『ぼくと釣り日記』インタビュー。釣り好きはもちろん、親子でも魚との駆け引きが堪能できる。『ぬし釣り』シリーズをリスペクトして生まれた完全新作釣りゲームのこだわりを訊いた

『ぼくと釣り日記』インタビュー。釣り好きはもちろん、親子でも魚との駆け引きが堪能できる。『ぬし釣り』シリーズをリスペクトして生まれた完全新作釣りゲームのこだわりを訊いた
 実際の釣り体験をリアルに再現した魚との駆け引きと、個性豊かな“あやかし”たちがくり広げる物語が楽しめる、完全新作の釣りゲーム『ぼくと釣り日記』がイマジニアよりリリースされる。対応ハードはNintendo Switch 2、Nintendo Switchで、2026年10月8日に発売予定。
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 従来の釣りゲームでは、魚影を見つけて仕掛けを投げ、アタリを待つ作品が多かった。だが本作は、魚の生息域を予測し、最適な釣具を揃えてポイントに投げることで、実際の釣りと同じ魚との本格的な駆け引きが味わえる。魚種や釣具の種類も豊富で、多種多彩な魚と真剣勝負が堪能できるのも魅力だ。

 本稿では、本作の開発を担当するトイボックスの和田康宏氏にインタビューを実施。なぜいま本格的な釣りゲームを作ることになったのか、またこだわりのポイントなどをうかがった。ネタバレには十分配慮しているが、収録している魚やクリアー後のやり込み要素なども聞いているので、本作を新鮮な気持ちで楽しみたい方は注意してほしい。

和田康宏 氏わだ やすひろ

トイボックスの代表取締役社長でゲームクリエイター。『牧場物語』シリーズの原案・プロデュースを担当。近年の代表作は『なつもん! 20世紀の夏休み』(以下、『なつもん!』)や『人生ゲーム for Nintendo Switch』など。

『ぬし釣り』シリーズをリスペクトして生まれた完全新作の釣りゲーム

――本作の初報が2026年7月2日に公開されましたが、どのような反響がありましたか?

和田
 イマジニアさんがメディアやSNSなどを調査したところによると、好意的な意見が多いとうかがっています。ホッとしていますし、よかったなと感じていますね。

――とくに『ぬし釣り』シリーズのファンが喜んでいる印象です。

和田
 それはありがたいですね。ただ、初報の中には“スローライフ”や“RPG”というワードもありましたが、僕は実際のゲーム内容と少し違うと思っていて。皆さんが期待されている『ぬし釣り』シリーズには、動物と戦う要素がありましたよね。

――動物を倒して体力が増えたときは驚きました(笑)。

和田
 シュールですよね(笑)。いまの時代では考えられないような、ちょっとバカバカしいようなところも『ぬし釣り』シリーズのおもしろさであり、味だったと思います。1作目の『川のぬし釣り』は、以前勤めていた会社(パック・イン・ビデオ)でプログラマーの有田さん(有田和博氏)がほとんどひとりで作っていたんですね。有田さんが「こうしたらおもしろいだろうな」と思ったものを、そのまま形にしたからこそ、『川のぬし釣り』は生まれました。そばで見ていたので、有田さんや『ぬし釣り』シリーズをすごくリスペクトしていますが、僕が『ぬし釣り』シリーズのような釣りゲームを作ってもあまり意味がないと言いますか、模倣になってしまってもしょうがないと思うので、おもしろいものを作りたいという素朴な気持ちを大事にしながら、僕なりの釣りゲームを作ろうと考えて本作の開発を続けてきました。

――では、本作には“スローライフ”や“RPG”の要素はないのでしょうか?

