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【バイオ9】『バイオハザード レクイエム』旅行の計画のように持ち出すものを選ぶ楽しさ――中西Dが語る最新作の魅力とゾンビの進化【インタビュー】

【バイオ9】『バイオハザード レクイエム』旅行の計画のように持ち出すものを選ぶ楽しさ――中西Dが語る最新作の魅力とゾンビの進化【インタビュー】
 2026年2月27日に発売される、Nintendo Switch 2、プレイステーション5(PS5)、Xbox Series X|S、Steam向けソフト『バイオハザード レクイエム』。

 『
バイオハザード』シリーズ最新作となる本作では、若きFBI分析官であるグレース・アッシュクロフトと、歴戦のエージェントであるレオン・S・ケネディによる新たな物語、そしてふたりのキャラクターそれぞれを操作する異なるゲーム体験が味わえる。

 2026年1月に実施されたメディア向け体験会にて、両キャラクターのプレイアブルな部分を体験。その後、本作のディレクターを務める中西晃史氏にインタビューを行い、本作の特徴や開発秘話について存分に語っていただいた。
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中西晃史氏なかにし こうし

『バイオハザード レクイエム』ディレクター。文中は中西。

ふたつのまったく異なるゲーム体験が楽しめる『バイオハザード レクイエム』

――本作ではグレースとレオン、ふたりの主人公が存在しますが、ゾンビに組みつかれたときのリアクションなどが異なります。彼らを主人公に選んだ理由と、それぞれのアクションの違いについて教えてください。

中西 
本作はふたつのまったく異なるゲームを並べてやろう、という意識で作っていたのですが、じつはそれに対して僕の中で疑念はあったんです。主人公それぞれでシステムの違うゲームにプレイヤーが戸惑うんじゃないか、集中できないんじゃないか……という不安があったのですが、いざ作ってみたらすごくいいものになりまして。いままでなかった体験になっていると思います。

 今回試遊していただいた部分では、グレースのパートを比較的短めにしていますが、それはそういうペース配分によるテンポ重視の演出ですね。それを逆のパターンにするとまた違った味が出てきますし、ゲームの最後までプレイヤーが油断せず、飽きずに楽しんでいけるように作っています。

――レオンは武器をガシガシ使って戦えましたが、グレースのほうは体術を使っても押し返すだけだったりと、おとなしい印象でした。その辺のバランスについてはどのように設計されたのでしょうか?

中西 
グレースパートは、いわゆる“オールドバイオスタイル”で、敵を全部倒していく前提ではないんです。少ないリソースの中で、マップを徐々に広げていくゲーム性になっています。敵を倒してもいいし、やり過ごしてもいい。その方法としてハンドガンを使うのか、ナイフを使うのか、あるいは破血アンプル(※)を使うのか、さまざまな選択が取れるようになっています。
※本作からの新アイテム。未発見状態、もしくは大きく隙を見せているなど、特定状態のゾンビに対して使うと一撃で倒せる[IMAGE]

 今回特徴的なのは、各ゾンビが持つ特性を使ってやり過ごすこともできるようになっている点です。そこを利用しつつ、プレイヤーがいかに戦略を組み立てていくかがゲームのコアになっているので、当然強い武器をグレースに持たせる必要がなく、むしろ逃げるために距離を開けることのほうが重要になります。

 体術として突き飛ばしを入れているのはそのためですね。突き飛ばした隙に逃げることもできますし、ハンドガンを持っていれば、離れた場所から打つこともできます。ただ、ハンドガンを持っていてもゾンビから一気に距離を詰められるときびしいので、単純に距離を取るための要素としても設計していますね。

 一方でレオンパートは、複数の相手と戦うことを想定しています。「まずあいつを振り向かせて蹴って、そのあいだにほかの敵を撃とう」とか、「周囲にいる敵を巻き込んでやろう」といった戦略が必要です。基本的にはゲームデザイン上の役割に応じてアクションと機能が異なるように設計しています。
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――プレイ中、ゾンビによる同士討ちが発生することもありました。音に敏感なゾンビや歌っているゾンビなどさまざまなタイプがいましたが、各ゾンビによる動きの連繋みたいなものはあるんでしょうか。
中西 
開発側で“シナジー”と呼んでいるものですね。そういった要素はできるだけ取り入れつつ対応するようにしています。ただ、あまりにもカオスになりすぎるケースもあったので、ある程度抑えている部分もあるのですが。

――ゾンビが生前の習慣を受け継いでいる様子も見られました。「電気は消しましょう」と言いながら電気を消すゾンビなどもいましたが、各ゾンビの動きや反応などを徹底して作り込んでいるということなのでしょうか?

