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今後の龍が如くスタジオを支えるクリエイター3人に生の意見を訊く! 龍スタってどんなところ? 外部から転職してきた若手スタッフに実態を直撃

今後の龍が如くスタジオを支えるクリエイター3人に生の意見を訊く! 龍スタってどんなところ? 外部から転職してきた若手スタッフに実態を直撃
 ファミ通ドットコム内にある、ゲーム業界専門の求人サイト“ファミキャリ!”にて、ゲーム業界の最前線で活躍している経営陣やクリエイターに話を伺う本企画。今回は、セガ・龍が如くスタジオを訪問した。

 龍が如くスタジオと言えば、その名を冠した『龍が如く』シリーズ(直近では2025年2月21日に『龍が如く8外伝 Pirates in Hawaii』を発売)のほか、『JUDGE EYES』シリーズや、絶賛開発中の完全新作
『New VIRTUA FIGHTER』Projectなど、意欲的で幅広いタイトルを制作している。

 以下のお三方は龍が如くスタジオに配属されて3年未満の、これからスタジオを支えていく気鋭のスタッフたち。セガの龍が如くスタジオに入った経緯やスタジオでの業務や風土について、ざっくばらんに語っていただいた。
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※本記事はゲーム業界の明るく楽しい職場であるセガと龍が如くスタジオの提供でお送りします。

Michael 氏

2022年2月入社。龍が如くスタジオ・テクニカルアート開発エンジニア。米国ユタ大学工学部ゲーム制作学科卒業。前職はセキュリティプラットフォーム開発。(文中はMichael)

Shirota 氏

2024年7月入社。龍が如くスタジオ・デザイナー。代官山音楽院、デジタルハリウッド卒業。弦楽器修理技師やコールセンターを経て専門学校へ入り直し、卒業後セガに入社。(文中はShirota)

Mochizuki 氏

2023年7月入社。龍が如くスタジオ・プログラマ。日本女子大学家政経済学部卒業。前職はシステム開発。(文中はMochizuki)

3人のスケジュール

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三者三様。龍が如くスタジオに入るまで

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――皆さんが、龍が如くスタジオに入ることになったきっかけから伺えますか。

Michael 
私の場合、じつは当初『ソニック』シリーズの開発に応募しました。もちろん、龍が如くスタジオに興味がないというわけではなくて。私が応募したときには、セガ社内でもいろいろな応募がありましたが、『ソニック』は外国籍の人材を大歓迎としていたのです。「ここならいちばんチャンスあるのでは?」ということで応募しました。

 ところが、実際に面接をしてもらったところ、私の経歴を見て人事の方から「『龍が如く』には興味はないですか?」と聞かれまして。自分自身もプレイしていたゲームでしたし、「機会があれば喜んで」と答えたところ、龍が如くスタジオに配属されたという経緯でした。

――結果的に『龍が如く』チームも外国籍の方大歓迎だった、と。

Michael 
そうですね。『龍が如く』は、海外目線でもすごいジャパニーズのゲームというか。「バーチャル観光」なんて言われたりもするほど、海外のファンも多くて。そんなグローバルタイトルになったので、いろいろなバックグラウンドの方をチームに入れられるようにがんばっていると聞きました。

――なるほど、確かにそういう人材は必要そうですからね。続いて、プログラマのMochizukiさんに入社までの経緯を伺います。

Mochizuki 
私は、“オープンポジション(ゲーム開発職)”という形の応募でした。こちらは、特定のチームを指名して応募するのではなく、広くセガに応募して、能力に見合った部署やチームを人事から提案してもらうという、少し幅広い応募枠ですね。ただ、もともと『龍が如く』が好きでしたし、履歴書にもそう書いていたので、「龍が如くスタジオを受けてください」という流れでした。

──『龍が如く』ファンということは、『龍が如く』では、自社開発のドラゴンエンジンを使っていることもご存知でしょうし……。これまでの実績が活かしづらいことはわかりつつ?

Mochizuki 
そうですね。セガでの開発については、正直なところかなりの大部分を入社してから勉強しました(笑)。だけど、先輩方がとても丁寧に教えてくれるので、その点はうれしかったですね。

――デザイナーのShirotaさんは、かなり珍しい経歴なのですね。前職がバイオリンの制作修理という、一見ゲームとは関係のないところからデザイナーとして入社されているんですね。バイオリンを作られていた?

