『エンダーマグノリア』レビュー。高難度アクションは健在で自由にカスタマイズできるバトルは幅広い人が楽しめる。救済措置もしっかり搭載しメトロイドヴァニア要素も大満足のボリューム

byタワラ

『エンダーマグノリア』レビュー。高難度アクションは健在で自由にカスタマイズできるバトルは幅広い人が楽しめる。救済措置もしっかり搭載しメトロイドヴァニア要素も大満足のボリューム
 Binary Haze Interactiveより、2025年1月23日に発売されたNintendo Switch、プレイステーション5、プレイステーション4、Xbox Series X|S、PC(Steam)用ソフト『エンダーマグノリア: ブルームインザミスト』(以下、『エンダーマグノリア』)。

 本作は、高い人気を誇る2DアクションRPG『ENDER LILIES: Quietus of the Knights』(エンダーリリーズ: クワイタス オブ ザ ナイツ)の十数年後を描いた新作だ。

 儚く幻想的な世界観、かわいい主人公の見た目に反した骨太アクション、マップを開拓していくメトロイドヴァニアの醍醐味。前作から数多くの魅力を引き継ぎつつ、正統進化を遂げたのが本作となっている。

 本記事では、エンディングまでプレイした上でのプレイレビューを、極力ネタバレを避けてお届けしていこう。
広告

油断すると即死な2Dアクションと幻想的な世界観は健在

 まずは、本作がどのようなゲームなのか概要を紹介していく。

 『エンダーマグノリア』の舞台は、人工生命ホムンクルスが暴走し、荒れ果てた煙の国。そんな国の下層で目覚めた少女ライラックは、自身の失った記憶を探しながら、傷ついたホムンクルスを癒し、上層を目指して旅をすることになる。
[IMAGE][IMAGE]
助けたホムンクルスの力を借りながら、下層から上層を目指すのが目標。
 ジャンルは2DアクションRPGで、新たな能力を得ながらエリアを探索していくメトロイドヴァニアの要素を強く味わえるシステムだ。ただ、ボスに向かって進むだけでなく、新たなルートを発見したり、隠されたアイテムを入手するなど、探索要素がふんだんに用意されている。
[IMAGE]

 エリア探索の道中で出会う敵や、奥で待ち受けるボスを倒していくことになるのだが、この戦闘の難度がかなり高い。ボスはもちろんのこと、通常の敵からの攻撃も致命傷になり得るダメージで、油断しているとすぐに倒されてしまう。

 そのぶん無敵時間ありの回避アクションやカウンターなど、回避・防御の方法は用意されているものの、油断していると即死することもしばしば。回避はそこそこ容易な代わりに、HPは低めで油断するとすぐに倒される、というバランスになっている。
[IMAGE]
弱い敵が相手でも油断できない緊張感がある。
 とくにボス戦は1ミスが命取りになる、ひりついた戦いになるのが魅力だ。ボス戦になると、回復せずに耐えられる攻撃回数は2~3回程度で、技によっては一発で倒されることもある。

 そんな緊張感の中、ボスの攻撃を見切り、少しの隙に攻撃を差し込むギリギリの戦いが楽しめるので、高難度アクションが好きな人はとくにハマれる作品だ。
[IMAGE]

 ストーリーや世界観はすべてが本筋で語られることはなく、狂ったホムンクルスを調律する際に垣間見える記憶からストーリーを読み解き、謎に迫っていくような形式。各地のエリアで手に入る文書から人物像や各勢力の相関図などを思い浮かべながらプレイすると、より一層楽しめるだろう。
[IMAGE]

 また、本作の場合はボスとして戦ったホムンクルスが、生きたまま仲間になってくれるのも見どころだ。前作はほぼ生者と出会うことがない旅路だったが、本作は仲間のホムンクルスを始め、町にも生存者がいるので前作とはまた違った物語を見せてくれた。
[IMAGE][IMAGE]
仲間になったホムンクルスは戦闘で活躍してくれる。
 幻想的なビジュアルも、前作から続くシリーズ作の魅力だ。本作はホムンクルスが活動するスチームパンクな世界観かと思いきや、前作に通ずるようなファンタジー色強めの場所も登場する。

 探索するエリアによって見た目や雰囲気、そして登場する敵も変わり、新たな場所に行くたびにワクワクできるので、ゲームの雰囲気が気に入った人なら最後まで楽しくプレイできるはずだ。
[IMAGE]

パリィ、攻撃、またパリィ! ボス戦が楽しすぎるアクション

 全部で30種類以上のスキルが登場し、自由にカスタマイズできる本作のバトルは、幅広い人が楽しめる作りになっていた。

 ギリギリの戦いを楽しみたい高難度アクション好きの人はもちろんのこと、戦闘は苦手だがストーリーを見たいという人でも遊べる、救済措置も用意されている。近接攻撃メイン、遠距離攻撃メインなど多彩な戦闘スタイルを選べるため、探索用、ボス戦用など組み合わせを変えて遊ぶのもアリだ。
[IMAGE]

