
ホラーって、理不尽であれば理不尽であるほどいいと思う。
筆者にそんな考えが芽生えたのは、思えば幼少期に遊んだフリーホラーゲームが発端であったように思う。『青鬼』や『怪異症候群』、『ウタホノタタリ』に『魔女の家』。当時小中学生のカネなしキッズだった筆者にとって、「タダでゲームができる!」というのはとても魅力的で、くり返しプレイしていたのを覚えている。
とはいえ、最近そういうのはご無沙汰。なんかまたこういうのがやりたいなーと思いながらインディーゲームイベントである“TOKYO SANDBOX 2024”の会場をブラついていた筆者の目に飛び込んできたのがワンコネクトの『シモツケノヤカタ』だった。
筆者にそんな考えが芽生えたのは、思えば幼少期に遊んだフリーホラーゲームが発端であったように思う。『青鬼』や『怪異症候群』、『ウタホノタタリ』に『魔女の家』。当時小中学生のカネなしキッズだった筆者にとって、「タダでゲームができる!」というのはとても魅力的で、くり返しプレイしていたのを覚えている。
とはいえ、最近そういうのはご無沙汰。なんかまたこういうのがやりたいなーと思いながらインディーゲームイベントである“TOKYO SANDBOX 2024”の会場をブラついていた筆者の目に飛び込んできたのがワンコネクトの『シモツケノヤカタ』だった。
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おおツクールゲー(※)だ懐かしいと思い、吸い込まれるように試遊台へと座る。しかしいまさらツクール? なんてちょっと気になったので話を聞いてみると、なんと本作は“『RPGツクール』によるゲーム制作の限界に挑戦した”タイトルなのだという。
どのあたりが? なんて疑問は始めるとすぐに氷解した。
※ツクールゲー:『RPGツクール』シリーズを使って作られたゲームの総称(の略称)。どのあたりが? なんて疑問は始めるとすぐに氷解した。
画面の左右に揺れる怪しいカーテン。中央は見知ったツクールの画面なのに、左右にまったく見知らぬものが。これだけでも“ただものじゃない”感がヒシヒシと伝わってくる。
カーテンの裏には何が……? なんて、ワクワクしながら進めていくと、いろいろと主人公の素性が見えて来た。どうやら森ではぐれた妹を探している真っ最中であり、森の中で出会った案内人の“ベレト”に連れられて、とある洋館へと向かうことになったようだ。
このあたりの設定はなんだか“あの頃”という感じがする。進めながら心の中でクスリと笑っていた。
カーテンの裏には何が……? なんて、ワクワクしながら進めていくと、いろいろと主人公の素性が見えて来た。どうやら森ではぐれた妹を探している真っ最中であり、森の中で出会った案内人の“ベレト”に連れられて、とある洋館へと向かうことになったようだ。
このあたりの設定はなんだか“あの頃”という感じがする。進めながら心の中でクスリと笑っていた。
館の中は暗いから、歩きまわるにはこれが必要だ、とベレトからランタンを渡される。「なるほど、これがHP的な役割かな?」なんて思っていると、右のカーテンが突然開き、ランタンを持った主人公の立ち絵が現れた。なるほど、ここでランタンの様子がわかるわけか。
ランタンが光を失うか、体力がなくなるとゲームオーバーになるようだ。こりゃいかんとついつい探索を急ぎたい思いがはやってしまう。
ただ、そんな気持ちでプレイしていると、どうしても細かいギミックに大ビビりしてしまうのが人のサガ。館の探索中はつねに誰かの“敵意”に晒されており、一定時間ごとに紫の目玉が画面中を覆う演出が入る。“ザザッ”ノイズとともにあらわれる演出に、ついつい体が跳ね上がる筆者。まさにジャンプスケアである。
ただ、そんな気持ちでプレイしていると、どうしても細かいギミックに大ビビりしてしまうのが人のサガ。館の探索中はつねに誰かの“敵意”に晒されており、一定時間ごとに紫の目玉が画面中を覆う演出が入る。“ザザッ”ノイズとともにあらわれる演出に、ついつい体が跳ね上がる筆者。まさにジャンプスケアである。
さて、館の探索を進めていくと、なにやら見知らぬ人形が。怪しいな……と思いつつ話しかけてみると、「遊んでくれる?」との問いかけが帰ってきた。
ホラーゲームで見知らぬ館。その中にいた怪しい人形に「遊んでくれる?」なんて話しかけられたら、そりゃもう起こることはただひとつ。
そう、即死イベントの幕開けである。
ホラーゲームで見知らぬ館。その中にいた怪しい人形に「遊んでくれる?」なんて話しかけられたら、そりゃもう起こることはただひとつ。
そう、即死イベントの幕開けである。
もちろん最初はあえなく即死。とくにフラグも、これといったキーアイテムもヒントも見つけられることなく没してしまった。ただ、こんな死にかたをしたにも関わらず、筆者はすごく満たされたような気持ちになっていたことも確かだ。
なぜなら、まさにこういうのがやりたかったから。こういった即死イベントこそが筆者の求める“理不尽な死”なワケである。「いかにもな怪しい洋館に入っておいて1回も死なずに出ていけると思うなよ」とでも言わんばかりのギミック。それを解かねば進めぬ状況――さあて、楽しくなってきたぞう!
