『ファミコン探偵倶楽部 笑み男』現実の体験以上に感じる、痛み、やるせなさ。35年ぶり最新作のインタラクティブドラマにあなたは何を思うか【GWおすすめゲームレビュー】

by世界三大三代川

『ファミコン探偵倶楽部 笑み男』現実の体験以上に感じる、痛み、やるせなさ。35年ぶり最新作のインタラクティブドラマにあなたは何を思うか【GWおすすめゲームレビュー】
 ファミ通の編集者がゴールデンウィークに遊んでほしいゲームを紹介する連載企画。世界三大三代川がおすすめするタイトルは、任天堂が手掛ける35年ぶりのシリーズ最新作『ファミコン探偵倶楽部 笑み男』です。

【おすすめポイント】
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  • “火サス”を観るような感覚で進むストーリー
  • “逆に”ゲームでしか味わえないような感覚
  • クリアーした後に人の感想がめちゃくちゃ気になる

世界三大三代川がおすすめするゲーム

『ファミコン探偵倶楽部 笑み男』

  • プラットフォーム:Nintendo Switch
  • 発売日:2024年8月29日
  • 発売元:任天堂
  • 価格:Nintendo Switch 6578円[税込](ダウンロード版は6500円[税込])

「どう思った?」。クリアーしたみんなからそう聞かれた

 これはフィクションだ。しかし、感じた痛み、悲しみ、そしてやるせなさ。これはリアルな感情である。

 この感情を持ったあなたは、これからどう行動するのか。そう問われているように感じる。『ファミコン探偵倶楽部 笑み男』はそんなゲームが持つポテンシャルを改めて感じさせる一作だった。
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 『ファミコン探偵倶楽部 笑み男』は35年ぶりに発売されたシリーズ最新作。空木探偵事務所の探偵となって、殺人事件の調査に挑んでいく。

 システム的には前作までのものを踏襲していることもあり、アドベンチャーゲームとしてとてもオーソドックスな作りで、なかには古臭いと感じる人もいるだろう。

 一方、ゲームの進行や演出面は現代的に進化し、遊びやすくなっている。
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 泣いている女の子の前に現れ、その命と引き換えに笑顔の紙袋を与える、“笑み男”という謎の都市伝説にまつわる殺人事件が発生。主人公の探偵くん(探偵助手)は、同じ探偵事務所のあゆみちゃんや所長、そして事件を担当する刑事たちと協力して事件の真相に迫っていく。

 こういった書きかたをすると、主人公(プレイヤー)が名推理をして、いろいろなトリックを見破り……といったミステリーアドベンチャーを想像するかもしれないが、そういうゲームではない。

 本作は、公式で“インタラクティブドラマ”と呼ばれており、その言葉通り、遊べる(関与する)ドラマという表現が近い。
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 と言っても、コマンドは選択するし、事件をしっかり覚えていないと推理で悩むことになるし、そういったアドベンチャーゲームらしい醍醐味はある。

 しかし、最後の最後まで遊んだ人は、“インタラクティブドラマ”という言葉がふさわしいことを実感するだろう。
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 本作の発売後、担当のライターだけでなく、同僚の編集者など、いろいろな人と本作の話になった。その会話の多くは「どう思った?」、「どうだった?」と、他人の感触、評価をうかがうものだった。

 遊んだゲームの話をする場合、だいたいがおもしろかったところ、もしくはイマイチだったところを話すものだが、本作の第一声はほとんどが相手の反応を聞くものだったように思う。それは自身の見解だけで評価がしきれないということでもあるだろうし、それだけ人の感想が聞きたいということでもあるだろう。

 ここではその詳細は語らない。しかし、本作にはプレイヤーが介在するゲームだからこそ、そしてインタラクティブなドラマだからこそ体験できるものがある。

 35年ぶりの新作でこんな感情を味わうことになるとは。くり返すが、本作はフィクションだ。しかし、そこで味わった感情、残った想いは、現実の体験以上の記憶だった。

Writer:世界三大三代川
 ファミ通.com編集長。アドベンチャーゲームは好きだけど、ホラーゲームは苦手。
『ファミコン探偵倶楽部 うしろに立つ少女』終盤のとある衝撃のシーンは、いまだにトラウマ。
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      集計期間: 2025年05月07日04時〜2025年05月07日05時