 とくに中盤以降は1発の攻撃でHPが半分近く削れるのに、遠距離から攻撃を連射してくる凶悪な存在もいるので、遠距離攻撃スキルには何度も助けられた。

 一度ボスに負けてもスキル構成を変えたら勝てることもあったりと、本作はスキルを柔軟に切り換えていくことがスムーズに進めるコツのようにも感じる。
[IMAGE]

 4つセットできるスキルは、近接/遠距離攻撃のほか、敵の攻撃に反応して発動するカウンター、さらに自動で攻撃し続けてくれるオートスキルも存在。

 コンマ数秒の見切り合いをしたい人は近接やカウンターメイン、4つのスキルをうまく使いこなせる自信がない人はオートスキルを複数セットして、使用コマンド数を減らすといった工夫ができる。
[IMAGE][IMAGE]

 これらのスキルはストーリーや探索を進めることで増えていき、1キャラにつき3つまでスキルを習得できる。同じカウンターでも、発動後の攻撃範囲や効果が変わる仕組みで、敵を燃やしたり、凍らせるといった状態異常も付与可能。

 凍結系のスキルを複数セットして、敵を頻繁に拘束して叩くといったプレイスタイルを選べるので、好きな組み合わせを探してみてほしい。
[IMAGE][IMAGE]
近接、遠距離攻撃もモーションの早いもの、振りは遅いが威力が高い攻撃などが選べる。
 このスキルに加えて、本作のバトルをより盛り上げてくれたのが装備とレリック。どちらも身につけることでステータスをアップしたり、特定攻撃の威力アップなど特殊な効果を付与してくれる。

 レリックはそれぞれコストが設定されており、より強力な効果を持つほどコストが重くなる仕組み。コストを考えつつ、どれを装備させるかを選んでいくのがカスタマイズの奥行きを感じられる部分だ。
[IMAGE][IMAGE]
序盤に手に入る物は効果が控えめだが、後半になると攻撃するたびにHPを回復するレリックなど、より効果が強力になっていく。
 これらのカスタマイズ要素の中でも、アクションに大きく影響するのがパリィ。パリィはシェルという装備枠の道具をセットすると使えるようになり、タイミングよく敵の攻撃を受けると、カウンターを仕掛けてくれる。
[IMAGE]
パリィに成功するとホーミングするエネルギー弾でダメージを与えられる。
 このカウンターの威力はそこまで高くないが、重要なのがパリィ後に反動・ラグがなく、すぐに動けるようになるという点。前作のパリィはノーダメージで済むものの反動があり攻撃手段にはなり得なかったが、本作の場合はアグレッシブに戦えるようになる。

 パリィ後すぐにスキル攻撃に移行し、また敵が攻撃を仕掛けてきたらパリィで防ぐ、という動きが可能になるのだ。敵の連続攻撃がひと通り終わった後に叩きにいくシンプルな攻撃だけでなく、敵のアクション中にも攻撃を差し込むバトルスタイルもパリィのおかげで実現できる。

 慣れてくると回避行動を一切取らず、攻撃、パリィ、攻撃、パリィとひたすら殴り続ける、ゴリゴリの攻めかたをするのが楽しくて仕方がない。とくに近接メインで戦ってくるボスとの戦いは、緊張感と爽快感が同時に押し寄せて最高に熱くなれた。
[IMAGE]
パリィ後すぐに動けば、相手の連撃中だろうとお構いなしに殴れる。
 ジャンプ、回避、スキルによるカウンター、そしてパリィと、回避・防御手段が豊富で、好きなスタイルでボスに挑めるのは、大きな魅力と言っていいだろう。多彩なスキルで誰でも遊べる仕組みにしつつ、高難度アクションのニーズにも応えてくれているのがすばらしい。
[IMAGE]
フレーム回避が苦手な人は、遠距離攻撃メインで安全に戦うのもアリ。
 スキルによるプレイスタイルの調整だけでなく、本作では難易度も調整できるようになった。イージー、ノーマル、ハードを選択できるほか、カスタムできる点も注目だ。
[IMAGE]

 カスタムは複数の項目から自分で数値を調整することができ、敵の行動頻度だけ引き上げたい、攻撃力だけ高くしたいといった調整ができる。より緊張感のある戦いをしたい人は敵の行動頻度を上げておくと、一瞬の隙を狙うひりついた戦闘を味わえるだろう。

 なお、難易度自体はセーブポイントからいつでも調整できるため、たとえば探索中は難易度を下げ、ボス戦だけ難易度を上げるといったことも可能。
[IMAGE]

