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『メタルブリンガー』レビュー。こつこつ強くなる達成感と、敵を気持ちよくなぎ倒すハイスピードバトルを両立。謎めいたストーリーやアセンブルの奥深さにも注目

byカイゼルちくわ

『メタルブリンガー』レビュー。こつこつ強くなる達成感と、敵を気持ちよくなぎ倒すハイスピードバトルを両立。謎めいたストーリーやアセンブルの奥深さにも注目
 2025年3月12日にPLAYISMから発売された、新作ローグライトアクションゲーム『メタルブリンガー』。対応プラットフォームは、プレイステーション5(PS5)とPC(Steam)だ。
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 こちらは『サムライブリンガー』を手掛けた、アルファウィングが開発したタイトル。レトロなグラフィックとサウンドは前作から引き継ぎつつ、SF世界を舞台にしたハイスピードアクションが楽しめる作品になっている。
 ロボットもののアクションといえば“カスタマイズ”やら“アセンブル”やら、難しいイメージを持つ人も多いのではないだろうか。細かな数値とにらめっこしつつパーツを組み立てる、そんな玄人向けのゲームを想像する人もいるだろう。

 では本作はどうかというと、心配無用。拾った武器やお気に入りの武器で、押し寄せる敵をまとめてなぎ払う、めちゃくちゃ気持ちいいバトルが楽しめる。もちろん、ロボものとして数値にこだわる細かなカスタマイズ、いわゆる“アセンブル”も体験可能だ。
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うるせぇ! 知らねぇー! とばかりに敵をなぎ倒せる。
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ストーリーパートも、じつにいい。謎をひとつひとつ、自分でアーカイブを集めて解き明かしていく。
 今回は、本作を先行プレイさせていただいてのレビューをお届け。なお、筆者はすでに本作を何周かクリアーしているが、ラスボスや重大なネタバレなどについては情報を伏せさせていただく。
※この記事はPLAYISMの提供でお届けします。

人類を救うため、ひとり戦う少女の探索行

 本作の舞台は、人類がすべてコールドスリープで保存されているという未来世界。そんななか、主人公の少女“スーリア”は人類でただひとり、コールドスリープを解除されて目覚めることになる。
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なぜ彼女だけが目覚めたのか。この時点で謎めいている。
 彼女の母を含めた、ほかの人類がコールドスリープされている場所は不明。そもそもこんなことを超高性能AI“シヴァ”が決定した理由も不明。スーリアは母と人類を救うため、シヴァのメイン端末がある最下層ブロックを目指す。

 だが、道中は人型アンドロイド“レイバー”が大量に待ち受けており、しかも人類を発見すると確保、冷凍しようとしてくる危険地帯。そこでスーリアは遠隔操作型のレイバーを組み立てて、探索を開始する。
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AI制御のレイバーはすべてシヴァの影響下にあるため、手動操作のレイバーを用いることに。ちなみにスーリアはレイバーを用いた闇試合“レイバーバトル”の経験者。
 本作では俯瞰視点でレイバーを操作し、道中の敵レイバーを倒しつつ下層を目指していく。レイバーはジャンプ、ステップ(長押しでダッシュ移動)といった移動と、左右の腕に持っている武器での攻撃が可能。

 ただ、レイバー自体は人間と同じサイズで、攻撃力や耐久力も貧弱。そこでレイバーに追加装備する外部強化ユニット“アームズ・ギア”の出番となる。
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アームズは基幹となる脚部分にレイバーが乗り込み、そこにボディパーツを被せ、左右の腕部分に巨大な武器を搭載するという4部位で構成される。
 ゲームを開始した直後は、生身のレイバーか、拠点に最初から置いてある工事用重機アームズで出撃することになる。探索の道中である程度ダメージを与えたり、完全に撃破したりしたアームズの一部パーツは、確率でスーリアが装備可能な状態でドロップするので、これを現地で装備してアームズ一式を組み上げていく。
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倒した敵アームズのパーツは、ふだんは爆散して本作での通貨となる“D.CHIP”に変わるが、確率でパーツがそのまま残る。
 アームズ各部位には独立した耐久力があるので、ダメージが蓄積すると破壊されてしまう。アームズが壊れそうになったら、また道中の敵からアームズを奪取するか、途中で見つかる“ビルド・ショップ”でD.CHIPを支払って修理してもらおう。
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いろいろな武器アームズをとっかえひっかえで試しつつ進んでいくだけでも、かなり楽しい。
 各フロアは毎回ランダムでいくつかのエリアがつながった構成になっており、どこかのエリアにいる“ヴァス・レイバー”を倒すことで、下層部へのハッチが開く。下層部には巨大なボス“ギガント・アームズ”が待ち受けており、これを撃破できれば、より手強い敵が待ち受けるつぎの階層へと進める。

 こうして階層を下へ下へと降りていき、シヴァが待つ最奥ブロックを目指していくのが本作のおもな流れだ。
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ヴァス・レイバーやギガント・アームズは強力なアームズを使いこなすだけでなく、AIなのにやたらと人間くさい。その理由とは……?

