『NTE』こんなにもエモいオープンワールドRPGがあっただろうか。ひとり暮らしのワンルーム、スクーターで流す街、そして物語は1話完結アニメ風ドタバタ異常解決コメディー
 『Neverness to Everness』というゲームがある。現代的な世界を舞台にオープンワールドRPGで、何かもう、とにかく“グッとくる”のだ。

 まずは何も言わず画面写真を見てほしい。このエモさ。"上京したてのあの日"を思い出させるような雰囲気。たまらない情景ではなかろうか。
広告
[IMAGE][IMAGE][IMAGE]
この記事は『Neverness to Everness』の提供でお送りします。

 “超現実アーバンオープンワールドRPG”を銘打っており、Unreal Engine 5で表現された街からは生活の息吹が感じられる。東京ゲームショウ2024(TGS2024)で試遊出展されたころから大幅にブラッシュアップされ、生きた都市の描写にますます磨きが掛かっているという。

 2025年7月3日~7月17日にはクローズドβテストが実施中。プレイステーション5(PS5)やPC、iOS/Androidでの生活を楽しむ人も多いはず。筆者もそのひとりだ。

 エモさを味わっていただいたうえで、改めてこういう人におすすめしたい。箱庭系のオープンワールドが好きならドンピシャ。キャラクターをたくさん使えるアクションがやりたいなら、なおのこと刺さるだだろう。

 ほかにも、日常系の癒しを求めている人にもおすすめだ。1話完結型の日常アニメっぽいストーリーが好きなら、きっと本作の魅力に取りつかれるに違いない。

 ああ、そうだ。仮想の世界ならではの「ちょっと悪いこともしてみたい」なんて、悪しきなにかを秘めた人にもグッとくるシステムも仕込まれている。

 ……結局誰におすすめって、老若男女、ゲーム好き、アニメ・マンガ好き、どんな人もばっちこい。舞台となるヘテロシティの門戸は兎にも角にも広い。最新技術で顕現した超現実都市が、あなたの欲求を満たしてくれる。そう思ってしまった。
[IMAGE]

ヘテロシティで始める新社会人生活

 下町である橋間地(はしまち)から始まり、学園のある絵空町(えそらまち)、大企業の高層ビルがひしめくニューホランドなど、ヘテロシティは地域によってさまざまな顔をのぞかせる。

 日常感を大切にしている本作において、現代ライフシミュレーターのような “大都市での生活感”は重要な要素だ。

 たとえば、プレイヤーたる鑑定士は、エイボンでの活動に際してワンルームの寮とスクーターを手にする。1日は最低限の家具が置かれた部屋から始まり、上京したての新社会人生活といった趣きである。
[IMAGE][IMAGE]

 これからどんな生活が待っているのだろう。胸に希望が湧きあがるようなワクワクドキドキ感は、リアルな都市を舞台にしているからこその魅力だ。

 最初に訪れる橋間地からすでに雰囲気がたまらない。商業地区らしい活気あふれる表通りや桜並木から路地裏へと向かうと、どこかひんやりした空気を感じ、そのギャップを味わうために隅々まで探索したくなってしまうほど。施設内にシームレスに入れるというのもいい。自分の目の前にヘテロシティの広がりを感じるからだ。
[IMAGE][IMAGE][IMAGE]
各地に点在する“ヴェルテハイモー塔”に触れることで、マップを開放できる。
 グラフィックのひとつひとつから開発者のこだわりを見て取れる。濡れたアスファルトの表現などが非常にリアル。こういった没入感アップの仕掛けが街の端々に行き渡っている。
濡れたアスファルトの表現などが非常にリアルだ。雨や雪といった天気の変化も搭載しているため、街の様子を眺めるだけでも想像以上楽しめる。
[IMAGE]

 加えて、都市の散策を盛り上げてくれるのが、乗り物の存在だ。初めて手に入れたスクーターに乗って街を流したときの得も言われぬ喜び……。この感情の正体はつかみかねているのだが、“懐かしさ”が近いかもしれない。これは未知との邂逅に忙しいファンタジー世界とは一味ちがう、新鮮な体験だった。

 時間経過により朝から夜へと移り変わると、似たような道でも違った印象を覚える。時間を忘れてドライブに没頭してしまった。現実ではあまり好きにはなれない雨にも風情があり、「きれいだな」と思ってしまった。
[IMAGE][IMAGE][IMAGE]

 乗り物はお店で購入するのが基本だが、街中のNPCから“借用”することも可能。公権力を行使してお願いしてもいいし、ちんたらやるのが面倒なら無理やり奪ったっていい。ただし、危険走行や市民への攻撃などを繰り返すと、指名手配システムによってお尋ね者になってしまうので注意。