 難易度によるストーリーなどの変化はなく、変わるのはフラグメントというアイテムのドロップ量のみ。フラグメントは攻略に関係しないお楽しみ要素で、集めるとライラックのコスチューム変更や、キャラクタープロフィール、設定資料集などを開放できる。

 長時間プレイすれば難易度イージーでもフラグメントを大量に確保することはできるので、入手量はあまり気にせず、自分が楽しめる難易度で遊ぼう。
[IMAGE]

終盤かと思ったらまだ中盤だったと思うほどのマップの広さ

 探索できるマップの広さや、移動能力がテンポよく手に入っていく点も本作の作り込みの深さを感じた点だ。

 本作は下層、中層、そして上層と目指していくストーリーなのだが、下層時点でとにかく広い。下層をひと通り探索した時点で8時間ほどプレイしており、中層にたどり着いた時点で「もう終盤に近いのでは?」と思っていたら、中層も広くてあまりのボリュームに驚かされた。
[IMAGE]
下層のマップも意外な奥行きがありどんどん広がっていく。
 プレイしていると思わぬエリアどうしがつながっていたり、序盤に訪れた場所の奥に謎が隠されていたりと、進めるほどワクワクさせてくれる。マップ開拓の醍醐味は十分過ぎるほどに味わえて、探索していると「ヤバいところに来てしまった」とゾクっとすることもあった。
[IMAGE]

 また、メトロイドヴァニアの醍醐味である、能力の習得がテンポよく進んでいく点も好印象だ。マップ各地には、肉腫や特殊な鍵で封鎖された場所があるのだが、これらはストーリーを進めて新たな能力を得ることで突破できるようになる。

 最初は泳げなかった水の中も途中からは潜れるようになったりと、新たなアクションを獲得することで一気に探索できる場所が増えていくのがおもしろいところだ。
[IMAGE]

 本作の場合は、このアクション習得のテンポがよく、ストーリーを進めると頻繁に新能力が手に入る。進めなかった場所が長い時間放置されることがなく、つぎつぎと新エリアが開拓されていくので、止め時を見失うほど。実際本作をプレイしている最中は、10時間ほど通しで遊んでいた。

 どんな能力が手に入るかも楽しみのひとつなので詳細は伏せるが、最終的な機動力は前作以上なので隅々まで探索してみてほしい。
[IMAGE]

 また、エリアには壁に見えるが近づくと奥に道があるなど隠し要素もあり、こういったポイントをうまく発見できると達成感を味わえるのもうれしいところ。

 場所によっては、複数のアクションを組み合わせて突破することも可能で、プレイヤーの発想力が試される。一切足場がなく、どうあがいても先に進めないような場所でも発想次第で進めることがあるので、じっくりとマップ開拓を楽しめるはずだ。
[IMAGE]
足場がなく、向こう岸も見えないエリア。意外な方法で進めるかも……?
 マップを探索しているとサイドストーリーが展開されることもあり、物語が一層深みを増すのもポイントだ。

 道中にはまだ生きている人と出会うことも多く、彼らを救うと町で再会することもある。キャラクターと話すことで世界観や物語の背景をより深く知れるので、メインストーリーを進めるだけでなく、じっくりと探索するのをおすすめしたい。
[IMAGE]

 本作では仲間になったホムンクルスたちとの会話シーンもあり、キャラクターどうしの掛け合いも発生する。多くの仲間に出会い、仲を深めながら上層を目指すことになるため、キャラクターへの愛着も沸きやすいのも前作とは異なる部分だ。

 一方で、ホムンクルスの置かれている凄惨な境遇や、非人道的な行為など
『エンダー』シリーズらしいダークファンタジーテイストは残っている。シリーズらしさは残しつつも、前作とはまた違った雰囲気を味わえるストーリーといった印象。
[IMAGE][IMAGE]

 総括して
『エンダーマグノリア』は、アクションの手応えは抜群、マップのボリュームも申し分なくやり応えのある一作に仕上がっている。高難度アクションやダークファンタジー、メトロイドヴァニアを楽しみたい人には強くおすすめしたいクオリティーだ。

 前作プレイヤーにとってうれしい要素も盛り込まれているので、
『エンダー』シリーズが好きな人もぜひプレイしてみてほしい。

エンダーマグノリア: ブルームインザミスト

  • 対応機種:Nintendo Switch、プレイステーション5、プレイステーション4、Xbox Series X|S、PC
  • 発売日:2025年1月23日発売
  • 発売元:Binary Haze Interactive
  • 開発元:アドグローブ、Live Wire
  • ジャンル :アクションRPG
  • 価格:通常版/各4378円[税込]、限定版/各10230円[税込]、ダウンロード版/各3278円[税込]
  • 対象年齢:CERO 15歳以上対象
  • 備考:Xbox Series X|S版とPC版はダウンロード専売
      この記事を共有

      本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

      集計期間: 2025年02月13日00時〜2025年02月13日01時