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Team NINJA 早矢仕洋介氏を直撃! 嵐を乗り越え“新生”を果たした先に見えたものとは?

ゲーム インタビュー
一部スタッフの離脱やコーエーとの経営統合など、ここ数年“嵐の中”にいたコーエーテクモゲームスのTeam NINJA。その嵐を乗り越えどのように乗り越えたのか? Team NINJAリーダーの早矢仕洋介氏を直撃した。

●大いなる“嵐”をTeam NINJAはどのようにして乗り越えたか?

 東京ゲームショウ2010前夜に行われた“Team NINJAインタビュー会”において(→記事はこちら)、新たなる出発を宣言したコーエーテクモゲームスのTeam NINJA。その席上でリーダーの早矢仕洋介氏が率直に表明した通り、一部スタッフの離脱やコーエーとの経営統合など、Team NINJAはここ数年まさに“嵐の中”にいた。では、Team NINJAはその嵐をどのように乗り越えたのか? Team NINJAリーダーの早矢仕洋介氏を直撃した。ここでは、週刊ファミ通11月11日号で掲載したインタビューの完全版をお届けする。“Team NINJAのいま”を感じとってほしい。

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▲Team NINJA リーダー、早矢仕洋介氏。

――“Team NINJAインタビュー会”で、「嵐の中にいた」と率直な発言をされていましたが、そのときの感想をお聞かせください。

早矢仕 まずひとつには、テクモとコーエーとの経営統合がありました。社員全体を含め大きな変化だし、もちろん経営統合により「よくなるだろう」という期待は大きかったですが、その当時は不安定だったのは事実だと思います。

――両社が経営統合することで、何らかの変化が迫られることは間違いないわけですからね。

早矢仕 一方で、Team NINJA自体の変化もありました。僕は、新卒からすぐにTeam NINJA配属になったのですが、ゲーム開発というものをいちからTeam NINJAに教えてもらったと思っています。そうやって教えてくれた先輩たちが辞めていって、目の前から去っていくということは、まったく想像したこともなかった。だから、先輩たちがいなくなって、「どうしたらいいんだろう」という気持ちは率直に言ってありました。ただ、そのときに考えたのは、先輩たちは信念や理由があって辞めたんでしょうが、その理由は必ずしも自分にとっての理由にはならないということです。やっぱり僕らはそれぞれに仕事をする理由を持っているのであって、それは僕がテクモを辞める理由にはならないんです。「ついてこい」とか、「残ってくれ」というのとも違う。そのときに僕だけじゃなくて、Team NINJAのスタッフも自分たちの生き様を問われていたところがあると思います。けっきょく、「Team NINJAとしてやっていこう」と自分で生きる道を決めた人が最終的には残ってくれた。それは別に、残ってほしいからという話ではなくて、Team NINJAでやりたいと思っている人がいまのTeam NINJAを形作っているというのが現実です。

――つまりそれぞれのスタッフが、ゲーム作りに対する自分のスタンスを問われたということですか?

早矢仕 そういうことだと、僕は認識しています。もちろん、スタッフそれぞれ個人の考えかた、生きかたがあると思いますが、ゲーム作りについては、ひとつになる必要がある。そういう中で、本当は朝から晩までゲーム作りに励まないといけないのに、なかなか集中できない状況があった。それを称して“嵐の中”というふうに表現したわけです。

――先輩たちがいなくなって、Team NINJAを解散しようとは思わなかった?

早矢仕 うーん、少なくとも僕はなかったし、いまいっしょに仕事をしているスタッフの人たちにも、そういう意識はなかったんじゃないかな。ただ、不安だったことは間違いないと思います。そのときには、僕らはゲーム開発が仕事ですから、「そういう不安を忘れて、ゲーム開発に取り組もう」と感じていました。

――それは、ゲーム作りに励むことで、“嵐の中”から脱していくということですね?

早矢仕 ゲームをしっかりと完成させるという、明確なゴールを目標として設定をすることで、“嵐の中”を通り抜けて、不安感を取り除けるのではないかと思いました。もちろん、いいものは作れると思っていましたが、「実際に完成するのか?」とか「いいものができるのか?」という不安の声が上がるのは致しかたのないところでした。けっきょく最後までやってみないとわからないわけですし、自分たちで納得できる形にしてゲームをリリースできれば、最終的には自信がつくし、プレイヤーの皆さんにもわかっていただけるだろうと思ったんです。

――それで、作っている過程で徐々に不安が取り払われていった?

