舞台となるのは1990年代の架空都市“九龍”。プレイヤーは“憑鬼”という姿形のない存在として、人間に憑依して、強大な怪物・野狗子に立ち向かうことになる。本記事では、製品版を事前にプレイしたライターによるレビューをお届けする。

ホラーテイストの異能バトルを展開
たとえば断片的に語られていく設定や、敵の視界を奪うシステム(その派生も含む)、多数のメインキャラクターで描かれるストーリーなど、多少なり『SIREN』に通ずるところがあった。







ループする世界で、人類を救え



“ジュリー”という名前のその少女は困惑しながらも、人々を助けたい想いから、憑鬼の“野狗子を排除する”という使命に呼応する。憑鬼たちは野狗子を追いつめていくのだが、出会った人々はつぎつぎと事件に巻き込まれ、命を落としてしまう……。




会話で解放されていくミッション
ときには未達成のミッションが同時に解放されることもあり、どのミッションを攻略するのかはプレイヤーの自由。探索要素もあるが、探索用ステージがいくつか用意されている形で、全ステージで細かな探索が必要なわけではない。探索用ステージは取り逃しているものも表示される。











憑依を使った独特のシステム



また、憑鬼は霊体となって人間から少しだけ離れて移動もできる。死角になっている場所の確認や、人間ならば入り込めない場所から潜り込んで憑依するなど、霊体のような姿だからこそできるアクションも多い。こうした点においても、ほかのゲームでは味わえない独特のプレイフィールを実現している。





憑依と稀少体が鍵を握る戦闘





ときには一般人しか参加できないバトルもあり、時間が経過すると稀少体が後から合流してくるなど、バトルの流れも独特。アクションゲームとしてもとても個性が強い。

ただ、いわゆるジャストガードを強く要求されるゲームかというと、断じて違う。クリアーまで遊んだが、筆者の場合はブラッドタイムを発動した回数はかなり少ないほか、ディフレクトにもあまり頼らずに攻略していた。
ディフレクト関連のアクションではしっかりと爽快感を味わえるようになっているが、そうしたアクションをメインに立ち回る必要はないというイメージだ。
中盤くらいまでは憑依変更メインの立ち回りが強力なものの、終盤に差し掛かるにつれて成長要素のない一般人の戦闘能力では野狗子に対抗するのが難しくなり、最終的にはスキルを強化した稀少体をメインに戦うゲームになっていく。このあたりは非常にナラティブ的で、ストーリーで描かれる活躍にプラスされるような形で稀少体のヒーロー性を際立たせることに成功している。

九龍を観光しながら探索
ステージによっては建物内部に入ることもあり、建物内の作り込みもすばらしい。娼館やボロアパートなどは生活感がとても生々しく「こんなところまで作り込んでるの!?」と驚かされるほど見どころが豊富。遠くの部屋で誰かが何かをしているような、“薄い壁”であることがわかるサウンドも個人的には大好きな要素だった。









探索で同じステージに何度か挑むこともあるが、収集物についてはステージをクリアーせずに取得するだけで途中で抜けても問題ないのはうれしい要素。目当てのものが見つかれば、そのステージをもう一度クリアーする必要はない。



憑依が楽しさを生むチェイス要素
野狗子は見つけると逃げ出す場合があり、“チェイス”が始まることも。逃げる野狗子を追いかけて、追い詰めるパートだ。こうした追跡パートはほかの作品でも見られるが、だいたい相手との距離が絶対に近づくことはなかったり、目的地まで到達することが目標になっていたりする。

チェイスシーンのあるゲームの中でも珍しく、シチュエーションやシーンを自分の手で操作して映画的に演出できるのがおもしろいところ。システムとしては、探索とバトルが融合しているので難しい面もある。しかし、慣れてくると野狗子を追い詰めていく超人怪物ハンターのような動きができて、とても楽しかった。


ただ、大半のシチュエーションでは“一定値までは体力を削ることが可能”みたいな感じになっていて、倒し切ることはほとんどできない。けっきょくのところゴール地点にたどり着きバトルが始まることが多かった。ときには野狗子が変身して体力が全回復することも。
変身しない場合は道中で削り切った体力のままバトルになるので有利な状況になるのだが、そうなる場合もほとんどない。もう少しチェイスでがんばったごほうびがあってもよかったのでは? とも感じた。


稀少体たちはシンプル&ユニーク













九龍×怪物×異能バトル!


一般人が戦っている奇妙なゲーム画面や、現実的でありながらもユニークなキャラクターたち、ホラーテイストの強い敵など、ゲーム画面からはとても奇抜なタイトルに見えるだろう。

純粋なホラーゲームを期待している人は肩透かしを食らう面もあると思うが、日常に潜む脅威に立ち向かうという設定はいかにもホラー映画的。カットシーンの演出などでもホラー映画の影響を感じる部分があるので、映画ファンも楽しめるはずだ。
通常版は各ハード5478円[税込]と、昨今のゲームでは比較的お手ごろな価格なのもポイント(Bokeh Game Studio初作品なので、挨拶代わりに控えめにしているとのこと)。気になる人は、ぜひ手に取ってみてほしい。

















