近接戦特化のサバイバルアクションかつ、激ムズの難度を誇った『LET IT DIE』シリーズの続編である『LET IT DIE: INFERNO(レット・イット・ダイ: インフェルノ)』。
本作を簡単に説明すると、構造が変化するダンジョン“地獄門”に探索者“レイダー”として進入。エネミー、場合によっては他のレイダーを倒しながら(つまりPvEvPの要素もある)装備品や素材を集め、だいたいは死んで、ときには生還して拠点に帰還しつつ、使用するボディやプレイヤー自身の腕を磨き、地獄門の最奥を目指していくというゲームになっている。ザックリとした概要に関しては、下の動画をご覧いただきたい。
そんなタイトルが2025年12月4日リリースされるわけだが、いち早く担当ライターが本作のスタンダードエディション版をプレイ。先行プレイなのでPvEvPの要素は体験できなかったものの、それ以外はほぼ製品版同等と思われる同作の感想をお届けする。
死にゲーであることを受け入れてからが本番
筆者はシリーズ作にはすべて触れ、東京ゲームショウ2025版や、先行テスト版などもプレイしてはいるのだが、チュートリアルをひと通り終えた段階で改めて思ったのは、「本作の設定はやっぱり好き」ということ。バタ臭さ全開だけど和テイスト、レトロフューチャーかつサイバーパンク風味の世界観、アクの強い登場人物や敵、中毒性の高いBGMなどなど……ざっくり言うと“クセが強い”。
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こんな売店のオジサマも「まあいるかもね」くらいに思わせる、この世界。ヤベーやつしかいない。
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アスファルト舗装を作るときに使う、地面をドカドカ叩くマシンが武器に! ランマ―っていうらしいけど、本作で初めて聞きました。なぜ武器にしようと思ったのか?
そのクセの強さは、 “マジでムズい”というトガりっぷりにも現れている。高難度シリーズなのは承知の上だし、筆者の腕前がヘボなのを差し引いたとしても、だ。先に言っておこう。本作は、探索中に得られたアイテムの大半を失う、“死”を受け入れるゲームだ。いちいち一度の死で心が折れていたら、本作はプレイできないと思う。
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だいぶ遊んでコツを掴んだなー、と思っても、ちょっと油断したら……このザマ。
まず、最初のうちは地獄門に潜って最初に訪れる層でふつうに死ぬ。言うなれば、スライムに撲殺される感じ。初見の敵には“わからん殺し”を食らうし、敵2体以上に囲まれたらわりと死ぬ。ヒトガタという人間型の敵は、コツを掴まないと1対1でも殺される。ということは、他のレイダーと出会ったりしても、たぶん殺られる。加えて、地獄門の探索は1エリア15分の時間制限があるのだが、脱出するためのエスケープポッドが見つからなくて死ぬ。
探索中にちょっといい武器や貴重な素材を見つけたりしても、死んだらセーフボックスに入れたアイテム以外は全ロスト。しかも、スタンダードエディションは、セーフボックスの容量が少なく、武器を持ち帰ることすら困難なので、プレイヤー自身が知識を得て、腕前を上げないと負のスパイラルに陥りがちだ。もしかしたら、お高いエディションでプレイすれば、もうちょい楽なのかもしれないが。
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持ち運べるアイテムの量も決して多くないし、拾ったアイテムを吟味している最中に敵に襲われたりもする。数時間やると、この理不尽も「油断した自分が悪い」と思えるようになる。
よしんばダンジョンから生還できたとしよう。その場合、ボディランクが上がってキャラクターはグンと強くはなるものの、ボディランクに応じた難度のエリアを探索させられることになる。当然、そのエリアの敵は地獄門入り口近辺の敵とは段違いに強いので、やっぱり死ぬ。
一事が万事そんな感じなので、筆者の場合、本作のプレイ中はとても他人に聞かせられないような罵詈雑言のオンパレードに。コントローラーも2度投げた。
ただ、プレイを続けているうちに本当にじっくりではあるが、上手くなっていくこともわかる。もちろん、ゲームシステム的に死んでも蓄積する“マスタリーポイント”というのを振り分けてボディを強化しているからという側面もあるのだが、それだけではない上達というものが確実にあるような気がした。
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マスタリーポイントを振り分けても、マジわずかしか強くならない。でも、このちょっとを積み重ねていくことで、多少はマシになるから不思議。