早矢仕 そうですね。あと、ゲーム業界のいろんな会社の方から、直接的、間接的に応援の言葉をいただいたのも大きかったです。「期待しています」と言ってくださった方もいたし、「力になりますよ」と言ってくださった方もいました。そういう方たちの温かい励ましに支えられてゲーム開発に取り組みながら、不安が取り払われていきました。“嵐の中”で応援してくださった方には、本当に感謝をしています。それは、この場を借りてお礼がしたいです。

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――それはとても温かいお話ですね。

早矢仕 ふつうゲーム会社どうしというとライバル関係だったりするわけですが、そういうのを取り払って応援していただいたのは、本当にうれしかったです。開発チームとして業界全体に大事にしてもらっているのを感じました。

――“嵐以前”と“嵐以後”ではどのような点が変わりました?

早矢仕 かつてのTeam NINJAにはブレインと言うべき存在がいて、そのメインスタッフが中心になってゲームを作りあげていく感じでした。そのために、開発ラインを増やせなかったんですね。それがいまのTeam NINJAになって、ひとりひとりが「いいゲームにするにはどうすればいいか?」を自発的に考えられるチームになったと思います。ゲームを開発しているのだから当然だと思われるのかもしれないですが、そういうふうに有機的に機能しているチームって、そんなに多くないように思うんです。ゲームのクオリティーアップということに関して、みんなで向きあって、みんなで力を合わせて作っているというのは、いま実感しているところです。

――ひとりひとりが自分のこととして考えるようになったんですね。

早矢仕 そうですね。あと、経営統合の効果も実感しています。経営統合するときに、コーエーの人も「Team NINJAのことを大事にしたい」と言ってくれたのですが、開発まわりも含めいろいろとサポートしてもらっています。もちろん、お互いのタイトル開発状況もオープンなので、お互いに切磋琢磨して「負けていられない」という気持ちもある。以前のTeam NINJAはちょっと周囲を遮断してゲームを作っていた傾向があったので、そのへんも変わったところですね。Team NINJAに新しく参加してくれるスタッフも増えて、チーム自体も大きくなりましたし、間違いなくいまのTeam NINJAが歴史上もっとも強力なチームになっていると思います。

――任天堂とのコラボによるWii用ソフト『METROID Other M』も、今後のTeam NINJAの道筋を決める上では重要なプロジェクトだったと思いますが、そこではどのようなものを得られたのですか?

早矢仕 もちろん任天堂さんとしての“おもしろいゲームの作りかた”はものすごく参考になりますが、いちばん僕が肌身で感じたのは、もう少しデリケートな部分です。いままでの僕らって、血がたくさん出たり、女性を魅力的に描くことに注力したりと、人の感情をストレートに刺激するゲームを作ってきた。「いかにプレイヤーの方の気持ちを煽り立てられるか?」とか「いかにプレイヤーの方に燃えてもらえるか?」という点にフォーカスしてゲームを作ってきた部分があります。でも、実際に僕たちが日々生きていく中で、感情というものはそんなに爆発するだけじゃない。「道端に咲いている花に自然と目が行った」とか、「昨日飲み過ぎて……ちょっと疲れたなあ」とか、“喜・怒・哀・楽”という4つの枠だけでは図れない微妙で多彩な感情をたくさん抱いて生活している。で、じつはそういった感情を“ちょっとだけ揺らす”というのも、ゲームとしてエンターテインメントになるんだということが、任天堂さんのゲーム作りに接していると実感できたんです。開発中に、任天堂さんがそういった微妙な感情表現も細かくケアして作っていることがわかるんです。

――それは、クリエイターだからこそ掴み得るような微妙な感覚ですね。

早矢仕 繊細な話ではありますね。実際にゲームを遊ぶときに、明確な評価の対象になったり、プレイ後にその感情を覚えているかということ、そんなことはないと思うのですが、こういった感情の揺れって、ゲームを遊んでいると、じつはいろいろなところで起きているはずなんです。そういう心の機微までもしっかりと調整できるというところに、任天堂さんのゲーム作りの凄さの一端が隠されているのではないかと思います。

――今後のTeam NINJAのゲーム作りには、そういった部分が活かされていくのですね?

