【CIV7】『シヴィライゼーション VII』Firaxis Gamesスタジオツアー&インタビュー。文明と指導者を別々に選べるようになるなど、新要素も続々と明らかになった最新作の詳細に迫る

by二城利月

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【CIV7】『シヴィライゼーション VII』Firaxis Gamesスタジオツアー&インタビュー。文明と指導者を別々に選べるようになるなど、新要素も続々と明らかになった最新作の詳細に迫る
 前作『シヴィライゼーション VI』の発売から8年、待望の新作『シドマイヤーズ シヴィライゼーション VII』が2025年2月11日に発売されることが、“Summer Game Fest 2024”で発表されました。

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 発表と併せて公開されたPV以外に情報はなく、今作はどんなゲームになっているのか、ストラテジーゲームファンは気になっていることでしょう。

 そんな
『シヴィライゼーション VII』を制作するFiraxis Gamesのプレスツアーが、この夏、世界中の取材陣に向けて実施され、ファミ通.comも参加してきました。

 見学会ではFiraxis Games社内ツアーを始め、
『シヴィライゼーション VII』に関するプレゼンテーション、3時間ほどのハンズオン体験、そして制作スタッフのインタビューと『シヴィライゼーション』尽くしの内容に。

 そんな見学会の模様を前後編でリポート。本記事では社内ツアー、プレゼン、インタビューの3本柱をお届けしていきます。

 実際にゲームを体験したハンズオンのレビューも別記事でお届けしていますので、こちらもご確認を!

『シヴィライゼーション』を開発した当時の貴重なPCも展示! その価格はなんと……!?


 アメリカ・メリーランド州スパークスに拠点を構えるFiraxis Games。ボルチモア・ワシントン国際空港から1時間ほどの、のどかな郊外にそのオフィスはありました。

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 中に入ると、ロゼッタストーンや死海文書、ヒエログリフといった世界中の遺物のレプリカがお出迎え。日本のものと思われる仏像の頭もありました。

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 到着後、眼の前に並んだゲーム筐体が気にはなるものの、まずは社内ツアーへ。これまでのFiraxis Gamesの社史や、制作物、受賞したトロフィーなど歴史を感じられるコーナーへと案内されます。

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『シヴィライゼーション』シリーズで大人気のガンジーのフィギュアも置いてありました。
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ゲームの総売上本数は1億本を突破。ちなみに2023年頃の数字だそう。

 続いて、年季の入った椅子とPCが飾られたスペースへ。なんとこれは
『シヴィライゼーション』を開発したときにシド・マイヤーズ氏が使っていたオフィスチェアと開発PCを記念に飾っているとのこと。PCは当時の価格で10000ドル、現在にして40000ドルもする代物だそうです。

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PCの中にはまだ『シヴィライゼーション』の開発データが入っているのだとか。30年以上も昔の貴重な資料です。
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 そのままシド氏を含むスタッフルームを通りながらつぎのスペースへ移動。ちなみにこの日は夏季休暇中とのことで、残念ながらシド氏に会うことはできませんでした。

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シド氏のルームプレートには“福”の字が……!
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 ゲーム以外の歴史を感じられるブースを通り、オフィスの真ん中にある休憩スペースのような場所へ。ここには立派なレゴが置いてありました。

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 Firaxis Gamesでは各スタッフが1日1ピースずつレゴを組む伝統があるそうで、この塔は現在みんなで組んでいるものになります。

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過去に組んだというコロッセオも置いてありました。

 最後は、創業から今までの全社員の名刺と、社員たちの写真が並んでいるコーナーに通されました。

 Firaxis Gamesでは親子2代で務めている社員がなんと5組もいるそう。家族のような、を通り越して本当に家族も所属するのは驚きです。

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シド氏の名刺は3番に飾ってありました。
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『シヴィライゼーション VII』の発売日が2025年2月11日に決定! 文明と指導者を別々に選べるように


 社内ツアーが終わると、続いて
『シヴィライゼーション VII』のプレゼンテーションが行われました。

 プレゼンの内容は多岐に渡りましたが、まず始めにお伝えしたいのは、
発売日が2025年2月11日と発表が。

 さらに、『シヴィライゼーション VII』のコンセプトや制作の過程が語られます。『シヴィライゼーション』シリーズ全体として“すごくシンプルに作る”というコンセプトがありつつ、その中でいかに多くの選択肢をユーザーに提供できるかが、ゲームの深みに繋がっている。そこで今回の『シヴィライゼーション VII』は“選択肢をとにかく多く”をコンセプトに制作したそうです。

