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『モンハンワイルズ』「IPとしての可能性をより広げていくような展開を実施していきたい」辻本プロデューサー、徳田ディレクターが語る同作とシリーズの未来【PSパートナーアワード2025】

byNiSHi

『モンハンワイルズ』「IPとしての可能性をより広げていくような展開を実施していきたい」辻本プロデューサー、徳田ディレクターが語る同作とシリーズの未来【PSパートナーアワード2025】
 2025年12月3日(水)、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)は “PlayStation Partner Awards 2025 Japan Asia”の表彰式を開催。

 会場では、日本・アジア地域で開発されたタイトルにおいて、特出した全世界売上を達成した作品に贈られる“GRAND AWARD(グランドアワード)”を受賞した『
モンスターハンターワイルズ』の辻本良三プロデューサー、徳田優也ディレクターへの囲み取材が行われたので、その模様をお届けする。
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※辻本良三氏の“辻”の字は1点しんにょう。

ユーザーからの熱心な声が今回の受賞やアップデートの力になった

――まずは、今回の受賞を受けて、開発チームとして誇りに思うポイントを教えてください。

徳田 
とくに発売直後に関しましては、コンテンツ量や遊びにくさの面でご迷惑をおかけした部分がございまして、申し訳なく思っておりました。その中で、“GRAND AWARD”、“USERS’ CHOICE AWARD”(※)を含む数多くの賞をいただきましたこと、本当にうれしく思っております。
※プレイ時間上位30作品の中からユーザー投票によって選ばれる賞
 そして、さまざまなご意見をいただきつつ、温かい言葉をくださったユーザーの皆さんにも、改めて感謝申し上げます。皆さんのお声を力に変え、アップデートの方にも全力で取り組んだ結果が、投票に繋がったのではないかと実感しております。
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徳田優也ディレクター
――発売から約9ヵ月が経過しましたが、ユーザーの反響などを含め、発売後の手応えをどう感じていらっしゃいますか?

辻本 
先ほど徳田からありましたように、発売後、本当にたくさんのプレイヤーの方々からご意見いただきました。『モンスターハンター』シリーズは発売後もアップデートを行っていくタイトルですが、そのアップデートにおいて、皆様のお声がすごく役立ちました。そのお声をもとに、今後のタイトルアップデートに全力で取り組んでいるところです。
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辻本良三プロデューサー
――新規ユーザーを取り込むための施策と、既存ファンを満足させるゲームシステムのバランスをどのように工夫したか教えてください。

徳田 
まずは、『モンスターハンター:ワールド』を含む過去作において、初心者の方がどこで詰まっているのかを分析しました。『ワールド』においては、モンスターまでたどり着けない、装備を作ることができないという課題がありましたので、その点を改善するため、新規の方がクリアーしやすい環境を構築しました。

 また新規要素として、たとえば“集中モード”のように、初心者の方、既存のユーザーの方にも有益なものを実装することも心掛けました。

 本作の施策で、とくに新規ユーザーの方、いままでクリアーできなかった方がクリアーしやすい構造にしようと取り組みましたが、とくに下位の部分の難度について、既存のユーザーの方には少し物足りなさを感じさせた部分もあったかと、申し訳なく思っております。

 ただ、その点においては、アップデートを通じてより遊びごたえのある難度のコンテンツや装備レアリティなども追加しておりますので、発売直後にクリアーされて、その後遊んでいない方にも、次回アップデートを含めてまた遊んでいただければ幸いです。

――今作は、過酷な自然との共存をメインテーマに掲げられていると思います。従来のシリーズ作と比較して、プレイヤー体験にどのような変化をもたらすことを意識されましたか?