中西 
アイデアとして、ゾンビ全員に個性を持たせると楽しいだろう、というのはもちろんありました。ただ、プレイヤーが情報量として理解できる限界もあるので、最終的にはゲーム体験的に「初見ではよく分からないけど、プレイしているうちに特性が分かって対策が取れる」くらいのレベルで着地させています。

 とはいえ開発スタッフみんながゾンビの個性化に情熱を持って取り組んでくれていて、ボイスなども普通のゾンビでも専用のものが用意されています。全部で100件くらいはあると思いますよ。
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――生前の動きからの不気味さや怖さを感じつつ、ゾンビを誘導するといった戦略も生まれてくるのが新鮮でおもしろいと感じました。
中西 
そこが伝わって本当によかったです。ゾンビに変化を持たせるという点では、いかに(プレイヤーの)予想外のことをしてくるかがポイントになります。通常のゾンビは、両手を広げて歩くなど、やってくることが容易に予測できてしまいますよね。それは、ゲームをプレイする上でとても不利なことなんです。

 予想外の行動を取るゾンビにすることで「こいつはいったい何なんだろう」とプレイヤーに想像する余地を作ろうというのが元々のコンセプトだったので、それを感じてもらえれば嬉しい限りです。

――そういったゾンビの特性について苦労された点や、特に注目してほしい特性などはありますか?

中西 
調整はとても長くかかりましたね。苦労した点のひとつは、開発側で想定していないことが起こりすぎるケースです。ゾンビのAI自体は、音が出る場所へ反応するような設定にしていると「こんな音にも反応するのか」という意外な動きが発生しまして。そういった部分は作っていておもしろかったのですが、ある程度の調整は必要になりました。

 もうひとつは、基本的には怖くするためにやっているのが、ゾンビに特徴を付けることでどうしてもネタ的におもしろくなってしまう点。もちろん笑いと恐怖は紙一重なのでそこは覚悟してはいたのですが、予想以上に調整が難しくて、少しセリフ回しが違うだけで急にネタっぽくなってしまったりする部分がありました。その辺は見た目、動き、ボイスなど、さまざまな角度から丁寧に調整しています。

――調整を重ねていくうえで、当初からの要素を削る判断基準はどのようなものだったのでしょうか?

中西 
ケースによりますが、やはりゲーム体験としてプレイヤーが受け取る情報量と処理できる情報量には限界があるので、そこが基準になります。

 今回の試遊範囲に限って言えば、そもそも療養所というロケーションでどういう体験を作りたいかというのがまずあって、それに不要なものは引き算しますし、足りないところは伸ばすという考えかたでやっています。

――グレースパートをプレイしていると、血液を集めて自分を強化できる要素がありました。これで成長していくと、グレースはどのくらい強くなるのでしょうか?

中西 
すべての要素を使っても、急にレオン並みのパワーになるようなことはありません。あくまでグレースの範囲内での成長になります。グレース編は元々手に入る弾も少なく、ナイフも耐久力があるので、ある程度強化しても、“ゾンビを避けつつ、何とか生き延びる”というグレースのコンセプト自体は変わりません。

 途中で行えるアイテムのクラフトなども、むしろいかにして生き残るかの手段を増やすという形です。体力が増えるのも、2回噛まれたら死ぬところが、体力を増やすことで生き残るチャンスが増えるという感じ。グレースが得ていくものは大体そういう形になっています。

――試遊中は、アイテムを持つためのカバンがいっぱいになりやすく感じました。プレイする際に意識するといいポイントなどはありますか?

