『バイオハザード』シリーズ最新作となる本作では、若きFBI分析官であるグレース・アッシュクロフトと、歴戦のエージェントであるレオン・S・ケネディによる新たな物語、そしてふたりのキャラクターそれぞれを操作する異なるゲーム体験が味わえる。
2026年1月に実施されたメディア向け体験会にて、両キャラクターのプレイアブルな部分を体験。その後、本作のディレクターを務める中西晃史氏にインタビューを行い、本作の特徴や開発秘話について存分に語っていただいた。
中西晃史氏(なかにし こうし)
『バイオハザード レクイエム』ディレクター。文中は中西。
ふたつのまったく異なるゲーム体験が楽しめる『バイオハザード レクイエム』
今回試遊していただいた部分では、グレースのパートを比較的短めにしていますが、それはそういうペース配分によるテンポ重視の演出ですね。それを逆のパターンにするとまた違った味が出てきますし、ゲームの最後までプレイヤーが油断せず、飽きずに楽しんでいけるように作っています。
――レオンは武器をガシガシ使って戦えましたが、グレースのほうは体術を使っても押し返すだけだったりと、おとなしい印象でした。その辺のバランスについてはどのように設計されたのでしょうか?
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今回特徴的なのは、各ゾンビが持つ特性を使ってやり過ごすこともできるようになっている点です。そこを利用しつつ、プレイヤーがいかに戦略を組み立てていくかがゲームのコアになっているので、当然強い武器をグレースに持たせる必要がなく、むしろ逃げるために距離を開けることのほうが重要になります。
体術として突き飛ばしを入れているのはそのためですね。突き飛ばした隙に逃げることもできますし、ハンドガンを持っていれば、離れた場所から打つこともできます。ただ、ハンドガンを持っていてもゾンビから一気に距離を詰められるときびしいので、単純に距離を取るための要素としても設計していますね。
一方でレオンパートは、複数の相手と戦うことを想定しています。「まずあいつを振り向かせて蹴って、そのあいだにほかの敵を撃とう」とか、「周囲にいる敵を巻き込んでやろう」といった戦略が必要です。基本的にはゲームデザイン上の役割に応じてアクションと機能が異なるように設計しています。
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――ゾンビが生前の習慣を受け継いでいる様子も見られました。「電気は消しましょう」と言いながら電気を消すゾンビなどもいましたが、各ゾンビの動きや反応などを徹底して作り込んでいるということなのでしょうか?
とはいえ開発スタッフみんながゾンビの個性化に情熱を持って取り組んでくれていて、ボイスなども普通のゾンビでも専用のものが用意されています。全部で100件くらいはあると思いますよ。
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予想外の行動を取るゾンビにすることで「こいつはいったい何なんだろう」とプレイヤーに想像する余地を作ろうというのが元々のコンセプトだったので、それを感じてもらえれば嬉しい限りです。
――そういったゾンビの特性について苦労された点や、特に注目してほしい特性などはありますか?
もうひとつは、基本的には怖くするためにやっているのが、ゾンビに特徴を付けることでどうしてもネタ的におもしろくなってしまう点。もちろん笑いと恐怖は紙一重なのでそこは覚悟してはいたのですが、予想以上に調整が難しくて、少しセリフ回しが違うだけで急にネタっぽくなってしまったりする部分がありました。その辺は見た目、動き、ボイスなど、さまざまな角度から丁寧に調整しています。
――調整を重ねていくうえで、当初からの要素を削る判断基準はどのようなものだったのでしょうか?
今回の試遊範囲に限って言えば、そもそも療養所というロケーションでどういう体験を作りたいかというのがまずあって、それに不要なものは引き算しますし、足りないところは伸ばすという考えかたでやっています。
――グレースパートをプレイしていると、血液を集めて自分を強化できる要素がありました。これで成長していくと、グレースはどのくらい強くなるのでしょうか?
途中で行えるアイテムのクラフトなども、むしろいかにして生き残るかの手段を増やすという形です。体力が増えるのも、2回噛まれたら死ぬところが、体力を増やすことで生き残るチャンスが増えるという感じ。グレースが得ていくものは大体そういう形になっています。
――試遊中は、アイテムを持つためのカバンがいっぱいになりやすく感じました。プレイする際に意識するといいポイントなどはありますか?
