『ファンタジアン ネオディメンジョン』インタビュー。『FANTASIAN』誕生からボイス収録、4K画質、バランス調整、そして戦闘のコツまで……中村Dならではの視点で開発のすべてを振り返る!

by西川くん

更新
『ファンタジアン ネオディメンジョン』インタビュー。『FANTASIAN』誕生からボイス収録、4K画質、バランス調整、そして戦闘のコツまで……中村Dならではの視点で開発のすべてを振り返る!
 2024年12月5日にスクウェア・エニックスよりNintendo Switch、プレイステーション5(PS5)、プレイステーション4(PS4)、Xbox Series X|S、PC(Steam)向けに発売された『FANTASIAN Neo Dimension』。
広告
[IMAGE]
 『ファイナルファンタジー』シリーズ生みの親であり、ミストウォーカーを率いて数々の作品を送り出してきた坂口博信氏。そして、『ファイナルファンタジー』シリーズのみならず、数多のゲーム音楽を手掛け、世界を舞台に活躍する音楽家の植松伸夫氏。

 このふたりがタッグを組んだ王道のファンタジーRPG、それが
『FANTASIAN Neo Dimension』だ。プロデューサーを務めた坂口氏のロングインタビューでは、本作の開発秘話を語っていただいた。
 さらに、発売直前となる2024年12月3日には、スクウェア・エニックス公式YouTubeチャンネルにて特別生放送“【内田雄馬/KENN/坂口博信/吉田直樹】FANTASIAN Neo Dimension発売直前スペシャル”を配信。坂口博信氏と、本作の誕生には欠かせない重要人物の吉田直樹氏、レオアの声を演じた内田雄馬さんとチクッタ役のKENNさんが出演し、2部に分けてその魅力をたっぷりと紹介した。
 坂口氏が本作を語る中で幾度となく出てきたのが、中村拓人氏のお名前だ。
[IMAGE]
 『FANTASIAN Neo Dimension』の制作において重要なキーパーソンとなった中村氏は、本作におけるボイス対応、マルチプラットフォーム対応など重要な局面で、その手腕を遺憾なく発揮。氏なくして本作は誕生しなかったといっても過言ではない。そこで、本作の開発におけるエピソードを、中村氏にしか語れない視点で振り返っていただいた。

中村拓人なかむら・たくと

『FANTASIAN』、『FANTASIAN Neo Dimension』ディレクター。ジオラマによるフィールド作りから、ボス戦をメインとしたバトルシステムの構築など、メインプログラマーとしても大きな役割を果たす。『ブルードラゴン』、『ラストストーリー』、『テラバトル』など、坂口博信作品に多数参加している。

――『FANTASIAN Neo Dimension』の開発が決まったとき、どのようなお話があったのですか?

中村
 もともと『FANTASIAN』の開発当時から、コンシューマー版への展開を行いたいという話はしていたので、決まったときには「ついに来たか」と、すんなりと受け入れることができました。

 さらに、当初はそこまで手を加える予定はなかったのですが、吉田さん(吉田直樹氏。スクウェア・エニックス 取締役/執行役員/クリエイティブスタジオ3 スタジオヘッド)はもちろん、スクウェア・エニックスさんと打ち合わせをしていく中で、いくつか要素を追加したいという話になりました。単なる移植と思っていたところもあって、「これはなかなかたいへんになりそうだぞ」と思いましたね(笑)。

――その追加要素の中には、本作の目玉のひとつであるボイス対応も含まれていたかと思います。そもそもボイスはなかったゲームですから、苦労もあったのではないでしょうか。

中村
 じつは、メチャクチャたいへんでした(笑)。そもそもボイスを入れる前提でゲームを作っていなかったので、誰がどんなセリフを話しているのか、明確に決めていない箇所がありました。

 「はっ」、「わっ」みたいなセリフも、ひとりのキャラクターが発している場合もあれば、複数のキャラクターがしゃべっている場合もありますよね。そのあたりを明確にしていなかったので、すべてのセリフを誰が発しているのか、逐一チェックする必要が出てきました。

