今回、本作のプレイと併せて開発を手掛けたIndoor SunglassesのCEO、Victor Breum氏(ビクター・ブレーム)へのインタビューを実施した。以下、『Mind Diver / マインドダイバー』の魅力をお届けしていこう。
※この記事はPLAYISMの提供でお届けします。謎解きが物語への没入感を高め、複雑な余韻に浸れる作品
プレイヤーがダイブすることになるのは、リナという女性。彼女は行方不明になった恋人、セバスチャンの捜索を警察に依頼していたのだが、不思議なことにリナは記憶が急速に崩壊しつつあった。
セバスチャンはどこに消えたのか、なぜリナの記憶は崩壊しつつあるのか。ふたりの身に起こったことを、記憶を辿る形で紐解いていくというのが物語の流れだ。

記憶に潜ると、思い出に残っている一場面が再現されたようなフィールドに辿り着く。ここで記憶に残された会話を聞きながら、謎解きにチャレンジすることになる。

たとえば自転車や、リナ、セバスチャンなどを調べてエコーを聞くことで、当時ここでどんな会話をしていたのかを知ることができる。フィールドに辿り着いたらまずは周囲を散策してエコーで情報収集をし、その後の謎解きに活かしていくというのが基本の流れだ。

リナの記憶には穴があり一部の情報が欠落しているのだが、この穴に入るものを見つけ出し、修復して正しい記憶を読み解いていく。

エコーを聞くと誰かと会話をしていたことがわかるので、フィールド内から該当する人物を見つけ出すことで正解に近づいていく……といった風に空欄に入る部分を推察していく。国語のテストを思い出すような謎解きだ。

「これが正解だ」と思ったものを回収し、記憶の穴に入れると修復が完了。新たな会話が聞けるようになり、すべてのエコーを回収するとつぎのフィールドへの道が開かれる。


基本的にはこの謎解きの方法が最後まで続くのだが、中盤以降は難易度も上がっていく。先に進めると辿る記憶の数が増えていき、複数のフィールドを行き来して記憶の穴に入るものを探すことになるのだ。
こうなると回収できるオブジェクトの数も倍になっていくため、しっかりと会話を聞きながら読み解かないといけない。また、会話だけでなく記憶内にある書類などの文章にヒントが隠されていることもあった。


そのため、どこかからパソコンを回収して記憶の穴に入れればいいのだが、肝心のパソコンがこのフィールド内には見当たらない。そんなときはべつのフィールド(記憶)に移動して、警察署にあったパソコンを回収したりと、複数の記憶を辿って補完していくことになる。

さらに難しいのが、このパソコンが複数設置されていること。パソコンなら何でもいいというわけではなく、画面に映っているものもちゃんと確認しなくてはならない。
リナが開いていたパソコンには、どんな画面が映っていたか。それを会話から読み解くことで、ようやく正解が見えてくるという仕組みだ。

先に進むためには彼女たちの会話をしっかりと、くり返し聞く必要があるため、必然的にリナやセバスチャンの心情を深く理解することになるのだ。ゲームを進めるほどにふたりに感情移入をしていく仕組みは、小説や映画とはまた異なる味わいがあった。
物語は事件を追うだけでなく、リナとセバスチャンが恋人になるまでの出会いのシーンなども描かれるため、終盤の展開がより一層心に響く。


記憶に潜るというSFな要素や、記憶の崩壊といった設定から壮大な陰謀に挑むような内容になるかと思いきや、物語自体は現実的な内容になっている。


リナとセバスチャンどちらの気持ちも理解できるが、明確な正解は思いつかないような、白黒つけられない感情との向き合いかたを突きつけられた気分だった。
このストーリーは、大切な人を失った経験がある人にはとくに込み上げるものがある。ゲームクリアー後も、しばらく「気持ちはわかるけどなぁ……」と複雑な余韻に浸ってしまった。

謎解きゲームの性質上プレイ時間に多少差は出ると思うが、筆者がクリアーまでにかかった時間はおおよそ3時間30分ほど。平均クリアー時間は平均クリア時間は4~6時間ほどとなるようだ。
できれば最初から最後まで、中断せず通しでプレイしたほうがより深い体験を得られると思うので、じっくりプレイできるタイミングで遊んでみてほしいゲームだった。
【インタビュー】独特なアートスタイルはどのように誕生したのか

