『学マス』飯田ヒカルさん(藤田ことね役)×陽高真白さん(十王星南役)インタビュー。お互いのライブを見て涙したことも!? まるでことねと星南のようにリスペクトしあう関係性に迫る
 2025年5月16日に1周年を迎えた『学園アイドルマスター』(以下、『学マス』)。この1年で大きく関係性が変わったコンビとして、ことねと星南のふたりを思い浮かべないプロデューサーはいないだろう。追うもの、追われるものだった関係は、いつしか対等なライバルへと。そんなエモーショナルな姿に心を打たれた人も多いはず。

 今回はそんな藤田ことね役の飯田ヒカルさん、十王星南役の陽高真白さんによる対談をお届け。お互いの印象やライブを見た際の感想など、さまざまなお話を語っていただいた。
広告
※本インタビューは4月上旬に実施しました。 ※本インタビューは5月8日発売の週刊ファミ通(2025年5月22日号 No. 1897)に掲載した内容に加筆、修正を行ったものです。
『学園アイドルマスター』関連商品を購入(Amazon)
『学園アイドルマスター』関連商品を購入(楽天)

飯田 ヒカルさん(イイダ ヒカル)

ラクーンドッグ準所属。8月28日生まれ、福岡県出身。趣味は歌うこと、写真をとること、料理など。アニメ『君は冥土様。』(横谷李恋役)、『星屑テレパス』(遠藤ともこ役)、『老後に備えて異世界で8万枚の金貨を貯めます』(アンケ役)などに出演。

陽高 真白さん(ヒタカ マシロ)

ソニー・ミュージックアーティスツに所属。2月5日生まれ。趣味はダンス、お風呂に入ることなど。アニメ『一瞬で治療していたのに役立たずと追放された天才治癒師、闇ヒーラーとして楽しく生きる』(リンガ役)、ゲーム『モンスターストライク』(モールス役)、舞台『アサルトリリィ・イルマ女子美術高校編』(廣津夕星役)などに出演。

[IMAGE][IMAGE]
飯田ヒカルさん、藤田ことね
[IMAGE][IMAGE]
陽高真白さん、十王星南

陽高さんにとってことねは“特別な人”? お互いのアイドルに持つ印象を聞く

──『学マス』のサービスが開始して間もなく1周年を迎えますが、この1年間を振り返ってみていかがでしたか?

陽高 
『学マス』に関わらない日はなかったです。

飯田 
たしかにそうだね。

陽高 
ログインもしますし、たくさん収録もありますし、コラボでグッズが出たら「買おう!」となりますし……。本当に、毎日のどこかに『学マス』と、星南ちゃんと、ことねがいる。そういう1年間だったと思います。

飯田 
リリース前から「すごい量を録ったな」という実感はあったんですけど、その膨大な量がいつの間にか世に出ていて。いろいろな曲やコンテンツなどが出るたびに、時間が経つのを実感していました。X(旧Twitter)でイラストや歌ってみた、踊ってみたなどが流れてくるのもあって、すごく幸せな1年間でした。

――賑やかな1年でしたよね。おふたりの演じるアイドルもいろいろと進展がありましたが、改めてお互いの印象などをお伺いしてもよろしいですか?

陽高 
顔合わせのときに「すごくしっかりした人だな」と思ったのを覚えています。でもある現場で“藤田ことね”としてのぴかるん(※飯田さんの愛称)を見てからは、すごくことねとしての印象が強くなって……そこからは私は確実にぴかるんをことねだと思い始めて。以降はXとかで見かけるたびに「あっ、ぴかるんの投稿だ。いいねしとこう」みたいな。

飯田 
たしかに。いっぱいいいねしてくれてる(笑)。

陽高 
なんか、“かわいい”とか“好き”とかじゃない感情があるんですよね。そういう意味では、変わったのは私かもしれないです。

飯田 
それはすごく感じる。めちゃくちゃ感じる。私からの初対面の印象は「モデルみたいな人がいる!」でした。そこからライブや収録などでの姿を見ていくなかで、星南と重なる部分がたくさんあるなと気づきました。あと話してみて思ったのは“ギャルマインド”ですね。そこは星南と全然違うなって(笑)。