「この鍵を手に入れたからあの場所に行こう」、「この辺りに敵がいたから回復アイテムを持っていこう」、「敵を倒した場所だからもうこれは要らないだろう」など、旅行の計画のように持っていくものを選ぶのが、ゲームに慣れるにつれておもしろみになっていきますし、計算通りにいったときの達成感も味わえます。これは、昔ながらの『バイオ』の要素として取り入れていますね。
とはいえ、最初こそカバンが小さくて苦労するとは思いますが、拡張していくとそこまでシビアに考えなくてもプレイを進められるようになりますので、そこはご安心ください。
――レオンが持つアタッシェケースはすごく大きく感じたので、そこはコンセプトからして違うということなんですね。
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熟練のレオンは、ゲーム本編で描かれている事件以外でもいろいろな場面で戦ってきています。レオン自身はそれぞれの作品でエンディングを迎えていますが、その過程で犠牲になった人物もいますし、悲劇的な出来事も多かったと思うんです。
レオンは20歳そこそこから30年近く戦い続けていますが、世界が平和になったわけではありません。「(戦いを)やり続ける意味があるのだろうか」といった、少し疲れているような、ある種の虚無感を持っている部分があるのではと考えました。
そういった部分を表現するために、危機に直面してもなお余裕を持って戦えるというレオンの強さや背負っている重さを象徴する意味で、斧という武器をチョイスしました。レオンパート内でスプラッター表現が多いのも“ハードな印象のレオン”という表現のひとつですし、そこが伝わると嬉しいですね。
――レオンの20年間を考えていく中で、そのあいだの物語なども構想にあがったりしましたか?
――以前のインタビューでは、レオンのビジュアルを“イケおじ”というコンセプトで作ったとおっしゃっていましたが、その発言が海外を含めて話題になっていた印象です。渋さとタフさ、もしくは美形のどちらかに振り切ったキャラクターが海外では受けそうなイメージがありますが、どちらの要素も持つレオンのビジュアルがここまで盛り上がったことについてどう思われますか? また、ユーザーの反応は狙い通りだったのでしょうか。
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首のシワひとつに対してもツッコミがあるくらい徹底していて、開発を通してどんどん洗練されていったんです。モデル担当、デザイン担当も非常に頑張ってくれて、結果として男性でもキュンとするようなビジュアルになったのではないかと思います。
あとユーザーの反応としては、皆さんに好評いただいているのは、開発一同とても嬉しく思っています。過去のインタビューでチームの女性スタッフたちの要望でどんどん直していったという話をしたんですが、それに対して海外の女性ファンから「カプコンの女性メンバー、グッジョブ!」と言われていたのが印象的でした。
――レオンの体術で、過去作にあったベリィ・トゥ・ベリィ、ネックブリーカードロップなどの派手なプロレス技が、今回は見られませんでした。これは本作の雰囲気を考えてのことなのか、それともレオンの年齢的な問題でしょうか?
ゲームとしては、派手で強力な技を決めた瞬間の爽快感も必要なので、最低限の爽快感は保証しつつ、そういう方向性で調整しました。あとは“イケおじ”がやりそうかどうかというのも重要だと思います(笑)。
――クリーチャーについてお聞かせください。試遊部分では巨大な赤ちゃんのような見た目をしたクリーチャーなどが印象的でした。本作のクリーチャーのテーマや、こういう点を押さえて作ったというポイントを教えてください。
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また、補足ですが、今回試遊いただいた範囲はラクーンシティではなく、その近くにある療養所という施設です。そこから行動範囲がラクーンシティへ移る流れになります。
――プレイ中に一人称と三人称を切り替えられますが、一人称だと敵を狙いやすい代わりに背後の敵に気づきにくいかと思いきや、それほど違和感なくプレイできました。視点ごとに何か調整はされているのでしょうか? また、一人称と三人称で目指すバランスは異なっていますか?
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――レオンを一人称視点で操作できるのはナンバリング作品では初めてだと思いますが、一人称視点でレオンというキャラクターを表現するために苦労した点はありますか?
レオンの場合も、動きやキックなどが見えるように、一人称視点でもキック時にカメラが引いたりするような調整をしています。それぞれのキャラクターの個性が伝わるような工夫を細かいところでやっていますよ。
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アイテムボックスを通してのやり取りは、アイデア自体はあったのですが、プレイヤーが管理する情報が複雑になりすぎたので実装しませんでした。『バイオ』は情報量が多いのに、ホラーゲームであるがゆえの恐怖やパニックでプレイヤーがうまく処理できなくなることが多々あります。ですから、プレイヤーが管理しなければならない要素を減らす方向での調整を行いました。
――なるほど。少し気の早い質問かもしれませんが、エンドコンテンツのような要素は用意されているのでしょうか?
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多くの新しい試みがなされ、かつてないゲーム体験が待っているサバイバルホラー最新作『バイオハザード レクイエム』。ラクーンシティへの門が開かれるまで、あと少し。グレースとレオンを自分の手で操れるそのときを、楽しみに待とう。