和田
 スローライフに関して言うと、釣りをしながらゆっくりとした時間は過ごせると思います。釣りをせずに、ぼーっと景色を眺めることもできるので。そういったスローライフの感覚は味わってもらえると思いますが、皆さんがイメージするゲームのスローライフとは、ちょっと違うのではないかなと。購入して遊んでくれた後に、想像と違ったと言われてしまうのはイヤなので、この機会に正しく伝わってほしいです。
――和田さんが手掛けるスローライフのゲームというと、『牧場物語』や『なつもん!』をイメージする方が多いと思います。

和田
 そうですよね。『牧場物語』や『なつもん!』は、まさにスローライフが体験できるゲームでしたが、釣りをメインにしている本作はちょっと毛色が違うので。

――“RPG”の要素はいかがでしょうか?

和田
 ジャンルでいうと、アドベンチャーのような作りになっています。ぬしを釣るとつぎのステージに進める作りになっていて、扱える釣具が増えたり、主人公の部屋が拡張されたりします。そういった要素もあるので、単なるアドベンチャーではありませんが、『ぬし釣り』シリーズのように動物と戦って主人公が成長するといった要素はありません。
――いまの時代、動物を倒して成長するシステムは実装するのが難しいですよね(苦笑)。

和田
 ただ、当初は主人公にレベルを設けていたんですよ。レベルが上がると大きな魚が釣れるといったゲームデザインを検討していましたが、開発スタッフとブレストしながらアイデアを考える中で、「なぜレベルが低いときは大きな魚が釣れないのか」といった疑問のほうが多く出てしまって。疑問を解決するよりも、釣りの道具が増えることで釣れる魚が広がるのが正しいんじゃないかと、方向性が決まっていきました。

――そもそも本作の企画は、いつごろ、どのような経緯でスタートしたのでしょうか?

和田
 企画が動き出したのは2年くらい前だったと思います。うちとイマジニアさんは、『ミステリーの歩き方』という作品で付き合いがありまして、僕もミーティングや飲み会に参加していました。そのときにイマジニアさんから、「いまはミニゲームとして釣りが楽しめる作品はあるけど、釣りだけのゲームは少ないよね」と相談されまして。それで僕も企画を考えてみますというところから始まった感じですね。

――なるほど。まつやまいぐささんをキャラクターデザインに起用した理由は?

和田
 企画が動き出す前から、まつやまさんが「絵本を作らないか」と声をかけてくれていたんですよ。ただ、当時は『なつもん!』や『人生ゲーム for Nintendo Switch』を開発していて時間が取れなかったので、まつやまさんには待ってもらっていたんですね。絵本に取りかかれそうなタイミングと、釣りの企画が始まったタイミングがいっしょだったので、「釣りのほうもやらない?」と声をかけました。まつやまさんと進めていた絵本は、アニメの『まんが日本昔ばなし』や人形劇の『ひょっこりひょうたん島』、『プリンプリン物語』のような、古き良き昭和のあたたかいものを作ると、いまは逆に新鮮なんじゃないかってことで企画を考えていたんですね。

 それで、釣りのゲームの企画を進めるときに、レースゲームの『
グランツーリスモ』のようなリアルな世界で、釣りを楽しめるシミュレーターにするというアイデアがありました。ただ、実現するにはお金も時間もかかりますし、新規タイトルでチャレンジするのはリスクも高い。別の方向性を考える中で、まつやまさんと進めていた絵本がヒントになり、絵本のような世界観と釣りのゲームをうまく融合させることができたら、ほかの釣りゲームとはまた違った作品が生み出せると考えました。そこから『ぬし釣り』シリーズをリスペクトした釣りゲームを作ることになり、まつやまさんにイラストを描いてもらってイマジニアさんにオーケーをもらい、本格的に開発が動き出しました。

――音楽をノイジークロークに依頼した経緯もお聞きしたいです。

和田
 ノイジークロークさんのことは以前からもちろん知っていましたし、僕がプロデュースしたゲームの中にもノイジークロークさんに楽曲制作をお願いしていたことは何度もありましたが、『なつもん!』の曲を作っていただいたときに、改めてすばらしいなと思いました。曲作りのクリエイティブなところや職人的なところに感銘を受けまして、僕が今度手掛ける釣りゲームの音楽もぜひ作ってほしいとお願いしたのが経緯になります。