 それが、声優陣の皆さんの台本ができてから発覚したこともあり……。ですので、セリフの収録を進めながら細かく修正を加えていきました。

――つまり、ボイスの収録には中村さんも参加されていたんですね。

中村
 はい、ほとんどの収録に僕も立ち合いました。その場でセリフを直したり、収録中に「このセリフは別の人物がしゃべっているものだ」といった確認が発生したりと、予想外にたいへんな作業になりましたね。

――驚いたことを示す「はっ!」というセリフがあったとして、それを誰が言っているのかを確認して……。

中村
 開発途中でセリフの発言者を変えることもあったので、データが複雑になってしまったんです。たとえば、ゲーム中ではキーナのセリフなのに、データ的にはシャルルのセリフとして区分されていたこともあって。そういったケアレスミスを修正していくことも多かったですね。
[IMAGE]
――ボイスの収録は個別で行われることが多いですよね。

中村
 はい、本作でもそうなりました。

――となると、セリフをその場で区別しながら収録するのはたいへんそうです。後でミスに気づいても、対応が難しいというか……。

中村
 実際、収録し終わった後に追加で収録しないといけない場合もありましたが、そこはなんとか対応しました。

 また、セリフ自体もオリジナル版から変更している部分があります。収録している最中に感じたのですが、テキストの文字を読むだけならば違和感がなくとも、ボイスになると違和感が生まれるセリフもあるな、と。そこも直していきました。

――中村さんのクリエイター人生で、そういった体験は初めてのことだったのでしょうか?

中村
 初めてでしたね。「ボイス収録はたいへんだな」と気づきました(笑)。ですので、ボイスや演技に関することは素人ですから、そういったディレクションはスクウェア・エニックスさんにお任せしました。それに、声優陣の皆さんも演技がとても上手なので、ボイス収録については最初から最後までバッチリでした。

 イメージに合わないようなことはほぼなかったので、収録はスムーズに進みました。むしろ、テキストをその場で直さないといけないときにお待たせするのが申し訳なくて。なかなかない機会だったので楽しかったのですが、もしつぎがあるのならば、ボイスが入る前提で最初からテキストを作るべきだと思いました(笑)。

――実際、ボイスが入ったことによってゲームの印象が変わりました。

中村
 変わりましたよね。イベントシーンはもちろんですが、とくにバトルシーンの印象は大きく変わったと思います。レオアたちの掛け声などが入ったことで、より戦いが盛り上がる。レオア役の内田雄馬さんもオリジナル版をプレイし、かなり熱いボイスを入れてくださったので、すごくうれしかったです。
[IMAGE]
中村
 また、チクッタ役のKENNさんもスゴかった。口調は丁寧なのですが、ちょっとドジなところがあるロボットという雰囲気を丁寧に演じてくださって、どのセリフもつい笑ってしまいました。終始笑いながらボイス収録に立ち会わせていただきましたね。
[IMAGE]
――ボイスで、ドラマ性や登場人物たちの個性が強まったように感じました。

中村
 本当に声優陣の皆さんのおかげだと思います。ライバル的に登場するトリオの“シンデレラ三連星”も、キャストの方々がとてもノリノリに演じてくださって、オリジナル版よりも印象が強くなりました。ここも注目していただきたいです。
[IMAGE]
――ボイスのほかにも、本作ではさまざまな調整が加えられています。とくに、Nintendo SwitchにPS5とPS4、Xbox Series X|S、そしてPCというマルチプラットフォームでの展開になりましたが、たいへんだった点はありましたか?

