『ウルフファング・スカルファング サターントリビュート Boosted』にヨナオケイシ氏や細江慎治氏、佐宗綾子氏らレジェンドコンポーザーが参加。音楽制作へのこだわりが語られた新作発表会をリポート

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『ウルフファング・スカルファング サターントリビュート Boosted』にヨナオケイシ氏や細江慎治氏、佐宗綾子氏らレジェンドコンポーザーが参加。音楽制作へのこだわりが語られた新作発表会をリポート
 シティコネクションは2024年6月26日、サターン時代の名作復刻プロジェクト“サターントリビュート Boosted”の新作発表会を開催した。

 “サターントリビュート”シリーズとは、シティコネクションがプロデュースを行い、独自開発を行った“ゼブラエンジン”によりサターン時代の名作を復刻するプロジェクト。同プロジェクトのひとつ“サターントリビュート Boosted”は、新規アレンジ楽曲や拡張機能を追加搭載したプレミアム・ラインアップとなっており、発表会では“サターントリビュート Boosted”の新作『
ウルフファング・スカルファング サターントリビュート Boosted』が発表。その内容については、以下の記事でお伝えしている。

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 新作発表が行われた後の会場では、
『ウルフファング・スカルファング サターントリビュート Boosted』に参加しているコンポーザー陣によるトークショーが実施された。本稿では、こちらの模様を中心にお届けする。

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発表会は入場無料。シティコネクション作品のファンが会場に足を運んでいた。

 トークショーの前半戦では、イケダミノロック氏を司会に迎え、石川勝久氏(ZUNTATA)、MASAKI(ZUNTATA)氏、 COSIO氏、ヨナオケイシ氏、はがね氏、松本大輔氏が登壇。

 まずは、本作に関わることになった経緯について、石川勝久氏とMASAKI氏に質問が飛んだ。おふたりが所属するZUNTATAは、タイトーのサウンド制作チームであるが、当時はライバル関係のあったゲームに関わることに抵抗はなかったかと問われると、他社メーカーの楽曲アレンジを行う機会もあったゆえ抵抗感がなく、かつ、シティコネクション所属の作曲家・ゲームクリエイターのWASi303(佐藤哲郎氏)から熱いラブコールがあったゆえ、引き受けることにしたとのことだ。

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石川勝久氏(ZUNTATA)。

 手掛けた楽曲については、石川氏の中で『
ウルフファング』の楽曲『WOLF FANG -“狼牙” (BGM 1)』に思い入れがあり、本作でアレンジを担当するにあたり、イントロ部分にとくにこだわったそう。同曲については表題曲と呼べる楽曲ということもあり、MASAKI氏はアレンジすることにプレッシャーを感じていたそうだが、石川氏の意見を参考に、始まった瞬間に一気にテンションが上がる楽曲にすることを大事にした結果、自身の持てる楽曲に仕上がったと語った。

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MASAKI氏(ZUNTATA)。

 その後石川氏は、ZUNTATAから土屋昇平氏も本作のアレンジに参加していると補足で説明し、MASAKI氏が手掛けた楽曲とともに、ふたりの個性が存分に出たアレンジになっていると太鼓判。MASAKI氏は、
『WOLF FANG -“狼牙” (BGM 1)』の後半部分にとくにこだわりがあり、「こう来るか!」と驚いてもらえる仕上がりになっているとし、ぜひ楽しんでほしいとアピールしていた。

 COSIO氏は今回のオファーについて、前職の時代からWASi303氏と交流があったものの、WASi303氏の作品に参加することがあまりなく、今回WASi303氏から直接オファーを受けたので快く引き受けたそう。

 そんなCOSIO氏は、
『ウルフファング』、『スカルファング』それぞれ1曲ずつ担当したが、『ウルフファング』の『STREAM OF DEEPBLUE -“索敵” (BGM 6)』で難しいアレンジに挑戦することになり、計8回ほど作り直したとその苦労を明かす。そして、苦労した『ウルフファング』の楽曲はもちろん、『スカルファング』の楽曲も自身のあるデキになっているので、ぜひ聞いてもらえたらと語った。

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COSIO氏。

 続いてヨナオ氏が本作への参加の経緯について、アーケード向けタイトル『
BATSUGUN EXA LABEL』を手掛けた際、同作の楽曲も披露した自身主催のライブでWASi303氏と共演。その際、今作への参加を直談判し、それが叶ったのだという。

