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奇妙な作家と散歩しよう 【チャールズ・ディケンズ その2】 少し怖い、ハロウィーン特別編
公開日時:2015-10-31 08:00:00
“脱線”†
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あらかじめお断りしておきます。今回のお話は、ハロウィーンにちなんだ、ちょっと不思議なお話、ということで……ゲームの内容の紹介からは、やや“脱線”した、徒然ないお話になってしまいます。
そう、“脱線”。大作家ディケンズと、“脱線”にまつわるお話。
本作の舞台となる1868年、ヴィクトリア朝のロンドンでは、19世紀のロンドンを最も知る男とされた大作家、チャールズ・ディケンズと交流することができます。ディケンズは1870年に亡くなっているので、プレイヤーはゲーム中で、最晩年の彼と出会うことになるわけです。
そんなディケンズですが、ちょうどゲームの舞台となっている1868年から3年前。1865年6月9日に列車の脱線事故に巻き込まれ、九死に一生を得るという体験をしていました。
“ステープルハースト鉄道事故”と呼ばれるこの災難にあったディケンズは、それから列車を極度に恐れるようになったと言います。不眠症であったことでも知られる彼は、夜中も30キロ(!?)ほど街を散歩したといわれていますが、列車には乗ろうとしなかったそう。事故の後は、列車に乗ると脂汗をたらすほどの恐怖に駆られたという話も残っています。
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不思議な話をする、といいつつ、ここでまた“脱線”させていただいて、わたしが本作のためにロンドンに取材に行った際に、開発に協力した“ヴィクトリア朝時代の専門家”のジュディス・フランダーズさんにお話を伺う機会を得ました。
彼女はまさしく専門家と呼ぶにふさわしい、ヴィクトリア朝を愛してやまない素敵な方だったのですが、ディケンズの話になり、この鉄道事故のお話をされていたのが印象深かったものです。
ここで少し、彼女のお話を抜粋してご紹介します。
ヴィクトリア朝専門家 ジュディス・フランダーズは語る ~ディケンズの列車事故~†
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「1865年、6月9日、フランスに隠された恋人と旅行していたディケンズは、列車で戻って来るときに事故に遭いました。
ディケンズは、強運ゆえなのか……なんとか客車から脱出することができましたが、そうでない人たちもたくさんいました。
命からがら脱出した彼は、脱線現場に何時間もとどまって、怪我人や死者の面倒をみたそうです。
しかし、この経験はトラウマとなってしまった。彼が原稿を約束通りに届けられなかったのは、この時を含めて2回だけだったそうです。
わたしは、『アサシン クリード シンジケート』の開発に、ヴィクトリア朝のエキスパートとしてアドバイスや監修で関わりましたが、完成していくゲームの中で、主人公ジェイコブが脱線する列車から脱出するシーンを見たときは、思わずこの、ディケンズが遭遇した“ステープルパースト列車事故”のことが脳裏をよぎりました。
列車から派手に脱出したジェイコブと出会ったディケンズもまた、3年前に列車事故にあっていた。なんだか不思議な出会いだ、と感じたのではないか? そう思ったのです」
『信号手』†
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ディケンズとジェイコブは、偶然にも列車事故にあったふたりだった。ゲームを普通にプレイしているだけでは、なかなかこの奇妙な符合には気づかないかもしれません。
(さすがはヴィクトリア朝時代の専門家、ジュディスさん……!)
さて、奇妙な符合。ディケンズには、この列車事故にまつわる不思議な逸話があるのです。列車事故にあった彼は、このときの体験をもとに、翌年、一片の奇怪な短編小説を書きあげています。題名は『信号手』……。
この物語は、幻想文学や怪奇小説ファンに説明するのも野暮、というくらいにその筋では有名な、ホラー・ストーリー。
短編ですし、ぜひ読んでいただきたいので内容の紹介は控えますが、この物語は“列車事故と、死の予兆”を描いた物語だということです。
非常に奇妙な話ですが、ディケンズはこの物語を書き上げたのち、ステープルハースト列車事故からちょうど5年後、1870年の同日、6月9日に……亡くなりました。
恐るべき死の予兆を描いた、『信号手』をお読みいただけていないと、この不思議さ。いや、不気味さはわかっていただけないかもしれません。しかしながら、事故の同日に亡くなっているという、“ロンドン市民に愛されて亡くなったディケンズ”というイメージからは、少し印象の異なる、なんとも不思議な符合です。
ディケンズとの幽霊散歩†
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1868年のロンドンで、あなたはジェイコブとなって、死の2年前を生きるディケンズとのミッションを楽しめます。
煙突掃除夫の少年の物語、『オリバー・ツイスト』や、クリスマスのケチな老人の一夜の体験記『クリスマス・キャロル』などが有名な彼。ですが、実は神秘や怪奇なるものへの好奇心も並々ならぬものだったことは、広く知られてはいません。
本作のディケンズとのミッションは、なんと! 彼のそんな奇妙な世界を愛した作家としての一面をフューチャーしたものばかり。それはロンドンの闇、都市伝説をともに取材するという、ちょっぴりゾクゾクするものなのです。
と……思ったよりも、ゲームと少しは関係あるお話になったかもしれませんね。どちらにせよ、少し余談をお届けすることになってしまいました。
ですが今夜は、オバケがこの世にあふれ出る、ハロウィーンですので、どうか“脱線”にも、ご容赦いただきたいものです。
明日は、“脱線”しない、本作の魅力的な機関車のお話をお届けいたしますので、どうかお楽しみに!
それでは、今夜だけは……Happy Halloween!
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