新作『パラノマサイト FILE38 伊勢人魚物語』レビュー。『パラノマサイト』らしい遊び心地は健在。ネタバレに配慮すると非常にレビューに困る“そういう仕掛け”が満載のゲーム【ややネタバレ注意】

新作『パラノマサイト FILE38 伊勢人魚物語』レビュー。『パラノマサイト』らしい遊び心地は健在。ネタバレに配慮すると非常にレビューに困る“そういう仕掛け”が満載のゲーム【ややネタバレ注意】
 う~ん困った。このゲーム、何を書いてもネタバレになる……。

 スクウェア・エニックスから2026年2月19日発売予定の『
パラノマサイト FILE38 伊勢人魚物語』のレビュー記事を依頼され、前作も楽しませていただいたということで記事を任せてもらえることになったのだが、このゲーム、何を書いてもネタバレになってしまう。

 この「何を書いてもネタバレになってしまう」という情報すらもネタバレになってしまう(そういう仕掛けがあることを示唆してしまう)ので、すでに本作の購入が決定しているという人は、そっとブラウザバックすることをおすすめします。
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 ということで、どんなゲームなのか知りたい人、買おうか悩んでいるという人に向けた『パラノマサイト FILE38 伊勢人魚物語』のレビュー記事をお届け。本作の魅力となる部分について、クリアーまでプレイしたシリーズファンの筆者がご紹介します! なお、核心に迫る内容や大きなネタバレはありませんが、未プレイの方にしてみればネタバレゼロ、ということにはならず。その点はご承知おきください。

クリアー後にセーブデータを消したくなる。そんなゲーム

 前作にあたる『パラノマサイト FILE23 本所七不思議』の発売から約3年。まさか新作が出るとは! と思って喜んでいた自分。発表からリリースまで約2週間というスピード感にも驚かされた本作だが、まず最初に言っておきたいこととしては、続き物のお話ではないので、前作をプレイしていなくても十分に楽しめます。なので、本作からプレイしても全然オッケー。

 本作をプレイしたあとに前作をプレイするのでも問題ないが、やはり前作をプレイしていたほうが、より本作を楽しめると思う。それは本作内に登場する各種資料の中に前作のキャラクターの話が出たりするという理由もある。そもそも、「なんで?」と言っても答えられないのであしからず。
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ちなみに、『パラノマサイト』は画像の案内人とともにプレイヤー(自分)が物語を読み解くというメタフィクション要素があるゲームだ。
 本作の世界には“呪い”という力が明確に存在し、プレイヤーは複数のメインキャラクターを操作して、呪いを巡る騒動を解決するというのが大きな目的となっている。
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 久しぶりに故郷に帰ってきた水口勇佐、記憶喪失の白浪 里、主婦の志貴結命子、やたらテンションの高いアルナーヴ・バーナムなど、複数の視点から物語を描く。

 『
パラノマサイト』に登場するのは、いずれもひと癖もふた癖もある人物ばかり。物語の中心人物として描かれる勇佐はクールなイケメンっぽい見た目に反して意外とジョークが得意。里も勇佐と同じくシリアスなシーンに耐えられないようなおちゃらけた性格で、物語を暗くしない存在としてひと役買ってくれている。
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水口勇佐(左)と白浪 里(右)

 志貴さんやアルナーヴ(作中ではアヴィと呼ばれているし、呼ばせている)はさまざまな調査を行ってくれる重要な存在だが、個人的にはアヴィとキルケのコンビのやり取りがかなりツボだ。アヴィはとにかく喋りまくるし冗談を言いまくる。キルケはそれをたしなめる存在……と思いきや、冗談に乗ったりすることもあり、ふたりだけなのに終始賑やかだ。
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アヴィことアルナーヴ・バーナム(左)とキルケ・ルナ―ライト(右)

 現在公開されているキャラクターとしては志貴さんと行動をともにする双奴くんとキルケちゃんが好み。どちらも霊能力を持った頼れる存在で、「このふたりがいればなんとかなるんじゃない?」と思えるほどだ。
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志貴結命子(左)と霧生双奴(右)

 とにかくいい奴らだらけな『パラノマサイト FILE38 伊勢人魚物語』。キャラクターどうしの会話も見どころだが、とくにアヴィとキルケのやり取りには注目されたし。
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呪術を使える霊能力者がカギを握る『パラノマサイト』。双奴くんも由緒正しき家柄の呪術師だ。
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スベってるんだけどどこか憎めないアヴィ。でも彼ならなんとかしてくれそうな底が深そうな、でもやっぱり浅そうな人物。
 物語は時系列通りに進まず、いきなり時間が未来や過去(と言っても数時間、数日程度)のエピソードがバラバラに出現する。これは前作から変わった点であり、それを読み解きながら頭のなかでできごとを整理し、プレイヤーみずから登場人物を導く流れことになる。
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 その時点では謎に包まれていた要素でも、ゲームを進めて過去のエピソードを見ると意味がわかることもある。まるでパズルのピースがはまるように真実が集まっていく感覚が味わえるのも、本作ならではの体験だ。

 一度クリアーしたエピソードも、くり返しプレイできる。本作ではそのエピソードですべての“フラグ”を回収するとアイコンがグレーアウトするので、取りこぼしがあるかないかが瞭然。コンプリートのためにどこにフラグが隠されているのかがひと目でわかるのがうれしい。

