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『P5X』3章は本気で腹が立つ。でも、“ちょうどいい胸くそ”をぶっ飛ばすから加速度的に気持ちいい。“究極”を目指す学園ジュブナイルRPGにハマり中【ペルソナ5X】

by松葉

更新
『P5X』3章は本気で腹が立つ。でも、“ちょうどいい胸くそ”をぶっ飛ばすから加速度的に気持ちいい。“究極”を目指す学園ジュブナイルRPGにハマり中【ペルソナ5X】
 『ペルソナ5: The Phantom X』(P5X)は無料の学園ジュブナイルRPGとして、青春や苦悩を味わえる作品です。

 2025年9月4日に実施されたVer.2.0アップデートによって、学園ものとしての魅力に磨きがかかっています。実際にプレイしていて「加速度的におもしろくなっている」と断言できるほどに。

 なぜなら、
すごくむかつくからです。

 登場する
悪役に純粋な怒りを覚えるのです。
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この記事は『ペルソナ5: The Phantom X』の提供でお送りします。
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広告だというのに「むかつくから」で始まってもいいのかという疑問はありますが、この怒りがおもしろさを倍増させてくれるのだから仕方ない。
 この怒りは、4部構成となるメインストーリー3章“無償の愛”の第1幕が公開されたことで、さらに掻き立てられました。先輩キャラが本格的に登場し、学園を舞台に深みを増す物語。学校という身近な場所で起こる胸くそ展開に、感情を揺さぶられます。

 本来なら大人は子どもたちを守るべきです。そんな当たり前が機能しない状況で、主人公たち怪盗団は奔走。高校生が大人を頼らず、自分たちだけで悪に立ち向かう。この熱さこそがジュブナイルの王道展開。“究極の学園RPG”を掲げる『
P5X』の本領が存分に発揮されています。

 アップデート記念の大量配布や9月22日から始まった夏イベントもありますから、はじめどきや復帰を考えている人がいたら、筆者は「間違いなくいま!」と勧めます。
 スマートフォン・PC向けRPGの『P5X』は、アトラスの『ペルソナ5』(P5)の世界観をベースとした基本プレイ無料タイトル。現代の東京を舞台に、昼はごくふつうの高校生、放課後は悪人の心を盗む“怪盗”として、二重生活に勤しむことになります。

 家庭用ゲームさながらのボリュームとプレイ体験が売りの本作について、その魅力の一端を改めて紹介します。

メインストーリー3章の、ちょうどいい“胸くそ”

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 本作において“立ち向かうべき敵”として登場するのは、逮捕スレスレの迷惑行為をくり返す“ファントム”と呼ばれる人々。主人公たちは“ぶつかり男”や“悪質レビュワー”といった、リアルでも目に届く範囲にいそうな悪い大人と対峙してきました。

 メインストーリー3章では、己刮学園高校に教育方針の改革を行う教育コンサルタントが赴任。これをきっかけに校内で歪みが生じていき……シンプルだった“怪盗団 vs ファントム”という構図がやや複雑化していきます。立ちはだかるのは、世間的に悪と断じることができない相手。“教師を陥れようとする生徒”や“生徒を利用する教師”の存在が、学園内で大きな不和を生み出していきます。
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“働き方改革”など聞きなじみのあるワードも飛び出す。
 いままで学生生活を過ごした学園を舞台に、風紀委員の3年生・多祢村理子と主人公の担任である数学教師・片山久未を主軸にしたストーリーが展開。片山先生は厳しさの中にも生徒を思いやる気持ちを見せる、クールな見た目とは裏腹の熱血タイプ。第2章で誇りを守り切った加納駿をはじめ、怪盗団のメンバーはその優しさを知っています。
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 そんな片山先生が、ある目的によって追い詰められていく。“偏向報道”を思わせる現代的なやりかたで、嫌らしい悪意がじっとりと描かれます。思いがけず腹が立ったとき、
それほど感情移入して読み進めていたんだと気付かされました。

 身の回りに潜む敵との戦いは『P5X』ならでは。これまでに描かれた敵は世界を破滅に導くような巨悪ではありません。だからこそ、むかつくのです。本当に許せないのです。表現は難しいのですが、“物語としてちょうどいい胸くそ”がここにある、とでも言いましょうか。