早矢仕 そうですね。これからTeam NINJAで作るゲーム関しては、激しい感情を喚起させるのはもちろんですが、それだけではなくて、人間の繊細な感情の機微といったところもしっかりと感じられるようなものを目指したいと思っています。

――今年のGDC 2010では、任天堂の坂本賀勇プロデューサーの講演が印象的でしたが(→記事はこちら)、非常に良好な関係だったみたいですね。

早矢仕 ある意味で、任天堂さんと僕たちとではゲームの作りかたが近かったのかもしれませんね。Team NINJAの中でも、裸でゲーム開発をしようというのは、常日頃言っていたことだったんです。「つまらないと思うんなら、はっきりと言う。その代わり、どのようにさらによくするかをお互いに議論しよう」という。坂本さんからも、「ゲーム開発にはパンツを脱がなきゃダメ」と言われていたんです。何もかも包み隠さず議論をして、「ここは遠慮しよう」というところは一切なかったです。そういった意味では、お互いのいいところを合わせて作らないと意味がないですからね。

――すごく刺激的な現場だったようですね。

早矢仕 そうですね。坂本さんをはじめ任天堂の皆さんにも開発が終わったときに「名残惜しい」と言っていただいていましたし、うちのチームも皆んな寂しげな感じでした。

●『仁王』では、真剣に正面から向き合った侍アクションゲームを

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――それでは、今後のTeam NINJAの話を聞かせてください。これからの方針といったようなものはあるのですか? たとえば、今後注力するハードなんてあります?

早矢仕 いま各ゲームハードって、持っている方の年齢層だったり、地域だったり、性別も含めていろいろな色がありますよね。なのでハードに関しては、「僕らがいま作ろうとしているゲームのコンセプトにどのハードがいちばん合っているのか」、ということで選ぼうかなと思っています。「このハードに向けてゲームを作ります」という、ハードありきの考えかたではなく、ソフトありきということです。もちろん、いままでTeam NINJAというチームを応援してくださった方もいると思うので、そういった方たちをないがしろにする気もありません。

――Team NINJAと言うと、どうしてもハイエンドマシンでハイクオリティーのグラフィックを……とう印象がありますが、必ずしもその点にはこだわらない?

早矢仕 僕はとても幸せだと思うのですが、ゲームの遊ばれかたがプレイヤーの皆さんによって多種多様になっている印象があります。ニンテンドーDSで遊んでいてハイエンドマシンのような映像的な満足感があるかというと、そういうわけではないのですが、ニンテンドーDSならではの楽しさというのは確実に存在する。たとえば、出先で1時間待っているとき……といったシチュエーションでは、ニンテンドーDSは魅力的なハードです。遊ぶ状況によって求められるコンテンツも違ってくる。以前は遊ばれかたがもっとシンプルだった気がするのですが、いまはいい意味で生活に入り込んでいる気がします。それに合わせたゲームを作ればいいのかなという気がしています。

――つまり、ゲームの楽しまれかたがかわってきていて、それにあわせてTeam NINJAのゲーム作りも変わってきていると?

早矢仕 はい。その中でも僕らの長所は大事にしたい。その長所を最大限に活かしたものを作れればいいのかなと思っています。

――なるほど。そういう意味では、新シリーズの立ち上げなどは考えていますか?

早矢仕 新規IP(Intellectual Property・知的財産)というのは、Team NINJAでもずっと議論していることです。格闘ゲームの『デッド オア アライブ』シリーズがあって、アクションゲームの『NINJA GAIDEN(ニンジャガイデン)』シリーズがあって、つぎに何を……とチーム内で議論するときに必ず挙がるのがレースゲームだったり、スポーツゲームだったり、シューターだったりしました。じつは、一時期Team NINJAで新規で何かに取り組むのであれば、シューターじゃないのか?という流れになったこともあるんです。ただ、冷静になって考えてみたときに、海外だとビッグネームのリアルなシューターは、それこそたくさんあるけど、日本のリアルなシューターって言ってもあまりイメージが湧きません。そもそも僕ら日本人って、ほとんど銃を撃ったこともないわけです。それどころか、たぶんほとんどの人が実際に銃を見たこともない。一方で、実際にシューターを作られているアメリカの方なんかは、少なくとも僕らよりは銃に接する機会は豊富にある。そういう方たちが実際に銃を撃つゲームを作っていて、翻るに僕らがいくらそれを真似て作ったとしても、果たしてそれで通用するのかな?という思いがありました。

――それはつまり、リアリティーの差ということですね?

