NCSOFTとAmazon Gamesが提供する基本プレイ無料の新作MMORPG『スローン・アンド・リバティ』が、2024年10月2日(水)から配信開始。対応ハードはプレイステーション5(PS5)、Xbox Series X|S、PC(Steam)となっている。
この記事は『スローン・アンド・リバティ』の提供でお送りします。
RPGにはさまざまな魅力がある。たとえばストーリーの秀逸さ、キャラクターの愛らしさ、戦闘システムの気持ちよさなどだ。これらに焦点を当てたタイトルは、近年数多く見られる。
本作が焦点を当てているのは、それらとは異なる“世界観”。ゲーム全般を通じて、剣と魔法のファンタジー世界をこれでもかと表現し、プレイヤーをファンタジーの世界の住人として没入させてくれる。
『スローン・アンド・リバティ』において、ファンタジーはただの舞台装置ではない。“自分はこの世界で生きている、旅をしている”と思わせてくれるのだ。その魅力に加えて、古きよきMMORPGにも通じる懐かしさもまた、古参ゲーマーには心地いい。そうだ、MMORPGというものは、ただ強くなったりボスを倒すだけのゲームではなく、そこにいること自体にわくわくが降り注ぐものだった。
黎明期のMMORPGを感じさせるとはいえ、システムやUIが古いような“昔ながら”の負の再現ではなく、近年のニーズに応えた遊びやすいスタイルになっている。
これぞファンタジー。これぞMMORPG。世代を問わずぜひ遊んでみてほしい本作の魅力を、中学生時代から『指輪物語』、『ゲド戦記』、『ドラゴンランス戦記』などの古典的ファンタジー小説を読みふけり、MMORPGも黎明期からずっと遊び続けている筆者の目線から、実プレイのリポートを通じて語らせてほしい。
なお、記事内の画像の一部にはオープンβテストなどの開発中の画面を含むので、現在サービス中の本タイトルとは異なる場合がある点はご了承いただきたい。
ファンタジーを味わうのに最適な各要素
こういったレビュー記事では、戦闘などの華やかな要素から紹介することが多いと思う。だが、最初に筆者の琴線に触れたのはそこではなかった。
プレイ開始時やチュートリアルで流れる世界観を説明する導入ムービーの時点で、“世界観”への注力が感じられる。本作の舞台“ソリシウム”は、剣と魔法のファンタジー世界。世界中に散った“シラベスの神星の欠片”という神の力を宿したアイテムをめぐり、主人公は悪の征服者“カザール”の軍勢と対峙していくことになる。
当然のように魔法が使われる世界。それを一蹴するほどに強力な神の力が物語のキーとなっている。
なお、ゲーム本編に入る前にかなり細かな項目に渡るキャラクターメイキングが可能だが、作成時点では職業などは決めない。後述するが、装備する武器によって自由なバトルスタイルが生み出せるため、この段階では外見のみにこだわったカスタマイズを楽しめばいい。
神の遺物と悪の帝国の存在。この構図だけでもファンタジー好きにはたまらない。さらにここでポイントとなるのは、魔法が日常的に用いられるものになっていること。
たとえば“変身”の魔法。本作では純粋な物理アタッカー(剣しか振るわない戦士タイプのキャラなど)で進めていくとしても、移動時には狼などに“ワイルドモーフ”の魔法で変身し、高速で駆けていく。
高所から滑空するときには鳥になったり、水場を越えるときには海洋生物になったりと、陸空海それぞれのワイルドモーフが用意されている。これらの変身でとくに筆者が気に入っているのは、人の姿で走ったり跳んだりしたところから、いっさい溜めずにシームレスで変身するという点だ。
ワイルドモーフは時と場所を問わず使用可能。街中を高速で駆けることもできる。
立ち止まったりすることなく、ごく自然かつスムーズに変身する。
いちいち立ち止まったり移動以外の操作入力を挟んだりせず、まるで呼吸をするかのように自然に変身できる。こういう部分のこだわりがいいのだ。さりげなく魔法を描写することでが魔法が一般的なものであるという世界観の表現につなげている。映画『ハリー・ポッター』シリーズの、人が一瞬で動物に変身するシーンに通じるものがある。シンプルに、操作上のストレスがない点もいい。