陽高 
たしかに、違うかも。

飯田 
星南はすごく論理的に話をするタイプなんですけど、ましぴ(※陽高さんの愛称)は直感的に、思ったことをすぐポンって発言するタイプなんです。そういう明るくてかわいらしい感じでしゃべるところとかも、ギャップがあっていいなと思います。あと印象で言えば、さっきも話していましたが、最近私としゃべるときは語尾にハートがついているというか……。

──それこそ星南がことねと会話するときみたいな感じですか。

飯田 
そうですね。「あれ、ましぴって私に対してこんな感じだっけ?」となるぐらい(笑)。最初はそんな感じじゃなかったんですけど。

陽高 
最初はまだ出し切れてなかったから。でもずっとひそかに「いついっしょにご飯行こうかな」と思っていたよ。

飯田 
最初はまだお互いにね(笑)。

――なるほど、じわじわ漏れ出していっているというか。

陽高 
いまやっとスタートダッシュをし始めたぐらいですね。

飯田 
レッスンとかであったときにもすごいんですよ。「ぴかるん、おはよう!」と言われて「おはよう」って返したら「やった! 今日初めて話せた! えへへ」みたいな。

陽高 
「ぴかるん、久しぶりだね」って。

飯田 
そういう場面が増えてくると、どんどんことねの気持ちもわかってきて……。うれしいんですけど、ちょっと圧が強いときがあるというか。「ああ、ことねもこういう気持ちなのね」っていう(笑)。お互いに、それぞれが声を担当するアイドルにすごく似てきたなって感じます。

──なるほど。それでは、相手が演じているアイドルについてはいかがでしょう。

陽高 
(にやりとしながら)え、その話してもいいんですか?

飯田 
お願いします(笑)。

陽高 
まず、私はことねちゃんのことを“特別な人”だと思っていて。とてもかわいらしくて、笑顔が素敵で、華奢で、自分のどこがかわいいかがわかっていて、自己プロデュースがうまいからこそ見えるあざとさもよくて。そういう表面的な“好き”はいくつもあるんですけど、やっぱり私のことねは……。

飯田 
ナチュラルに“私の”が出てきた(笑)。

陽高 
その表面で見せている完璧なアイドル性の裏には、血のにじむような努力があるわけじゃないですか。そういう部分がすごく好きです。おそらくプロデューサーさんも、そこに惹かれているんじゃないかと思います。ことね自身、とても目を引くようなアイドルですよね。彼女がそこで輝いているだけで、つい目で追ってしまうんですよ。そういうことねが持つ輝き、比類なきアイドル性、スター性みたいなところが大好きです。

――愛に満ちた精確な分析、ありがとうございます。飯田さんはどうでしょうか。

飯田 
星南は本当に、全アイドルの中でいちばん尊敬する存在です。楽曲や立ち居振る舞いから感じるカリスマ性、かっこよさもそうなんですが、コミュを読んで「自分の家柄や環境に頼ることなく、下積み時代からずっと“アイドル”という仕事を続けてきて、いまの彼女があるんだ」ということに気付いてからは、さらに自分の中にある尊敬の気持ちが高まりました。ことねだけじゃなく、私にとっても“スター”だなと感じています。

 ことねの曲を歌うときにも、“憧れ”とか“届かない存在”について歌うときは、ずっと星南のことを考えて歌っています。「星南に追いついてやるぞ」っていう気持ちで。それこそ誕生日曲である
『The Cute!!!』なんかは、すごく星南のことを意識しながら歌いました。

陽高 
それで言うと、星南にとってのかわいさを伸ばしていくフェーズのときに、私がお手本にしたのはことねだったんですよ。『小さな野望』のTrueライブ以外を録ったときとかも、ことねのことを意識しながら歌っていました。

――収録時にもお互いのアイドルのことを思い浮かべていたんですね。
[IMAGE]