Shirota 
幼少期からバイオリンを弾いていて、その流れで製作修理の仕事をしていました。絵も好きで、こちらも小さいころから趣味で描いていたんです。もともとCGには興味があったのですが、美術系の大学を出ているわけでもなく、専門学校で1年間勉強をして、そこからセガに応募しました。
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――まさに異色の経歴だと思います。

Shirota 
そうですね。入社後もおもしろがっていただいた経歴です(笑)。

――実際のところ前職までの経験はゲームづくりには活きているでしょうか?

Shirota 
意外かもしれないんですが、とても役立っているんですよ。バイオリンの製作や修理って、楽器があらゆる角度から正確で美しく見えるように、細心の注意を払いながら作業を行うんです。その経験が3Dモデルを作ることにもそのまま直結して活かせていますね。

 やっぱり3Dモデルもあらゆる視点から見て正確で美しいことが求められますから。

――へええ。セガに応募された動機というのは?

Shirota 
じつは、人生で初めてプレイしたゲームが『龍が如く』だったんです。

 それ以来、
人生の節目節目で『龍が如く』シリーズの影響を受け続けてきました。CGを本格的に学びたいと思って勉強を始め、いざそれをお仕事にできる可能性が見えてきたとき「どうせなら大好きな作品に一度でいいから関わりたい!」と考え、ダメ元でセガの公式ホームページから応募しました。

 そうしたら、ありがたいことにお返事をいただきまして。でも、私自身は書類審査すら通らないと思っていたので、最初はいたずらメールかと思ったくらいで(笑)。

――自分で応募しているのに?

Shirota 
本当にそうなんです(笑)。半信半疑で連絡を取ったら、なんと「カジュアル面談を受けてみないか」というお誘いでした。

 面談でポートフォリオを見ていただいて、『龍が如く』への想いを伝えていたら、そこから瞬く間に入社が決まりまして。まさに『龍が如く』が好きという気持ちだけで、いまここにいます。

──熱意って大事ですから! 熱意があれば困難も乗り越えられますからね。

Shirota 
そう思います!

3人の業務内容とプレイヤーの目にも見える成果物

――さて、そんなみなさんですが、具体的にいま行っている業務について言える範囲で教えていただけますか。まずはMichaelさんから。

Michael 
私が入社したころは、『龍が如く8』の開発が始まったタイミングでした。なので、『龍が如く8』と龍が如く7外伝 名を消した男』、『龍が如く8外伝 Pirates in Hawaii』には関わっています。仕事の内容としてはフェイシャルアニメーションのためのツール開発ですね。
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――プレイヤーの皆さんから見えないところかもしれませんね。

Michael 
そうですね。たとえば、音声を日本語から英語に切り替えても、リップシンク(口の動き)が台詞に合っているのですが、そのあたりは私たちが作った開発ツールがスムーズに移行させている……というのはあります。
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――おお、なるほど! ちなみに『龍が如く』シリーズは、かなり以前からフェイシャルを、ときには実在の人物の表情すらも動かすということをやっていますから、すでに技術はかなり確立されていると思います。お仕事としては、そこからさらに改良をしていくというイメージですか?

Michael 
そうですね、ざっくり言うと私の仕事は「デザイナーがなるべく面倒な作業をやらなくてすむツール作り」ですので、いろいろな準備の自動化、解析ツールの開発と改良などを行っています。基本的にストーリーが豊富な作品ですし、音声が付いている会話も増えているのですが……ご存知のとおり、『龍が如く』は開発スパンもかなり短くて。

――そうですね。開発期間が1年ちょっとというタイトルもあると聞きます。

Michael 
そうなんです。多くのアニメーションがある中でそれをこなすには、とにかく効率のいいツールが必要で。毎作更新しているのですが「これをやらなかったら、本当に間に合わなかった」ということも多かったです(苦笑)。

一同 (笑)。

――龍が如くスタジオあるあるですね。

Michael 
はい。そして、効率化できてしまったから「つぎはもっといけるはず」という感じで、さらに開発ツールを効率化していく……という感じです。

――開発やアップデートのペースもとてつもなく早そうです。

Michael 
けっこうペースが早いと思います。デザイナーの方に「こういうものを作れますか?」と聞かれて、簡単なものならその日の午後に使えるようにする、遅くとも数日後には……というペースですね。

――とてつもないスピード感!