MMORPGで、乗り物に乗るために立ち止まったりする動作に引っかかりを感じる人もいるだろう。このスムーズさをぜひ味わってみてほしい。
ワイルドモーフによるスムーズな移動に加えて、当然ながら遠くの街へも一瞬で戻れるファストトラベル機能も用意されている。おかげでゲームプレイ時の移動はさくさくと済むのだが、視点を360度自由に回転できる3Dタイトルという点を活かし、ぜひ移動中などに周囲を見渡してみてほしい。
街からフィールドへと、どこまでもシームレスに広がる世界もまた、どこを取ってもファンタジーそのもの。さまざまなフィールドにはストーリー進行とは別に、各地の全景やそのフィールドにまつわる逸話などが閲覧できるビューポイントが用意されている。これらを見逃したままゲームを進めるのは、あまりにもったいない。
最近のゲームはどんどん親切になっており、メインストーリーが自動で進行していくのも珍しくない。そういったタイトルではしばらく味わえなかった“観光”が楽しめる。MMORPGではこういう要素も楽しいのだ。
昔のMMORPGでは知らない地域に勝手に旅立って、風景に感動しつつ強すぎる敵にしばき倒され、笑って帰ってきたものだ。当時はそれだけでも楽しかったのに、本作にいたっては各フィールドにしっかりとサブクエスト要素やフィールドごとのイベントが盛り込まれている。時間経過とともに天候や昼夜が変化するフィールドに立つと異国の空気が、少しずつ自分になじんでいくようだった。
変化し続ける世界を踏破する、これぞ冒険者の生き様。こうして旅するだけでも楽しいMMORPGは久々だ。
このように自由度が高いものの、しっかりとメインクエストのつぎの目標などがガイドで表示されたりする利便性は昨今のタイトルならでは。実際にプレイしているあいだも、「そろそろストーリーも進めるか」と思ったら何をしていてもシームレスにメインストーリー進行に戻れる。
昔のよさを残しつつ、でも遊び心地は最新。この辺のバランスが筆者にはちょうどよかったのだと思う。
ワンクリックで全部オートで進むのもいいが、ガイド機能が便利すぎると世界観やストーリーに没頭しづらくなる。本作ではそこがいい塩梅になっていると思えた。
“シネマティック”で壮大な世界の一員になるおもしろさ
さきほど映画のたとえを出したが、本作の演出や表現はかなり映画的、いわゆる“シネマティック”だ。たとえばNPCとの会話シーンでは、立ち絵とセリフの表示だけで終わったりせず、キャラクターをカットごとに異なる方向から写すカメラワークを使用。NPCの表情をしっかりと描写している。
メインストーリーのクエストでは、立ったままNPCと会話するだけで終わるシーンのほうが圧倒的に少ない。何らかのイベントシーンが挟まったり、NPCが行動したりと、つねに画面に動きがある。本作ではこのあたりのシーン移行もシームレスになっており、進行のテンポを阻害していない。
会話からの流れで、自然と壮大なムービーシーンにつながっていく。映画みたいという表現がしっくりくる。
ここまで演出をしっかり重ねられると、自然と自分がこのファンタジー世界の住民、そのひとりであるという自覚が生まれてくる。きっとこれが“没入感”というものなのだろう。VR機器に頼ることなく、丁寧に異世界を描写することで、プレイヤーをのめり込ませる。開発の手腕だ。
この世界に生きているという実感がある状態だと、プレイヤー同士が結成する“ギルド”に入る感覚もまた、従来のRPGタイトルとは違ってくる。テストプレイ期間中には体験できなかったが、ギルドメンバーとの連携感や、仲間意識もこの没入感によって引き立てられることは予想できる。ギルドメンバーと協力できるコンテンツも“攻城戦”をはじめ、税収を無事に送り届ける“税金輸送”や、2種類の意思を占領してフィールドでの恩恵を得る“占領戦”など豊富に用意されるとのことで、どんな戦いになるかじつに楽しみだ。
