敵を見つからずに目標を達成する、名作ステルスアクションゲーム『メタルギア ソリッド』(以下、『MGS』)シリーズのフラッグシップタイトル第3作『MGS3 スネークイーター』を現世代機へ復活させたシリーズ最新作『メタルギア ソリッド デルタ: スネークイーター』が、2025年8月28日(木)にいよいよ発売となった。
『MGS』サーガの原点、ネイキッド・スネークが“BIGBOSS”と呼ばれるまでのストーリーが描かれる本作。ステルスとサバイバルの要素をゲームに融合させ、これまでにないゲーム体験が楽しめる、シリーズのなかでもとくに高い人気を集める作品となっている。
ただの移植ではなく、グラフィックやゲームシステムを現代クオリティーで再設計し直した本作は、オリジナル版の魅力はそのままに新たなゲーム体験を楽しめる内容へと進化。
オリジナル版のゲーム内容を踏襲したプレイが楽しめる“LEGACY STYLE(レガシースタイル)”に加え、3人称視点でゲームプレイが楽しめる“NEW STYLE(ニュースタイル)”のふたつのスタイルでゲームプレイが楽しめるようになっているなど、オリジナル版の内容をリスペクトしつつ、現代的なプレイで楽しめるような追加要素も数々搭載されている。
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本作の開発者は、どのような想いでプロジェクトをスタートさせたのか。“デルタ”の名前に込めた想いや、本作の魅力となる要素、新たに創造したシステム、ミニゲームのアピールポイントなど、さまざまな視点から本作の魅力を紐解こう。
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岡村憲明 氏(おかむらのりあき)
制作プロデューサー。本作制作の統括を担当。過去には『MGSポータブル・オプス』にも携わる。(文中は岡村)
是角有二 氏(これかどゆうじ)
クリエイティブプロデューサー。ゲーム本編の開発を取りまとめるキーマン。オリジナル版では敵AIプログラムを担当した。(文中は是角)
佐原 祐 氏(さはらゆう)
“FOX HUNT”担当ディレクター。是角氏とともに開発の中心人物として活躍。FOX HUNTについても開発を取りまとめる。(文中は佐原)
石神太雅 氏(いしがみたいが)
プランナー。本作のアクション部分の開発や調整をメインに行う。猿蛇合戦やボム蛇合戦も担当。(文中は石神)
本質を変えずに進化させる“デルタ”の名前に秘めた想い
――2023年の発表から2年強が経ち、『メタルギアソリッド デルタ: スネークイーター』が、いよいよ発売となりました。昨年、東京ゲームショウ2024でのインタビューでは、「現在はゲームを磨き込んで完成度を上げているところ」とお話しいただきました。納得のいくところまで到達したのでしょうか。
是角
本作のタイトルにもある“デルタ”とは、“変化”や“差”といった意味を持つ言葉です。この言葉の通り、本作は“本質を変えずに進化させる”というコンセプトに沿ったゲーム内容になったのではないかと思います。
――“本質を変えずに進化させる”というコンセプトのもとで、どういった点を変えたり変えなかったりしたのでしょう。
是角
結論から言いますと、コンセプトの通りの出来栄えにはできたと感じています。ですが、当初の想定以上の進化もあったんです。
――それはどういった点でしょうか?
是角
本作を作るにあたり、オリジナル版のムービー制作をお願いしたカイル・クーパーさんや、主題歌を歌唱していただいたシンシア・ハレルさんには、本作で改めて映像制作や歌の新録をお願いすることができました。本作でも、オリジナル版に携わった方たちからの協力を得られたことに、本当に感謝しています。
――オリジナル版にはなかった本作ならではの要素になりますね。
是角
あと、オリジナル版からの変更点として、グラビアアイドルのポスターなどのグラフィック調整があります。レガシースタイルだとポスターのグラフィックは当時の画像を使っていますが、ニュースタイルでプレイすると、グラフィックがそのグラビアアイドルの方の、現在の姿の画像に変化します。
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レガシースタイルのポスター。
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ニュースタイルのポスター。
――これは……エモいですね!