 じつは『シヴィライゼーション VI』の開発途中ですでに『シヴィライゼーション VII』の開発チームは発足しており、少数精鋭で作り続けているということも明かされました。

 そしてFiraxis Gamesは、新しいゲームを作る際に、土台としてもともとのゲームのコンセプトを3割、その上に新しい要素を3割、そして残りの4割を細部に対するこだわりとして意識しており、今回の
『シヴィライゼーション VII』もそういった意識で作られたとのこと。

 また、プレゼンを通して“レイヤー”という言葉がよく飛び出しており、先程のゲームの要素としての3レイヤー以外にも、都市が作られていく過程……時代や技術が発達していくことで、既存の土地や建物の上に新しい建物が作られていったという都市開発のレイヤーの話もありました。

 とくに今回の
『シヴィライゼーション VII』では実際のロンドンの町がどう発展していったかというのを徹底的に調べ上げ、参考にしていったそう。ローマ帝国から始まり、ビクトリア時代、そして現代とどう都市が変化していったか、街に必要な要素は何かというのを突き詰め、それをゲームシステムに落とし込んだ際、毎回同じ流れにならないよう、土台だけ作って、偶発的に見えるように、ユーザーの個性が出るように意識したと語られました。

 合わせて都市のグラフィックについては、ジオラマやミニチュアを参考に、小さいけど存在感があり、いろいろな角度から眺めて楽しめるように強く意識したそうです。

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 プレゼンの中盤では、本題となる
『シヴィライゼーション VII』の新要素やゲーム機能についてもその一部が明らかになりました。

 筆者が知った中でいちばん衝撃だったのは、なんと今作では
文明と指導者が別々に選択できるようになったことです。

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 『VI』で文明内において複数の指導者……たとえば日本で北条時宗と徳川家康の2択から選ぶといったことはできるようになりましたが、『VII』ではそういった制約が一切なくなりました。

 どれだけの数の文明と指導者が選べるのか、総数はまだわかりませんでしたが、ヨーロッパの文明をアジアの指導者でプレイする、といったようなユーザーが自由に組み合わせを選べるようです。もちろん、歴史に沿った文明と指導者を選べば能力の相性がいいので、いままで通りプレイするのもぜんぜんアリでしょう。

 逆に、歴史通りの文明と指導者を選んでも、そうでない選択肢を取ることもできます。プレゼン内では例としてエジプトが挙げられていましたが、「エジプトで農耕ではなく山での牧畜を選ぶことも可能だが、山での暮らしを選ぶことで、取れなくなる選択肢も生まれる」とのこと。指導者に基づいた確実に用意されているパターンと、ユーザーの選択肢によって解除されていく選択肢、解除されない選択肢によって、ある程度誘導はありつつも自由度もあるシステムになっているそうです。

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 そしてゲーム全体として、大きく、
古代/探検の時代/現代の3つの時代でゲームが進行することも発表されました。『シヴィライゼーション VI』では太古 / 古典 / 中世/ルネサンス / 産業時代 / 近代 / 原子力時代 / 情報時代の8つに分かれていましたが、それをギュッと凝縮した形になるのでしょう。

 また、完全な新要素として、司令官というユニットの存在も発表されました。司令官の周囲にいるユニットにやバフをもたらすユニットで、経験値を稼ぐことでより強力なアビリティやボーナスを習得できるとのことです。

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 さらに、助言者というキャラクターも登場。こちらはユニットというわけではなく、プレイヤーの状況に応じて、たとえば敵が現れたら、自衛を提案したり、経済的に強くないときはどうしたらいいかなど、指針を提案してくれるサポート機能のようです。

 プレゼンの最後には、今回の発表やハンズオンで体験できる要素は
『シヴィライゼーション VII』のすべてではなく、実際のゲームではもっとたくさんの要素があるので、お楽しみにと締めくくられました。

日本は『シヴィライゼーション』シリーズにとって非常に大事な国(エド氏)

 冒頭で述べたとおり、ハンズオン体験の模様は別記事で細かくお届けしているので、記事の最後はクリエイティブディレクターのエド・ビーチ(Ed Beach)氏、リードプロデューサーのアンドリュー・フレデリクソン(Andrew Frederiksen)氏のインタビューをお届けします。

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写真右がエド・ビーチ氏、写真左がアンドリュー・フレデリクソン氏)

Ed Beach氏エド・ビーチ

Firaxis Games クリエイティブディレクター

Andrew Frederiksen氏アンドリュー・フレデリクソン

Firaxis Games リードプロデューサー


──まずは簡単に自己紹介と、本作における役割を教えていただけますか?