Michael 
そのぶん、外には見せられないほど恥ずかしいコードで書かれたツールもいっぱいあるんです。でも、「とりあえずの役割を果たせるので問題ない」という判断ですね。本当に大切な機能性に集中して作っています。

 また、もしもデザイナーからとくに要望がなくても、日ごろからデザイナーを観察して「ここはもうすこしうまくできるのでは?」とか「ここは手こずっているから何とかしないと」と考えています。自発的に動かないといけないのですが、逆に言えば、自発的に考えたものを実行する機会があるのでそういう面では楽しい仕事だと思います。

 私の職種はエンジニアですが、デザイン部に属しているので。チームの6割くらいがデザイナーで残りがエンジニアなのですが、席がとなりにあってつねにお互い話し合っている感じです。

Shirota 
確かに、先輩デザイナーたちと話し合っているところを頻繁に目にしてます。

――そんなShirotaさんのお仕事は、具体的にどんなものなのでしょう?

Shirota 
基本的には、“Maya”という3DCGのソフトや、テクスチャ類を作るための“Substance 3D Painter”、“Photoshop”などを使用して、作中に登場するさまざまな3DCGの小道具アセットを作っています。

 学校などで学んだ知識が役立つ場面もありますが、実践的な部分になるとわからないことも多いですね。その都度先輩方に丁寧に教えていただいています。とくに独自エンジンやMichaelさんが開発しているような社内専用ツールについてはネットで調べても解決策が出てこないので、自分用の辞典のようなものを作ってなんとか必死に食らいついている状態です。

――ちなみに、作られているものでプレイヤーの皆さんが目にできるものはありますか?

Shirota 
私は2024年7月に入社したため、触れられる作品は『龍が如く8 外伝 Pirates in Hawaii』のみです。メインシナリオに登場する、大きなイカの串焼きなどを作ったのがとくに印象に残っていますね。

 造形のデザインを考えたり、照りや焼き具合など色々とご指導いただきながら作ったので、プレイヤーの皆様にも楽しく見ていただけたらうれしいなと思っています。
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おいしそうなイカの串焼き。
――3Dアセットの小道具というのは比較的開発の序盤に作るものが決まってくるという印象なのですが、あとから増えたりするようなこともあるのですか?

Shirota 
増えますね(笑)。企画スタッフのアイデアが乗ってくると、その時点で「ここでこの小道具アセットが欲しい!」といった要望が出てくるので。それに対応しながら楽しみつつどんどん作っています。

――たくさんのオーダーが来ても楽しめるのは、好きな作品のチームに入れたのが大きいかもしれませんね?

Shirota 
それはもう本当に大きいですね。何を任されてもすごく楽しいですし、毎日ニコニコでお仕事をしています。憧れのスタジオ、憧れの会社だったので、いまでもまだ夢なんじゃないかと思いながら通勤しています(笑)。

――続いて、Mochizukiさんの具体的なお仕事について教えてください。

Mochizuki 
基本はミニゲームなどのUI(ユーザーインターフェイス)設計です。UIプログラマなので、独自開発のドラゴンエンジンをがっつり触っております。あと、ミニゲームを開発していますね。
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――独自開発のエンジンに触れるとき、前職の知識などはどの程度役に立つものなのでしょうか?

Mochizuki 
基礎となる言語はC++なので、C++を含めたC言語の知識を活かすことはできます。ですが、システム開発とゲーム開発では開発体系も異なるため、そのあたりは先輩にイチから教えてもらっています。あとは自分でデバッグして学ぶしかないですね。

――研修期間はあるのですか?

Mochizuki 
あります。プログラマが新入社員として入った場合、約1年間の研修期間がありまして。そこでドラゴンエンジンとUnityとUnreal Engineを学べます。

――その研修期間もしくは研修を終えて、前職との違いを感じましたか?

Mochizuki 
Michaelさんも「自発的に動いて仕事を取る」と話されていましたが、本当にそうなんです。与えられた仕事だけしていればいいということは絶対ないです。能動的にプランナーに話を聞きに行ったり、デザイナーに話を聞きに行ったりということが必要です。そこが前職と大きな違いですね。

――なるほど。仕事に関して貪欲に楽しんでできるタイプのほうが龍が如くスタジオには向いていそうですね。ちなみに、先程ミニゲームも開発と仰っていましたが、具体的にはどんなものを?