 加えて、お店の商品を万引きするなど、犯罪行為に手を染めることも可能。アウトローなプレイングが楽しめるが、出動した警察を正面から打ち破るのは難しいようなので、悪いことはしない方がいいだろう(当たり前のことを書きました。犯罪ダメ! 絶対!)。

 ちなみに筆者はゲームであっても悪いことができず、基本的に善人プレイを好むクチだが、こういった要素は没入感を高める要素として大歓迎。“やってはいけないことをやらない”という善き市民でありたい心が、この都市で“生きている”実感を抱かせてくれる。

 没入感という観点で言うと、移動手段として用意された公共交通機関の存在もすばらしい 。電車やバスには実際に乗ることができ、車窓からの景色をのんびり楽しめる。

 車窓からの情景から溢れる日常感はどうだろうか。知らない街なのに見覚えがあるような。電車やバス移動は現実ではありきたりなワンシーンだが、ゲームを介するだけで心を揺さぶられる。街中を移動するだけでグッとくるゲームはなかなかない。
[IMAGE][IMAGE][IMAGE][IMAGE]

 ふと、この感覚はヘテロシティで生活するNPCたちによっても演出されていることに気づいた。横断歩道を急いで渡る。雨が降ると走り出す。現実でたびたび目にする光景が、NPCたちの自然な行動によって作り出されているのだ。
[IMAGE]
興味深い会話を繰り広げるNPCも。
[IMAGE]
駅で読書をする文学少女など、思わず注目してしまうNPCが点在している。
 もちろん、すべてが自然なわけではなく、ぎこちない部分もある。都市部の密集地帯では、ぞろぞろと歩くペースなどが均一で意思を薄く感じるシーンもあった。とはいえ、いまはまだクローズドβテストの段階。現実を現実を絵に描いたようなモーションはおもしろく、「正式リリースのころには、より街に息づいた市民たちを見られるのでは?」と期待が膨らむ。

異常な日常。だけど異文化感はなし?

 常識を超える“異象(アノマリー)”が人間と共存する大都市ヘテロシティ。異常と隣り合わせの日常が、プレイヤーを待ち受けている。

 プレイヤーの分身となる主人公は、とある契約により異象に関する依頼を引き受ける“異象ハンター”(無免許)となり、街のさまざまな困りごとを解決していく。異象に対する感知能力に優れた主人公は、その異能から“鑑定士”と呼ばれることに。
[IMAGE]
記憶喪失になっており、自身と何らかの関わりがあると思われる 未知の異象“コードゼロ”を追う。
 そんな鑑定士が所属するのが骨董品屋“エイボン”だ。“異象管理局収容二課”に所属する感情豊かな女の子・ミントに案内されてやってきた場所は、表向きは古物商の店舗。しかし、じつはエイボンは異象トラブルの駆け込み寺的存在なのだ。

 異象にも大規模なものと小規模なものがさまざまあるようで、公的機関は人手が足りていないため重要な案件を優先して対処を進めている。そのため、個人トラブルくらいのものは、エイボンのような民間組織で調査を請け負っているようだ。
[IMAGE]
鑑定士を案内してくれるミント(声:鬼頭明里)。座学は苦手そう。
[IMAGE]
骨董品を扱う、古き良き館が活動拠点。
 そこで、普段はだらけた店長・潯(ほとり)を筆頭に、ひと癖あるメンバーに振り回されながら、来るべき異常に備えて日々業務をこなす、というのが序盤の流れ。頭がテレビになっている異骸のカワウソ・タギドや超有能な糸目メガネ執事・アドレーなど、個性的なキャラクターたちが迎えてくれて、いつしか安心感すら覚えるようになってしまった。
[IMAGE]
悪くない異骸も存在。タギドはその一例で、「taygedo!taygetayge!(タギド!タギタギ!)」と発生する言葉は、鑑定士だけがはっきりと意味を理解できるようだ。
[IMAGE]
エイボンのだいたいのことをやってくれている執事・アドレー(声:森川智之)。
[IMAGE]
エイボン骨董品屋の店長。気だるげな態度から強キャラ感が漂っている。たぶんあまり胸の内を話さないタイプ。
 これから長く生活するヘテロシティは現代的な街並みだが、異象が絡むと不気味さを帯び、異様な光景が広がる。“異象派”な絵画や撮られると異空間に取り込まれるファインダーフレームから、グラデーションを描くように怪異は踊るのだ。
[IMAGE][IMAGE][IMAGE]

 ただ、異、異、異……と同じ漢字が並ぶ本稿で特筆しておきたいのは、
日本人的な感覚としてあまり“異文化感”を感じなかったところだ。これは異なことではない、と思う。

 なぜ異でないかと問われると、海を越えた開発会社Hotta Studioが手掛ける本作からは、随所にある日本的な表現(正しい捉え方かはともかく)に心からのリスペクトを感じるのだ。