お互いの本音をぶつけ合い関係が進んだN.I.A編


――飯田さんが“ことねは星南の大ファンだった”という設定を知ったのはどれぐらいのタイミングなんでしょうか。

飯田 
N.I.A編のシナリオをいただいたタイミングですね。もうびっくりしました。

――となると、初編の収録時は知らなかったと。

飯田 
はい。なので追いかけられているときはちゃんとドン引きしています(笑)。ただ最初は「どうしてことねは逃げるんだろう?」とは思っていたんです。すごい人が自分だけに注目していることを信じられず、自己肯定感の低さが出てしまっていたのかなとは思っていたのですが、まさか……。

陽高 
こんな関係があったとは。

飯田 
そう。星南はことねにとってはただのすごい人どころではなくて、自分がアイドルを目指すきっかけにもなるぐらいの人物だったんです。それを知ったときは、なんだかすごく、胸に来るものがありましたね。だからこそ、ことね自身の気持ちを表に出せるようになったN.I.A編では、本気で向き合えなかった初編とまた違った気持ちで演じました。

陽高 
ことねが星南のことを好きって言ってくれて、いろいろなことを打ち明けてくれて、星南側もそれを受け止めて……そこからはことねに対して、好き以上の“絆”のようなものを感じながら、私も彼女のことを“スター”と思って演じていました。

――そういう心情の変化もあってか、N.I.A編は本当にお互いの絡みが増えましたよね。

陽高 
そうですね! 台本が届いたとき「こんなに仲よくなれていいんだ!」と思いました(笑)。1年生であることねが、3年生の星南に対してはっきり本音を口にするのもすごくいいですよね。私だったら、緊張してしまってあんなにしっかりと意見を言えないと思ういます。

飯田 
個人的に星南が自分の部屋にことねを呼ぶコミュが衝撃で。あの祭壇(グッズを飾った棚)を見たときに、「これ、ことねのぬいぐるみだよね……」って、ことねと同じ顔をしながら驚いたことを覚えています(笑)。

陽高 
“K”のインテリアとかあるんだよね。

飯田 
そうそう。こんなのほかのアイドルになかったから、ポカーンってしちゃった。

陽高 
しかもカギを閉めて。

飯田 
そう! 「ことねのプロデューサーはカギかけたりしないよ」と思いながら演じたのを覚えています。

陽高 
でも星南はうれしかったの! ことねが家に来てくれてさ。だから私も「もっと奥まで、どうぞどうぞ」という気持ちで収録して……。結果的にプロデューサーの皆さんからは少し引かれてしまったみたいですけど(苦笑)。まあでも、それは愛が爆発した結果ですからね!

飯田 
才能が好きというわけではなく、ちゃんと「ひとりのアイドルとしてことねが好きなんだな」というのがわかるよね。

陽高 
そう! 星南は数値とかじゃなく、“ことねが好き”なの!

――一気に星南の中にある“好き”の解像度が増した気がします。

陽高 
あと絡みのあるコミュで言えば……サポートカードの“ぜったい追い付ついてやる!”が好きですね。ことねが追いかけてくれるのがうれしくて。

飯田 
初めて位置とか関係性が逆転したというか。

陽高 
そうそう。星南が「待ちなさーい!」って追う感じじゃないカードだよね。

飯田 
ギャグっぽいんだけど、ずっと演じてきた私たちにとってはうれしいコミュでした。

――“ぜったい追いついてやる!”はイラストもコミュもいいカードですよね。それで言うと、ほかにイラストが好きなカードってあったりしますか?

陽高 
ことねのサポートカード“まじか。”と、星南の“Campus mode!!”の特訓前イラストが好きです。あの対比は初めて見たとき「天才か!」と思いました。粋な演出ですよね。

飯田 
私は星南が勝ち気な顔をしているイラストが好きなんですよね。生徒会長として出ているときの顔とか、イベント“3年1組の修学旅行”で配布された“さあ、もう一戦!”みたいな。

陽高 
そうなんだ! うれしい!