是角
そうなんですよ。約20年の変化が見られて、まさにエモいんです。皆さんに快くご協力いただけまして。本当にありがたかったですね。
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――それは全員、水着姿ということですか?
是角
いいえ(笑)。「現在のステキな姿のお写真をご提供ください」といったふうに打診しまして、水着姿の方もいれば、家族写真になっている方もいます。ぜひ、全種類探して見つけていただきたいです。
――最初は、もとのグラビアをそのまま高解像化するという計画だったのでしょうか。
是角
そうです。ですが、開発の途中から「グラフィックは変えてもいいのでは」という話になりました。そこで改めて皆さんにお声掛けを行ったんです。
――よくぞ皆さん、激動の芸能界で約20年間、ご健在でいらしゃって……。
是角
すごいですよね。
岡村
オリジナル版のグラフィックを知っていると現代のお姿の写真がすごくぐっとくると思います。ぜひ、どちらのバージョンのポスターもチェックしてみてください。
サウンド・グラフィックの進化が新たなプレイの楽しさを生んだ
――“想定外だけどいい変化になった”という変更点があったんですね。ちなみに、週刊ファミ通などの雑誌も登場しますが、これはどうなりますか? 令和最新版になっていたり?
是角
雑誌系は、すでに休刊になっている雑誌もあるため、ニュースタイルでもかつての画像そのままになっています。
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当時の姿で週刊ファミ通も登場。探してみてね。
――残念(笑)。変わったことのひとつとして、グラフィック面も大きく進化していますよね。
是角
ビジュアルについてはいろいろなところで言っているのですが、本作はジャングルがおもな舞台となっているので、“ジャングルを極限までリアルに再現する”というのを当初から掲げていました。
それはカメラから見える風景だけではなくて、地面に落ちている葉っぱの一枚であったり、雑草や木のディテールであったり。本作は歩くだけではなくてホフク前進もしますから、視点が変わったときにも臨場感が損なわれないように、非常にこだわって開発しました。
――グラフィック面では、本作ではスネークがダメージを受けるとどんどん傷ついていくシステムもありますが、ゲームプレイには影響があるのでしょうか。
是角
体へのダメージについては見た目が変わるだけでスネーク自身の能力が変化はしません。無傷でのクリアーを目指したり、その逆をいったりなど、プレイヤーのモチベーションや遊びかたに影響するようなものだと考えてください。逆に、服の汚れが付くとカムフラージュの性能に多少影響します。
――無傷のやり込みプレイなども楽しめそうですね。サウンド面については、ゲームハードの進化の影響はありましたか?
是角
多分にあります。効果音がジャングルの臨場感に与える影響は非常に大きく、立体的な音響表現についてかなり力を入れてきました。
具体的には、敵の足音や動物の鳴き声などが、障害物のあるなしなどで聴こえかたが変化します。また、広い場所・狭い場所によって音の反響率などを設定しているので、非常にリアルなサバイバル体験を楽しんでいただけると思います。
――ボイスにも新録はあるのでしょうか。
是角
基本的には当時のままですが、オリジナル版の発売から20年以上経っているので、そのまま使えないボイスが発生していたり新たに録らないといけないシチュエーションが存在しています。そういったものは、オリジナル版と同じ声優さんに新録をお願いしています。仲間に無線で連絡すると攻略のヒントを教えてくれたりするので、すべてのボイスを聴く勢いで無線をしてみてください。
