物語の舞台は1579年、天下統一を目指す織田信長が名をはせた安土桃山時代の日本。伊賀の忍・奈緒江と信長に仕える侍・弥助のふたりの主人公それぞれの物語が描かれる。奈緒江と弥助のストーリーは一部は共通しているが、各々個別の物語やクエストが用意されている。
大坂(当時の表記)や京都など関西地方を中心に、当時の風土や景色がリアルに再現されており、広大なオープンワールドを探索できる。特筆すべきは、初の完全最新世代向けの作品であり、季節や天候の変化、光と影など多彩な表現が可能になったことだ。これらがシリーズの醍醐味である隠密行動や暗殺にさまざまな影響を与える。
ゲームの詳細については、下記の記事を参考にしてほしい。
今回のプレゼンは、アートディレクターのティエリー・ダンセロー氏がスピーカーを努め、チームが一丸となって取り組んできた技術革新のいくつかを紹介し、封建時代の日本をどのように実現したかについて語る内容となった。
本作は当初から新世代機のみに対応することが決定していたため、いままでにない新しい体験をもたらしたかったという。そのため、単に画質を向上させるだけでなく、没入感のレベルを向上を目指した。そこで、アートチームとして、早い段階で3つの柱を定義し、それを念頭に置いて開発に取り組んできた。そのアートの柱は、“フォトリアリズム”、“リアライゼーション”、“ダイナミズム”から成る。
ひとつめのフォトリアリズムについては、“環境マテリアルシェーダー”を改善し、より多くのオプションを追加することによって、アート面での自由度をより高めた。また、写実性を高めるために、オープンワールドの世界の縮尺度合いをより現実に近い比率にしている。そして、Anvil(同社が開発するゲームエンジン)で初めて“RTGI(レイトレーシンググローバルイルミネーション)”を追加。リアルタイムで変化する光の反射や環境光などの表現が向上している。
そのため、本作では灯りを消したり、ドアを開けたり、ほとんどの構造物にインタラクトが可能。ワールドはつねに動いており、天候が変化して同じ場所でも雰囲気が刻々と変化する。細部にまで注意を払い、知覚可能な品質と没入感のレベルを向上させている。
本作では、動的な季節サイクルと天候システム、流体シミュレーションを使用した風、スプレー型の粒子を用いた新しい葉のアニメーションなど、多重に相互作用しあうオブジェクトの仕組みを新たに構築。人里離れた田園風景から、平穏な神社、活気に満ちた商店街、神秘的な森、象徴的な城下町まで、封建時代の日本に存在した多種多様な環境とランドマークを意識し、ある場所から別の場所へと進むにつれて、テーマやムードが変化していく様子を強調したいと考えた。
さらにプレゼンでは、さまざまな技術への取り組みが解説された。ここでは、それらを簡潔にまとめて紹介する。
- 流体シミュレーションを使用した正確な風の表現
- 葉のアニメーションは正確な物理演算により風の影響を受ける
- 風の影響で冬には地面の雪が舞い上げられる
- 気象ミュレーターにより、雲の形成や降水パターンを制御
- 嵐が迫っている予兆を感じられる
- 雨天のときには足音を消すことができる
- 冬には氷柱を落としてしまうと敵に気づかれる可能性がある
- 季節や天候の変化は、植物や野生生物、環境音などの細部にまて影響を与える
- 季節によって植物の成長も変化し、隠れられる茂みの有無などが異なる
- 新たな光と影の表現が敵AIの検知度にも影響
- 上記のように季節や天候、光の変化による影響がゲームプレイに直結
今回のプレゼンではアート面における技術の紹介と、それがもたらす没入感やゲームプレイへの影響が語られた。これら以外にも本作では、ジオメトリシステムやエアストランドレンダリング、GPUスキャタリング、フェイシャルアニメーションなど、新世代向けの機能がふんだんに使用されているという。これらの技術の粋を集めて、封建時代の日本をゲームとして実現している。
そして、ティエリー氏は改めて「『アサシン クリード シャドウズ』は高いレベルのビジュアルと没入体験を備え、このようなテクノロジーを搭載した最初の大規模オープンワールドタイトルになると考えています。このゲームを皆さんと共有できることをうれしく思います」と語った。