飯田 
かわいい表情もギャップが見えて好きなんですけど、やっぱり十王星南のかっこいい表情にいちばんスター性を感じるんです。どっしりと待ち構えて「かかってきなさい!」という感じの。

陽高 
それでいうと、私はことねの“冠菊”と、“カワイイ▽はじめました”(※▽はハートマーク)の特訓前みたいなオフっぽい雰囲気の表情が好きですね。きゅるんっとしたキメてることねもかわいんですけど、こういうイラストは高校一年生の素顔が見えるというか、ことねのことを知れちゃった感があって。

――それこそアイドルのオフショットみたいな。

陽高 
そうです! 好きですね。

飯田 
ふつうの女の子っぽい表情していることね、かわいいよね。
[IMAGE][IMAGE]

個性が尖ったRe;IRISと、個性がまとまったBegrazia。それぞれの楽曲から見えた景色とは

──初星コミュではそれぞれ別のユニットで活動しています。かなり方向性の違う2ユニットですが、どういう印象をお持ちですか?

陽高 
Begraziaは、調和が取れていなさそうで、じつは取れている。そういうところが好きです。全員が勝ち気で、「絶対にいちばんを取ってやる」という熱を心の中に持っているからこそ、それぞれ思う人やライバルは違うものの、向いている方向は同じなんです。

飯田 
Re;IRISは仲が悪いんですけど、お互いにリスペクトは絶対に欠かさない。そういうユニットだなと思います。「私はここでがんばるから、あなたもがんばれ」みたいな。真正面からぶつかりあうし、口はどこまでも悪いんだけど、ちゃんと仲間意識とかもそれぞれ芽生えてきて、どんどん“ユニット”になっていると感じています。

陽高 
Re;IRISはそれぞれの個性がぶつかりあって大きくなっていって、Begraziaは個だったものがギュっと集まって一体になっているような、そういったイメージがあります。それぞれの対比がおもしろいですよね。

――初星コミュで好きなシーンなどはありますか?

陽高 
最終章で、星南がことねに向かって走って抱きしめようとするシーンがあるんです。でも、ことねに避けられて「なぜ逃げるのかしら?」って(笑)。佑芽の愛情表現を真似しているシーンなんですが、なんでことねが避けるのかを理解していない感じがすごく味が出ていて好きですね。あとは、4章1話のプロデューサーに対して怒るシーンです。

――ことねをスカウトされたことに対して「私が先に、目を付けていたのよ……?」と言うところですね。

陽高 
プロデューサーに対してここまで言うシーンってあんまり覚えがなかったので、かなり言いかたに悩みました。ディレクションでも「もっと低く、怖くしてください」みたいな感じで。実際にゲーム内でBGMや表情付きで見るとすごく怖くて、印象に残っています。でも、あれだけ真剣に言うのも当然なんですよ! だって最初の時点でことねを捕まえられていたら、またいろいろと変わっていたかもしれないですから。

飯田 
改めて見返すと、ことね自身が星南の愛にまったく気づいていないのがおもしろいです。手毬に「(Re;IRISがなければ)ユニットにスカウトされていたのかも」と言われても、「いやいや、まさか」という感じで、引くでもなく、「そんなわけない」と軽く答えているんですよね。

陽高 
このときのことねは、まだわかってないからね。

飯田 
そうそう。ことねの星南にかける想いとか、お互いの考えを知ったうえで改めて読み直すと、印象がぜんぜん違ってくるんです。あとは、やっぱりRe;IRISの『雨上がりのアイリス』のステージがすごくよかったです。初めて見たときは思わず声が出ちゃいました。

陽高 
Begraziaの『Star-mine』もすごくよかったです。さすがだなと思いました。

――初星コミュといえばその2曲ですよね。お話も出たので、詳しくお伺いしてもいいでしょうか。

陽高 
『Star-mine 』はかなり初期に録った楽曲なんです。2年ほど前には完成していて、星南のコミュよりも前に収録しました。

飯田 
聞かせてもらったとき、「とんでもない強敵だ」と思いました。まだ顔も見えていない相手なのに、長月あおいちゃん、小鹿なおちゃんと「どうやってこの楽曲に勝つの?」とずっと話し合っていましたね。