徳田 
本作では、過酷な自然との共存や人と自然との関係性などを通じて、『モンスターハンター』における人を描くタイトル、とくにハンターを描くタイトルにしたいという想いがありました。

 それゆえ、厳しい環境でありながら豊かな実りをもたらす“禁足地”の環境、自然環境自体が、人と自然の関係性を表した、テーマを体現したような舞台になっております。

 また今回、新人ハンターではなく、各地で任務を遂行してきた凄腕ハンターが集まっているような描きかたをしているのも新しい取り組みです。そのハンターがいない地域での人とモンスターの関わりや、ハンターが訪れてからの自然やモンスターとの関わりの変化を体感していただきながら、「やっぱりハンターはすごいな、かっこいいな」ということをこれまでのタイトル以上に感じていただけるようなゲーム体験をご提供することを心掛けて制作しました。

――ゲーム内のアップデートやコラボ、ゲーム外の展開など、とくに印象に残っているプロモーションを教えてください。

辻本 
ゲーム外ですと、本作ではリアルイベントを重要視しようというテーマがございました。いま現在、グローバルでタイムアタック大会を開催していまして、来年1月に台湾、2月には“モンスターハンターフェスタ'26”の会場で日本でも開催させていただく予定です。

 コロナ禍の影響が続いていたこともあり、“モンスターハンターフェスタ”の開催は久々となります。プレイヤーの方々と直接お会いできること、タイムアタック大会“狩王決定戦”を通じて、皆様の素晴らしいプレイを拝見できること、本当に楽しみにしております。

 本シリーズは、プレイヤーの皆様が主人公ですので、来年にはなりますが、皆様にはイベントや“狩王決定戦”を存分に楽しんでいただけたらうれしいです。

――発売後もタイトルアップデートや季節イベントが展開されていますが、手応えはいかがでしょうか?

徳田 
各タイトルアップデートや季節イベントは、とても多くのユーザーさんが遊んでくださっていまして、本当うれしく思っております。目玉コンテンツを遊んでくださっているのはもちろん、アップデートのたびに追加されている任務クエストの救難信号がたくさん発せられていて、そのお手伝いするハンターの皆さんの様子も拝見しており、その光景を見ていると、胸が熱くなる思いです。新規の方、一度プレイを辞めた方がアップデートのコンテンツを遊ぶために戻ってきてくださっているのがすごくうれしいです。

 また、前回の季節イベント“交わりの祭事【夢灯の儀】”では、追加ジェスチャー“カボチャかぶり”を楽しんでいただいていたり、同ジェスチャーで低確率でかぶることができる白いトマトを出現させるためにジェスチャーを連打してくださっているプレイヤーさんがいらっしゃったりと、狩り以外にも楽しんでくださっている姿もみることができたのもうれしく思っております。
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――今後のシリーズの展開や新しい挑戦について教えてください。
辻本 
シリーズとしては立ち止まるつもりはありません。まだまだ『モンスターハンター』シリーズを継続させていこうと思っていますし、さらにたくさんの方にプレイしていただけるようにがんばっていくつもりです。その中で、『モンスターハンター』のIPとしての可能性をより広げていくようなゲーム外の展開を実施していきたいと考えております。

――先日実施された、スクウェア・エニックスのオンラインRPG『ファイナルファンタジーXIV』とのコラボコンテンツは大きな話題を呼びました。超高難度クエスト“零式オメガ・プラネテス検証戦”は難しいという声も多く見受けられましたが、反響はどのように感じられていますか?

徳田 
タイトルアップデートのコンテンツにつきましては、幅広い層の方が楽しめるものと、コアなユーザーさん向けのコンテンツの両方を大事に設計しています。

 『
ファイナルファンタジーXIV』さんとのコラボで実装した“零式オメガ・プラネテス検証戦”に関しては、『モンスターハンター』のモンスターではできない、多彩な兵器を使った高難易度のアクションが楽しめるコンテンツとして設計しました。クリアー率も、おおむね想定通りだったかと思います。

 “零式オメガ・プラネテス検証戦”のソロ討伐については、想定よりもたくさんの方がチャレンジしてくださっていました。討伐タイムもとても早かったです。

 難度については、前回の季節イベントでは、強力なランス使いのサポートハンター・ファビウスが期間限定で同行できるようにし、クリアー率を高める施策も展開しました。次回のタイトルアップデートでも、そうした施策を実施できればと考えていますし、今後のアップデートで防具の防御力のパラメータや各種武器種の上方調整も行ってまいります。