岡村
ゲーム本編のほうは、オリジナル版の声優の方に新規音声の収録もしていただいていますし、グラフィックもイチから作り直しています。そのほかにも新たな要素が多数あります。“『MGS3』のリメイク作をどのような形で作るべきか”は、開発の当初にかなり話し合いをくり返して、自分たちがベストだと思う現在の形に落ち着きました。
是角
オリジナル版をプレイされた方も、本作で初めて『メタルギア』シリーズをプレイされるという方も、どちらも楽しんでいただける内容にできたと感じています。
――新旧のプレイヤーそれぞれにアピールしておきたいポイントはどのようなところになるでしょう。
是角
まず、オリジナル版をプレイされた方には、ハードの進化によってアップグレードされたグラフィックに注目していただきたいです。
表現力の上がったキャラクターたちの活躍を見ながらもう一度本作を楽しんでいただければと。新規プレイヤーの方は、ステルスアクションの魅力が詰まった本作のゲームシステムや物語を堪能してほしいです。
自分たちが作っていいのか 自己に問うところから始まった
――本シリーズは歴史も長く、根強いファンが多いゲームですが、そのぶん開発開始からリリースまでの道のりは険しいところもあったのではと想像します。
岡村
そもそも、「本当に自分たちが新しい『MGS』を作っていいのか」、「それは本当に望まれていることなのか」というところから考え始めました
――企画の根底から、かなり突き詰めて議論されたんですね。
岡村
そうなんです。ですが、ひとつきっかけになったのが、“オリジナル版に関わってきたメンバーのキャリア”でした。
自分も含めてオリジナル版の開発メンバーもいい歳になってきました。このタイミングで作らないと、もし未来において『メタルギア』シリーズ作を作ろうとなったとき、かつて開発に関わったことのあるメンバーがひとりもいない開発チームになってしまう可能性が出てきます。
――ああ、そうですね。本作の原作にあたる『MGS3』も2004年発売、ナンバリングのもっとも新しい『メタルギア ソリッドⅤ ファントムペイン』も2015年発売で、もう10年前になるのですねえ。
岡村
まだ我々のまわりにはオリジナル版を作っていたメンバーがいますので、そういった面々が集まっているいまが、『メタルギア』シリーズを作れるチャンスだと考えたんです。
開発者の素直な気持ちをさらけ出した公式配信
――本作は発表当時から、ユーザーからのいろいろな意見があったと思います。開発者の皆さんは公式情報番組“METAL GEAR - PRODUCTIONHOTLINE”などで積極的に生の声を届けていましたが、反応に変化は感じましたか?
岡村
まずは、本当に素直な我々の気持ちをさらけ出していこうと思って発信を続けていました。現在の状況、我々ができること、したいことを率直にお伝えして、自分たちの想いを感じ取っていただこうと。
――直接出演するのは怖くはなかったですか?
岡村
恐ろしかったですよ!(笑)
――(笑)。
岡村
個人的には、前に出るのは気が進まなかったんです。
しかし、やっぱりプロジェクトの中心人物がどういう想いでこのゲームを作っているのかというのをしっかりと伝えないとダメだと考えました。『メタルギア』シリーズという偉大な作品は、この先もゲーム史に残り続けてほしいし、ゲームも出続けてほしいんです。そのためには、いま新作をリリースしないといけない。
ですが、適当なものを作っても評価されないし、売れないですよね。しっかりといいゲームを作って「やっぱり『メタルギア』はおもしろい」とファンの方が思えるゲームをリリースしないと未来はありません。本当に魂を込めて開発をさせていただきました。
――実際に配信などに出て、リアクションはどのようなものでしたか?