こつこつ強くなり、最強のアームズを組み上げろ

 本作はローグライトなので、道中でレイバーの耐久力がゼロになるか、最下層で目的を果たすかのいずれかの条件を満たすと、リザルト画面を経て拠点へと戻ってくることになる。道中で手に入れたアームズやD.CHIPは、すべて失われる。
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リザルト画面では、改めてプレイ内容に応じたD.CHIPが清算される。持ち帰れるのは、この精算分のD.CHIPのみ。
 拠点に溜まったD.CHIPは、レイバーのHPや特定の武器カテゴリーの攻撃力など、さまざまな項目を強化する“OSチューニング”に使用可能。拠点ではさらに、レイバーにさまざまな効果をもたらすアプリを導入する“APPインストール”も使用できる。

 OSチューニングを進めると、それに比例してAPPをどれだけ使えるかの容量上限値が上昇。より多くのAPPを使用できるようになり、レイバー、ならびにアームズの能力が飛躍的に高まる。
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まずはOSチューニングで、基礎能力を強化。
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容量を確保したところで、APPを選んでインストール。このとおり、かなりの数のAPPが存在する。
 APPは、探索の道中で敵レイバーを倒すとランダムでドロップしたり、エリアに出現する“ジャンク・ショップ”で購入したりといった経路で入手できる。入手した時点から道中で効果を発揮してくれるものの、そのままだとゲームオーバーになると失われてしまう。

 そこでジャンク・ショップで、D.CHIPを支払っての“解析”が必要になる。解析すると、ゲームオーバーになってもそのAPPは拠点のAPPインストールで使用可能となる。インストールすることで、出撃時点からすでに持っている状態でスタートできるようになるわけだ。
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解析にはけっこうなD.CHIPがかかるが、重ねて入手して解析することでより高レベルの状態でインストールできるようになるため、こまめに解析したいところ。
 また、解析はビルド・ショップでアームズパーツに対しても行なえる。アームズを解析すると、拠点でアームズを組み立てる際のパーツとして使えるようになるため、最初から強力なアームズでの出撃が可能となる。
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アームズの解析は非常に高価だが、最初から好きな武器やパーツが使用できるとなれば最優先でやっておきたい。
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ちなみにレイバー用のパーツは、道中の本のアイコンを調べると入手できるアーカイブや、ストーリーの進行などで入手できる。
 APPとアームズの両方をできるだけ解析したいところだが、道中で手に入るD.CHIPだけではとても追いつかない。そこで役立つのが、エリア内に点在している電話ボックス型の通信端末だ。

 この端末にアクセスすると、拠点に貯めてあるD.CHIPを引き出すことができるほか、実績達成の報酬であるD.CHIPをその場で入手することもできる。
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先述のとおり、道中持っているD.CHIPはゲームオーバー時に失われてしまうので、引き出しすぎには要注意。OSインストールに使うD.CHIPが足りなくなってしまう。
 ちなみに、APPインストールにはそこまでD.CHIPを注ぎ込まなくても問題なし。道中でAPPディスクを拾うことでつぎつぎと一時的なインストールが積み重なり、想像以上の強さになる。

 なので、APPインストールはそこまでカツカツな割り振りを考えなくても、道中の運次第でなんとかなる部分が大きい。逆に、発動してほしくないAPPは“無効”に設定することで拾っても効果が発揮されなくなるので、すべてのAPPは吟味したりせずにボタン連打で拾って問題ない。
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APPやD.CHIPは探索についてくる相棒の“バドちゃん”が、体力回復アイテムの“おにぎり”とともに自動で拾ってくれる。ただしバドちゃんは足が遅いので、自分でも積極的に拾っておこう。
 こうしてAPPインストールを進めておけば、道中APPを拾うだけでいつの間にか移動速度がめちゃくちゃ速くなっていたり、攻撃力がやたら上がっていたりと、びっくりするくらいにレイバーとアームズが強化されていく。