なぜなら、まさにこういうのがやりたかったから。こういった即死イベントこそが筆者の求める“理不尽な死”なワケである。「いかにもな怪しい洋館に入っておいて1回も死なずに出ていけると思うなよ」とでも言わんばかりのギミック。それを解かねば進めぬ状況――さあて、楽しくなってきたぞう!
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/9577/a77d249f274c5aa104d4a32d1a46af4b0.png?x=767)
アイテムがないから、とにかく適当に部屋中を触りまくるしかない。ここ以外に行ける部屋もないし……と、とにかくいろんなものを調べまくる。とはいえまったく糸口が見つけられず、木箱を押しては死に、押しては死にをくり返すことに。
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すわ詰んだかと思い、ちょっと部屋中を落ち着いて見渡してみる。すると、なにやら部屋の奥にある鎖が光っているではないか。「これだ!」と思い急いで鎖を引っ張ると、部屋からするすると毒ガスが抜けていく。
いかにもなにかありそうな木箱を配置しておいて、実際はなんも関係がない。そして後でヒントを出すこの感じ。これがいい。たまらん。
いかにもなにかありそうな木箱を配置しておいて、実際はなんも関係がない。そして後でヒントを出すこの感じ。これがいい。たまらん。
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/9577/a2f74ce8663bd073bf8032331b56c9e84.png?x=767)
筆者の場合、ゲームの原体験にこういった“ツクールホラーの理不尽さ”があるので、久々にこの感覚を味わえてめちゃめちゃにうれしかった。もちろん人を選ぶ部分だとは思うが、筆者と似たようなゲーム遍歴を持つ人ならばきっと楽しめるはずだ。
なんなら制作初期のころはもっと理不尽だったらしい。個人的にはちょっとそのバージョンもやってみたいかも。
なんなら制作初期のころはもっと理不尽だったらしい。個人的にはちょっとそのバージョンもやってみたいかも。
さらに本作は、最初にも紹介した通り“『RPGツクール』の限界に挑戦”している。つまり、演出などへの力の入りかたがすごい。なかでもランタンが消灯するまでの時間や“敵意”の発生タイミングなどはすべてリアルタイムで発生するギミックになっているらしく、こだわりの強さが感じられる。
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/9577/a2a9f40a524027becc41662a56898bfb4.png?x=767)
ゲームを構成する素材も、マップタイル(いわゆる背景素材)以外はほぼすべてオリジナルなんだとか。かわいくもどこか怪しさを感じさせる立ち絵。館の雰囲気をしっかり表しつつも恐怖をじわりと高めてくれるようなBGM。往年のツクールホラーの雰囲気を踏襲しながらもしっかりとパワーアップしているように感じられたのは、このあたりの要素が大きいのかもしれない。
『シモツケノヤカタ』は2024年7月4日に“フリー(無料)”での配信が決定している。つまりはれっきとした“フリーホラーゲーム”というわけである。さらに実況プレイなども“大歓迎”というスタンスとのこと。昔の筆者が見たら大喜びでプレイしたのち、各動画サイトにある実況プレイ動画を見漁ることだろう。
……いや、多分いまでもする。そもそも試遊版ですらめちゃめちゃ楽しんでしまったし、製品版もニッコニコでプレイすることだろう。
……いや、多分いまでもする。そもそも試遊版ですらめちゃめちゃ楽しんでしまったし、製品版もニッコニコでプレイすることだろう。
正直、このゲームはちょっと人を選ぶものだとは思う。ただ、過去に『青鬼』や『魔女の家』なんかのフリーホラーゲームにハマった過去がある人間ならば、絶対に楽しめる内容になっていることは断言させていただこう。
自分に合うかどうかわからない……という方であっても、もし気になるなら一度プレイしてみることをオススメする。なにせ本作は無料で配信。ただ遊ぶだけなら、なんの損もない。もしかしたら、このゲームが自分の人生を変えるような出会いになってくれるかもしれない。
配信されて、また“理不尽な死”に怯えながらも抗う日々が楽しみだ。
自分に合うかどうかわからない……という方であっても、もし気になるなら一度プレイしてみることをオススメする。なにせ本作は無料で配信。ただ遊ぶだけなら、なんの損もない。もしかしたら、このゲームが自分の人生を変えるような出会いになってくれるかもしれない。
配信されて、また“理不尽な死”に怯えながらも抗う日々が楽しみだ。