中西 
最近の『バイオ』に慣れている方だと、アイテムボックスをうまく利用する発想にいたらない部分があるかもしれません。カバンが小さいうちは、持っているものを選ぶという判断が必要になってきます。

 「この鍵を手に入れたからあの場所に行こう」、「この辺りに敵がいたから回復アイテムを持っていこう」、「敵を倒した場所だからもうこれは要らないだろう」など、旅行の計画のように持っていくものを選ぶのが、ゲームに慣れるにつれておもしろみになっていきますし、計算通りにいったときの達成感も味わえます。これは、昔ながらの『バイオ』の要素として取り入れていますね。

 とはいえ、最初こそカバンが小さくて苦労するとは思いますが、拡張していくとそこまでシビアに考えなくてもプレイを進められるようになりますので、そこはご安心ください。

――レオンが持つアタッシェケースはすごく大きく感じたので、そこはコンセプトからして違うということなんですね。

中西 
そうですね。だからこそあえて極端にしているところはあります。序盤はとくにそう感じられると思いますが、ゲームが進むとレオン編でもケースの空きをうまくやり繰りしなければならないタイミングもありますよ。
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――レオンパートでは、『バイオハザードRE:4』でもあったような敵をひるませてからの体術など、歴戦のレオンを感じさせるアクションが体験できました。レオンの操作周りの感触でとくにこだわった部分、そしてレオンに斧を標準装備させた理由についてお聞かせください。
中西 
バイオハザードRE:4』は、おかげさまですごく好評いただきまして。本作でレオンを扱ううえでは、『バイオハザードRE:4』でよかった部分を引き継ぐべきだと考えました。それに加えて、本作のレオンは『バイオハザードRE:4』から20年近く経った、いわゆるアラフィフの状態。2026年現在、レオンがどうなっているのかを掘り下げようというのが制作のスタート地点でしたね。

 熟練のレオンは、ゲーム本編で描かれている事件以外でもいろいろな場面で戦ってきています。レオン自身はそれぞれの作品でエンディングを迎えていますが、その過程で犠牲になった人物もいますし、悲劇的な出来事も多かったと思うんです。

 レオンは20歳そこそこから30年近く戦い続けていますが、世界が平和になったわけではありません。「(戦いを)やり続ける意味があるのだろうか」といった、少し疲れているような、ある種の虚無感を持っている部分があるのではと考えました。

 そういった部分を表現するために、危機に直面してもなお余裕を持って戦えるというレオンの強さや背負っている重さを象徴する意味で、斧という武器をチョイスしました。レオンパート内でスプラッター表現が多いのも“ハードな印象のレオン”という表現のひとつですし、そこが伝わると嬉しいですね。

――レオンの20年間を考えていく中で、そのあいだの物語なども構想にあがったりしましたか?

中西 
物語が描かれていない期間に『バイオ』のキャラクターたちが何をしているのかというのは、ある程度考えてはいます。もちろん実際にゲームを作るときにはきちんと構築し直すのですが、今回もある程度の想定はしています。もしまた機会があったら、そういった物語を描くのもおもしろいかもしれませんね。

――以前のインタビューでは、レオンのビジュアルを“イケおじ”というコンセプトで作ったとおっしゃっていましたが、その発言が海外を含めて話題になっていた印象です。渋さとタフさ、もしくは美形のどちらかに振り切ったキャラクターが海外では受けそうなイメージがありますが、どちらの要素も持つレオンのビジュアルがここまで盛り上がったことについてどう思われますか? また、ユーザーの反応は狙い通りだったのでしょうか。
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中西 
ビジュアルに関しては、結構時間をかけて磨いていきました。社内の開発チームにもレオンのファンがいて、とくに女性ファンからはきびしい視点でチェックが入りました。

 首のシワひとつに対してもツッコミがあるくらい徹底していて、開発を通してどんどん洗練されていったんです。モデル担当、デザイン担当も非常に頑張ってくれて、結果として男性でもキュンとするようなビジュアルになったのではないかと思います。

 あとユーザーの反応としては、皆さんに好評いただいているのは、開発一同とても嬉しく思っています。過去のインタビューでチームの女性スタッフたちの要望でどんどん直していったという話をしたんですが、それに対して海外の女性ファンから「カプコンの女性メンバー、グッジョブ!」と言われていたのが印象的でした。

――レオンの体術で、過去作にあったベリィ・トゥ・ベリィ、ネックブリーカードロップなどの派手なプロレス技が、今回は見られませんでした。これは本作の雰囲気を考えてのことなのか、それともレオンの年齢的な問題でしょうか?