Mochizuki 
『龍が如く8 Pirates in Hawaii』では、カラオケを担当していました。龍が如くスタジオの場合、まず新人プログラマはミニゲームをひとりで1本手掛けるというのが伝統なんだそうです。
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――けっこうボリュームのあるミニゲームや完全新規のミニゲームも多いと思うのですが、そういったものもおひとりで?

Mochizuki 
基本的はひとりですね。

──すごい! でも、難しいものはベテランの方が担当したりするわけですよね?

Mochizuki 
いや、基本的に新人が成長する場なので(ひとりで)……。

――怖っ!(笑)。

Mochizuki 
なので、自分から先輩に聞きに行って……という感じで作っていきます。

――なるほど。ちなみに、どのミニゲームを作るかは選べるのでしょうか?

Mochizuki 
立候補制です。なので、私の場合は、「カラオケをやりたい」と手を挙げてやらせてもらいました。で、曲が仕上がったらサウンドやムービーのスタッフと話し合いながらプログラムを作っていきます。

 それと並行してUIのプログラムも作っていくという感じです。たいへんではありますけど、自分のやりたいミニゲームの開発ができますし、「やると言ったからには」というところもありますのでモチベーションを持って仕事ができますね。

龍が如くスタジオならではの部分とは?

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――龍が如くスタジオは、タイトルを出すペースが半端ではなく早いですから、スタッフのみなさんの基本的に仕事のペースも早そうですね。

全員 早いですね。

――でも、慣れていく?

Michael 
そうですね。なんとなく慣れます。

Shirota 
私はまだ新人なのですが、先輩方に言わせると「某ワインの毎年の標語のように新たなハードルがつぎつぎと更新されるので、それを乗り越えながら成長し続けている」らしいです(笑)。

――ゲームは1本マスターアップすると1レベルが上がる、的なものがあると聞きます。ということは、レベルの上がりかたがとてつもなく早いのではと思うのですが、ご自身としてはどう思われますか?

Michael 
そうですね。貴重なチャンスはとても多いと思います。

 だいたい3年間の就業期間で自分の名前がクレジットされているタイトルが3本できるというゲームメーカーはかなり限られている……というか、皆無だと思います。私はアメリカで4年生のゲーム制作学科で学んだのですが、同級生たちの中でもそんな人はいません。

Shirota 
なかなかないですよね(笑)。

Michael 
最初はいろいろとわからなかったこともありますし、作業ペースもつかみづらかったです。

 でも、2本目から落ち着きました。変わらずペースは早いのですが、先が見えるから何をやらないといけないのがわかってくるんですよね。だからこそ能動的にも動きますし、慣れてきますね。

――年次が違う先輩は、ぜんぜんレベルが違う感じですか?

Shirota 
まったく違う感じがします。

Mochizuki 
もう、修行僧というか仙人みたいです。タイトルを1本作っているあいだに、もうつぎのプロジェクトのことを考えているんです。そのおかげで動き出しが早くできるという。とにかく、すごく先のことまで考えている人が多いと思いました。

Michael 
私のチームの場合、私のつぎに若いエンジニアは入社して15年目でしたので、自分が子どもみたいな気分でした。私だけ違う階段にいるような……。

 なので、最初のうちは何をすればいいか指示してもらわないといけなかったですね。とくにこういうアニメーションのためのツール開発というのは、 いくら大学で勉強してもなかなか触れるチャンスはないんです。しかもフェイシャルアニメーション特化で、ツール開発を学ぶようなところはほとんどない。

 ただ、仕事をしていくに連れて、新しいことを調べて自分で学ぶ姿勢がいちばん大切なスキルなのだ、ということがわかってきました。

 それは先輩たちの柔軟性や応用性を見て思いました。何か「こうしたい」ということを言われたとき、恐らく先輩たちのなかでのやり方が100パーセントはわかっているわけではないのですが、「なんとなくこれを使えば」とか「ここを調べればなんとかできそう」というメドが立っていて、できますと言うし、できるようにする。これがすごいところだと思いました。

Shirota 
すごい先輩は本当に多いですね。

――ちなみに、入社してから思った“龍が如くスタジオらしさ”とは何ですか? 開発ペースが早い、以外で(笑)。

Michael 
少なくとも私の周りでは、フランクさ・気軽さが重要視されていると思います。

 たとえば前職では、ミスしたときはなるべく最小限にして、誰も見ないうちになかったことにする……ということが多かったです。カッコ悪いところを見せたくないという気持ちが大きいからだと思うんですけれど。ただ、龍が如くスタジオに入って最初にたたき込まれたのは、「何か問題とかあった時にまずは共有してほしい」ということでした。

[B――失敗してもいいということですか?