そんな上達を感じる瞬間があるから、なんだかんだでプレイを続けてしまうのだ。こんなに理不尽なのに不思議! もちろん、それで調子に乗って少し先に進むとやっぱりすぐに死ぬのだけれど。それでも確実に足跡を残せた感……いわゆる死にゲーならではの達成感が得られることは保証する。
ゲーム性やシステム面での“クセ”にハマれるか否かがキモ
本作のクセの強さはゲームシステム的な部分にも反映されている。ここまででも文中で軽く触れてきたが、各要素に“合う”か“合わない”かが、本作にハマれるか否かに大きく影響しそうな気配ムンムン。筆者としては比較的“合う”部分が多かったが、こればかりは好みの問題もあると思うので、いったんそういったゲーム性の部分でのクセがとくに大きな3要素を解説していく。読者の皆さんには、そのクセを踏まえて自分に合うか合わないかを判断していただきたい。
15分という時間制限
地獄門の探索は、基本的には1回につき、15分間という制限時間が設けられている。そのため、いわゆる“ローグライク”的なゲームでやりがちな、エリアをじっくり舐め回すように探索することは無理と言っていい。何なら、拾ったアイテムの厳選すらゆっくりやっていられない。(遊ぶエディションにもよるが)持ち運べるアイテムもそこまで多くないので、なんでもかんでも持ち歩くこともできず。結果、慣れるまでは制限時間に追われ続ける感覚になるはずだ。
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最初のころは、よくある“ローグライク”な感じでノンビリ探索していたら、あっという間に制限時間まであとわずか。いま見るとわかる。この時間でつぎのエリアに行っていない時点で……お陀仏確定です。
ほかのレイダーとの遭遇
先行プレイ時は特殊なサーバー環境のため機会がなかったが、探索中はほかのレイダーと出会うことがある。勝てば相手の持つアイテムを奪えるものの、負ければもちろんアイテムはロスト。エモートなどでコミュニケーションを取って共闘するという選択肢もあるが、脱出するためのエスケープポッドは1機あたりひとりしか運べない。そのため、脱出を賭けた生き残りバトルに発展するケースもないとは言えないわけだ。この要素もかなりの理不尽な状況を呼びそうな予感。
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ヒトガタってやつも油断ならないし、敵対企業のヨツヤマ社員たちもかなり強い。当然、ほかのレイダーもそれなりに強いだろうから……人間タイプを見たら、やばいと思え!
ボディに応じた探索エリアの強制
本作は特徴の異なる“ボディ”を使って地獄門を探索することになるわけだが、生還するたびに使用しているボディランクが自動的に1上がり、かなりパワーアップする。ただし次回の探索では、ボディランクに応じたエリアの探索が要求されてしまう。たとえば、ボディランク1と2の場合は同じ“地獄の裂け目”を探索することになるが、ボディランク2では1層目で帰ることは許されない。2層目のエスケープポッドを使うか、3層目でボスを倒さないと脱出不可になるのだ。
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体験版のときにもいたボスに相変わらず負け続ける……。もう、ボス部屋には寄らない!
そしてボディランク3以降になると、“鬼門迷宮”という別エリアを探索しなければならないという仕組み。鬼門迷宮はその名の通り鬼門と呼べるエリアで、敵がいきなり強くなる。そのため、パワーアップしたボディでさえ容易に失ってしまうわけだ。せっかくのがんばりをほぼゼロに戻されやすくなるという、このシステムを好きになるかどうかでハマり具合は変わるはず。
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ただでさえ手前のエリアより一足飛びで敵が強くなっているっていうのに、2匹セットとかで出てきやがったりする。勘弁してくれー!
本作は、こういったクセの強いシステム(死ステムと言ってもいいかも?)を搭載しており、その設計思想を強固にしている。ゆえに口が裂けても万人向けとは言えないゲームになっているという印象だ。ただし、そのクセの強さから、一度ハマったら抜け出せなさそうな中毒性も持ち合わせていることも間違いなし。これだけ「ムズいぞ死ぬぞ」とくり返したものを読んで「興味津々だ」という方は、おそらくすでにその中毒性にやられ気味なので、どこぞの施設でご自身のMっ気を発散していただくか、本作を遊ぶのがよかろうと思われる。