陽高 
作っているのが“じん”さんというのもあって、曲全体の切なさとか疾走感みたいなものがBegraziaの3人にすごくピッタリなんです。星南の凛とした王者みたいな感じにも、美鈴の上品なちょっと憂いを帯びた感じにも、佑芽ちゃんのはつらつとしたかわいさにも、どれも吸収してくれるような楽曲になっていて。

飯田 
あのふたりの中に、佑芽ちゃんが入るとどうなるんだろうと思っていたんですけど……。

陽高 
すごくいいスパイスになってるよね。

飯田 
そうなの! 彼女がいることで聞いたことのない楽曲になっていて、「なんだこの曲、おもしろい!」と思わされるんです。1曲をフルで聞くだけで、楽しくなったり、鳥肌が立ったりするんですよ。さっきも言った通り「どう勝てばいいの?」と思ってしまうぐらい、最強のライバルを感じさせる一曲でした。

陽高 
でも私は『雨上がりのアイリス』を聴いたとき「あ、これは負けるな」と思ったんです。アイドルソングとして王道な作りで、楽曲の力というよりRe;IRISが持つ個の輝きで勝負しているのが見える一曲になっていて。それに、聞いていてまったく疲れないんですよ。楽しいときでもつらいときでも、どんな状況でもすっと耳に入ってくれて。実際のアイドルさんたちの曲でも、ずっとカラオケのランキングとかチャートに入り続けているような曲ってあるじゃないですか。『雨上がりのアイリス』はそういう曲じゃないかなと思います。

――なるほど。時代で色あせないというか。

陽高 
アイドルの原点みたいなものがこの曲に詰まっているように感じて、これは負けるしかないなと思いました。

飯田 
私たちの楽曲は、個性が強いんです。季節曲も、ソロの楽曲も。だから『Star-mine』を超える個性的な楽曲ってなんだろうと考えたときに、演歌やすべてラップというような、個性的な方向をずっと想像していて、王道なものがくるとはまったく考えていなかったんです。

──確かに、言われてみればドストレートのアイドルソングはないですね。

飯田 
だからこそ、『雨上がりのアイリス』を聞いたときには「そうか!」と思いました。「まさに“アイドルマスター”じゃないか!」って。この曲をこれからずっと歌い続けるような未来が見える、そんな一曲です。歌詞割りもすごくて、ことねのソロ、つぎに咲季とことね、そして咲季と手毬……となっているパートがあるんですけれど、これはRe;IRISが結成するまでの、初星コミュ1章にある流れと同じなんです。

陽高 
……すごい。なんか鳥肌立っちゃった(笑)。

飯田 
(笑)。だから聞くたびに、いろいろなことがあって“Re;IRIS”になったなということを思い出しますし、3人が思うアイドル像とか、ステージに対する気持ちというのが『雨上がりのアイリス』には詰まっているなと思います。

陽高 
歌詞の割り当てで言うと、Begraziaの『Star-mine』もそういうのがありまして。1番では基本的に星南がメインで歌っているんですよ。そこに美鈴と佑芽がスパイスで入ってくるみたいな感じで。でも、2番からは星南が一歩後ろに下がって、見守るような感じになるんです。星南がどんどん突っ走っていくところから始まったBegraziaだけど、いつからか仲間が横に立っていてくれた……みたいなストーリー性を感じて、そこが私はすごく好きですね。
[IMAGE]

お互いのライブをリスペクト。その先にある1stライブへの期待


――この1年はライブなどもありましたが、改めてステージに立ってみていかがでしたか?

陽高 
本番と練習はこうも違うんだなと実感しました。プロデューサーさんたちの前でパフォーマンスするときは、ノリノリになって疲労を忘れられるんですけど、その分ライブが終わった後の反動がすごくて。

飯田 
わかる!