早矢仕 はい。それで、何かシューターは違うかな……と思って。そのときにみんなで雑談していたのが、「だったら(日本人は)子どものころ、チャンバラごっこはやっているよね」ということでした。だいたいみんな下校のときは、傘を振り回してチャンバラごっこをした経験があるでしょうし、学校の授業などで剣道の経験がある人もたくさんいます。実際のところ、海外で作られた刀を振り回すアクションゲームを遊んでいると、「何か違うな」という違和感を抱くことも多い。そこでふと思ったのが、僕ら日本人だからこそ作れる“刀のアクション”に真剣に取り組んでみたい……ということでした。ちょうどそのときに、経営統合したコーエーのシブサワ・コウから、「Team NINJAとこういうゲームが作りたいんだけど……」というオファーが来たのが、プレイステーション3用に企画されていた、『仁王』だったというわけです(→記事はこちら)。

――ああ、なるほど! ちょうど両者がたまたま同じことを思っていたというですか?

早矢仕 そうなんです。そのときに「あ、そうだ!」と思いました。海外の方が“日本”というものを連想したときにまず思い浮かぶのが、寿司や富士山、忍者、それに侍じゃないですか。Team NINJAという開発チームがつぎに取り組むとしたら、「侍がふさわしいのでは?」と率直に思ったんです。加えて、もう1回“刀によるアクション”ということに関して、しっかりと提案してみたいと考えていたこととがうまくハマって、僕らがすごくモヤモヤしていたものが、すぽっと綺麗にハマった感じでした。『仁王』に関しては、Team NINJAの新規IPというよりもコラボタイトルですが、気合いは入っています。

――『NINJA GAIDEN(ニンジャガイデン)』シリーズにも刀によるアクションはありますが、またそれとは違った感じになるのですか?

早矢仕 実際にはまだほとんど作っていないので、あまり詳しいことは言えないのですが(笑)、剣の奥深さを表現するタイトルにしたいとぼんやりと思っています。戦国時代を舞台にしたアクションもたくさんありますが、それらは“真剣での勝負”というよりは、“派手に演出されたアクション”といった意味合いのほうが強い。『仁王』では、本気で正面から真剣に向き合った侍アクションゲームを作りたいと思っています。シブサワ・コウが考えていたゲームのテーマと、ゲームシステムをひっくるめて、すごく芯の通った作品になりそうな気がします。ただ、本格開発はこれからです(笑)。

――ちなみに、ほかの開発チームや他社とのコラボは今後積極的に行う?

早矢仕 そうですね。僕らはTeam NINJA内で培った考えかた、信念を持ってゲーム開発に臨んでいると思っていますが、それぞれの開発チームも、いろいろな信念を胸にゲームを作っていると思うんです。かっこいい言いかたをすると“生きかた”。任天堂さんと『METROID Other M』でコラボして実感したのは、“価値観そのものは違うけれど、わかり合えることがある”ということです。何よりもいろんな方の生きかたを知るのは、それだけで勉強になるし、刺激的だし楽しい。しっかりとした“信念”を持っていらっしゃる方とは、今後もいっしょに積極的に仕事をしたいと思っています。

――そこもTeam NINJAが変わった点のひとつ?

早矢仕 皆さん、いろいろな価値観をもって生きている。いままでは、自分たちの信念で生きてきたわけですが、それぞれゲームを開発している皆さんには、やはりひとつピンとした信念を持っていると思うんです。そういうものを、いまさらながら知ったのかもしれないです。他人を知ることで自分を再認識しているというか……。「この人の生きかたってかっこいいな」って思ったときに、「自分は違うけど、でもこういうふうにしたい」と思える。その人の生きかたを認められるというか、思いを交換し合うというのはすごく有意義だと感じます。

――では、いま早矢仕さんがいちばんコラボしたいクリエイターは?