中西 
高齢だからスープレックスができないというわけではなく(笑)、ゲームバランス面での問題ですね。あまりに強い技があると、敵に対してプレイヤーが優位になりすぎてしまい、緊張感が弱まってしまいます。あくまでレオンにとって敵は脅威であり、油断すると殺される存在。それを体術などでギリギリ切り抜けられる……という流れを作るためにそういった選択にしています。

 ゲームとしては、派手で強力な技を決めた瞬間の爽快感も必要なので、最低限の爽快感は保証しつつ、そういう方向性で調整しました。あとは“イケおじ”がやりそうかどうかというのも重要だと思います(笑)。

――クリーチャーについてお聞かせください。試遊部分では巨大な赤ちゃんのような見た目をしたクリーチャーなどが印象的でした。本作のクリーチャーのテーマや、こういう点を押さえて作ったというポイントを教えてください。

中西 
本作で登場するクリーチャーたちはウイルス系由来のものですが、そのウイルスの変異というところをベースにしています。とくに試遊いただいたゲーム序盤は人間ベースのものが多くなっていますが、もちろんゲーム全編を通すとそうでないものもいろいろと出てきます。あくまで『バイオ』らしいクリーチャーを目指しています。
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――今回ラクーンシティが舞台ということで、『1』や『2』で出てきたようなクリーチャーが復活する可能性はありますか?
中西 
そこははっきりとは言えませんが、皆さんが期待するような要素は、なくはないと思います。

 また、補足ですが、今回試遊いただいた範囲はラクーンシティではなく、その近くにある療養所という施設です。そこから行動範囲がラクーンシティへ移る流れになります。

――プレイ中に一人称と三人称を切り替えられますが、一人称だと敵を狙いやすい代わりに背後の敵に気づきにくいかと思いきや、それほど違和感なくプレイできました。視点ごとに何か調整はされているのでしょうか? また、一人称と三人称で目指すバランスは異なっていますか?
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中西 
ゲーム体験そのものは、視点が違っても同じになるように調整しています。どちらを選んでもプレイヤーの好みで気にせず遊べるようにというのが狙いです。部分的には調整している箇所もありますが、さまざまな敵やシチュエーションがあるので、それぞれの体験が損なわれないような調整をしました。

――レオンを一人称視点で操作できるのはナンバリング作品では初めてだと思いますが、一人称視点でレオンというキャラクターを表現するために苦労した点はありますか?

中西 
これはグレースも同様ですが、同じ一人称でもキャラクターによってカメラの動きを変えています。グレースの場合は緊張感を持って銃を握っていて、手が少し震えていたりします。グレースはまだ訓練が浅いので、そういったキャラクター性を出すためにカメラワークの工夫もしている形ですね。

 レオンの場合も、動きやキックなどが見えるように、一人称視点でもキック時にカメラが引いたりするような調整をしています。それぞれのキャラクターの個性が伝わるような工夫を細かいところでやっていますよ。
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――グレースとレオンがアイテムボックスを通してアイテムをやり取りするような要素はありますか?
中西 
そちらは実装していません。ただ、グレースが探索していた場所へ、後からレオンで行くと、置いてあるアイテムが残っていたり、グレースでは倒さなかったゾンビをレオンで倒せるといったことがあります。ふたりのキャラクターが同じ空間を共有していることによる絡みは、本作のポイントのひとつにもなっています。

 アイテムボックスを通してのやり取りは、アイデア自体はあったのですが、プレイヤーが管理する情報が複雑になりすぎたので実装しませんでした。『バイオ』は情報量が多いのに、ホラーゲームであるがゆえの恐怖やパニックでプレイヤーがうまく処理できなくなることが多々あります。ですから、プレイヤーが管理しなければならない要素を減らす方向での調整を行いました。

――なるほど。少し気の早い質問かもしれませんが、エンドコンテンツのような要素は用意されているのでしょうか?

中西 
『バイオ』シリーズは、本編を終えた後のやり込み要素をいつも用意していますが、今回も本編を終えた後に長く遊べるような仕組みを用意しています。ぜひ楽しみにお待ちください。
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 多くの新しい試みがなされ、かつてないゲーム体験が待っているサバイバルホラー最新作『バイオハザード レクイエム』。ラクーンシティへの門が開かれるまで、あと少し。グレースとレオンを自分の手で操れるそのときを、楽しみに待とう。

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