 ゲーム開始直後は、武器を使ったりダッシュ移動をしたりするだけでもエネルギーが枯渇したり、武器の使いすぎて発熱が溜まり、オーバーヒートして一定時間使えなくなったりといった状態に陥りやすい。だが、少しずつ解析を積み重ねていくことで、ほぼ武器が使い放題、ダッシュし放題の、高機動、高火力の機体が完成していく。このわかりやすい成長もまた、本作をプレイしていて気持ちいいところだ。
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ゲーム開始当初はギガント・アームズに瞬殺されたりするが、何回か出撃して実績を達成し、手に入れたD.CHIPでOSチューニングと解析を進めていくことで、びっくりするくらい強くなれる。

難しい要素は気にせず、好きに気持ちよく大暴れ

 こうしてゲームを進めて解析を重ね、使えるアームズやAPPが増えてくると、どうカスタマイズすべきか悩み始める段階になるかと思う。実際、カスタマイズやアセンブルはロボットものの醍醐味。本作でも発熱量や冷却性能など、アームズの設計にはこだわり抜けるポイントが多く用意されている。
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ロボットもののゲームではおなじみの、さまざまな数値が見てとれる。
 だからといって、難しく考えすぎなくても大丈夫。APPについては先述の通り、道中で拾うことで、インストールしていなくても勝手に発動してくれる。

 アームズについても、そこまで重量過多などにきびしいわけではなく、わりとお好みのパーツどうしを組み合わせてもちゃんと動いてくれる。拠点内で試運転も可能なので、冷却が追い付くか、エネルギーが足りるかなどの検証もその場ですぐにできる。
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拠点内でもアームズを動かせるので、出撃前に仕上がりを確認しよう。
 ちなみにOSチューニングについても、あまり悩まなくて大丈夫。特定の武器やステップ、ジャンプなど、プレイ中に行なった動作に関連した項目は自然とレベルアップしていくので、自分のプレイスタイルに沿って自然と成長していくようになっているのだ。

 むしろAPPインストールの容量確保のほうがたいへんなので、ふだんは使わない武器の項目など、まだレベルが低く少ないD.CHIPで強化できる項目を、さきに上げていくのもアリかと思う。
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たとえば筆者はソードとライトソード(ナイフや刀など)をひたすら愛用していたら、多少自分でも上げたものの、いつの間にか勝手に最大レベルになっていた。
 どの武器を使うかについても、いろいろと好きな武器を使ってもクリアーまで楽しめる仕様になっていると感じた。たとえば格闘武器なら、APPに武器を振るだけで衝撃波が飛ぶようになるものが用意されているので、格闘武器だけでも広範囲の敵を気持ちよく片づけられるようになる。

 また、各種武器に“燃焼”や“凍結”といった付加効果をつけるAPPもあり、各武器カテゴリーごとに役割を設定するこだわりのプレイも可能。ボディパーツには切り替え用のサブアームがあって武器を合計4つ持ち歩けるものもあり、組み合わせのパターン数はとんでもないことになる。
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メイン武装を両手に持ちつつ、サブアームには解析するためにショップまで持っていく拾ったパーツを搭載しておくなど、4本腕のボディーはかなり使い勝手がいい。
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ボディーには固定武装が搭載されているものもある。筆者がとくに気に入ったのは、自動で敵を撃ってくれる、ファンネ●のような“ホバーポット”を搭載したタイプ。
 武器ごとに挙動が大きく異なり、さらにダッシュ攻撃や急降下攻撃など、さまざまなアクションが用意されているのも楽しいところ。筆者はステップボタンを押してすぐにソードやライトソードを振ると出る広範囲の横薙ぎ攻撃が好きすぎて、これを振り回しつつエリア内を駆け回るだけでだいぶ気持ちよくなれた。

 さらに、両手の武器を同じカテゴリーにした二刀流、二丁拳銃にも独自の動作が設定されている。自分の好きな武器を探すだけでも、時間がみるみる溶けていく。
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さまざまな武器を楽しむコツを少しだがお伝えしよう。まず、ある程度下層のブロックに到達したところで、ビルド・ショップ(マップではスパナのマーク)があるエリアを目指す。
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あとはそこで湧いてくるレイバーとアームズを倒していけば、アームズ・ギアとAPPがざっくざく。ビルド・ショップでは解析だけでなく修理もできるので、安全にさまざまなパーツを試せる。

