『フェアリーテイル2』インタビュー。原作の雰囲気をとことん追求したビジュアル&操作性、そして駆け引きがアツいチーム戦の真髄とは【TGS2024】
 2024年9月26日~29日に千葉県・幕張メッセで開催されている東京ゲームショウ2024(TGS2024、26日、27日はビジネスデイ)。コーエーテクモゲームスブースでは、大人気魔法バトルファンタジー『FAIRY TAIL』(以下、『フェアリーテイル』)をもとにした新作RPG『フェアリーテイル2』の試遊台が出展されている。

 2024年12月12日にNintendo Switch、プレイステーション5、プレイステーション4、PC(Steam)向けに発売予定の本作は、第1作が2020年7月に発売されており、その続編として原作アニメのクライマックスである“アルバレス帝国編”が舞台となる。
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 前作からはゲームシステムやグラフィック表現が一新されており、リアルタイムで進行するド派手で爽快な魔法バトルや、シームレスに駆け巡ることのできる広大なフィールドなどを採用。さらに、本作のみで描かれるキャラクターどうしの掛け合いや、完全オリジナルのストーリーも収録している。

 本記事では、プロデューサーの片岡宏氏へのインタビューをお届け。ゲームの見どころや開発中のエピソードなどを語っていただいた。
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片岡 宏氏(かたおかひろし)

『FAIRY TAIL2』プロデューサー 1994年、光栄(当時)に入社。『戦国無双』シリーズでメインプログラマー、ディレクター、『真・北斗無双』ディレクターを担当。2016年からはガストブランドに所属、『FAIRY TAIL』、『よるのないくに2 ~新月の花嫁~』、『ネルケと伝説の錬金術士たち ~新たな大地のアトリエ~』ディレクター、『マリーのアトリエ Remake ~ザールブルグの錬金術士~』開発プロデューサーを歴任している。

『フェアリーテイル』のファンに喜んでもらえることにもっとも力を入れたゲーム作り


――改めてゲーム『フェアリーテイル』シリーズについてご紹介ください。

片岡
 マンガ、アニメともに世界中で愛されている、真島ヒロ氏原作の魔法バトルファンタジー『フェアリーテイル』をRPGとしてゲーム化した作品で、本作は家庭用ゲーム機向けタイトルとしては初めてワールドワイドでの発売となった前作に続く2作目となります。

 前作では“天狼島編”のラスト~“大魔闘演武編”~“冥府の門編”を取り上げ、本作はその続きとなる原作のクライマックス“アルバレス帝国編”をベースとしております。そして、今回はRPGですがターン制ではなくリアルタイムバトルとなっています。

――前作『フェアリーテイル』について、ユーザーからはどういった反応がありましたか?

片岡
 多くの反響、ご意見をいただきました。ゲーム化してくれてうれしいや楽しいなどとともに、最終章をゲーム化してほしいということから、キャラクターに関することなどを中心にもっとこうしてほしいというようなご意見もあり、今回制作する際に参考にさせていただきました。

――『フェアリーテイル2』発表後の国内および海外ユーザーの反応を見ていかがでしたか?

片岡
 世界各地でXのトレンドに入ったり、喜びや期待のコメントなどをいただいたりと、思っていた以上の反響でとてもうれしかったとともに、たいへん励みになりました。

――本作で“アルバレス帝国編”を選んだのはなぜですか?

片岡
 やはり前作は最終章の手前まででしたので、本作ではクライマックスであり最高潮に盛り上がる“アルバレス帝国編”をきっちりと作り上げ、ファンの皆さまにも楽しんでいただきたいというのが最大の理由です。

――片岡プロデューサーが“アルバレス帝国編”で好きなところや、物語の最終章を再現するうえで、大切にしたところを教えてください。

片岡
 とにかく展開が熱いところです。強力な“スプリガン12”とともにゼレフが全軍で攻めてきて、アクノロギアはとんでもなく強く、その中でユニバースワンからの怒涛の展開や謎が明らかになっていく過程など、本当に“楽しい”と“驚き”とがつぎからつぎにジェットコースターのようにやってくる感じがたまらないです。

 ゲームでもそういう部分をしっかりと感じていただけるよう、また名シーンの数々を漏らさないよう取り組みました。
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――『FAIRY TAIL2』開発中の印象的なエピソードはありますか?