岡村
やはり賛否両論ありました。ですが、我々が思っていた以上に喜んでいただけたり、想いをわかっていただけた方もいて。実際に名前を出して発言したことには意味があったんだと安心しました。
――その結果、好意的に捉えてくれるファンも増えたのではないかなと感じます。
岡村
そうなってくれるといいなとは当然思っていましたが、思っていた以上にポジティブな意見を持ってくださる方も増えて、ほっとしています。「発売されたゲームで判断する」という意見も多いですから、開発チームも改めて気を引き締めてがんばろうという気持ちになれたと思います。当初は顔と名前を出さないでいこうかと考えたこともありましたが、やっぱり出さないと説得力がないし、ファンの方も納得できないと思うんです。結果としては、出してよかったなと。
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――ちなみに、本作と『MGS:マスターコレクション Vol.1』(2023年10月24日発売)は開発期間が重なっていそうですが、どちらの立ち上げが先だったんでしょう。
岡村
厳密にいうと『マスターコレクション』のほうが先ですが、ほぼ同じくらいのタイミングでしたね。
是角
過去作を現世代機に移植するなら、新作のリリースもやらないとダメだよね、という話もしていたんです。
――移植版だと過去のファンだけに向けたものになってしまうので、新規プレイヤーにも働きかけるために、やはり新作を……という狙いでしょうか。
岡村
昔から『メタルギア』シリーズを応援してくださるファンの方の中には、「当時のゲームをそのまま遊びたい」という人もいますので、『MGSマスターコレクション』については、あえて何も足さず、当時のものをそのまま現世代ハードで遊べるということを第一のコンセプトに開発しました。
一方で、『MGS3』のリメイク作を作る場合、オリジナル版は20年前のゲームですから、それをそのまま移植するのではダメだと思いました。現代のゲームに慣れているとどうしても遊びづらいと感じる部分もあると思うので、そういった部分に現代風のアレンジや快適に遊べる仕組みを実装していたりします。
とはいえ、冒頭にお伝えしたように“本質を変えずに進化させる”というのがコンセプトですから、ゲーム性であったり、当時の開発陣が伝えたかった想いなどは、当時のままにしています。
若手とベテランスタッフ 力を合わせて完成へ
――是角さんと岡村さんは長く『メタルギア』シリーズに深く携わる開発メンバーですが、『MGS3』開発当時はどんな部分を担当されていたのでしょうか。
是角
自分は敵兵やボス戦などを担当するプログラマーたちのリーダーをしていました。
岡村
自分は……当時何をしていましたっけ。
是角
『MGS』と『MGS2』には関わっていましたけど、『MGS3』の開発時は『ZONE OF THEENDERS Z.O.E(ゾーン オブ エンダーズ)』の開発が終わった後で、いろいろとやっていた時期だったかと。
岡村
そうそう。そのころは『Z.O.E』とか、『ときめきメモリアル』のドラマシリーズとか、音ゲーの家庭用ゲーム機向け移植などをやっていた気がします。あと確か『MGS3』はテストプレイもしていました。とはいえ基本的には別チームで、「やってるな~」と近くの席から見ていたくらいでした。別チームでもフロアが近かったので、それとなく気にはしていたんですよ。
是角
そういえばテストプレイをしてもらったかもしれない(笑)。
――オリジナル版に関わった方がいつつ、若手のスタッフも加わって本作は作られているとのことですが、若いスタッフのエネルギーみたいなものは感じていましたか?
是角
やっぱり若い人は我々のような世代よりもゲームに触れる機会が多いから、最新の仕様について意見をくれますよね。操作であったり、ゲーム中に表示するTIPSであったり、そのあたりは「もっとこうしたい」という意見をいろいろと出してくれるので、途中からは、もっとたくさん任せていました。
――若手スタッフ代表として、石神さん、佐原さんはいかがでしょうか。どんな現場でしたか?
佐原
自分は言うほど若手ではないんですけど(笑)。
自分はオリジナル版の『MGS3』はプレイヤーとしてプレイしていましたので、当時の開発の苦労話や意気込みなどを聞きながら楽しく開発していました。オリジナル版の仕様を見ていると当時は気がつかなかった新しい発見がけっこうあって、いちファンとしては楽しかったですね。
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――『メタルギア』シリーズは細かいネタがふんだんに散りばめられているので、ファンとしても開発者としてもそういった隠しネタを見つけられるのは楽しそうですね。石神さんにとってはどんな開発現場でしたか?