中村
 マルチプラットフォームへの対応は、以前から「できる」と考えていたので、あまり気にしていませんでした。Nintendo SwitchとPS5については開発経験がありましたし、Xbox Series X|Sは未知数なところもありましたが、とくに不安はありませんでした。

 そもそもオリジナル版の
『FANTASIAN』が、iOSのスマートフォンでのプレイを中心としたタイトルだったので、スペックが低い端末でも動かせるように調整していました。なので、各ハードのスペックに合わせることでも問題はありませんでした。

 ただ、ロード時間についてはとても注力しました。プレイするハードによってロード時間にどうしても差が出てしまうのですが、どのハードでもなるべく早くロードができるように、それぞれのハードごとに調節しています。結果、改善はできたと思っています。

――オリジナル版の開発時から「家庭用ゲーム機でも展開したい」と考えていたとおっしゃっていましたが、その時点から何か見据えて用意していた部分もあるのでしょうか?

中村
 見据えていたわけではありませんが、もともとジオラマ写真を用いたフィールドなどはかなり解像度を高めにして撮影していたので、 今回の4K解像度に対応する際の作業は難しくありませんでした。

 フィールドをジオラマで作成していることは、本作の大きな特徴のひとつです。当時はデータを圧縮して低い解像度で表現するという選択もありましたが、ジオラマを少しでもキレイなグラフィックで見ていただきたいという思いもあって、高めの解像度を保持していました。これが結果としてよかったですね。
――絵作りについては、ハードごとの特色や違いを感じられましたか?

中村
 ほとんどありませんが、もとがiPhoneなどをメインとしていたこともあって、 Nintendo Switch版はなじみがいいですね。携帯モードがあるため、遊びやすい点もいいと思います。PS5やXbox Series X、PCは解像度が高いこともあり、とても画面がキレイになったと感じました。

 いずれのハードもそうなのですが、モニターの大きな画面でプレイすることを考えて、画面のカラーバランスを細かく調整しています。これは坂口さんからのオーダーで、ちょっとした違いかもしれませんが、よりクッキリとした画面になりつつも
『FANTASIAN』らしさを損なわないように調整しています。

――各プラットフォームへの最適化は、どのように進めていったのでしょうか。

中村
 いちばん気を付けたのは、コントローラーの操作まわりですね。オリジナル版はiOS対応ではありましたが、MacやApple TVでも遊べるので、コントローラー操作に対応していました。ですが、少し甘さが残っていたのも事実で、そこは坂口さんも気にしていたポイントだったんです。

 そこで、今回はさらに細かく手を入れています。また、コントローラーの余っているボタンにショートカットキーを割り当てられるようにするなど、遊びやすさも拡充しました。なお、PC版は当初、コントローラー対応のみでしたが、やはりキーボードとマウスでの操作もほしいということで、そちらでも遊びやすくなるよう対応しています。

――移動速度が少しだけ速くなっていますよね。

中村
 はい。もとの移動速度でもそこまで気にならないのですが、それはタップ操作がメインだったからなんです。タップ操作での移動は、タッチすればキャラクターが最短距離を走ってくれるので、体感的な速度に問題はありませんでした。

 でも、スティック操作の場合は人それぞれの動きになるので、ちょっと横にずれたり、最短ではないコースを走ったりする場合があります。そこで移動速度を少し速くしたのですが、それだけでもスティック操作での移動にストレスがなくなりました。

 小回りが利くようになったこともあり、キビキビと思うがままにレオアたちを動かせます。ここは探索も魅力のひとつである本作にとって重要なポイントでした。
[IMAGE]
――本作には難易度も新たに加えられています。オリジナル版を遊んだ際は、後半になるにつれて歯応えが上がっていくことを実感したのですが、今回はどのようなコンセプトでバランスを調整されたのでしょうか。

中村
 オリジナル版はおっしゃる通りで、後半の難度が高すぎたかなと思っていて。攻略要素を詰めすぎたとも感じています。「この攻略方法じゃないと、このボスは倒せない」みたいな形になりがちだったのも、反省点でした。

 ですから、今回は難易度が“ノーマル”の場合、攻略方法を多少知らなくても敵を倒せると感じてもらえる方向性でバランスを調整しました。

――具体的にはどのような調整を加えたのでしょうか?