Michael 
そうです。責めたりしないし、みんな失敗するから、それはいい。それよりも隠して放置した方がよほど問題だと。隠れていた問題があとになって発覚してしまうと、それに対応するほどの時間がないんです。

――龍が如くスタジオらしい事情と言いかたですね(笑)。

Michael 
だからこそ、問題が起きたら共有してみんなで解決しよう、と。だから、あまり上下関係もなく、フランクに接するというのが龍が如くスタジオの印象です。いい雰囲気だと思います。

Mochizuki 
プログラマも同じですね。オープンな感じでとても意見をしやすいです。上長やリーダー、部長という役職があったとしても、相談しやすい。なにかあったとき、すぐにディレクターを呼んで話して、「ちょっとこのままでは…」なんていうことが、誰でも言えるような空気感があります。とにかくフラットですね。

 フラットといえば、フロア自体も全部同じで、スタッフが全員同じ階に入っているんですよ。だからなんとなく雰囲気がわかりますし、プログラマでもデザイナーに、分野が異なるスタッフどうしでも話し掛けやすいという雰囲気があります。

Shirota 
相談しやすい環境を意図的に作ってくれている感じはしますね。

――ちなみに、いろいろな話を先輩から聞くと思うのですが、金言やアドバイスなど、なんでも構いませんので、印象に残っているものを教えていただけますか?

Mochizuki 
ちょっとプログラマっぽいと思ったことがありまして。

 先輩に「これできた?」と聞かれたとき「できたと思います」と答えたら、「“思います”はナシ」と言われて。プログラマには「できました」か「できていません」の1か0だと(笑)。ちゃんとデバッグをして、100%大丈夫になるまで「できました」ではないんだぞ、と。

Shirota 
職種ごとの個性が出ますね。

Mochizuki 
そうですね。でもすごく腑に落ちました。

――Michaelさんは何かありましたか?

Michael 
私の場合はそこにいる人のためにツールを作っていますので、「本当に求められているものは何かをよく考えるように」ということはつねに言われています。オーダーで曖昧な部分があればそこを確認し、自分で解釈してオーダーよりさらにいい方向に持っていく、オーダーされたもののいちばん大事な部分はなにかを考えるということが大切な仕事ですので。そういう“おもてなし”のような部分ですかね。

――Shirotaさんはいかがでしょう?

Shirota 
「質問されることがうれしい」と言われたことです。

 「わからないままひとりで悩んで、調べても解決できない状況が続くと、結果的に時間がかかって君の評価にも影響が出てしまう。そんなのは僕もうれしくない」という話をされまして。「わからないことはすぐに聞いてほしい、それが将来的に会社のためにもなるから」と。そう言っていただけたのは、非常に心強かったですね。

Mochizuki 
めっちゃいい先輩!

――いい先輩ですね!

Shirota 
スタジオ内のチームにもよると思いますが、デザインチームの方々は皆さん本当にすごく温厚で穏やかで、暖かくてやさしい方ばかりです。龍が如くスタジオと聞くと、いかつい印象を持たれる方が多いかもしれませんが、「実際はまったくそんなことないよ!」というのは、声を大にしてアピールしたい部分ですね。

――写真が怖いだけだぞ、と。
Shirota 
そうです(笑)。

 新人の私の能力や限界をしっかりと見極めたうえで、皆さんが丁寧にサポートしてくださるため、業務で困ることはまったくないですね。

 あと、成長を後押ししてくれるという風土は事業部全体のものだと思います。それこそイカの串焼きも本来なら入社して3~4ヵ月しか経ってない新人が担当できるようなものではないと思いますが、「やる気があるなら任せるよ」と言ってくださるような環境です! 本当にいろいろなチャンスを与えてくれる場所だと思っていますね。

それぞれの未来予想図

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――チャンスという意味で、みなさんが今後やっていきたいことはありますか?