陽高 
もうびっくりしました。リハーサルでは翌日になれば平気だったのに、本番のあとは足が重くて、めちゃめちゃ体も痛くて……段差を越えるのさえもしんどいんですよ。でもやっぱり、応援してくださる皆さんの笑顔とコンサートライトを見て、あの音響と光の中でステージに立つというのを経験してしまうと、どれだけ疲れるとしても「またやりたい!」と思うんです。ライブ中毒みたいな(笑)。今後、あの瞬間を味わったことが収録をするときの大事な引き出しにもなると思いますし、私にとってすごく重要なライブでした。

飯田 
私は初声公演が夏に開催だったこともあって、レッスンや体力づくりがたいへんでした。私自身もしんどいなと思いながらも真夏に走りに行ったり……アイドルたちがステージに立つ前の自主トレーニングのたいへんさを思い知りました。あと『学マス』は、ゲーム内のライブで汗をかくじゃないですか。実際に私もステージ上で、かいた汗が頬をツーッとつたった経験があって。「あ、本当に隅々まで再現されているんだ」と実感しました。

陽高 
4分ぐらいであんなに汗をかくとは思わなかったよね。

飯田 
そう! めちゃくちゃ汗をかく! 『学マス』制作陣の方々は「これだけ跳ねて踊ったら、いっぱい汗をかくんだよ」ということをわかっているんだなと思いました。

――あの汗の演出は、決して誇張表現ではないと。

飯田 
それこそ私は、ステージに立ったときのほうが汗をかきましたね。でも、たいへんさで言うならレッスンやリハーサルのほうがたいへんでした。さっき、ましぴが言ってくれたように、ステージで全力のコールをしてくれるプロデューサーさんたちを前にしたら、「疲れた」よりも「楽しい!」という気持ちがどんどん上回っていくんです。だからステージに立っているときは、しんどい気持ちは一切なかったです。

――やっぱりそういうものなんですね。ちなみにステージに立つ前は緊張とかされていましたか?

陽高 
緊張というより、「ああ、始まってしまう」ということをずっと考えてしまうような状態でした。でも舞台袖まで行ったときに、花海咲季役の長月あおいちゃんがまったく緊張していないように見えたんです。それがすごくかっこよくて! 「ああ、咲季ならライブ前もどっしりと構えて、最高のパフォーマンスをしようと考えるんだろうな」と、咲季とあおちゃん(※長月さんの愛称)が重なって見えたんです。そこで「じゃあ星南ならどうするだろう?」と考えたんです。きっと星南なら、プロデューサーに大口を叩いて、一番星として、強い自分でステージに立つだろうと。舞台袖で、そういうことを思い出しながら、緊張を解いていきました。

――なるほど、星南を降ろしたというか。

陽高 
星南で歌うときや星南になるときは、なんだか謎のパワーが働くんです。それも手助けになって、緊張が解けたんだと思います。

飯田 
ステージも星南そのものだったよ。かっこよかった。

陽高 
うれしい!

――素晴らしいパフォーマンスだったと思います。飯田さんはどうでしょうか。

飯田 
緊張で押しつぶされてしまうんじゃないかって思っていたんですけど、どちらかと言えば楽しみという気持ちのほうが強かったですね。ふたりともどんどん仲よくなって、レッスンのほかにも自分たちで集まって練習したりして……たくさん練習したからこそ、みんなで歌って、プロデューサーさんたちにこの楽しさを分かち合いたいという気持ちでした。

――初声公演では、ステージ前の様子を映した特典映像も話題になっていましたよね。

飯田 
いつの間にか録られていた映像ですね(笑)。私は「あー、始まるねー!」という感じで立っていたのですが、そしたら小鹿なおちゃんが急にわーっと泣き出してしまって。それを見て「大丈夫だよ、あなたはすごいよ」と褒めながらフォローしていました。それで長月あおいちゃんのほうをふと見ると、彼女は彼女で無言のまま固まっていたんです。集中しているのかもしれないとも思ったんですが、私の目には彼女がいっぱいいっぱいなように見えたので、声をかけに行ったんですよ。「いっしょにがんばろう!」って。そしたら彼女もわーっと泣き出してしまって。

――なるほど……。

飯田 
きっと彼女は、咲季と同じく絶対に泣かないように耐えていたんだと思います。そこを私が気づいてしまって、声をかけたら泣いてしまったというか。……なんだかいま思うと、リアルでもRe;IRISっぽい立ち回りをしていたのかもしれません。

――ことね役の飯田さんがケアしてまわるというのが、すごく“らしい”ですね。

飯田 
そうですね。その時点で私は緊張より楽しさが勝っていたので、まわりを見ることができたのかなと思います。

――ところでお互いのライブは見られ……

陽高 
見ました!