私たちは、プレイヤーの人生を豊かにする、意味のあるゲームを作ることを目指しています。プレイヤーがたくさんの満足感と没入感を得られて、かついつまでも印象に残るゲームであるべきだと考えています。プレイヤーに自身の人生や、周囲の世界について考えさせることができればとも思っています。エンターテインメントの枠を超えたゲームを作りたいのです!
難しいですが、『Mind Diver / マインドダイバー』に対するこれまでの反響を見ると、すべてが報われたように感じます。私たちはオーナーシップと平等性をとても大切にしています。『Mind Diver / マインドダイバー』で得られるすべての利益は、5人で平等に分けることを決めました。また、開発中に資金的困難な時は、全員でいっしょに給与を減額し、互いに助け合って解決策を見出しました。チームの中で安心感を得ることが、すばらしいものをいっしょに作り上げる鍵だと信じているからです。
――『Mind Diver / マインドダイバー』を開発するにいたったきっかけをお教えください。
そして、その関係のパズルのピース(何がうまくいけなかったか? 誰のせいだったのか?)をはめようとする自分の試みが、まるで推理ミステリーを解いているように感じました。感情的要素いっぱいのミステリー! 『Return of the Obra Dinn』のような満足感と同時に感情的に力強い物語も届けられる何かを作る機会を見出しました。それが『Mind Diver / マインドダイバー』へと発展したのです。
――本作はアートスタイルが独特ですが、このアートスタイルを採用した経緯を教えてください。
これ以前にもいくつか奇妙な試みはしました。たとえば、初代アートディレクターは肉の塊を凍らせ、そこに模様を彫っていたこともありました! スキャンを採用して本当によかったと思います(笑)。

『Mind Diver / マインドダイバー』は『Scanner Sombre』、『Harold Halibut』、『Dujanah』、『Hylics』など風変わりなゲームビジュアルから大きな刺激を受けています。それらのゲームはひとつひとつが、クリエイターが自身のツールと世界観を深く理解することを求められた作品です。
記憶の中の静止したシーンのレイアウトについては、演劇だけでなく、浅野いにお先生のマンガからもインスピレーションを得ました。先生の作品は、一枚の静止画で力強い日常の感情を伝えることにしばしば驚きましたので、私たちはその構図を研究し、ヒントを見つけました。

初期段階では、セバスチャンとリナの両方の意識に潜り、出来事の異なるバージョンを見るという内容でした。ふたつの意識は、泳いで通り抜けられる水面で結ばれました。しかし、これは複雑すぎることが判明しました。とくに、現実の異なるバージョンが存在するという概念は、私たちの推理パズルの仕組みと衝突となりました。これを実現する方法はあるとは思いますが、それは別のゲームにとっておきましょう(笑)。
――本作は意識に潜るという近未来的な技術が登場する一方で、ゲーム内の時代設定は現実世界とさほど差がありません。現代に近い設定にしているのには何か理由があるのでしょうか?
私たちは、「現在の世界とほとんど同じだが、この一点だけが違う」という設定の物語が大好きです。すばらしい例としては、『エターナル・サンシャイン』(本作への多大なインスピレーション源です)や、浅野いにお先生の『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』です。
――謎解きをするメインステージ以外の、ダイブ中の風景も作り込まれているのが印象的でした。この移動はプレイヤーにどのような体験を与えたいという狙いがあったのでしょうか?
また、この記憶間の移動時間を激しいパズルゲームからの短い休憩にもなればいいと思ってました。

それらのタイトルのうち、ひとつだけはゲーム内に残っています……“愛と恐怖”。あまりに気に入りすぎて変えられなかったです。サウンドトラックのファイル名は、じつはいまも当初の感情のタイトルがついたままです!
――意識の海は自由に動ける中で、自然と目的地に辿り着ける導線になっていますが、意識の海についてこだわりや工夫した点があれば教えてください。

あるいは、自身の人間関係について新たな考えかたを見つけられることを願います。同時にもうひとつ感じてほしい感情は、この事件とゲーム内のすべての謎を解いたことによる、誇りと達成感です!
――続編やスピンオフ作品の構想はありますか?
――最後に、ファミ通.comの読者にメッセージをお願いします。
『Mind Diver / マインドダイバー』
- 対応プラットフォーム:PC
- 発売日:2025年9月28日発売
- 発売元:PLAYISM
- 開発元:Indoor Sunglasses
- ジャンル:アドベンチャー
- 価格:1840円[税込]


