片岡
 本作ではメインメニューの背景などでスチルも多数用意しているのですが、真島先生に「すごくかっこいい!」とコメントをいただき現場のテンションが上がりました。そのほかでもしばしばいいコメントをいただくことがあり、開発一同非常にありがたかったです。

――前作『FAIRY TAIL』発売から4年経ち、前作の課題から改善した点はどこですか?

片岡
 最終章をゲーム化するうえでまず最初に決めたのは“妖精の尻尾VSアルバレス帝国”を中心として「“スプリガン12”全員と戦う!」ことでした。前作では強敵全員と戦うような流れを描き切れませんでしたので、ここはぜひとも実現したいポイントでした。

 また原作では1対1のバトルも多いですが、ゲームでは基本的に“妖精の尻尾”としてのチームで戦う形にしたいと考え、これらを実現すべく真島先生、講談社さんにもご監修をいただきながら原作の展開をゲーム向けに調整しています。

――『フェアリーテイル2』を作っていく過程で、大切にしている部分があれば教えてください。

片岡
 “『FAIRY TAIL』ファンの方に喜んでもらえるもの”、“ゲームとして純粋におもしろいもの”、“ストーリーを知らない人でも楽しめるもの”であることです。

――『フェアリーテイル2』制作にあたりいちばん力を入れたところはどこでしょうか。

片岡 
『FAIRY TAIL』のファンに喜んでもらえること。開発はもちろん、そのほかのすべての要素でそれを念頭にメンバー全員が取り組んでいます。

――では、苦労したことはなんでしょう?

片岡
 ゲームとしてはどうしても完全にすべてを実現するというのは難しいのですが、どこまでをどう実現しファンの皆さまが納得のいくものに仕上げるのか、がやはりいちばんの考えどころですし苦労するところです。

 ただ2作目となり
『フェアリーテイル』としての表現や考えかたなど、根本のところは前作でしっかりとできていたため、その分最終章をどう実現するかにより力を注げています。

――本作で注目してほしい魔法バトルや、前作から一新したバトルシステムについて教えてください。

片岡
 前作ではゲーム慣れされてないファンの方々にも楽しんでいただけるよう、ゆっくりと考えられるターン制を採用し、魔法ごとに設定された範囲や属性をもとにMPの中でやりくりしながら、じっくりと格好いいスキルや仲間との共闘演出を見る形で仕上げました。

 本作では最終章の熱く激しい戦いを再現するにあたり、難しくなり過ぎず誰でもわかりやすく遊べる形はキープしつつ、よりスピーディーで気持ちよくスキルを出せるよう、アクション性を高めたリアルタイム制を採用しています。実際にプレイしてみても今回のストーリーにはこの形がよかったと実感しています。
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片岡
 プレイとしては大きくは2軸となっています。
 ひとつめは操作するパーティーキャラクターの攻撃サイクルです。本作はMPがありません。連続でくり出せる通常攻撃でSP(スキルポイント)を溜め、それを利用してスキルを発動していくことで“FAIRY RANK”という戦闘のランクが上がり、SPを溜められる数とスピードアップ、さらに強いスキルやスキルの連続発動につながるという、攻撃が攻撃を呼び“妖精の尻尾(フェアリーテイル)”のキャラクターたちが戦闘中にヒートアップし強くなっていくさまを演出しています。
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片岡
 ふたつめは敵との攻防です、敵にはHPとは別に“BREAKゲージ”があり、ゲージを削ると仲間との共闘である“リンクアタック”が発動し、すべての“BREAKゲージ”を削ることでBREAK状態となりすべての攻撃がクリティカルになります。特定の強敵ではBREAK時に“リンクアタック”が“ユニゾンレイド”へと変わり、より強力な攻撃を発動できます。
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片岡
 また敵が大技を放つ際には前兆として“リスキーゲージ”が表示されます。この“リスキーゲージ”に対しては各キャラクターのスキルに相性があり、そのスキルでしか削ることができませんが、前兆中に削り切れば“リンクアタック”が発動できます。
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片岡
 戦闘に参戦するチームは前衛3人で残りは控えとなり、操作キャラクターの切り替えは前衛3人のあいだではもちろん、控えのキャラクターとも可能ですので、相性も考慮しながらチームとして対応していきます。

 そのほか、“属性”、“覚醒”、“モードチェンジ”などの戦闘をさらに盛り上げる要素ももちろんありますのでご期待ください。
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片岡
 ターン制からリアルタイム制で操作感は変わりますし、難しそうな印象を持たれる方もいると思いますが、範囲や属性があったり、チャンスには仲間との共闘が得られたりなど、前作と根本の考え方は変わっていませんので、前作をプレイした方はスムーズに入れますし、シンプルなものなのでゲーム慣れしていない方もすぐになじめると思います。

――作品内ではキャラクターの実力にある程度の差が設けられていますが、ゲームとして成立させるために調整が必要なところもあると思います。結果、どのように落とし込まれているのでしょうか?