飯田 
もちろん見ました! 本当にもう、今日はこれを言いに来たぐらい(笑)。

――食い気味。では、ぜひお話をうかがえれば。

陽高 
目が離せませんでした。出てきた瞬間、画面に映し出された瞬間から、もうことねにしか見えなくて。楽しんでライブをする姿が、すごくキラキラしていて。私がゲームで育てたことねが、いまこの公演で歌って輝いているように見えて、涙が溢れてきました。 ぴかるんがことねを表現するためにがんばっているのも伝わってきて、それもすごく感動しましたね。この笑顔の裏にはたくさんの努力と練習の時間があって、これだけ汗をかいているのにずっと笑顔で、全力でお客さんを楽しませることを念頭に置いてパフォーマンスをしていて、そのがむしゃらな姿がすごくことねと重なって……。

飯田 
そう言ってもらえてうれしい。

陽高 
とにかくもう、楽しさよりも感動が大きかったですね。でも、そんなステージを見たからこそ、「これを私は数ヵ月後にやるんだ」というプレッシャーも感じました(笑)。

――(笑)。では飯田さんとしては、そんな陽高さんのパフォーマンスを見てどう感じましたか?

飯田 
私も、本当にあっけに取られたというか。複数人で見ていたんですけど、ほかの皆が盛り上がっている中、私だけがぼーっと立ち尽くしてしまって。それこそ “まじか。”のイラストみたいな。ましぴは、そこに立っているだけで十王星南だったんです。最初の『初』からずっと、指先の表現まで完璧で。あまりにも私の想像を超えてきていて、鳥肌が立ちっぱなしでした。MCでも、「星南を演じるうえで中途半端にしたくなかった」みたいなことを言っていたと思うんです。

陽高 
うん。

飯田 
まさにその“中途半端”は一切なくって。私もライブをしたからわかるんですが、「ちょっとうまい」とか、「もともとある程度できる」では、あのパフォーマンスはできないなと思ったんです。最初からめちゃくちゃ上手な子が、何回も練習を重ねないとあそこまで心に響くものは出せない。努力があったうえであのステージができているのをわかっているからこそ、響くものがありました。あと、『Our Chant』のセリフがすごくよくて。

陽高 
「命じます。わたしがあの輝きを手にするその地へ、共に進みなさい!」

飯田 
そう、それ。もうそれを聞いた瞬間に涙が止まらなくて。「ましぴが十王星南でよかった。私はこれからもこの人の背中を見てこれからもがんばるんだ」と思えたんです。

陽高 
うれしいな。ちょっといまうるうるしちゃってる。

飯田 
私もやばい、鳥肌が。思い出しちゃって。

陽高 
……いまの言葉がうれし過ぎて、何度も聞きたいので、このインタビューの録音データをください!

一同 (笑)。

陽高 
私も初陣公演を経験したからこそ、気づけたことがいくつもありました。お仕事と並行して進めたり、体力の限界とか、うまくいかないことで気を落としたりとか、そういうさまざまなことがある中であの完成度を本番までに作り上げることは、本当にすごいことなんですよ。

飯田 
振りを揃えたり、端から端までパフォーマンスするのだって、とんでもない練習量が必要だったり。

陽高 
そうだね。あとアイドルたちを演じるという部分で、ふつうのアイドルとはちょっと違うようなアプローチの仕方で考えることも多くて……。そんな中でしっかり藤田ことねとして輝いていたので、本当にすごいなと。

飯田 
こちらとしても、より星南の解像度が上がったというか。目の前に十王星南を君臨させてくれたというか、「これが十王星南だ」というのを思い知らされたライブでした。

――ちなみに、今後こういう歌を歌ってみたいというのはあったりしますか?