 ヨナオ氏が手掛けた
『ウルフファング』の『MIDNIGHT CHASER –“突破” (BGM 4)』については、FM音源を使用。原曲のイメージ通りに行うことを大事にしつつ、たくさん音を詰めて密度の高いアレンジ楽曲にすることを心掛けたという。なお、作曲中には、ライブで演奏することを想像しながら作ったそうで、「ファンの方に愛されれば、ライブでも披露できるかも」と会場を煽る場面もあった。

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ヨナオケイシ氏。

 はがね氏は、“サターントリビュート Boosted”シリーズの『
BATSUGUN サターントリビュート Boosted』に引き続きの参加。今作では4曲を担当。アレンジにおいては、当時ゲームセンターに集まって熱心に遊んでいたプレイヤーたちの姿を思い浮かべながら、その人たちを裏切らないよう、満足してもらえるものを作るという想いで取り組んだという。

 はがね氏が手掛けた
『スカルファング』の『SONIC DIVER (BGM 2)』については、『スカルファング』の爽やかな背景美術に合うように、機体の風切り音が聞こえてくるような爽快さが感じられるアレンジを目指したそう。その中で、『スカルファング』は録音した音源が使用されているため、アレンジの幅も自由だと捉え、『スカルファング』の後にメインストリームとなったシューティングゲームのテイストも取り入れたとのこと。

 そして、上記の
『スカルファング』はもちろん、『ウルフファング』においても、盛り上がりどころで流れる楽曲を担当しており、イントロからぶっ飛んでいるアレンジとなっているので、ぜひ楽しんでほしいと話した。

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はがね氏。

 シティコネクション所属の松本大輔氏は、本作でアレンジを担当した楽曲がかなり多く、混乱したときもあったそうだが、
『ウルフファング』ではギター寄り、『スカルファング』ではシンセ寄りという形で色を変えてアレンジすることを大事にしたそうだ。

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松本大輔氏。

 トークショーの後半戦では、細江慎治氏、佐宗綾子氏、O.T.Kのおしむら氏とnobo氏、Fantom Irisのぱっつん氏、じんじゃ氏、kyo-ji氏が登壇。

 まずは細江氏が
『ウルフファング』で参加した『CROSS FIRE -“制圧”』のアレンジについては、ギターの音色がかっこいいロック寄りのアレンジに挑戦したと説明。作曲中には、当時の限られたマシンスペックの中での音楽制作の苦労を感じ取ることができ、懐かしい気持ちになったと語っていた。

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細江慎治氏。

 佐宗氏は、原作の音楽を担当した、自身の先輩にあたる吉田博昭(MARO)氏の楽曲を担当することになり、「下手なことはできない」と、とても緊張したそう。そんな佐宗氏が手掛けた
『STORMY BLADE -“強襲” (BGM 3)』が会場で流れると、司会のイケダミノロック氏から「佐宗さんらしいアレンジがありつつ、安心感もありで、そして泣ける楽曲になっている。絶妙なバランス」と語られると、思わず笑みをこぼしていた。

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佐宗綾子氏。

 おしむら氏は、
『ウルフファング』はギターのサウンドが特徴的だが、O.T.K内にはギター担当がいないということで、作曲する際に悩んだという。そこで、メンバーのB/809氏がベースを使ってエフェクターを用いてギターの音を出すことに挑戦したという。それゆえ、聴くときはそのことに注目してほしいとのこと。

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おしむら氏。

 今作ではO.T.Kは3曲担当しており、その中でも、
『スカルファング』の『AIR ASSAULT (BGM 3)』はもっとも同バンドらしさが出ているとアピール。またnobo氏いわく、同曲にはゲームファンなら気づくネタが仕込んであるそうで、我々のゲームミュージックオタクぶりがいかんなく発揮されているゆえ、ぜひ楽しんでほしいと語った。

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nobo氏。

 その後は、おしむら氏がB/809氏からの手紙を代読。「溢れ出るデコ汁を満タンにして作りましたので、たくさんのデコ愛が伝われれば」とのメッセージとともに、ぜひ本作の音楽に期待してほしいと話した。