中村
 細かい部分はいくつもありますが、いちばんわかりやすいのは敵の攻撃力と素早さ(行動順の早さ)ですね。オリジナル版は1回ミスってしまうと立て直すのがかなり難しくなり、そのまま続けるか、再度挑戦したほうがいいくらいの難度になっていました。

 今回の“ノーマル”では、戦闘中にもし崩れてしまったとしても立て直せるようにしつつ、戦闘を続けていく中で攻略方法を見出していけるようなバランスを目指しました。ゲームオーバーになってはまた再チャレンジ……というものではなく、バトルの最中に試行錯誤ができるイメージです。

 また、体力も調整しています。攻略方法がわからずとも、なんとかギリギリで倒し切れるかも、くらいの体力になっていると思います。とはいえ、ただ単に攻撃を重ねていけば攻略できるようなものにはなっていません。ある程度の歯応えは残しつつ、遊びやすくなっているかと。

――「さすがにコイツの強さは変えないほうがいいだろう」と思ったボスもいるのでしょうか。

中村
 ラスボスも含めて、一部のボスはあまり変えていません。物語としても、苦戦してもらうべきところは歯応えのある戦闘が楽しめるようなイメージです。
[IMAGE]
――難度の調整はプレイフィールに直結するので簡単ではなかったと思うのですが、どのようにしてそのバランスを確かめたのですか?

中村
 僕のほうで何度も通してプレイしつつ、その中で気になる点が発生したら調整を加えていきました。もちろん坂口さんからの意見も取り入れつつ、全体をならしていきましたね。最終的にはスクウェア・エニックスさんからも「とてもよくなった」という感想をいただけました。

 坂口さんもオリジナル版のときに「少し難しくしすぎたかも」と言っていましたが、僕たちもそこは気になっていて。やはりゲームを作っているときは開発側がプレイに慣れてしまって、難度が高くなることがあるんですね。

 今回は開発までに時間が空いたこともあり、改めて見つめ直すことでオリジナル版の難度がどのように受け入れられたのかを知れたんです。

 それに、坂口さんは本当にゲームを何度も遊んでくれます。坂口さんは開発者としての視点と、プレイヤーとしての視点を併せ持っているので、そこから生まれる意見は、僕たちプログラマーがすぐにゲームに反映します。

 そして、つぎの日に修正版を坂口さんに渡して、また意見をもらって……。この流れはオリジナル版の開発時と同じで、本作も日々を重ねてバランスを調整していきました。
[IMAGE]
――そもそも中村さんはオリジナル版の開発時、どのような経緯でディレクターになられたのですか?

中村
 もともとはメインプログラマーとして参画したのですが、坂口さんから「ディレクターができる人はいない?」と相談されて。「とりあえず見つかるまで、僕がディレクターをやっていますよ」と答えた結果、僕がディレクターをやるしかなくなったという感じです(笑)。

――ディレクターとプログラマーの兼業はたいへんですよね。

中村
 プログラマーなので、どのアイデアが実現できるのか、実際にどのような形でゲームに反映されるのか、そのあたりは最初からわかった状態で発案できるため、じつはとてもやりやすかったです。

 オリジナル版の開発時期に、本作にとってよさそうな新技術に巡り会えることが多かったという、運のよさもあると思います。ときどき悩むこともありましたが、突破口さえ見つかればかなり速いスピードで開発を進められました。

――吉田直樹さんも、本作での中村さんの開発のスピードを賞賛されていました。

中村
 それも僕がプログラマーであり、ディレクターであったからこそ、かもしれないですね。 実際に作ってみたら間を挟まず、すぐに「こんな感じでどうでしょう?」と確認すればいいだけなので。昔からそういう作りかたを経験してきたので、慣れていたということもあるでしょう。

 また、制作がスムーズに進んだのは、僕だけの力ではありません。
『FANTASIAN』ではディレクターになったこともあり、僕がこれまでの仕事を通して優秀と思った方々に、片っ端から声を掛けてチームをつくり上げました。

 開発スタッフそれぞれが、プロジェクトでチームリーダーを務めたことがあるような、第一線で活躍しているの力量を持っています。そんな少数精鋭で挑めたからこそのスピード感もあると思います。

 僕はディレクターと言っていますが、じつはディレクション的なことにそこまで注力しなくとも、お任せできるスタッフに恵まれました。なので、プログラムにより注力できたという面もあります。

――『FANTASIAN』ではさまざまな要素が中村さんの発想で実現した、とうかがいました。本作の目玉であるジオラマのフィールドをゲーム内に表現する方法もそうなんですよね?