 生々しいまでの嫌悪感を抱かせる筆致には、開発陣のチャレンジングな姿勢を感じずにはいられません。むかつきと同時に悪役としての魅力も感じるような、絶妙なキャラ造形もニクい。

 一方で、章タイトルが示す“無償の愛”にも気付かされ、胸を打たれます。それに呼応した多祢村先輩の奮起は、第1幕の大きな見せ場です。
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 筆者は本作のような学園ジュブナイル作品が非常に好きなのですが、その魅力はやはり、迷いながら成長する少年少女のすばらしさにあると思っています。『P5X』においても、怪盗団の眩しい姿の中には、ジメジメとした空気を吹き飛ばす清涼感がありました。

 人は、生きていると失敗やどうしても克服できなかった何かが、経験としてだんだんと堆積されていくもの。物語の少年少女はたいてい自分の人生とは比べものにならないほど大きな宿命を課せられています。自身が持つ過去の体験が共感できる範囲を広げていき、琴線に触れやすくなる。成功体験でも同様かもしれません。

 何が言いたいかというと、歳を重ねれば重ねるほど、
若者のがんばりにジーンときてしまうということです。そして、大人だったら「仕方ないか」と諦める逆境に毅然と立ち向かう青さ。“きれいごと”の大切さを思い出させてくれます。
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新井素羽は悪に対して「ふっっざけんなっての!」とストレートに怒りの感情をあらわにします。こちらの感情を代弁してくれているようで、とても痛快。
 思春期という大切な時期を取り扱う以上、プレイヤーの人生のフェーズによって、学園ジュブナイルの受け取り方は変わるでしょう。

 私が小学生のときに出会った『
ペルソナ3』の高校生たちに対しての想いは、ほとんどがただの憧憬でした。数年後、『ペルソナ3 リロード』で再会した彼らへ抱く印象は少し違って見えたものです。とくに先輩方への目線が顕著。当初はそのカッコよさにばかり気を取られていたものですが、その裏にある“弱さ”は、大人になってからの方がより深く理解できました。

 この記事の担当編集者は、学園ジュブナイル作品の定義を「悩みとか社会への怒りとか、負の感情を人間的な成長につなげて、美しく昇華できるもの」と解釈していました。彼は私よりもずっと涙もろく、すぐ泣いてしまうそうです。人生が続くだけこのジャンルは楽しくなっていくのかも。

いち学生、としての没入感がすごい

 閑話休題。『P5X』はその克己や成長を当事者として味わえる、非常に優れたゲーム体験を提供してくれるように思います。

 “究極の学園RPG”を掲げており、学生生活(都市生活)を満喫するための仕組みをしっかりと用意。プレイすればするほどゲーム内の日常が尊くなっていくという感覚を、筆者は得ています。

 「おすすめの3章が4部構成なら、完結したころに始めればいいんじゃないか」と思った人は、ちょっと考えを改めて、早く始めてほしい。遅効性の楽しみがあるからです。
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 というのも、学校で授業を受けたり、映画を観たり、誰かと過ごしたりといった行動が、“人間パラメータ”(知識・度胸・器用さなど主人公の能力を現した値)の上昇や友人との“シナジー”(親愛度のようなもの)の深化につながっていくからです。

 これらの活動は、行動力(スタミナ)を消費して時間を過ごすことで、放課後から夜に、そしてつぎの朝に切り替わり、学校での授業からの放課後……というサイクルでくり返されていく仕組み。行動力は1日に5ポイント回復します。
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 ゲーム内で1日に行動できる予定の回数も5回。毎日プレイする想定だと、現実と同じように1日ずつ時間が進んでいきます(実際はアイテムなどで回復可能なので、一気に進めることもある程度可能)。

 スタミナ制なのはソシャゲらしいですが、この仕様によって、なんとなく現実とゲームの生活がリンクするデザインになっていると言えます。1日の空いた時間に、並行して『P5X』の世界を過ごすような。

 筆者が『
ペルソナ』シリーズを通して好きな要素でもある学校の授業(三択の問題が出題される)も定期的に登場。その度にクセの強い教師陣の話を聞くことができて、楽しい。