石神
自分は今回、プレイヤーと敵兵の制作をおもに担当していました。
リメイクするにあたって、既存のモーションだけでは足りず新しく用意しないといけない部分がありました。その際、自分のイメージにある“映える動き”みたいなものを提案することが多かったのですが、上の方も「それでやってみよう」と言ってくれることが多く、すごくやり甲斐を感じました。
オリジナル版を開発していた2000年代はハード的な制限が多かったようなのですが、いまは自由度がすごく広がってきたので、プレイヤーの方が潜在的に期待しているはずの現代風のゲームデザインという期待に添えるよう、若手スタッフの意見もけっこう重宝してくれたように感じます。
岡村
若手もすごくがんばってくれました。おじさんが若手に伝えられるのは熱意だけだと思っていますので(笑)、若いスタッフたちが進んでがんばってくれるのは、企業としてもすごくいいことだと思いますね。
新たな視点が加わることで新作を作るくらいの労力に!?
――本作には“ニュースタイル”と“レガシースタイル”というふたつのモードでプレイできますが、こういった仕組みを導入したのには、どんな理由があったのでしょうか。
是角
オリジナル版では、操作時はほぼ俯瞰視点で展開するゲームでしたが、より臨場感のあるプレイができるように、三人称視点で楽しめるニュースタイルを実装しました。でも、以前の感覚でも楽しめるよう、ゲームモードをレガシースタイルにするとオリジナル版に近いカメラアングルに変更できるようにしています。
――ふたつのモードの違いは、カメラアングルが変わるだけなのでしょうか。
是角
大きく異なるのは、画角、カメラワークなのですが、細かい部分でパラメーターなどにも調整が入るようにしています。と言うのは、カメラアングルが異なるだけでもけっこう難度や遊びやすさが変わるんですね。
――実際そうですよね。とくに『MGS3』ではシリーズの他作品にあるソリトンレーダーなどがなく、画面からじかに得られる情報が非常に重要ですから。
是角
そうなんです。
射撃についてもニュースタイルでは照準が合わせやすく、そのままだと射撃が簡単すぎての緊張感が薄れてしまうと感じました。それを抑制するために、いろいろな部分に手を加えています。具体的には、与えるダメージの値だったり、敵の視力(見つかりやすさ)であったり、スネークのスタミナであったりですね。
いちばん調整で悩んだのが麻酔銃です。オリジナル版の麻酔銃は撃った弾の勢いが減衰しないでまっすぐ飛ぶ仕様だったんです。それだとニュースタイルでは強すぎるので、速度減衰して遠くに行くほど重力に引かれるような仕様に変更しています。軌道が変わるので遠くにいる敵には射線を計算して撃つ必要が出てくるし、外すと敵に気づかれてしまうことになるので、銃を撃つ際にもほどよい緊張感が味わえるようになったと思っています。
――ひょっとすると「ちょっと視点変えただけでしょ」って思っている人がいるかもしれないけれど……
是角
じつは本当に1本新たに作っているような労力を掛けてニュースタイルの調整や開発をしているんですよ。
――ということですよね。さらなる新モード“FOX HUNT”についても教えてください。
佐原
本作を新規の方や若いゲームファンの方にもプレイしていただくためにどうしたらいいかということを考えた結果、「やはり対戦ゲームが必要だろう」という結論にいたりました。
そして、いま新たに作るのであれば「『メタルギア』ならではのオンライン対戦を」という思いで“ステルス要素”をメインに据えた遊びを考えました。それは、かつての『メタルギア オンライン』のスニーキング系ルールのコンセプトと同じ方向性ではありますが、ゲームとしては新しいものになっているため、本作では“FOX HUNT”としています。
――『メタルギア オンライン』ファンには垂涎の内容になりそうですね。
佐原
『メタルギア オンライン』でもスニーキングを駆使した戦略みたいなものが楽しめましたが、それがプレイヤーからすごく評判がよかったんです。
FOX HUNTは、このあたりの遊びを拡張して、“かくれんぼの駆け引き”にフォーカスしたルールで楽しめるオンラン対戦モードになっています。『メタルギア オンライン』は、ステージがたくさんあってボリューミーなゲームでしたが、FOX HUNTはそのあたりは控えめで、ゲームのルールやキャラクターの動きなどの作り込みに重点を置いた内容になっています。
――純粋な対戦の醍醐味が味わえる。
佐原
対戦に特化しているので、勝った負けたの駆け引きを存分に楽しんでいただけると思います。本当にずっとプレイできるようなゲームモードだと思っています。
――対戦ゲーム好きにはたまらない内容だと。
佐原
本編でもカムフラージュとかサバイバルといった要素が登場しますが、それは本作のグラフィックだから見せられる表現力によって魅力が増していますよ。背景に溶け込むようなカムフラージュを活用して見つからないように立ち回る、新時代のかくれんぼをぜひ楽しんでほしいです。
――本編のかくれんぼ要素が「楽しい」と感じた人は、全国の猛者との対戦も楽しんでほしいですね。このFOX HUNTはいつごろの実装になるのでしょうか?