 Fantom Irisのkyo-ji氏は、サイトロンからリリースされた
『ウルフファング』のサウンドトラック内のベースのかっこよさがきっかけで、自身でもベースを始めたそう。それゆえ、思い入れのあるタイトルのアレンジということ、そしてプレイヤーとしても思い入れのある楽曲ということで、アレンジを手掛けるにあたって気合いが入ったそう。

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kyo-ji氏。

 同バンドが手掛けた
『スカルファング』の『SKULL FANG (BGM 1)』については、イントロを徹底的にこだわったとのこと。kyo-ji氏は、原曲がゲームミュージックのハードロックサウンドの中で最高峰だと思っているそう。それゆえ、同バンドの中でも、原曲をリスペクトとしつつ、令和のアレンジを取り入れることをコンセプトに制作したとじんじゃ氏が明かす。ぱっつん氏はこの曲を真似して弾いたり、ライブでも披露したこともあるため、逆に聴き慣れた楽曲のよさを残しつつアレンジしていくことに悩んだりもしたそうだ。

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じんじゃ氏。

 また、kyo-ji氏は同曲を含め、Fantom Irisが担当した全4曲のアレンジャー(編曲家)を担当。ぱっつん氏も原曲へのリスペクトを持って、とくにギターについては踏襲すべきところは踏襲するなど、とことんこだわって取り組んだそう。当時のサウンドから進化させた楽曲になっているので、ぜひ期待してほしいとコメントした。

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ぱっつん氏。

 その後、
『ウルフファング』の現役プレイヤーだというkyo-ji氏が、『ウルフファング』は64機体が登場する一生遊べる奥深いゲームで、『スカルファング』は『ウルフファング』で登場したボス戦が縦スクロールシューティングで楽しめるので、ゲームも存分に味わってほしいと魅力をアピール。ぱっつん氏は、トークショー中に会場で流れた楽曲を興奮しながら楽しめたと語り、発売されたらファンといっしょに楽しみたいと語った。

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 トークショーはここまでで終了。最後に吉田博昭(MARO)氏からの手紙が代読。「全体的に新鮮感が増して、オシャレに仕上がっているかなと。現代で蘇るとこういった感じなのかなと、原曲を思い出しながら、懐かしく聴けました」とコンポーザーへの感謝のメッセージ届けられた後、イケダミノロック氏が、「素晴らしいアレンジ楽曲を揃えてくださっているので、ぜひソフトの購入、よろしくお願いいたします」と締めくくった。

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 トークショーを終えた後は、シティコネクションの吉川延宏氏、渡辺敬氏、松本大輔氏が登壇して新作
『ウルフファング・スカルファング サターントリビュート Boosted』についておさらい。まずは吉川氏が、自身が音楽出身でベーシストとしても活動しているということもあり、音楽の力とゲームを組み合わせた展開をどのタイトルでも行っていきたいという考えがあるため、今後も“サターントリビュート Boosted”を続けていきたいと説明。

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(写真左より)吉川氏、渡辺氏、松本氏。

 続いて、
『ウルフファング・スカルファング サターントリビュート Boosted』を振り返り。Nintendo Switch、プレイステーション5、プレイステーション4、Xbox One、Steamで、2024年10月31日に発売予定の本作。Nintendo Switchとプレイステーション5向けはパッケージ版も展開。特装版の資料集には、表に出なかった作品『バトルファング』に関する資料が掲載されていると、ファンに向けてアピール。

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 その後は、吉川氏が2024年7月19日、20日、21日の3日間、京都市勧業館みやこめっせで開催される“BitSummit Drift/ビットサミット ドリフト”で、7月25日発売のNintendo Switch用ソフト『
OMEGA 6 THE TRIANGLE STARS』、2024年発売予定の『RUSHING BEAT X: Return Of Brawl Brothers』の出展を告知。

 渡辺氏は、
『ウルフファング・スカルファング サターントリビュート Boosted』について、“サターントリビュート Boosted”ならではの魅力などはまだほとんど明かしていないため、今後の情報展開を引き続きお待ちいただければとコメント。

 そして松本氏が、コンポーザー陣が手掛けたものすごく魅力的な楽曲が集まっているので、ぜひご期待いただければとメッセージを送り、発表会を締めくくった。

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集計期間: 2025年05月01日15時〜2025年05月01日16時