攻城戦では変身魔法で巨大なゴーレムに変身するなど、ファンタジーならではの要素も用意されている。規模としては、最大で数千人での戦いになるとのこと。
筆者はMMORPGでは世界観に浸るだけでなく、その世界の一員になれる(ロールプレイできる)ことこそ理想のプレイスタイルと考えている。本作ではメインストーリーに沿って世界を救う英雄を目指すもよし、ギルドの一員としてメンバーを支えるべく、アイテム製作や販売といった生活系コンテンツを極めてみるもよしだ。
コンテンツの豊富さやキャラクター育成の楽しさより、“世界観”を楽しめるという点をMMORPGに潜在的に求めている人は多いかと思う。ファンタジー世界が好きで、MMORPGの世界で暮らしたいという人には、本作はまさにうってつけのタイトルと言える。
ふたつの武器を使う自由なバトルスタイル
ファンタジーをこれでもかと味わえるこの自由な世界にふさわしく、本作ではバトル周りの自由度も高い。ひとつの武器や職業にこだわらず、さまざまな戦いかたができる。
剣と魔法のどちらかだけなんて制限はない。剣も魔法も、弓も神の祝福も、全部自由に使って戦おう。
まず基本として、本作の戦闘は敵をターゲットし、通常攻撃のほかにスキルスロットに登録されている各種スキルを使って攻撃していくオーソドックスな形式となっている。各スキルを再使用可能になるクールタイムが終わり次第、つぎつぎと回していく。
スキルスロットに登録できるスキルは、装備している武器によって決定する。つまり、いずれの武器を使うかがキャラクターの役割(クラス)を決定づける要素になっており、装備を付け替えるだけでキャラクターのバトルスタイルを簡単に切り替えられるわけだ。
単にスキルを討ち続けるだけでなく、敵の攻撃をタイミングよくボタンを押して“防御”することで反撃に転じたり、敵の攻撃予兆範囲を見て回避したりといったアクション要素もある。
ロングソード
攻防ともにバランスがよく、自身や味方を守ることに長けた前衛用武器。盾での防御や回避の向上だけでなく、相手をスタンさせたりといった補助攻撃や、スキル使用に必要なリソース“マナ”を回復したりと、さまざまな能力を持つ。
両手剣
長大な剣で周囲をなぎ払い、範囲攻撃や強力な一撃を放つ。純粋な火力と耐久力はもちろん高く、味方の耐久力を上げたり、状態異常の相手に強烈な追加ダメージを与えたりといった要素も用意されている。
短剣
防御することで攻撃を受けない“ステルス”状態になるなど、暗殺者のような戦いかたができる。敵に毒を付与するほか、毒以外の状態異常になっている相手にクリティカルヒットによる大ダメージを与えることも可能で、瞬間火力と持続ダメージの両方を期待できる。
クロスボウ
二丁のクロスボウを両手に構え、中距離~遠距離を射撃で制圧する。攻撃の回転率が高いだけでなく、相手を一時的に動けなくするなど、相手の行動を阻害することで安定してダメージを与え続けられる。
ロングボウ
敵に対して長距離からの強力なクリティカルヒットを見舞う射撃武器。範囲内の味方の自動回復力を強化したり、命中率を強化したりといった支援も可能。直前に使ったスキルのクールダウンを早めるなど、テクニカルな面も多い。
ロッド
一般的なRPGにおける“魔法使い”。近くの敵に転移していく雷、広範囲を焼き払う炎、相手を凍結させる氷といった強力な魔法を駆使する。相手や自分が“水浸し”や“炎上”、“霜”といった特定の状態なら、スキルがより強力になる。
ワンド
敵に“呪い”による持続ダメージを与えつつ、自身や味方の体力を大きく回復できる。回復スキルが多数用意されている回復のプロフェッショナルであり、味方の防御能力全般を大きく上げる支援も可能。
ふたつの武器を同時に装備
本作ではこのように役割が異なる武器をふたつ装備でき、戦闘中にいつでも持ち替え可能だ。
スキルスロットにはふたつの武器のスキルが並んで登録されるので、ボタンによる持ち替え動作をしなくても、スキルを使用すれば自動で対応した武器に持ち替えてくれる。このあたりからも本作のシームレスさを感じる。