岡村
2025年の秋に配信を予定していますが、具体的な日程についてはまだお伝えできない状況です。ここまでは本編のほうの作り込みに全力投球していたので。
――FOX HUNTについてはこれからが開発の本番なんですね。
佐原
まずはゲーム本編を楽しんでいただいて、FOX HUNTの実装をお待ちいただければと思います。なるべく、近い時期にリリースできるようにがんばります!
――楽しみにしています!
ピポサルもボンバーマンもアストロも! 気になる追加要素
――本作の追加要素として、“猿蛇合戦”、“ボム蛇合戦”、“シークレットシアター”がありますが、このあたりはどういった経緯で実装となったのでしょうか。
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猿蛇合戦
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ボム蛇合戦
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シークレットシアター
是角
本作の開発を発表したときにいろいろな声が届きました。その中で多かったのが「スペシャルゲームは実装されるのか」といったことでした。その中でもとくに多かったのが、“猿蛇合戦”と“シークレットシアター”だったんですね。
これらは『メタルギア ソリッド HDエディション』や『メタルギア ソリッド マスターコレクション Vol.1』のどちらも入っていなかったので、そういった声が挙がるであろうことは予想していたのですが、想像以上に声が多かったんです。これだけ声が挙がるなら入れないわけにはいかないと考え、では、どういった形で入れるのかが最適かを検討したうえで、今回の実装にいたりました。
――開発当初は実装する予定はなかった要素だったんですね。
是角
入れるべきかどうかは発表前から検討はしていたのですが、我々の想像以上に「遊びたい」という意見が多かったんです。これだけ声があるなら、入れないわけにはいかないよね! ということで。
――ファンからの反響があっての実装にいたったというわけですね。
是角
追加要素を発表したとき、喜んでいただけるファンの方の声がとても多かったので、やはりやってよかったなと思っています。
石神
猿蛇合戦については、基本的なルールはオリジナル版のものと同じです。オリジナル版の魅力はそのままにグラフィックを進化させ、いまの世代のユーザーさんが遊びやすいように、さまざまな部分に調整を加えています。
ピポサルについても、グラフィックの進化を反映するように、よりかわいく、おもしろく、魅力的なキャラクターに見せられるように表現しました。グラフィックやアクションについてもそのまま使うのではなく一部の動きを見直して、かわいらしさをもっと表現できるようにしました。
また、一部のピポサルは出現する場所が変わっているので、オリジナル版をプレイした方は差を比較していただけるとうれしいです。
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――“ゲッチュ”の演出についても、進化を感じられそうです。
石神
オリジナル版だと、ゲッチュの瞬間は画面が停止するような演出でしたが、本作だと表現の幅が広がったので、より楽しさが際立つような演出に進化しています。スネークとピポサルの久しぶりの対決を、ぜひ楽しんでいただきたいです。舞台もジャングルなので、ベストマッチですし。
――このクオリティーで動くピポサルは、『サルゲッチュ』ファンは見逃せませんね。
石神
イキイキと動くピポサルが登場しますので、ぜひ楽しみにお待ちください。
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――もうひとつのコラボとして、『アストロボット』のボットが登場することも発表されました。
是角
『アストロボット』のゲーム内にスネークを登場させていただいたこともあり、ソニー・インタラクティブエンタテインメント様とはつながりがありました。去年のプレイステーションアワードにて「アストロをこちらのゲームに登場させてほしい」と希望をお伝えしたら、「ぜひ」と答えていただいたので、ありがたくコラボさせていただきました。
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――Xbox版のスペシャルゲーム“ボム蛇合戦”は、どんな経緯で開発されたのでしょう?