Michael 
私は同じことを続けるのがあまり好きじゃないのですが、いまのところ毎回新しいことに挑戦できているので、満足しています。新しい技術や新しい手法に挑戦し続けられる環境にずっと身を置いていたいですね。

 そして私は海外出身ですので、自分だけにできるようなことがあったらそういう挑戦もしてみたいです。すでにいまフェイシャルアニメーションの作業で触れているのですが、ローカライズ関連のプログラムの開発、あとは海外とのやり取りとかプロダクションにも興味があります。とりあえず、自分が持っている知識に基づいた新しい方向に手を伸ばしていきたいです。

――新しいことができるならば何でも! という感じですね。

Michael 
そうです。事前に「こういう仕事だろう」というイメージは持てますけど、実際にやってみないとわからないので。いろいろなものに触れていきたいですね。

――Mochizukiさんはいかがでしょうか?

Mochizuki 
カラオケは言ってしまえば前作からのアップグレードのような仕事でもあったので、新しい作品で新しいミニゲームをイチから作ってみたいなという気持ちはあります。どうせならカラオケをもっと新しくするとか、新たな音ゲーを作るとか(笑)。

 あと、『龍が如く』はあえていうとシンプルでフラットな感じのイメージのUIになっているのですが、UIデザイナーと協力して、それをちょっと違う感じ……たとえば3Dとかで組んでみたりということも、できるならやってみたいですね。大きな方針に沿っていれば、基本的にはやりたいと言ったことをやらせてくれる環境で、挑戦を後押ししてくれる土壌があると思います。

――Shirotaさんいかがでしょう。

Shirota 
私は現在、小道具を制作するチームに所属しているのですが……プレイヤーがノイズを感じることなく、作品の世界に自然に溶け込むような、リアルで洗練されたオブジェクトを作っていきたいですね。

 私は『龍が如く0 誓いの場所』がいちばん好きなのですが、その中に登場するマキムラマコトというキャラクターの腕時計が、物語においてとても重要な役割を果たしているんです。そういった、キャラクターの人物像を形作るうえで奥行きや深みを表現できるような、大切な意味を持った小道具の制作にも携わりたいですね。

 あと、龍が如くスタジオは背景制作チームと小道具制作チームの垣根があまりなく、人員交換などの可能性もあるそうです。背景作りも好きなので、自主的に勉強を重ねて、将来的には幅広い分野で会社に貢献できるような人材になりたい、という大きな目標も持っています!

――龍が如くスタジオと言えば、スタッフ総出でデバッグをするという話を聞いたことがあるのですが。

Mochizuki 
そうです。みんなでやりますね。

Shirota 
私は小道具制作担当なのですが、制作側にしかわからないような細かな粗やエラーがあったりするので、それらを確認するためにも総出でやっています。

Michael 
自分と関係ない部分も気付けば報告しますし。たとえば私が英語版でプレイしていて「この英語の字幕は文字化けになっている」とか「英語的なニュアンスがちょっとおかしいな」なんてことに気付いたら報告していますね。実際にそれでニュアンスが変わった部分もあります。

Shirota 
まさにありました。「この語尾、少し違和感があるかも?」という程度でも報告しますし、指摘が妥当であれば直されていますね。

Mochizuki 
先程もありましたが、ワンフロアに全スタッフがいるので、すぐに担当を呼び出せるという環境もいいですね。たとえば、デバッグ中にプログラムに不具合が起きてもすぐに呼ばれるし、すぐ直すという、気軽な感じがあります。

――フロア的な意味でも風通しがいい感じなんですね?

Mochizuki 
そうですね。風通しはだいぶいいです。

――『龍が如く』と言えば大人なゲームですが、チーム内で飲み会みたいなものが多かったりするものなのでしょうか?

Mochizuki 
うちはないです。

Shirota 
うちもぜんぜん。

Michael 
仕事における世間話はしますけれど、飲み会は多くはないです。それは私にとってはメリットですね。参加しなければとか、会を開かなければ的なプレッシャーもないですし。自分が参加したいものがあれば、参加すればいいという感じで。

Shirota 
私はそもそも飲み会が好きな側なので、関係のない別セクションの人にも積極的に声をかけて交流を図ったりしてますけど……全体での飲み会などはほとんどないです。

――作品を作り終えたタイミングで行われる打ち上げくらいですかね?