陽高 
それで言うと、星南とことねの曲とかがあったらいいなあと。

飯田 
いや、本当にそうなんですよね……。それはもう、やばいね。泣いちゃうね。

陽高 
うん、泣く。勝手にそんなことを妄想しています(笑)。

飯田 
今後お互いの目を見て歌い合う姿を見られたらいいなと思いますね。

――そんな姿が見られたらと、いちプロデューサーとしても思います。5月には1stライブである“学園アイドルマスター The 1st Period Spotlight Star / Harmony Star”も控えていますが、意気込みなどをお聞かせいただいてもよろしいでしょうか。

陽高 
十王星南というすごいアイドルに追い付かなければ、というプレッシャーはあります。でも私は“ライブが楽しい”ということを覚えてしまったので(笑)。緊張する気持ちもあるんですが、楽しみな気持ちも増えてきています。「1stライブは初陣公演以上だった!」と思ってもらえるようにがんばっているので、期待してもらえたらうれしいです。

飯田 
プロデューサーの皆さんといっしょに高め合って、楽しいステージにできたらいいなと思います。“初”ツアーのときは、目の前に応援してくれている皆さんがいたことであれだけのパワーが出せたんですけど、今回はより大きな会場になったことで、ちょっとだけ距離が遠くなってしまうかもしれません。でも会場が広いぶん、より大きくなった「かわいい!」コールが自分にエネルギーを与えてくれると思うんです。その声に応えられるように、私からもライブの楽しさやことねのかわいさを届けられたらと思います。

――5月31日、6月1日開催の“Harmony Star”では、複数人での歌唱にフォーカスしたコンセプトとなっていますが、その点についてはいかがでしょうか?

飯田 
『学マス』のみんなとステージに立つのは初めてなので、プレッシャーというより楽しみな気持ちが大きいですね。

陽高 
私もそうかも。楽しみです!

飯田 
私たちの仲のよさだったり、楽しさだったり、元気だったり。そういうものをプロデューサーさんたちに届けられればいいなと思っています。

――ありがとうございます。最後にプロデューサーの方々へ向けてのメッセージをお願いします。

陽高 
「楽しい!」と言ってくださるプロデューサーさんのご声援からはとても力をもらっていて、本当にありがたい限りです。『学マス』はとても素晴らしいコンテンツで、きっとお仕事で関わっていなくてもプライベートでプレイしていたんじゃないかなと。そんなコンテンツに出演させていただいたからには、しっかり星南の声としてお力添えしていきたいと、そう思います。星南自身もどんどん成長中です。これから数値以外のところで輝いてく彼女がどう描かれていくのか、私自身もとても楽しみなので、皆さんと成長を見守っていけたらいいなと思います。……あと、死ぬまで『学マス』やってください!

飯田 
私もこの1年で、新しいカードや楽曲が出るたびに皆さんがたくさん喜んでくださる姿を見ることができたので、新しいコミュを収録するたびに「皆さんはどんな反応をするんだろう」と自然と考えるようになりました。星南が見立てた“アイドルパワー10万”も超えられるぐらい、これからも全力でことねちゃんにパワーを注いでいきたいと思いますので、プロデューサーさんたちも元気をいっぱいチャージして、まずは1stライブをいっしょに楽しんでいただけたら、とてもうれしいです。
[IMAGE]

週刊ファミ通2025年5月22日号では『学マス』1周年記念特集を掲載

 週刊ファミ通2025年5月22日号(NO.1897/2025年5月8日発売)では、『学園アイドルマスター』1周年を記念した特集記事を掲載。ファミ通.comで募集したアンケートの結果発表なども行っているので、こちらもチェックしてほしい。
■週刊ファミ通(紙版)のご購入はこちら
Amazon.co.jpで購入
楽天で購入
ebtenで購入

■電子版のご購入はこちら
BOOK☆WALKERで購入
Kindleで購入

『学マス』関連記事