奇妙な作家と散歩しよう 【チャールズ・ディケンズ その1】

歴史ロマンに溢れる『アサシン クリード』シリーズでは、舞台となる時代に存在した“偉人”たちとの交流も大きな魅力のひとつ。そんな、19世紀のロンドンで出会うこととなる、偉人たちについてのコラムをお届けいたします。今回は、ロンドン市民から絶大な支持を集めた大作家“チャールズ・ディケンズ”についてです。

公開日時:2015-10-24 08:00:00

ヴィクトリア朝を語る上で欠かせぬ作家“チャールズ・ディケンズ(1812-1870)”

 歴史の裏側を駆け抜けた暗殺者“アサシン”の末裔となり、さまざまな時代を体験する『アサシン クリード』シリーズ。プレイヤーは、各時代を克明に描写したオープンワールドで、要人の暗殺といったクールなアクションを楽しめます。
 歴史のゲームと言えば、シミュレーションなどのジャンルが思い浮かびがちですが、本作は、歴史をアクションで体感できるのが大きな魅力。なかでも、この時代に存在した“偉人”たちとの出会いは、本シリーズならではの歴史ロマンに満ちています(街を歩く彼らと話していると、タイムスリップしたかのような感覚に陥るほど!)。

 最新作となる『アサシン クリード シンジケート』は、19世紀のイギリス・ロンドンが舞台。産業革命で劇的な変化を遂げていくヴィクトリア朝時代にも、多くの偉人達が登場します。


 今回ご紹介する、本作で出会う偉人は、ヴィクトリア朝時代を生き生きとした筆致で表現した、文豪“チャールズ・ディケンズ(1812-1870)”。

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 彼は街と市民生活を深く観察して作品を執筆し続け、当時の庶民から絶大な人気を博したベストセラー作家でした。そこまで支持されるほどに読者の共感を得られた理由は、作品の描写に、自身も幼少期に靴墨工場へ働きに出ていた際に体験した“リアリティ”が生きていたからなのかもしれません。
 代表作である、煙突掃除夫を描いた『オリバー・ツイスト』や、ケチな老人の聖夜の体験記『クリスマス・キャロル』などでも、つねに庶民への目線が息づいています。
 ちなみに、本作の主人公は貧民救済を志すアサシン“ジェイコブ・フライ”。舞台となる1868年では、最晩年のディケンズと出会うことになります。同じく弱者を愛した彼と、どのような関係を築いていくことになるのでしょうか。

 ちなみに、ディケンズとの出会いの場面は、下のような感じ……。

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 作品執筆のためのメモを読みながら歩いてきたディケンズと、曲がり角でぶつかる。少女マンガ的なシチュエーションとしては、これは、ある意味運命の出会い!?


 冗談はさておき、このロンドンの大作家ディケンズは、取材のためなら街を日に何キロも歩き回るなどあたりまえだったとか。そうした足を使った取材が、作品にリアリティーを与えていたからこそ、当時の市民に共感を得ることができたのです。

 (きっとシリーズのファンならば、本作をプレイする際にも、ディケンズ並みにロンドンを隅々まで歩き回ることでしょう)

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晩年期のディケンズとの、奇妙な取材ミッション

 1868年が舞台となる本作では、1870年に亡くなった、最晩年のディケンズとのミッションも用意されています。

 国民的作家のイメージのディケンズですが、実は怪奇や幽霊など、奇妙な世界を愛してやまなかったことでも知られています。実際、ケンブリッジにある心霊現象などの研究を目的として設立された“ゴーストクラブ”の会員になっていたほどでした。

 本作には、そんな彼の遺作となった、『エドウィン・ドルードの謎』という、奇妙な執筆のための取材に立ち会うミッションもあるのです。しかもこの取材、幽霊が出るという噂の屋敷を調査するというもの……ロンドンの不動産では、幽霊が出る物件がウリになっているというのは有名な話ですが、果たして本当に幽霊はいるのでしょうか?

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※『エドウィン・ドルードの謎』とは
1870年に発表された、ディケンズ最後の作品。夕食後に突如失踪したエドウィン・ドルードを追う推理小説だが、麻薬や催眠術など怪奇な物語が展開していく。未完。




 駆け足で見てきましたが、このチャールズ・ディケンズという人物は、ヴィクトリア朝時代のロンドンで最も愛された作家と言っても過言ではありません。ヴィクトリア朝を体現する、かの“ヴィクトリア女王”さえも、彼の作品のファンであることを公言していたほど。
また開発者のインタビューや、この時代の研究者の方たちを取材した際も、ディケンズのファンが多かったようです。

 この時代を語る上で欠かせぬディケンズの存在。彼には、いくつもの変わった逸話が残されています。そちらも、今後ご紹介する予定ですので、お楽しみに!

それではまた次回、" Join The Family ! "

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『アサシン クリード シンジケート』特設サイト “Inside Syndicate 1868”

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