”で使用できる武器スキル“バウンス・ラウンド”ですね。撃った弾が地面や壁に当たると、跳弾するのがお気に入りです。

Simone
 私はショットガンが大好きです。近距離からスタガー効果(※蓄積すると敵がダウンする効果)を与えて、近接攻撃でトドメを刺したりですとか、近接戦に特化した武器が好みです。

TPS『SAROS(サロス)』は弾幕を使った遊び場?「自分から向かっていく立ち回りで"弾幕との触れあい"を拡張した」【開発陣インタビュー】
――『Returnal』は複雑な物語性でしたが、『SAROS』は序盤を遊んだ限りですと、とても導入がわかりやすかったです。ストーリー上に登場するバイオームをすべて攻略すれば、物語は終了となるのでしょうか? 『Returnal』では1周目クリアー後に、2周目以降用のエンディングもありました。クリアー後のコンテンツもあるのでしょうか?
Gregory
 たしかに、本作の序盤は『Returnal』と比べるととてもわかりやすい内容です。ただ、『Returnal』と同様に奥深い物語や複数のレイヤーが重なりあう、ミステリーに満ちたストーリーは本作でも健在です。1度ゲームをクリアーした後も、まだまだ解き明かす謎が残されています。ネタバレになるので深くは言えませんが、そういった謎を追い求めるような要素は用意しています。ですので、『Returnal』のように考察をしながら物語もぜひ楽しんでほしいです。

――最後に日本のファンの方々へ、メッセージをお願いします。

Simone
 本作は古きアーケードゲームや、日本のゲームやアニメ、漫画などさまざまなところに影響を受けた作品です。どこから影響を受けたのか、遊びながら想像してみてください。そして我々が本作に込めた愛を感じ取ってほしいです。ぜひプレイして、楽しんでください。

Gregory
 『SAROS』は我々にとっては、夢のチームで作り上げた、夢のタイトルです。歯応えのあるゲーム性がありながら、困難を乗り越えた先にある達成感が味わえるゲームを目指しました。奥深いミステリーや心に残る物語も用意しています。日本の作品からも多数影響を受けたゲームですので、そういったところも楽しんでほしいです。個人的には、Housemarqueはヨーロッパのゲームスタジオの中では、いちばん日本的な開発スタジオだと思っていますので、日本のゲーマーの皆さんに楽しんでいただけると幸いです。
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