親子でワイワイ楽しみながらプレイして釣り好きになってほしい

――ストーリーやキャラクターの見どころを教えてください。

和田
 本作には“あやかし”と呼ばれるキャラクターが登場するのですが、妖怪のようなおどろおどろしい存在ではなくて、その土地に暮らしている精霊みたいな感じです。

 プレイヤーは釣りを通して、あやかしたちにかけられた呪いを解いていくのですが、彼らを助けてあげると主人公の家が大きくなったり、新たな機能が解放されたりします。たとえば、魚を釣ると魚拓を取って部屋に飾れるのですが、その魚拓を取ってくれるのもあやかしなんですよ。さらに、妖術で魚拓を動かしてくれるあやかしもいて、魚が水中で泳ぐ姿を鑑賞することもできます。

――あやかしたちの力を得ることで、釣りライフがますます充実していくと。

和田
 はい。あと、呪いは釣り場にもかけられていて、ぬしを釣り上げると呪いが解けて新しい釣り場への道が拓けるようになっています。
――ぬしを釣り上げるとストーリーが進行し、新たな釣り場が解放されるアイデアは、どのように生まれたのでしょうか?

和田
 ストーリーと釣りをどのように結びつけるか考える中で、釣りをリスペクトした展開にするのであれば、釣り場ごとにぬしがいて、ぬしを釣ると何かが起こってつぎの釣り場に進む展開がいいと思いました。

――カミナリに打たれたライギョが、“神成魚”という名のぬしとして登場するという設定はワクワクしました。既存の魚だけではなく、オリジナルの魚を出すことになった経緯を教えてください。

和田
 本作は日本の田舎町みたいなところを舞台にしていて、釣り場は中流よりも上流にありそうな場所を選んでいます。ですので、収録している魚は淡水魚になるのですが、日本の淡水魚は種類が少ないですし、見た目もあまり変わらないので、釣りゲームとして考えるとおもしろみに欠けてしまう。亜種を増やすよりも、魚種を増やしたほうが楽しいと考えて、オリジナルの魚を登場させることにしました。本作には108種類の魚が登場しますが、そのうち28種類は“架空魚”という呪われた魚になります。
――淡水魚が中心とのことですが、淡水と海水が混ざり合う汽水域に生息する魚、たとえばスズキやクロダイ、アカメといった魚は……?

和田
 今回は汽水域に生息する魚は登場しませんが、レアな魚としてはイトウが登場しますよ。

――ブラックバスやブルーギルといった、日本でもおなじみの外来魚は?

和田
 基本的に日本に生息している淡水魚がベースにはなっていますが、バリエーションを増やすために海外の川にいる大型の淡水魚も加えています。

――ピラルクーやアリゲーターガーみたいな?

和田
 そうですそうです。アリゲーターガーは呪われた魚になっていて、その名も“アリガーターゲー”。バカバカしいでしょ?(笑)。

――まさかのダジャレ(笑)。

和田
 “架空魚”は全体的にヒドイです(笑)。まつやまさんが趣味で考えてくれたのですが、100種類くらいアイデアを出してくれたんですよ。それが全部ふざけていて、“オナラカマス”とか、“泳ぐ鯛焼き”とか……。
――カマスは海水魚ですし、鯛焼きにいたっては魚ですらない(笑)。

和田
 ヒドイと言いつつも、僕はおもしろがって採用しているので、イマジニアさんから見たら共犯者ですよね(苦笑)。100種類くらい出してもらったアイデアの中から、イマジニアさんに怒られないものを線引きして、28種類を“架空魚”として実装したので。いまの時代、あまりふざけられない風潮があると思いますが、楽しさの原点というのはバカバカしさだと思っています。文化として残したいと言うと偉そうに聞こえるかもしれませんが、誰もやらないならやっちゃおうというノリもあって、“架空魚”に関しては振り切った名前やデザインにしています。