 前述した世界観・キャラクターは、説明に固有名詞が含まれていてわかりにくいはずなのに、プレイしていると何だか馴染みのあるものとして消化・吸収されていく。普段からアニメやマンガ、またはライトノベル等々に触れている人であれば、「あーなるほどね」と理解が早いかもしれない。設定や展開がわかりやすく、言うなれば良い意味での“ベタ”だ。それもベッタベタ(褒め言葉)。

 物語は、1話完結型アニメのように短めのスパンで異象の発生から解決までが描かれている。リッチなカットシーンの挿入頻度も高めで、それこそアニメを観ているようなのだ。
[IMAGE]
“第0話”から始まるタイプのアニメ。ヘテロシティを訪れるよりも前、大規模な異象が発生するところから物語が始まる。
[IMAGE]
序盤に駆け込んでくる依頼人のひとり、写真館の主・コダック。“近所のよしみ”で突然の依頼を受けることに。申し訳なさそうに頼み込んでくる。民度が高い。
 さらに、日本語フルボイスで、声優陣も序盤から中村悠一さん、鬼頭明里さん、竹達彩奈さん……と豪華な布陣。
[IMAGE]
飄々とした実力者・白蔵(ばいざん)/声:中村悠一
[IMAGE]
表情がころころ変わるおてんばキャラ・ミント(みんと)/声:鬼頭明里
[IMAGE]
自称お姉ちゃん・ナナリ(ななり)/声:竹達彩奈
 公式サイトでそのスタイルを“都市ライトコメディ”と呼称しているように、本作を包む空気感は基本的にポップで明るい。表情がころころ変わるミントをはじめ、コミカルな描写が多く、アニメで言えば日常回のような、リラックスした時間が続く。
[IMAGE][IMAGE][IMAGE][IMAGE]
SDキャラになったり、ガーンと効果音が鳴ったり。ミントは百面相のごとし。
 とくに“日常感”の演出には意図的な何かを感じる。たとえば、エイボン一行が現場に向かうシーン。目的地までどう向かうかプレイヤーに任せられており、好き好きに会話するメンバーを眺めてもよし、さっさと直行しても良し。ただ目的を果たすのではなく、それまでの過程を体験することで、主人公たちの日常を垣間見ることができるのだ。
[IMAGE][IMAGE][IMAGE][IMAGE]
早くも鑑定士のことを気に入ったタギド(かわいい)や、なにやら相談をしている面々など、目的地の写真館にたどり着くまで、にぎやかに大移動している様子。何気ない描写に力が入っている。
 対して、異象の描かれ方は怪異的。非日常パートといった感覚だ。仲間と協力しながら原因の特定と解決を図り、こちらはクールでメリハリが効いている。ホラー的な恐怖演出もあるが、コメディリリーフもいるので暗さはそれほど感じない。

 キャラクターに愛着が湧く内容になっているのも何よりのポイントだ。異骸の言葉がわかる鑑定士(けっこう喋る)とエイボンのメンバーを軸にした物語は、ある種王道の人情話と言える。
[IMAGE]
カットシーンが非常にクール。どのシーンで止めてもかっこいい。
[IMAGE][IMAGE]
ドヤ顔で推理を披露するのは、早霧(さきり)。異象の武器・鬼郎丸(大きなハンマー)を携えている。
[IMAGE]
絵画(額縁)の異骸がどうして暴走しているのか? それは鑑定士だけが解き明かせる。
 セリフの間や演出のテンポが完全に日本のアニメ的かと言えばそうではなく、間延びした印象を与える部分もあるけれど、それは特有の味付けとも言える。たとえるならカリフォルニアロール的味わいだ 。

 ひとことで表すならば、クセのある仲間たちと挑む、クールでポップなドタバタ異象(アノマリー)解決コメディ。“備え”の段階では大きな起伏はないが、その日常が尊い。一方で、鑑定士の出自を含め、謎も散りばめられている。「どっかでシリアスな長編を挟むんでしょ、これ!」という感じで、いまからストーリーの展開が気になって仕方がない。
[IMAGE]
エイボンのメンバーで写真撮影。ノスタルジックなフィルムを使用した味わい深い仕上がりに。
[IMAGE]
パロディもある。

