
デビュー25周年を迎えた2025年に8年ぶりのCDリリースとなるNEWシングルには、アニメ『ネコのクラちゃん Ordinary days』 のエンディング曲『NewGame+』や豪華メンバーで構成されたアキバ系 Besties(彩羽真矢、絵恋ちゃん、恋汐りんご、小岩井ことり、鈴木Mob.、民安ともえ、月宮うさぎ、永野 希、成瀬瑛美、桃知みなみ、FUWAMOCO、FRAM)がコーラスで参加する新曲『NANIKA』、ライブで人気の『転売ヤーをぶっとばせ!』、人気VTuberの獅白ぼたんさんが生誕3Dライブでカバーしたことで話題を集めた『LOVE.EXE』のNEWアレンジバージョン『LOVE.EXE -TENSEI Ver-』の全4曲が収録される。
ファン待望のNEWシングルについて桃井はるこさんにインタビュー。アキバカルチャーの先駆者としての想いや、事務所の移籍をきっかけとする新たなスタート、NEWシングルに込めた想いを語ってもらった。
桃井はるこ(ももいはるこ)
声優、歌手、作詞作曲など多彩に活動する元祖アキバ系アーティスト。JR秋葉原駅前にある“モモーイ時計”の名前は彼女の愛称が由来である。デビュー25周年イヤーに新公式ホームページ、ファンクラブが開設されるなど、精力的に活動中。
- 発売日 2025年10月14日
- 価格 2200円[税込]
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祝メジャーデビュー25周年! アキバ系カルチャーの変遷と桃井さんの歩み
また、昔はイベントに来るような人が“ファン”と呼ばれていて、家にこもって資料を読み漁っているような人が“オタク”と呼ばれているようなイメージでした。でも、いまは“桃井はるこのオタク”を自称してくれているアイドルの子が私のライブに来てくれたり、イベントに積極的に参加する人が“オタク”を自称したり、周囲から“オタク”として扱われるようになったりと、25年経ったいま“アキバ系”や“オタク”という言葉が持つ意味合いやイメージそのものがだいぶ変わってきたと思います。
――桃井さんは2000年にメジャーデビューされる前から作家の渡辺浩弐さんとイベントをされていたりと、“オタク”のパイオニアとしてアキバカルチャーの最先端を走っていた方だと思いますが、どういったきっかけで秋葉原に通うようになったのでしょうか?
もともとゲームが大好きだったので、ゲームを遊ぶだけじゃなく、ファミ通を読んだり、ゲーム音楽のCDを集めたりもしていました。でも、地元のCD屋さんだと私の好きなゲーム音楽やアニソンのCDがあまり置いていなくて……。ゲーム音楽やアニソンのCDを探すこともアキバに通うようになった理由のひとつです。
アキバカルチャーが生み出した“電波ソング”と“電波ソング”がつないでくれた絆
――現在よりも“家電の街”というイメージが強かったですし、家電量販店のテーマソングがそこら中から聞こえていたことを覚えています。
「これはいけるかもしれないぞ」と思って、美少女ゲームの音楽をリリースしていくようになるんですけど、当時は美少女ゲームの楽曲ってアーティストの名前がクレジットされていなかったり、クレジットされていても別名義の方が多かったり、つくり手が前面に出ていない状況だったんですね。私は名前はそのまま、むしろ顔出しでどんどんライブをやらせてもらおうと。すると、私の活動に共感してくれる人が集まってきてくれたり、美少女ゲームの音楽が注目されるようになってきて……。
――そのきっかけになったというわけですね。ただ“電波ソング”というジャンルが確立されていく中で、桃井さんご自身は当時、じつは“電波ソング”という呼ばれかたがあまり好きではなかったとのことですが……。
――もともとは秋葉原に来ている人たちの耳に残る曲を作りたいということで始めたことと、「“電波ソング”っぽい曲を作ってください」という依頼で曲を作ることとではだいぶ意味合いが違いますよね。
でもいまは、私が”ゆんゆん”役として出演している『ゆんゆん電波シンドローム』というゲームを作った林風肖さんだったり、“UNDER17”というユニットをいっしょにやっていた小池雅也さんがやっている“ULTRA-PRISM”というユニットの月宮うさぎちゃんだったり、たくさんの人が当時のいわゆる“電波ソング”が大好きだったって言ってくれるのを聞いて、考えかたも変わりました。
当時の“電波ソング”が好きで「“電波ソング”に救われました」という話を聞くと、「やっててよかったなぁ」と思いますし、いまなら「“電波ソング”最高!」って言えます(笑)。
――桃井さんが作ってきた楽曲に感化されて“電波ソング”というジャンルで新たな楽曲をリリースするアーティストもたくさん出てきましたよね。
オーディエンスの存在によって紡がれていくアキバカルチャーの歴史
先ほどの“電波ソング”のお話もそうですが、作り手から受け取ったものを、自分の人生と照らし合わせて、想いを言葉にして感想として作り手に届ける行為って、すごく尊いと思うんです。あらためて考えると、じつは“アキバ系”って、作り手がどうこうじゃなくて、受け手が作品をどう受けとってきたかの歴史なんじゃないかと。
たとえば、アーティストが“アキバ系”じゃなくてぜんぜん違う音楽をやっているつもりでも、オーディエンスがサイリュームを振ったり、オタ芸を打ったりすると“アキバ系”っぽくなっちゃう。
――確かに、そう考えるとオーディエンスあってこそという印象を受けますね。
5pb.Recordsで始める新章! 同世代の仲間に「いまを楽しんで行こうぜ!」と叫び続ける旗振り役に
――5pb.(現MAGES.)といえば、『シュタインズ・ゲート』などの科学アドベンチャーシリーズや、『メモリーズオフ』シリーズといった人気のゲームをリリースしながら、5pb. Recordsからそれらの主題歌などをリリースされていましたよね。そんな5pb.Recordsを復活させる時期と桃井さんが事務所を移籍された時期が重なったというのは運命的なものを感じますね。
そんな中でCDデビュー25周年の節目を迎えて、ファンの方や慕ってくれる後輩からたくさんの「歌ってほしい」、「声優として活躍してほしい」というお声を改めていただいて。「こんなに待ってくれている人がいるなら動かないと」と思っている中、志倉さんやスタッフの方と今後について語っている中で、新しい使命感みたいなものが湧き上がってきたんです。
――どんな使命感を持つことができたのでしょうか?