中村
 いい方法を見つけるまでは、かなり時間を掛けて模索していました。当初はハンドスキャナーを使って3Dとして取り込む案も考えたのですが、ちょっとでもスキャンがズレたら、エラーが出たりして……。「どうすればいいんだ!?」と悩みましたし、難航していましたね。

中村
 しかし、ちょうどフォトメトリックステレオという技術(※)が出始めたころで、「これは『FANTASIAN』に使える」と思って採用してみたところ、とてもうまくいきました。
※フォトメトリックステレオ……光(照明)をさまざまな方向から当てた画像を複数枚撮影し、その画像を組み合わせて多数の反射パターンを計測、そのデータをもとに3次元での復元を行う技術。より陰影の強い深みのある画像ができる。
――スムーズに切り替わるフィールド画面の変化も、中村さんの考案とお聞きしました。

中村
 当初はただパッと画面が切り替わるだけだったのですが、「3Dモデルと写真を使えばこんなこともできるだろう」と考えて、スムーズに動きながらフィールドを移動できるカメラワークを実現しました。

 実際にフィールドを作り始めたとき、これならフィールドがジオラマであるという魅力をより表現できると思いましたね。
[IMAGE]
――本作で4K解像度に対応したことでジオラマ感が強調され、『FANTASIAN』独自の世界観がより強く伝わるようになりました。

中村
 ジオラマ感はオリジナル版のときから狙って作っていたんです。単にキレイな3Dモデルにしてしまうとジオラマで作っている意味が薄くなることもあって、粗さを出すことも重要でした。

 当時、ジオラマ会社さんから「さらに大きいスケールにしたほうがよりゲームの背景らしくなりますよ」という提案を受けたこともありましたが、そこはあえて小さいサイズで作っていただくことにしました。

 ジオラマ職人の皆さんの職人芸は本当にすごくて、まるで本物のように見えるジオラマを制作していただけるのですが、本物みたいに見えるジオラマは本作が目指すところとは違ったんです。

 むしろ、ジオラマであることがわかる風景こそ目指していた部分です。ですから、あえて小さいサイズで作っていただいて少し粗さを際立たせることで、アナログの模型が持つ味を強調しました。

 その調整は本当に難しく、開発の最後まで試行錯誤していただきました。最終的にものすごい細部まで作り込んでいただけたので、ジオラマ職人の皆さんには感謝しています。
[IMAGE]
――完成した『FANTASIAN Neo Dimension』を見て、本作は最終的にどのようなゲームになったとお考えでしょうか。

中村
 まず、ボイス対応によって、すべてのクエストのおもしろさがアップしたように思いました。ストーリーのカットシーンはもちろん、クエストもボイス対応となっているのですが、たとえばタンが動物を集めるクエストなども、ボイスによってさらに魅力的になったと感じています。

 テキストを読むだけでは流してしまいがちだったサブクエストなども、かなり個性が強くなったと思うので、オリジナル版を遊んだ人にも新鮮な気持ちで楽しんでいただけるはずです。

――戦闘の楽しさはオリジナル版と同様になっていますが、初めて『FANTASIAN』に触れるプレイヤーに向けて、バトルのコツを教えていただけますか?