とっさにワンドのスキルで回復したいときなどに、持ち替え操作を挟まなくてもいいこのシステムのありがたみを感じる。
また、ふたつの武器の組み合わせによってプレイヤーそれぞれが独自のスタイルを生み出せるのも、このシステムのおもしろいところ。筆者がとくに気に入ったのは以下のスタイルだ。
両手剣&ワンド
自身の体力を大きく上げ、防御など気にせず相手を殴り倒していくストレスフリースタイル。体力が減ってもスキルボタンひとつで回復できるので、生存能力がとんでもないことになる。防御のタイミング合わせが苦手な筆者のような人でも、これなら安心してメインストーリーを進められる。
両手剣とワンドの操作はそれほど忙しくないので、操作が楽なのも助かるところ。
クロスボウ&ロッド
ひたすら遠距離攻撃でたたみかけ続けるスタイル。クールタイムが終わる前にほかの攻撃スキルを片っ端から撃ち、つねに攻撃し続ける。クロスボウの敵を足止めするスキルも杖に対して有利に働くため、相性もバッチリだ。
マナが許す限り、相手をめった撃ち。装備が整うほどに火力が上がっていく。
ふたつの武器それぞれのパッシブスキルも考えると、武器の組み合わせはさらに奥深くなる。クリティカルヒットの発生率に関わる防具などの他装備も絡んでくると、意外な武器同士のシナジーも見えてくるはず。
実際にさまざまな組み合わせを使ってみて、お気に入りのスタイルを見つけ出す過程自体がおもしろい。“これぞ最強”といった定番の組み合わせだけでなく、自分なりの組み合わせを模索する楽しさ。これもネットがまだ普及していなかったころのMMORPGの、懐かしい気持ちが甦る要素だった。
キャラクターとしての“ロールプレイ”を考えて、武器の組み合わせを考えてみるのも楽しい。短剣とクロスボウの両方二刀流のスタイルとか、めっちゃかっこよくないですか。
世界観を楽しむ。RPGにとって当たり前のおもしろさがそこにある
オンラインRPGにはさまざまな魅力がある。強くなることも、協力してボスを倒すことも、その世界の住人になることもそのひとつだ。『スローン・アンド・リバティ』は“ファンタジー世界をプレイヤーに提供すること”に重きを置いているように思える。
筆者としては世界への没入感を維持するべく、コンテンツを逐一追加したり、世界をより広大にするべくマップのアップデートを実施したりといった頻繁なアップデートにも期待したいところだ。
テスト段階ではその真髄を体験できなかったが、本作にはボス戦などのほかにPvP(対人戦)もアクティブになっている大規模ダンジョンも用意されている。ボスのドロップ品をめぐり、ギルド同士が衝突するPvPvEが展開するわけだ。
ボスを独占しつつ敵対ギルドのメンバーを追い払うには、ギルドメンバー間の協力や連携が重要になるだろう。
ギルドコンテンツでは仲間との協力を通じてギルドの一員としての自覚、さらにはこの世界に生きているという実感が得られるかと思う。加えて本作では、ただ旅して周ったり、ふたつの武器のスタイルを考えるだけでも、ソリシウムという世界に没入できるわけだ。
ゲーム自体やバトルコンテンツを楽しむのは当然として、横にも目を向けてほしい。そこには遊びの要素がごろごろ転がっている。昨今のタイトルではあまり体験できなかっただけに、本作の魅力として新鮮に感じられるかと思う。
ファンタジーの世界観にわくわくするような、忘れかけていた原体験が明確によみがえった。
ファンタジーの魅力と、黎明期MMORPGに通じる懐かしさ。そして何より、世界観に没入するという独特の楽しみかた。これらに少しでも興味を持った人には、ぜひ本作をプレイしてみてほしい。シネマティックな導入によって世界観に自然と没入できたなら、あとはどこまでも広大な本作の世界を、思うがままに楽しむだけでOKだ。
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