 前作では墨田区を舞台とした物語が描かれ、その土地の伝承などを物語に盛り込んだストーリーとなっていた。本作では三重県伊勢志摩地方を舞台に、不老不死をもたらす人魚伝説を中心に物語が描かれる。前作はホラーゲーム的なシナリオだったが、本作では終始明るい雰囲気が漂う印象。呪いによる鬼気迫るシーンもあるが、ビックリ要素や怖いシーンはほぼないので、ホラーが苦手という人でも楽しめるだろう。
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得た情報は資料の項目にまとまっていくので、見返して攻略のヒントにすることもできる。
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伊勢の郷土の歴史なども語られ、教養も深まる。物語に深く関係しているので、ときに攻略に役に立つシーンも。
 ゲーム中には、選択肢を間違えてゲームオーバーになる場面もある。ただし、そういったときは案内人がヒントを与えてくれるので、どこで選択を間違えたのかがすぐにわかるようになっているのがうれしい。

 プレイヤーの操作が介入するシーンとしては、会話の選択肢、マップの移動、マップの調査、謎解きなどが挙げられる。前作同様に、本作背景は360度の方向にカメラを回転することができ、自分の背後に情報が隠されていることもある。振り返ると奴がいる、みたいな展開も。
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前作から引き続き、収集要素の“なめどり”も隠されているので、全部を見つけてみよう。
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移動や調査は基本総当たりになるが、それほど行ける場所や選択肢は多くないので進行もスムーズ。
 謎解き要素もわかりやすく、間違えたらすぐに間違えたことがわかるようになっているので、同じシーンで詰まるということはなく、サクサクとクリアーまでプレイできた印象。以下のインタビューでも触れられているが、クリアーまでは15時間程度でたどり着けるゲームボリュームなので、構えずにササッと楽しめるのがいい。
 サッと遊んでサッと終われる潔いゲームなのだが、クリアーまでプレイするとセーブデータを消してもう一度プレイしたくなるようなシナリオとなっている。

 とはいえ、某ゲームのように“セーブデータを消すと何かある”という意味ではない。単純にまたゼロから物語を読み直したくなるという意味。初回プレイではなんとも思わなかったが、クリアー後に改めて読むと、「こういう意味だったのか」とか「本当はこういうことだったのか」と思えるようなテキストの伏線的がしっかり用意されている。

 けっこう風呂敷を広げているように感じるが、そこは石山貴也氏が手掛けるシナリオということで、見事な畳みかたをしている。ゲームをプレイして「ん?」と思った部分は、メモを取るなりして覚えておくと、クリアー後に2度美味しい体験ができるかもしれない。
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この案内人がいきなりすごいこと言ってくるのもお約束。終始身構えてプレイせよ。
 あと、素潜り漁もけっこうハマる。エピソードを選択する“ストーリーチャート”画面からいつでも挑戦できるミニゲームで、酸素が続く限り素潜り漁を行い、海産物を撮るとポイントを獲得し、ハイスコアを目指す。

 スコアは経験値として溜まり、海女ランクが上がると潜水力、泳力、捕獲力、探索力をひとつだけ強化できる。ランクが上がれば上がるほどに海女としての実力がアップしさらなるハイスコアが狙えるので、獲って強化して獲って強化してのサイクルが非常に楽しい。

 シンプルだが、効率よくスコアを稼ごうとすると意外と戦略的。本作でスコアアタックをする文化が芽生えるかもしれない?
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本作のおもしろさを早くプレイヤーどうしで語りたい

 『パラノマサイト FILE23 本所七不思議』をプレイした人ならわかると思うが、「『パラノマサイト FILE38 伊勢人魚物語』はここがおもしろかった」というのを発売前のこのタイミングで書くことはできない。できないったらできないのだ。

 『パラノマサイト』はちょっとヘンなゲームで、プレイヤーを驚かせる仕掛けが随所に散りばめられており、その仕掛けに遭遇したときにちょっとした感動を与えてくれるようなことがある。そのため、「ここがおもしろかったです」というのがそのままネタバレになってしまうので、何も言えない。自分にはゲーム紹介くらいしか書くことができない。無念。

 記事に書いても問題なさそうなことを言うと、前作をプレイしておもしろいと感じたなら、本作も必ず楽しめるだろう。“『パラノマサイト』らしい仕掛け”もバッチリあり、シナリオの作り込みも秀逸。シナリオに関することも何ひとつ言えないが、最後までプレイすれば「なるほど~」と思えるような“小説や映画では味わえないゲームならではのインタラクティブな物語”が堪能できるはず。

 アドベンチャーゲームとしてのワクワク感もバッチリで、早く結末が知りたいと思わせてくれるようなクオリティー。前述のとおり15時間前後でクリアーまでプレイできるので、土日のお休みに一気にプレイするといったことも可能だ。コンパクトでいながらシナリオが与えてくれる衝撃はかなりのもので、コスパ・タイパともにバッチリだ(あまりコスパ・タイパで物事を考えたくない性分ではあるが)。

 「終盤にどんでん返しが~」とか、「あそこが伏線で~」とか、そういうことはとりあえず置いておく。まずはプレイして、まっさらな状態で本作の練り込まれた物語をまずは楽しんでほしい。

 そのあとで、クリアーした人どうしで感想を語り合うとよいのではないだろうか。……レビューになっているか? この記事。早くネタバレトークがしたい! あー!!! じつはあのシーンの(以下略)。
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      担当者プロフィール

      • リプ斉トン

        リプ斉トン

        話題のゲームはなんでもプレイしたくなる雑食系のゲームライター。気に入ったゲームはトロフィー(実績)をコンプリートするまでやりたい派。

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