石神
そもそも、猿蛇合戦のような『MGS3』のスペシャルコンテンツは、Xboxシリーズには登場していなかったんです。本作はマルチプラットフォームで発売しますので、Xbox版にも新要素を加えたいと。
――ボンバーマンが選ばれた理由は?
石神
手前味噌で恐縮ですが、ボンバーマンはワールドワイドでも知名度がありますし、ピポサルに負けない魅力のあるキャラクターだと思っています。『ボンバーマン』がベースならおもしろいスペシャルコンテンツが作れるだろうと考えて、スネークとボンバーマンが対決するモードを作ろうと決めました。
――よりリアルになったスネークとボンバーマンが同じ空間にいるだけで、すでにちょっとおもしろいですよね。こちらも夢のコラボが実現したスペシャルゲームだと思いますが、とくに『ボンバーマン』風のステージが目を惹く内容でした。
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/50274/ae4bde0eb46b8f32ef4b4207f5344b4d4.jpg?x=767)
石神
全部がああいった形のステージではなく、メインのバトルフィールドはジャングルです。猿蛇合戦と同じで、ボム蛇合戦もタイムアタック形式のスペシャルゲームになっています。
ですが、ボム蛇合戦では使用する武器が異なるので、かなり異なる遊び心地になっていると思います。もともとは猿蛇合戦のように接近して気絶させてから設置型の爆弾で吹き飛ばすようなルールにしようと話をしていたのですが、テストを経て試行錯誤をした結果、やっぱり『ボンバーマン』といえば難しく考えずにボムで吹き飛ばすべきだという考えになり。試しに作って吹き飛ばしてみたらそれが……。
――気持ちよかった?
石神
めちゃくちゃおもしろかったんです(笑)。
ゲームのテンポもいいですし、どんどん吹き飛ばせるのも気持ちがよかったので、最終的にはすごくシンプルなルールになりましたね。ステージによってはボンバーマンが集団でいるような場面もあって、そこでボムを爆発させるとまとめてふっ飛ばしたりできるので、すごい気持ちがいいですよ。ちなみに、ボンバーマン風のエリア内では、ボムは投げるタイプの武器から地面に設置するタイプの武器に変化します。
――爆弾も『ボンバーマン』風になっているんですね。
石神
本作にはボムを投げるアクションもありますが、やっぱりボムは設置するものだと思うので(笑)。
――猿蛇合戦とボム蛇合戦はどういった立ち位置になるのでしょうか。
石神
両方とも、本編とは完全に独立したスペシャルゲームになっています。すべてのステージをクリアーすると、本編で使えるスペシャルアイテムが入手できます。猿蛇合戦で手に入るアイテムは、オリジナル版とは異なるものになっています。
――オリジナル版ではピポサルのお面でしたよね。
石神
何が手に入るかは、クリアーしてからのお楽しみということで。
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『MGSΔ』開発で感じたオリジナル版のすごみ
――オリジナル版はプレイステーション2で発売されたものですが、当時としては考えられないほどの作り込みも魅力でした。リメイク版を作るにあたり、オリジナル版のクオリティーに驚いた、といったエピソードはありますか?