早矢仕 いま、『仁王』でいっしょに仕事をしているシブサワ・コウも、ゲーム開発に人生を賭けて生きている方だと思います。やはりゲームの歴史を切り開いてきたクリエイターのひとりなので、考えかたがすごい。とにかく新しいことに対してどん欲で、「新しいものが入っていなければ、そのゲームは存在価値がない」とか、「新しい遊びにチャレンジしていないゲームはダメだ」ということを口にするんです。それはゲーム業界を切り開いてきた人の言葉だからこそ重みがある。シブサワ・コウには凄みを感じます。

●過去のシリーズに縛られない『NINJA GAIDEN 3』と、シリーズの歴史を紹介する『デッド オア アライブ ディメンションズ』と

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――Team NINJAでは『仁王』のほかに、ニンテンドー3DS用ソフト『デッド オア アライブ ディメンションズ』と『NINJA GAIDEN 3』(対応機種未発表)の開発を明らかにしていますが、それらのタイトルの進捗状況を教えてください。

早矢仕 はい。『NINJA GAIDEN 3』に関しては、この前の開発発表と同時にコンセプトビジュアルをお出ししたのですが、そこにメッセージはしっかりと込めました。「どういう方向性なんだろう?」というのをみなさんのほうで、想像を膨らませていただけたら……と思っています。実際に開発も順調に進んでいて、社内でプロト版まで完成しています。プロト版の試遊会をやったのですが、社内の評判もいいんです。実際に皆さんに情報をお届けするには、もう少しお時間をいただくと思います。

――流れとしては、『1』、『2』ときて、シリーズの延長線上にあるもの? それとも、まったく違う飛躍がある?

早矢仕 『NINJA GAIDEN 3』はナンバリングタイトルですが、もう1回初心に立ち返って、「いまの時代でいちばんおもしろいアクションにしたい」という思いのもとに開発しています。そういう意味では、必要以上に過去に捕らわれないゲームです。ちょっと語弊があるかもしれないですが。もちろん過去は大事にしつつ、いい意味で過去に縛られないゲームになると思っています。

――コンセプトビジュアルに込められたのは、どのようなメッセージなのですか?

早矢仕 あまり直接的には出さないようにしているんです。みんなで議論してもらいたいなという。実際に『NINJA GAIDEN 3』の詳しい情報をお伝えするときに、「じつはこうだったんだよ」というのを明らかにしたいと思っています。

――ふーむ。気になるなあ。ファンのために何かヒントを!(笑)

早矢仕 (笑)。ぱっと見て、右手が何かをしようとしているというのはありますよね。

――マスクを剥ごうとしている感じかなあ。

早矢仕 そして、その手もどこかふつうじゃないです。いっぱい血が付いているのですが、その血に関しても何か自然じゃない。それはどういうことなんだろう……と。

――血が自然じゃない? ますますわからなくなりました(笑)。そのへんの秘密はいつころ明らかに?

早矢仕 開発が順調に進んで、お見せできるタイミングが来たら。少なくとも『仁王』よりは先に遊べると思います。

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――なるほど。そういった意味では、今後いちばん最初に遊べるのは『デッド オア アライブ ディメンションズ』に?

早矢仕 そうですね。Team NINJAには、格闘ゲームに対してひと際深い思い入れを持っているスタッフが多いので、「格闘ゲームをやりたい」という想いはつねにありました。ただ、『デッド オア アライブ 4』が出てから約5年経つのですが、そのあいだ「格闘ゲームの未来って何だろう?」というビジョンが見えなかった。正直言って、どうしていいのかわからなかった。それに対して、あるときふと、「『デッド オア アライブ』の未来はこうあるべきだ!」というのが僕らの中でしっかりと見えたんです。そのときに“『デッド オア アライブ』をもう1度再始動しよう”と考えました。しかし『4』が出てから5年経っていて、小学校1年生だと6年生になっている(笑)。