中村
 “ディメンジョンバトル”では、“ディメンジョンギミック”をうまく活用することがポイントです。 ギミックはかなり強力な性能となっているので、積極的に狙えば効率的に敵を倒していけるでしょう。
[IMAGE]
中村
 ボス戦では、ゲームの前半ではキャラクターのセリフにヒントが多く隠されているので、そこをきっかけに攻略方法を見出してみてください。後半は難度が高くなりますが、攻略の糸口を自分で見つけることが鍵になっており、そこさえわかればスムーズに進めるでしょう。

 仲間が増えたらメンバーの攻撃順を入れ換える“チェンジ”も重要となります。キャラクターそれぞれに個性があるので、最適な運用方法も異なります。

 ゲージを溜めると発動できる“テンション技”(専用ゲージを消費して使用できる強力な技)も、それぞれ性能は異なりますが、どこで使えばいいのかを考えながら戦えば、重要な場面で活躍してくれると思います。

 単なる攻撃技として火力を出すのもいいですが、とくにピンチになってしまった場合、立て直す手段としてテンション技を使うよう意識すると扱いやすくなるでしょう。
[IMAGE]
――冒険の進行自体は、ゲーム内で表示される推奨レベルを無視しても問題ないのでしょうか?

中村
 本作の難度に関しては、ただ簡単にしたわけではなく、骨太さを残しています。RPGとして、仲間を集めて成長させることは重要です。また、ゲーム中盤から行ける場所に推奨レベルが書かれていますが、推奨レベル未満で挑むのはやはり難しくなります。

 とはいえ、自由な冒険も本作の魅力です。推奨レベルに合わせて攻略するのがおすすめですが 、もし勝てないのであれば、別のルートや場所を探してみるのもいいでしょう。

――わかりました。また、コラボコンテンツとしてバトルのBGMを『ファイナルファンタジー』シリーズの楽曲に変更できるようになっていますね。
中村
 これは坂口さんのアイデアなのですが、「そんなことができるの!?」とは思いました。僕は楽曲をゲームに反映するだけで、スクウェア・エニックスさんのほうがたいへんだったのではないでしょうか(笑)。

 植松さん(植松伸夫氏。作曲家として
『ファイナルファンタジー』シリーズの楽曲など、多数のゲーム音楽を担当。本作の音楽はすべて植松氏が手掛けている)によるオリジナルの楽曲もすばらしいのですが、気分を変えて遊びたくなったら試してください。ランダム再生にも対応していますし、何よりすごく雰囲気が変わりますので。
――これから『FANTASIAN Neo Dimension』を遊ぶ人に向けて、メッセージをお願いします。

中村
 『FANTASIAN』のベースは、すべて坂口さんが生んだものです。ジオラマを背景にすること、敵を溜めてエンカウントする“ディメンジョンシステム”、ラインを描くように敵を攻撃するシステムなど、『FANTASIAN』『FANTASIAN』たらしめているのは、坂口さんのアイデアです。

 それらのアイデアがありつつも、どのようにゲームを作るかは、我々開発チームに任せてくれました。アイデアを落とし込む方法をチーム全員で話し合って決めていくという、昔ながらの作りかたと言いますか、チーム全員が初めてゲームを制作するような感覚で開発しました。

 当初はもっとシリアスなゲームになる予定だったのですが、坂口さんの「もっと楽しいゲームにしよう」という思いと、僕らの「もっとおもしろいことを詰め込もう」という思いが合わさって、不思議とあたたかみのある作風に仕上がりました。

 結果、坂口さんのアイデアから生まれたシステム、あたたかみのある世界観などをゲームとしてまとめたものが、
『FANTASIAN』となりました。僕としても坂口さん、そしてミストウォーカーの代表作のひとつにしたいと思って取り組んでいましたし、実際にとても楽しいRPGができたと自負していますので、ぜひ『FANTASIAN Neo Dimension』をよろしくお願いいたします。

 ちなみに
『FANTASIAN Neo Dimension』では、ある条件を満たすことで現れる未発表の隠し要素があります。 ぜひ探し出してみてください(笑)。
[IMAGE]
      この記事を共有

      本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

      集計期間: 2025年01月17日01時〜2025年01月17日02時