 今朝食べたおかずの数で当てる生徒を決める世界史の谷山、おじさん構文が耳につく古文の長楽。英語の遠藤と理科の箱崎は女子人気がありそう。

 そういった教師たちを見ていると、あの先生がどうこう~などという話を、休み時間にしていた昔の記憶が蘇ります。あ、公民の下沼はみんなから嫌われていると思う。でも不思議と、下沼先生が話していた内容は大人になっても覚えている気がするんだよな。
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 そうした生活を送っていると、自分が己刮学園高校の生徒であるという帰属意識が徐々に芽生えていきます。本作が“究極の学園RPG”たるゆえんはここにもあり、まさに“学生のロールプレイング”に没頭。作品の中に入り込むことに楽しみを覚えるタイプはとくに相性がいい。この世界に住んでいるという感覚は少しずつ醸成されていくので、コツコツとプレイする中でハマっていけたら最高の体験になるはずです。
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ふだんの授業の様子。
 3章は学園が舞台ですから、片山先生以外の教師陣の出番も当然あります。たとえば、優しい雰囲気をまとった理科の箱崎先生。授業の様子から気弱な雰囲気を感じ取っていると、ストーリー本編でも印象通りの姿を見せてくれました。

 彼の活躍(?)は話の本筋ではないので、本来ならそんなにインパクトのあるシーンではなかったのですが、「あ、箱崎先生だ!」と関心を示せたのは、『P5X』をプレイした2ヵ月強の積み重ねがあったからで、まさにいち学生として己刮の生徒気分になっていたからでしょう。

 片山先生の数学愛なんかも、ふだんから聞いていると本編の味わいが深くなります。
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 それから、これはいわゆる単純接触効果というやつなのか、継続してプレイしていることによって、キャラクターへの愛着が増している実感があるのです。行動力を消費して毎日会い続けていると、自然と好きになっている。

 なお、怪ドル(プレイアブルキャラクター)として入手していなくてもシナジーは関係なく進められます。親友にも恋人(心の伴侶)にもなれます。
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 野毛朋子とのシナジーは、バイトを通じて新たなチャレンジをする彼女と仲よくなっていく内容。アルバイトは所持金を稼げるためゲーム的にも大切で、彼女と親密になることでアルバイト先が増えるというメリットがあります(だからこその“シナジー”)。

 感動したのは、都市生活でふとアルバイトを予定にしたとき、朋子とシフトが同じになるというランダムなイベントも起こること。協力してバイトをこなすと、通常より得るものも増えるうれしい仕組み。それと、ちょっとドキドキします。偶発的な演出がより日常への没入感を高めてくれて、作り込みの妙がうかがえました。
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朋子とコンビニバイト。
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シナジーの前後には、メッセージでのやり取りが発生することも。これもちょっとうれしい。
 ほかにも、学生として取り組めるコンテンツの量がとにかく多い。部活動に精を出すことも可能で、主人公は裏で怪盗活動をしながらも、軽音部とサッカー部にまで所属できる超人ぶり。

 部活動にはミニゲームとストーリーがしっかりとあるという作り込みようです。軽音部はペルソナサウンドを存分に活かしたリズムゲームが、サッカー部にはPK対決ができるミニゲームが用意されていて遊び応えあり。やり込むと育成素材やショップでの交換アイテムがもらえるため、怪盗としての成長にもつながります。
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演出が本格サッカーゲームの如し。
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軽音部の練習はリズムゲーム感覚で。
 充実感のある日々を過ごしながら、手に届く範囲の敵と戦う。本作ほど自分事として認識しやすい“身近な悪”に立ち向かえる作品は、そうそうありません。

 いち学生としての没入感がすごいから、物語で触れる悪意に本気で腹を立てることが可能ですし、それに立ち向かう怪盗団の成長も肌で感じることができます。人の機微を丁寧に描いているから、今後のカタルシスにも期待ができそうですね。
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アツい夏はまだまだ続く

 というわけで、まだ3章第1幕なのに感情移入で心が動かされすぎていて、続きが気になって仕方がありません。

 先日実装されたVer.2.1アップデートでは、ちょっと遅めの夏イベントも開幕。第2幕への期待感もさることながら、明るいイベントストーリーも楽しめそうなのはうれしいところです。

 しかも、10月3日にリリース100日を迎えることを記念して、10月2日から大量のアイテムがプレゼントされるとのこと。いまが絶好のはじめどき。気になっている人はぜひ3章まで進めてみてください。怒りについて話し合いましょう。
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