――(笑)。まあ、『デッド オア アライブ』シリーズを知らない世代もいるかもしれませんね。

早矢仕 『デッド オア アライブ ディメンションズ』は、シリーズの再紹介という位置付けで、シリーズの歴史を全部知ってほしいとのコンセプトのもとに、『1』から『4』までのストーリーを網羅しています。一方で、格闘ゲームから離れてしまったファンの方もたくさんいると思うので、そういった方にも再度このタイトルで格闘ゲームに挑戦してもらいたいと考えたんです。格闘ゲームって、ゲームとしてはシンプルだし、本質的にそんなにニッチなものじゃない。本来は幅広い方に楽しんでもらえるゲームジャンルだと思うんです。だから、『デッド オア アライブ ディメンションズ』に関しては、「もういちど殴り合ってみないか?」というのをコンセプトにしています。ニンテンドー3DSというハードを選択したのも、格闘ゲームから離れた多くの方にも触ってもらえる機会であり、ハードなのでは、ということを判断してのことです。さまざまなサポート機能なども予定しています。

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――さきほど『デッド オア アライブ』の未来が見えたとおっしゃっていましたが、それはどんなものに? 触りだけでもぜひ。

早矢仕 うーん。どこまで言っちゃうのかな(笑)。“格闘”って本来はエンターテインメント性が高いものだと思うんです。一方で、ストイックな一面もあるわけですが、エンターテインメントとストイックさが両立してこそ格闘ゲームであり、『デッド オア アライブ』だと思うんです。

――いまは、ちょっとストイックさが勝ち過ぎて、若干ニッチなジャンルになっていると?

早矢仕 はい。僕はそう思います。僕も『ストリートファイターII』は大好きでした。『ストII』をやっているときは、当時あんな大きいキャラクターが戦うゲームはなかったし、いちばん派手なゲームだった。そしてストイックじゃなかった。やっぱり“格闘ゲーム”はすごいエンターテインメントだったんですよ。それがいつの間にかストイックなジャンルになってしまったな……というのがあって。そこを何とかしたいと思っています。いま言えるのはここまで(笑)。

――なるほど、わかりました。では、せっかくの機会なので伺うのですが、現状Xbox 360用ソフトとして『デッド オア アライブ コード:クロノス(仮題)』と『Project Progressive』がラインアップされていますが、こちらはどのような感じになりますか?

早矢仕 この機会にお伝えしようかと思うのですが、『Project Progressive』というのは、いまもTeam NINJAに在籍するスタッフが、実際にプロト版まで作りました。だけど、そこで一旦開発を止めようと判断し、5年前に実際の開発はストップしました。いまも開発の予定はありません。もうひとつの『デッド オア アライブ コード:クロノス(仮題)』は実際に発表当初から、いろいろな構想としてみなさんにお伝えしていましたけど、実際に開発がTeam NINJAの中で動いたことはまったくなかったというのが事実です。あくまで構想レベルの段階でした。長いあいだ楽しみにしてくださっていた方には心苦しいのですが、この機会に正式に“発売中止”という形を取らせていただければと思います。申し訳ありません。

●「俺たちがTeam NINJAだ!」という自信を胸に

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――わかりました。今後のTeam NINJAの展開を語るうえで、やはり海外市場を視野に入れることは欠かせないポイントになると思うのですが、海外メーカーと伍していくTeam NINJAの“武器”をお教えください。

早矢仕 今日いろいろとお話ししたのですが、僕はシンプルに、僕らが日本人であることがじつはいちばんの強みじゃないかと思っています。日本人が作るエンターテインメントというものを見せていただきたいと思っていて、それこそがすごい武器なのかな、というのを強く感じているところです。Team NINJAという名前自体が奇しくもそのことを暗示していて、海外の人から見たら“ニンジャ”というのは日本の象徴のひとつじゃないですか。すごく運命的なものを感じていて、僕らの強みはじつはチーム名に現れていたんだということを再認識させられました。

――むしろ、Team NINJAという名前を冠してしまった以上、逆に日本を引っ張っていくくらいの勢いでやっていかないといけないくらいのところはあるかもしれませんね。

早矢仕 そうですね。もちろん、いま日本のゲームメーカーはどこもがんばらないといけないと思いますが、「ハリウッドだからよくて、日本はダメ」といった、そういう単純な見かたは違うと思うんです。Team NINJAにも海外のスタッフはいますし、いっしょにモノを作るべきところは作るのですが、単純にTeam NINJAが日本にあるということが、すごい武器なんだろうなというふうに、いまは感じています。

――それは、海外向けにということはあまり意識せずに、まずはTeam NINJAとしておもしろいものを作っていくということですか?