どこまでも気持ちいい、ハイテンポローグライト

 ローグライク、ローグライトというとひりつくイメージもあるし、ロボットものとなると難しいという先入観もある。だが、本作はここまでレビューしてきたとおり、そんな心配とは無縁。やられてやり直しになっても、しっかりとOSチューニングなどで強くなっていけるし、何より敵レイバーをなぎ倒すバトルが非常に気持ちいい。

 とはいえ、甘い難易度なのは1周クリアーするまで。2周目からは、1周目の最下層付近で出てきた敵アームズがふつうに冒頭から出現するようになったりと、難易度ががっつりと上がる。歯応え十分なのはもちろん、それらの強敵をふたたび強化を重ねてねじ伏せていくのがまた気持ちいいのだ。
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2周目からはAPPとアームズをしっかり揃えていないと、苦戦は必至。
 また、ストーリーパートについてはアクションのテンポや気持ちよさをジャマしないさりげなさで挿入されてくるにも関わらず、かなり没入感があった。自機の状態に応じて音楽のテンポが変わったりといった演出要素も、没入感にひと役買っている。

 主人公・スーリアがなぜひとりだけ目覚めたのか、そもそもシヴァの真意とは何か。ほかにもスーリアの家族にまつわる情報や、この世界についての真相が、道中で発見できるアーカイブによって少しずつ明かされていく。この少しずつ明かされていくのが、急すぎず引っ張りすぎず、じつにいい塩梅だ。
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 ローグライトならではのトレジャーハンティングの面でも、強力なアームズやAPPを発見できたときの喜びはかなりのもの。好みのアームズが見つかったときの気持ちよさはもちろん、APPの中にはひとつで戦況を覆すような、非常に強力なレアものも存在する。

 また、APPやアームズパーツを一度解析すれば、最初から持った状態で出撃できるようになるのもポイント。レアな装備が道中で出るようにお祈りするような、ローグライトでよくある運任せの事態が起きにくい。
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たとえば筆者は2周目で苦戦していたところ、この“気概複層”というAPPを手に入れたら一気にクリアーできた。ダメージ軽減は大事。
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武器パーツが多彩で、ドリルやチェーンソーといったロボもの愛好家にはたまらないカテゴリーも用意されている。実際に使ってみて、シビれていただきたい。
 そもそもロボものということで、ふつうの人間が戦うローグライトとは異なり、ブースターやバーニアなどでとんでもない機動が可能という時点で楽しい。ローグライトのこつこつ強くなっていく達成感と、ロボアクションならではの爽快な操作感の両方が味わえるわけだ。
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ふつうのローグライトでは珍しい、とんでもない高速戦闘が可能。強化を重ねればギガント・アームズすら一瞬で倒せるようになり、エースパイロットの気分を味わえる。
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道中にはパズルを解くことでD.CHIPが手に入るギミックもあるが、プレイ必須というわけではないのでゲームテンポを損なわない。一服の清涼剤として楽しもう。
 プレイ時間についても、慣れてくれは1周を30分~1時間程度でクリアーできるようになり、気軽に遊べるところもうれしい。

 さらにレイバーやアームズのカスタマイズに加え、ペイントなどにもこだわるといつの間にか何時間も過ぎていたりと、ロボものならではの楽しみかたもしっかりと用意されている。
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ロボもの愛好家としては、愛機のカラーリングにはとことんこだわりたい。
 ハイテンポで気持ちよくプレイできる面と、こつこつと強くなったりと時間をかけて楽しめる面、両面ともに充実した本作。実際に何周かプレイしてみた総括としては、簡単な操作ですぐに気持ちよくなれるという点を、ぜひ皆さんにも体験してみてほしいタイトルだ。

 ロボものやアクションゲーム、ローグライトに苦手意識がある人でも楽しめること請け合い。好きなパーツでレイバーとアームズを組み上げ、とことん無双していろいろなものを発散していただきたい。

『メタルブリンガー』

  • 発売日:2025年3月12日発売
  • 対応プラットフォーム:プレイステーション5、PC(Steam)
  • 発売元:PLAYISM
  • 開発元:アルファウィング
  • 価格:各1980円[税込]
  • ジャンル:アクション
  • 対象年齢:IARC 12歳以上対象
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集計期間: 2025年03月24日21時〜2025年03月24日22時