佐原
有名なところから細かすぎて気がつかないのではないかというところまで、多岐にわたってけっこうあります。たとえば、オセロットは途中からリボルバーの銃を使っているのですが、オリジナル版のころから銃を撃つとシリンダーが回転していたんです。
プレイステーション2の解像度だとこれがぜんぜん見えないのですが(笑)、当時からきちんとアニメーションが作られていたのには驚きました。
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原作版オセロット。※画像は『MGS マスターコレクション Vol.1』のもの。
――プレイヤーもリメイクされて初めて知る挙動や仕様などもありそうですね。
是角
ボスもいろいろな倒しかたがあって、倒しかたによってカットシーンが変化したりします。本作のテストプレイをするにあたり「そういえばこんな仕様あったなあ」と思い出すんですけど、そういうところほどバグが発生しているという(笑)。
――そういうシーンほど緻密にプログラムが施されているでしょうし、バグも起こりやすそうですね。
是角
見逃すわけにはいかないですからチェックもたいへんです。本作は、プレイヤーの動きがこうなる場合、相手がこう動くのが正しい挙動だから……みたいなシチュエーションの連続なので。
――状況を再現するだけでもたいへんそうです。
是角
そのほかには、本作はスネークが倒した敵兵を動かせるのが特徴ですが、当時はこの“敵兵をプレイヤーが動かす”というのがプログラム的にすごく難しかったんです。
――担いだり下ろしたりするときの挙動の制御がたいへんそうな印象です。
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階段のような複雑な地形もなんのその。※画像は『MGS マスターコレクション Vol.1』のもの。
是角
そうそう。本当にうまく動いてくれなくて、当時は本当にしんどかったです(笑)。この仕様はなくしたほうがいいのでは、と言われたこともあるんですけど、それを実装できればほかのゲームとも差別化できる特徴になるので、絶対にあったほうがいい。しんどかったですけど、楽しく作っていましたね。
――原作版を遊ぶと改めて感じるのは、プログラムの特殊性というか、演出にしても仕様にしても「これって開発者がひとつひとつ手で付けていかないとどうしようもないような……」という部分の多さです。あのあたりはどうやって作っていたかなど覚えていますか?
是角
もちろん手作業です。我々は“ワンメイド”みたいな言いかたをしていますが、プログラムも音楽もエフェクトも、このシーンのこれはここでしか使わないワンメイドみたいなものばっかりです。
――それは…… たいへんだったのでは?
是角
たいへんでしたね!(笑)。だけど、そういうこだわりが本当に楽しかったんですよ。
発売を迎えて
――いよいよ本作がプレイヤーの手に渡ります。今後の『メタルギア』シリーズの展望についても教えていただけますでしょうか。
岡村
くり返しになりますが、この『メタルギア』シリーズという偉大なゲームを、今後も紡いでいきたいと考えています。
まずは本作を楽しんでいただき、今後の展開をお待ちいただければと思います。我々としてもさらなる展開をしていきたいですし、ファンの皆様にチャンスをいただけるなら新作を作っていきたいという想いはあります。
――いちファンとしても楽しみにしています。最後に、「プレイヤーにここを見てほしい!」という注目ポイントを改めて教えてください。
石神
自分の担当から言いますと、ピポサルは本当にかわいいキャラクターに仕上がっていると思います。現代のグラフィックで色鮮やかに再登場したピポサルとのバトルを存分に楽しんでいただけるとうれしいです。
佐原
FOX HUNTは『メタルギア オンライン』の大ファンだった人もやったことがない人も、どちらの方にも楽しんでいただきたいと思っています。
現代にはさまざまなオンラインゲームがありますが、FOX HUNTのようなルールのゲームはかなり珍しいですし、似たジャンルの作品と比べても類を見ない魅力を秘めたゲームだという自負があります。『メタルギア』シリーズならではの対戦ゲームに仕上がっているので、ぜひ、そこにご注目いただきたいです。
是角
自分としてはオリジナル版のファンの方にはもちろんですし、そうではない方にも楽しんでいただきたいです。
シリーズの歴史の中ではもっとも古い時代を舞台としたゲームなので、本作からシリーズを始めても、まったく問題ありません。本作をプレイしておもしろいと思っていただけたら、ぜひほかのタイトルも遊んでいただければと思います。
岡村
「完成してよかった」と思っているのがいちばんですし、このプロジェクトを勇気を出してスタートさせて本当によかったと感無量です。是角と同じコメントになりますが、オリジナル版をプレイしたことがある人でも、ない人でも、どちらの方でも楽しめるゲームになっているので、この機会にぜひもう一度、『メタルギア』のゲームに触れていただけるとうれしいです。
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