エド
 『シヴィライゼーション V』でリードデザイナーをやっていましたエド・ビーチです。Firaxisには15年勤めておりまして、『VI』、『VII』ではクリエイティブディレクターを担当しております。

アンドリュー
 アンドリュー・フレデリクソンです。Firaxisに勤めてから9年目で、ほかのゲームにもたくさん携わってきました。今作『シヴィライゼーション VII』ではリードプロデューサーを担当しております。

──先程のプレゼンで『VI』の開発中から『VII』の開発がスタートしていたとありましたが、どれくらいの期間開発を行っているのでしょうか?

エド
 厳密には何年と言うつもりはないのですが、2019年にはそういう話し合いが行われていたのは事実です。基本的には少数精鋭で非常に少ない人数でアイデア出し、ブレストフェーズを経て、そこからだんだんと肉付けしていきました。

──文明と指導者が別々に選べるというシステム変更は驚きました。どうして今回このようなシステムにしたのか理由を教えていただけますか?

エド
 もともと『VI』で、フビライ・ハン(中国とモンゴルのどちらでも指導者として選べる)のような特殊タイプのリーダーがプレイヤーから好評で。そのフレキシブルさがよかったなっていうところで、そこが発端ではあります。

 実際、ゲーム構造的に『VII』において、そのAGE(時代)システムで3分割された時代を長く進んでいく中で、リーダーを毎回変更してほしくなかったのです。

 長いプレイの中で、自分の選んだリーダーによって敵対するリーダーが変わるから、毎回リーダーを変えてしまうと、それがもうわからなくなってしまうので、リーダーの数は文明より少なくするというゲーム構造になりました。

 それを踏まえ、臨機応変にリーダーは選べるような形にした方がフィットしたというような考えです。

──ファミ通.comは日本のメディアです。読者は日本のファンが中心ですが、今回も日本は登場するのでしょうか? 話せる範囲で教えてください。

エド
 日本は『シヴィライゼーション』シリーズにとって非常に大事な国で、その日本を象徴するリーダーがちゃんと(ゲーム内に)いることが大事だと思っているので、“日本のこと、忘れていない”ということをまず明確にお伝えしたいです。

 ただ、それを踏まえていまお話できることがあまりなくて控えさせていただくのですが、とはいえ、どの国の方が遊んでも楽しめるような構造、自分たちを象徴するようなリーダーがいるうというゲームにしようと掲げているので、ぜひ楽しみにしていただければと思います。

──今回、ハンズオン体験で3時間ほどプレイさせていただきましたが、まだまだ序盤という感触でした。実際、1プレイを最後まで通して行った場合、どれくらいのプレイ時間を想定していますか?

アンドリュー
 これまでと同じ程度の12時間から15時間ぐらいのプレイ時間を想定しています。ただ、今回は(演出やチュートリアルなど)いろいろな設定が細かくできることでより長くすることもぜんぜんできるというような構成にはなっています。

 ですが、基本的には3つのAGE(時代)を組み合わせたときに、従来シリーズとそんなに変わりない時間にはなるかなと思っています。

──3つの時代のお話が出ましたが、『VI』の8つの時代から大きく変わりました。変更した理由は何かあるのでしょうか?

アンドリュー
 実際のゲーム構造的な中身に関しては同じことをしているわけなので、ただいわゆる尺が違うという形です。

 『VI』のEraと『VII』のAGEでは、区分け対象の時間の長さがぜんぜん違うもので、テクノロジー技術だったり、社会的な発展だったり、発展性だったりとがよりたくさん各AGEに詰まっているんです。ですが、ゲーム全体で見たときに、ではそんなにいままでと大きく過去作から異なるかと言えば、プレイ体験は若干違うものの、大きな変更はないという感じですね。

──発表時のPVではロケットが打ち上がっていましたが、今回もロケット打ち上げはできるのでしょうか?

エド
 科学の勝利シーケンスでそれがひとつの例ではあるのですが、従来のシリーズのエンディング以外にも新しいエンディングもあるので乞うご期待ください。

──最後に、日本で発売を楽しみにしているファンに向けてメッセージをお願いします。

エド
 先ほどと重複してしまうところもありますが、シリーズがこれまで日本を含めてきたように、今回も皆さんが納得いく形で入るようなことが実現できて、すごくうれしく思っています。日本の皆さんもぜひ『シヴィライゼーション VII』を楽しみにしていただければと思います。

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