それを経て、いまいろいろとご縁が重なったということは、同世代の人たち……もっと言うと同じ時代を生きてる人に「いまを楽しんで行こうぜ!」と叫び続ける、旗振り役をやれってことなのかなぁと思ったんです。
これまでの経験をもとに始める“つよくてニューゲーム”
私自身の新章を始めるにあたって、そうしたいままでの経験を持ったまま、新たなスタートとなるCDをリリースするとき、「これって、なんだか“つよくてニューゲーム”って感じだなぁ」と思ったんです。
――RPGをクリアーした後、前のプレイを引き継いで2周目を遊ぶみたいなことですね。この曲のMVもまさにRPG風の演出になっていますよね。
さらに「モンスターが出てくるってことは旅の仲間も必要だよなぁ」と思って、私がプロデュースをしていた“純情のアフィリア(アフィリア・サーガ)”の元メンバーのロゼ・ガーデンフェアリーちゃんとユカフィン・ドールちゃんに出てもらいました。
アフィリアのふたりにはフォトジェニック・アドバイザーを担当してもらっていて、私がプロデュースしていた後輩たちが、今度は私をプロデュースしてくれるのが「最高にエモいな」って思っています。
――確かに。表題曲の『NewGame+』とともに収録されている新曲『NANIKA』には総勢 12 組のアーティストが“アキバ系 Besties”として参加されていますが、この曲にはどんな想いが込められているのでしょうか?
――皆さんとこの曲でどんどんコラボしていけたらいいですね。
また『NANIKA』に参加してくれたメンバーには“この曲を好きなときに歌っていいよ権”をプレゼントしているので、ライブや配信などでいつかこの曲を歌ってもらえたらうれしいなと思ってます。いずれ、“アキバ系 Besties”全員で集まってこの曲をライブで歌えたらいいなとも思っていますし、この曲を知って「参加したかった!」と言ってくださっているアーティストさんもいてくれて。もし気に入ってくれた方がいたら、自分の色でカバーしてどんどん歌ってくれたらうれしいです。
――ライブと言えば、桃井さんのライブで盛り上がる楽曲『転売ヤーをぶっとばせ!』が今回初収録されますが、この曲への想いをお聞かせください。
それなら楽曲にして、みんなで「転売ヤーめっ!」という想いを発散できたら、険悪になることもないし、過去に転売をしたことで後ろめたい気持ちになっている人を攻撃することにもならないんじゃないかと思って作った曲ですね。
――楽曲にすることでネガティブな気持ちを発散できるということですね。
――(笑)。さらに多くのファンから愛されている『LOVE.EXE』が“-TENSEI Ver-”としてCDに収録されますが、この曲への想いをお聞かせください。
――イントロで「EXE .! EXE.! EXE.!」とコールを入れたくなる曲なので、ライブで盛り上がること間違いなしですよね。
――そんな不安とは裏腹に、VTuberの獅白ぼたんさんが2025年9月に行われた自身の生誕祭で同曲を歌うなど、いまでも多くのファンに支持される楽曲になりましたよね。
――今回、“-TENSEI Ver-”という新たなバージョンとなっていますが、アレンジするにあたってどんなことを意識されたのでしょうか?
曲名に“-TENSEI Ver-”と付けた理由はふたつあって、ひとつは私自身の新章と紐づけて、“つよくてニューゲーム”にも繋がりますが、「転生したつもりでがんばるぞ」という想いを込めて。もうひとつは、中国の“画竜点睛”という故事にちなんでいます。
“画竜点睛”は、竜の絵を描いた後に最後に目を入れて仕上げたら竜が空に飛び立っていったという故事なんですが、この曲ももう一度、新しいアレンジで仕上げることによって、さらに飛躍する曲になったらいいなぁと。
――まさに新たな一歩、そこからの飛躍というイメージなんですね。楽曲以外にも、『NewGame+』のリリースを受けて、リリースイベントやライブへの出演などが続いていますが、桃井さんのお誕生日でもある12月14日は、ワンマンライブ“MOMOI HARUKO BIRTHDAY LIVE 2025 NewGame+”が開催されますね。
ライブの楽しみかたは人それぞれだと思います。コールやサイリュームで盛り上がるのもいいし、後ろで腕を組んで、盛り上がってる様子を静かに感じてもらってもいいんです。それぞれの楽しみかたでぜひライブを楽しんでください。
8年ぶりにCDをリリースするので、また新たな気持ちでアーティストとしてもがんばって、声優としても作品の一部としていいお仕事をして、両輪でシナジーが生まれていったら最高だなと夢見ています。皆さんにいろんな明るいニュースや楽しい時間を届けられればと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。
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