Michael 
 それはありましたね。キャストの皆さんとかもいらっしゃったりして。

Mochizuki 
報われる瞬間です。

Shirota 
報われると言えば、私は昨年の“RGG SUMMIT”(注:龍が如くスタジオの発表会)に現地で参加していたのですが……自分がスタジオに入ってから初めての公式発表の場だったので、感動のあまり、ファンの方々の生の反応を涙ぐみながら見守っていました(笑)。

――お客さんの反応を見られるという機会は、開発の皆さんからするとうれしい瞬間ですか?

Shirota 
本当に幸せを実感しますね。

Mochizuki 
そのためにがんばっているので(笑)。

Michael 
自分たちではちゃんといいものができているのか、判断できなかったりする部分もあるので。誰かに喜んでもらえると、「作ってよかった!」と思えますね。

龍が如くスタジオに向いている人材とは?

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――スタジオの男女比はどのようになっているのでしょうか?

Mochizuki 
男性が多い職場と思われがちなのですが、じつは、プログラマは女性もけっこう多いんですよ。7:3ぐらいの割合ですかね。とくに若手スタッフには女性が多いです。

Michael 
我々のチームは女性が過半数ですね。あと外国籍のスタッフも過半数です。アメリカ出身の人もいるし、台湾出身の人もいます。皆さん社歴も長くて、8年とか10年とかですね。

Shirota 
たまたまその話を上長としたばかりなのですが、ここ最近はデザインチームの女性比率が上がっており、今年も入社したうちのほとんどが女性だったとか。それくらい女性スタッフが増えていて、働きやすい、発言しやすい環境になってきているのではないかと思います。

――みなさんが思う、龍が如くスタジオに向く人とは……どんな人でしょう?

Shirota 
風土的にも、挑戦することに臆さない人じゃないかなとは思いますね。 むしろそこを求められる会社だと思います。やりたいことがたくさんあって、それをどんどん実行に移していける人は向いているんじゃないでしょうか。あとは……しんどい時に腹をくくって、根性と情熱で乗り切れる人は重宝されると思います。

一同 (笑)。

Shirota 
私がまさに根性と情熱で採用されたと人間だと思っているので(笑)。

Michael 
あとは、恥ずかしがらない人ですかね。

Mochizuki 
ああ、そうですね。

Michael 
先にも言いましたが、わからないことはわからないと言えて、新しいことに積極的に着手できるというのは大事です。

 加えて、どんな開発作業でもそうですけど、コミュニケーションを取ることを恥ずかしがらないということも重要です。自分で解決できないものでも隣にわかっている人がいるなら、聞かないのは時間の無駄なので、恥ずかしからず支え合うのが大切なことです。

Shirota 
本当に初歩的なことを聞いても、皆さんすごくやさしく答えてくださるので、ぜんぜん怖がらなくて大丈夫だと思います。

Mochizuki 
もうすべて言われてしまった感がありますが、能動的、積極的、コミュニケーション能力が高いことが大事ですし、それができれば龍が如くスタジオに向いていると思います。

Michael 
仕事に対して準備できるものは準備したほうがいいです。けれど実際には、いくら準備しても準備しきることはできないです。予想できないことがいっぱい出てくるので。

 必要なスキルとは「こういうツールを知らないとダメ」ではなくて、学ぶ意欲であったり、大切な流れのところを把握することであったりします。それがあれば、あとはがんばればなんとかなると思います。

Shirota 
技術があることはもちろん大切ですが、会社に対してどれだけ情熱を持って貢献していく意思があるか、という部分も重視されていると感じます。やっぱりやる気は大事です。

――ちなみに、仕事に関係する研究のようなものに時間を使わせてくれる環境はあるのでしょうか?

Shirota 
積極的に取り組ませてくれます。ソフトの勉強会なども社内で定期的に開催されていますし、学びの機会自体も多いです。

Michael 
基本は業務につながることであることなのですが、自分の仕事と関係していてわからないことがあったら、積極的に勉強会などに参加・研究して取り入れるのは大歓迎という風潮ですね。

――Michaelさんに伺いたいのですが、セガは外国籍のスタッフにとって働きやすい会社だと思いますか?

Michael 
働きやすいと思います。もちろん日常会話程度の日本語力が求められます。私のチームの場合、細かいツールの仕様の話などで何度も確認が発生するので、コミュニケーションも必要なのですが。

 ただ、外国籍でもウェルカムな環境ですし、ほかのスタッフも忍耐強く対応してくれるので、とても働きやすいと思います。
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集計期間: 2025年03月24日21時〜2025年03月24日22時