 そして、さまざまなコンテンツによってスキルビルドが多彩になり、プレイヤー側のパラメータも強化されていきます。現時点ではクリアーが難しい、素材集めが困難だという方にも、各種アップデートで強化しながら挑戦していただければ幸いです。

――ユーザーの遊びかたや視点、世界や生態系の着眼点、分析力など、印象に残った反響があればお聞かせください。

徳田 
ベータテストのころからですが、キャラメイクは印象的でした。とあるコンテンツのキャラクター、実在する方を再現されたりなど、そうした遊びを想定はしていましたが、こちらの想定を超えるような形でキャラメイクをしてくださったのが驚きでしたし、とてもうれしく思っております。

 皆さんの視点、分析力という意味では、モンスターにはさまざまな行動を実装しているのですが、モンスターの糞に着目して分析をしている方がいらっしゃいました。また、モンスターのどうしの争いにおいて、さまざまな条件によって勝敗が変化するシステムが取り入れているのですが、あらゆるパターンを分析してくださっていたり、モンスターの生態系について、日光浴などあまり見られない行動も分析されている方もいて、すごく印象的でした。

 そのほか、先ほど少し触れましたが、季節イベント“交わりの祭事【夢灯の儀】”で登場した、追加ジェスチャー“カボチャかぶり”で稀に出現する白いトマトが、守人の里・シルドのタシンの近くでは高確率で出現するということに、かなり早い段階で気付いてくださったのにも驚きました。開発チームとしては、気付いてもらえるか不安だったのですが、皆さんが深いところまで遊んでくださっているようでして、我々開発チーム一同喜んでおります。

――『モンスターハンター:ワールド』から一層世界市場での『モンスターハンター』の存在感が高まった印象です。世界を視野に入れるうえで特別に意識していることはありますか?

辻本 
『モンスターハンター』シリーズはマルチプレイの楽しさが魅力です。人と人が繋がっていくことでシリーズが広がったゲームであると思っております。そうした点はすごく大事にし続けたいと思っています。

 また、グローバルの各地域でコミュニティマネージャーを配置し、よりグローバルコミュニティのお声を開発チームに伝えるように取り組んでいます。僕たちも積極的に海外に訪れ、各地域の方のプレイ感を学び、インプットしていくことも心掛けております。

――数々のメガヒット作を有するカプコンにおいて、これから『モンスターハンター』はどのような存在を目指しますか?

辻本 
カプコンには魅力的なIPが数多くあり、どれも弊社にとって大事なIPです。それらをこれからも伸ばしていくという点は、弊社の意思であるとも思います。

 その中で、『モンスターハンター』は第1作目を発売してから20年以上が経過しています。長年プレイしてくださっている方に楽しみを提供し続けること、そして新しい、若い年代の方にもプレイしていただき、さらに『モンスターハンター』を広げていくことは引き続き重要ですし、その努力は今後も継続していきたいと思っております。

――今後の追加コンテンツや改善予定の要素などで、ユーザーに期待してほしい点はありますか?

徳田 
直近では、“巨戟龍 ゴグマジオス”がアップデートで追加されます。かなりやり応えのあるモンスターになっていますし、その報酬体系についても独自のおもしろいものになっていますで、まずはそちらご期待いただければと思います。

 また、ゴグマジオスのほかにもやり応えのあるクエストは随時追加していく予定ですので、そちらのほうもお待ちいただければと思っております。

 加えて、各種武器種の上方調整もございます。ガード武器全般の調整、操虫棍の操作性の改善など、あらゆる調整を行いますので、そちらもお楽しみいただきたいです。くり返し遊ぶ際により便利に、快適になるような施策を実施し、改善を行ってまいりますので、引き続き本作を楽しんでいただけたら幸いです。
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