街を騒がせる異骸との戦い

 敵対的な異骸と遭遇すると、アクション性に富んだバトルが発生。スタイリッシュさを意識した、軽快な戦闘が楽しめる。

 アクションは通常攻撃と回避、ジャンプ、固有スキルのシンプルな構成。そこに、極限回避(ジャスト回避)からのカウンター、特定の攻撃に対するパリィといった爽快感のあるリアクション要素も備わっている。
[IMAGE][IMAGE]
極限回避
[IMAGE]
パリィ
[IMAGE]
必殺技の演出もド派手
 プレイヤーは4人のキャラクターでパーティーを編成。キャラクターのタイプによってシナジーも発生する仕組みとなっている。戦闘中にリアルタイムで操作キャラクターを切り替えることが可能で、特定の状態で切り替えると、強力な連携攻撃を発動可能だ。

 ストーリー中の演出と同様、バトルの演出面も高水準で、スキルや攻撃段数に応じて異なる残身モーションを取る点にこだわりを感じた。
[IMAGE][IMAGE]
攻撃終了後、ネクタイを直す動き。かっこいい。
[IMAGE][IMAGE]
ボス戦で発動できるチーム全員による総攻撃では、特殊カットインが発生。

ガチャのすり抜けなし!

 バトルや都市探索で使用するキャラクターは、ガチャから入手できる。本作におけるガチャシステムの特徴は、いわゆる“すり抜け”がないこと。

 昨今の流行りシステムといえば、ガチャを回す規定回数のうち、1度目は期間限定キャラクターと恒常キャラクターを50%ずつで抽選。そこで、お目当てのキャラクターが排出されなかった場合、次の規定回数で獲得を保証するというものが多い。

 こうしたシステムは極端な下振れこそないものの、規定回数にたどり着くまでは最高レアリティの排出率が低く設定されていることが多く、上振れも難しい。そもそもガチャ自体の単価も安い物ではないため、50%の抽選ですり抜けることは、かなりのストレスを感じてしまうのもやむなしの要素だった。

 そんななか本作の期間限定ガチャは、最高レアリティ(Sクラス)が排出したら、絶対にピックアップキャラクターとなる仕組み。ユーザーの心労をできるだけ減らそうという思惑を感じる。なお、いわゆる“武器ガチャ”もなく、心穏やかにガチャに挑める。
[IMAGE]

 また、突破システム“覚醒”も一風変わった仕様だった。各キャラクター6個ずつある突破効果のうち、任意のものをアンロックでき、効果はオンオフの切り替えも可能。キャラクターによって、優先したい突破効果を発動させやすいのは嬉しいところだ。
[IMAGE]

ここに注目! “目で語る”が如く、目がキレイ

 非常に要素が盛りだくさんの『NTE』。上記で紹介しきれなかった車のカスタマイズ機能や不動産の購入、お店の経営など、まだまだヘテロシティでの“遊び”は尽きない。

 総じて演出も良く、筆者がとくにお気に入りなのは“目”の表現。たびたび入る目のカットインがかっこよく、吸い込まれるような瞳の表現に惹き込まれる。
[IMAGE][IMAGE][IMAGE]
瞳の描写が非常に良い。これだけで画になる。
 というかそもそも、主人公のデザインがどちらも良すぎる。今回のCBTで初めて動かすことができた男性主人公はイケメンだし、髪短めの女性主人公も華奢で愛らしいし。 正式リリースの際にはどちらでヘテロシティを満喫するか、かなり悩むことになりそうだ。
[IMAGE]
主人公選択画面。どちらも使いたい。
 これまでにあまりなかった都市型の箱庭オープンワールド。今回行われたCBTのタイミングで、すでにハイクオリティに仕上がっていた。細かいブラッシュアップは今後も続くと思われ、その完成度には期待が高まる。

 ただし、ハイエンドな表現を目指しているぶん、PCへの要求スペックは高め。リリース時期は未定ながら、これからどれだけ最適化されていくか、またコンソール版やスマホ版の動作はどうか等々、環境に関する部分は詳細が気になるところだ。
[IMAGE]

クローズドβテスト時点の要求スペック(今後、変更の可能性あり)

必要スペック
  • OS:Windows10 64bit版以降
  • CPU:10th Gen Intel Core i7-10700
  • メモリ:16GB以上
  • GPU:NVIDIA GeForce GTX 1660またはそれよりハイスペックなもの
  • ストレージ:空き容量40GB以上(SSDを推奨)

推奨スペック
  • OS:Windows10 64bit版以降
  • CPU:12th Gen Intel Core i7-12700
  • メモリ:32GB以上
  • GPU:NVIDIA GeForce GTX 3060またはそれよりハイスペックなもの
  • ストレージ:空き容量40GB以上(SSDを推奨)

ベストスペック
  • OS:Windows10 64bit版以降
  • CPU:13th Gen Intel Core i7-13700
  • メモリ:32GB以上
  • GPU:NVIDIA GeForce RTX 4070またはそれよりハイスペックなもの
  • ストレージ:空き容量40GB以上(SSDを推奨)
※本稿の内容はCBT時点のもの