早矢仕 僕はそう思っています。じつは『仁王』に関しても、会社の中では「侍ゲームが海外で戦えるのか?」という議論もあるんです。でも僕らはそんなに心配していません。僕らにしか作れない侍ゲームを海外に紹介すればいいと思っています。「Team NINJAって何?」と問われれば“日本の開発チーム”としか答えようがないですし。

――お話をうかがっていると“新生”Team NINJAがいよいよ始動するという感じですね。

早矢仕 最初にお話ししたとおり、僕は新卒からTeam NINJAでずっとやってきました。だからこそ、先輩たちが辞めたときに、「新生Team NINJAという言いかたはやめてほしい」という話を社内でしていたんです。僕自身はずっとTeam NINJAにいたわけだし、何人かはいなくなったかもしれないけれど、僕たちがこれまでTeam NINJAでやってきたものとこれからは何が違うのかと言われると、実際のところ何も変わっていない。Team NINJAを去った先輩もいたけど、僕が入社するよりも以前、それこそチーム立ち上げ時からTeam NINJAに関わっていて、いまも最前線でいっしょにゲーム開発に取り組んでいる先輩もいっぱいいるわけです。“新生”というのは、その人たちの歴史も否定するような気がして、僕はすごく嫌いだったんです。だから僕は、ロゴも含め何も変えないつもりでいました。

――なるほど。基本的には多くのスタッフは変わってないわけですものね。

早矢仕 ただ、いくつかタイトルを作ってきて実感したのですが、先輩がやめたあとに作ったゲームから出てくる匂いというのは、若干いままでのTeam NINJAの匂いとは違ってくるんです。それは人の個性のようなもので、まさに“そうなった”としか言いようのないものです。で、新しい匂いのするTeam NINJAのタイトルに、ファンの皆さんがついてきてくれるかどうか、僕たちの中で正面切って問える自信がついた感じがしたんです。過去の作品を意識して、ある意味自己模倣をしなくても、「僕らがいま作るゲームの匂いでどうですか?」と問える気がして。

――ああ! つまり、いまのスタッフの皆さんが、「俺たちがTeam NINJAだ!」と正面切って言える自信がついたということですね?

早矢仕 そうですね。過去に捕らわれないというか、僕自身が“新生Team NINJA“と呼ばれても、受け入れられる心境になりました。Team NINJAの匂いが変わったことに対して、去っていった先輩のゲームのほうがいいという方がいるなら、それはそれでいいと思います。僕もいちファンとして先輩たちの作品を楽しみにしていますが、僕らは僕らでTeam NINJAとしてがんばります。それがここ2年くらいの心境ですね。

――わかりました。では最後に今後に向けての抱負をお願いします。

早矢仕 皆さんにお届けするまでにまだ時間は少しかかるかもしれないのですが、今回いくつかのタイトルを明らかにさせていただいたのは、「いま真剣に作っています」というのをプレイヤーの皆さんにリアルタイムでお伝えしたかったからです。今後はTeam NINJAのタイトルを、ひとつひとつの点ではなく線として、ある程度定期的にお届けできるようにしたいと思っています。“Team NINJAのタイトル”ということでファンの方に買っていただけるようになりたいなあと。『仁王』もまさに始動したばかりなのですが、“未来へのお約束”としてお伝えしたうえで、僕ら開発チームのいまをダイレクトに感じていただければと思っています。ただ、最終的に僕らの仕事はゲーム開発なわけですから、インタビューでいくらかっこいいことをいっても、ゲームがおもしろくなければ意味がない。最終的な答えはゲームで出したいなと思っています。これからのTeam NINJAにご期待ください。

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▲“新生”Team NINJAの主要メンバー。左からプログラムチーフの作田泰紀氏、リーダーの早矢仕洋介氏、チーフプランナーの新堀洋平氏、アートディレクターの齋藤豊氏。

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