片岡
 原作の設定はしっかりと踏まえています。その中でゲームとしてすべてのキャラクターが活躍できるよう調整していますが、敵との相性であったりチームであることは重要なポイントになります。もちろんチームを工夫することで好きなキャラクターを操作し続けて攻略することも可能です。

――“自分の手で原作の世界を歩いているような体験”について、“フィオーレ王国”を再現するうえで大切にした点や、とくに注目いただきたい部分などあれば教えてください。

片岡
 アルバレス帝国が四方から攻めてくるという原作アニメのシチュエーションを再現するために、マグノリアを中心としたシームレスにフィオーレ王国を駆け巡るフィールドを採用しました。フィオーレ王国も広いですので『フェアリーテイル』の世界観に合うような景色やランドマークになるものをゲームで追加しています。
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片岡
 また移動中が間延びしないよう、メンバーたちのゲームでしか聞けない“妖精の尻尾”感溢れる会話が流れたり、ちょっとした遊び要素を用意しています。本編中は基本的にストーリーに沿った移動となりますが、ゲームオリジナルストーリーでは本編では行けなかったエリアを含め、王国全体を駆け巡りますのでぜひ楽しんでください。
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――本作のゲームオリジナルストーリーを描くことになったきっかけはなんでしょうか。
片岡
 前作は大きな話のまとまりがあったため、その合間にオリジナルの依頼などをこなすフリーな時間を用意していましたが、本作では最終章の流れや盛り上がっていく雰囲気を途中で切るのは避けたいと考え、差し込み的に発生する会話やキャラクター別のイベントなどは除き、ゲームオリジナルストーリーは本編後に楽しめるような形としました。
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――ゲームオリジナルストーリーはどのようにして制作されたのですか?
片岡
 まずは我々のほうでプロットを提案し、先生にもご意見をいただきながら調整、シナリオ、セリフ起こしも同様にすべてご監修、アドバイスをいただきながら随時調整を行いました。結果『フェアリーテイル』らしいやり取りが楽しめるものになったと思います。

――そのほかゲームオリジナル要素でとくにおすすめしたいものがあれば教えてください。

片岡
 キャラクターごとのストーリーも多数用意していたり、エリアを使った遊びなどもありますので、ぜひ『フェアリーテイル』の世界を楽しんでください 。

――前作とリンクしている要素はありますか? また、前作をプレイしていなくても楽しめますか?

片岡
 前作とのリンク要素は本作では設けていませんので、完全新作としてお楽しみいただければと思います。ゲーム開始冒頭で『フェアリーテイル』の物語をキャラクターとの会話で振り返るイベントを用意しているほか、メインメニューにあるデータベースでもあらすじを振り返ることができます。

 またセリフから飛べる用語集も充実させていますので、
『フェアリーテイル』に初めて触れる方や、昔読んだけど少し忘れているような方も本作のストーリーに入り込めると思います。もちろん、事前に前作やアニメ、漫画を見てからプレイするとより楽しめると思いますし、ゲームを楽しんだ後に原作に触れるのもいいと思います。

――『フェアリーテイル』が本編完結後も全世界のファンに長く愛される理由や、魅力はどこにあると感じていますか?

片岡
 私感ですが、ファンタジーの世界観やキャラクターたちが魅力的なことはもちろんですが、ギルドという家族を思う強さや、すべてのことに対し諦めず熱くいっしょうけんめいに立ち向かうさまが胸を打ちますし、また触れてみたい、もっと観たいと感じさせるのだと思っています。劇中に数々の名言もありますが、「燃えてきたぁ!」は世界中のファンに響くシンプルでかつ最高の名言と思います!

――このインタビューを読んでいるユーザーの皆さんにメッセージをお願いいたします。

片岡
 本作『フェアリーテイル2』の舞台は原作『フェアリーテイル』本編のクライマックスです。クライマックスにふさわしい熱い戦いを用意しましたので、ぜひ妖精の尻尾のメンバーたちと一体となり強敵たちとの攻防を楽しんでください! 本編後にはゲームでのみ楽しめるオリジナルストーリーもあります、最後にはとてつもなく強い敵がいますのでご期待ください。
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