 本作は釣り好きの方に楽しんでいただきたいのはもちろん、本作を通して釣りを好きになってもらいたいなと思って作っています。たとえば、お父さんやお母さんが子どもといっしょにプレイして、みんなでクスクス笑いながら遊んでもらえると、開発者冥利に尽きると言いますか。

――子どもが親に「本当にこんな魚いるの?」って聞いたりして。

和田
 「いるわけないだろ(笑)」みたいな。そんな会話をしてもらえるとうれしいですね。
――“架空魚”は、図鑑の説明文を読むのも楽しみですが、フレーバーテキストは和田さんが考えられたのですか?

和田
 半分くらいは僕が書いていますが、残りの半分は開発現場のディレクターにお願いしました。今回は僕がシナリオを全部書いていて、図鑑のフレーバーテキストまで手が回らなかったので。ちなみに、シナリオもクスッとしてもらえるように書いているので、こちらも皆さんで楽しんでもらえるとうれしいです。

魚との本格的な駆け引きの楽しさが味わえる

――続いて、釣りのシステムに関していろいろお聞きしたいと思います。先ほど、『ぬし釣り』シリーズをリスペクトした釣りゲームを作るとお話しされていましたが、本作は魚影の見えない本格釣りゲームであるとお聞きしています。『ぬし釣り』シリーズでは見えていた魚影を、本作であえて見えなくした理由を教えてください。

和田
 イマジニアさんには、“影の釣りフィクサー”と言えるようなスタッフがいるのですが(笑)、彼らと釣りゲームに関する議論を行う中で、多くの釣りゲームは魚影目がけて仕掛けを投げるけど、リアルの釣りでは魚影が見えることはほとんどない。魚がいる場所を予測して、仕掛けを考えて、試行錯誤しながら魚を釣り上げることが、釣りのおもしろさの大部分を占めているよねと盛り上がったんですね。

 また、海外にはそれこそ『グランツーリスモ』のようなリアルな世界で釣りが楽しめるシミュレーターはありますが、日本には本格釣りゲームはないよねという話になり、魚影の見えない本格釣りゲームにしようと思いました。ただ、誤解してほしくないのですが、本作における本格というのは、リアルな釣り場や道具にこだわっているからという意味ではありません。それよりも、釣りの本当の楽しさやおもしろさ、ワクワクする部分をゲームに落とし込んでいるからこそ、“本格釣りゲーム”であると考えています。
――なるほど。

和田
 これは裏話なのですが、当初は魚がいる場所を予測し、仕掛けを考えるというリアルさを意識しすぎたあまり、テストプレイした方の多くが魚を釣ることができませんでした(苦笑)。そこで釣りの本質的なおもしろさは大事にしながらも、ゲーム内でヒントを出すことにより、リアルで釣りをしたことがない方やミニゲームの釣りしか遊んだことがない方でも、楽しめるようなバランスに調整できたと手応えを感じています。

――ヒントはどのように出しているのですか?

和田
 おもに図鑑ですね。最初はじいじというキャラクターに手取り足取り教わりながらオイカワを狙うのですが、オイカワを釣ると図鑑にほかの魚の情報がアンロックされます。つぎにアンロックされた魚を釣ると、さらにほかの魚の情報が開示されるようになっています。
――つぎに狙う魚がわかるのも、初心者にはやさしいですね。

和田
 ほかにもチュートリアルを充実させているので、釣り初心者の方や釣りゲームをあまり遊んだことがない方でも、安心して進められると思います。

――釣り経験者は、図鑑でアンロックされていない魚にアタリを付けて狙うといったこともできますか? たとえば、この湖にはバスがいそうだからルアーで狙ってみるとか。

和田
 狙う場所や釣具が合っていれば、図鑑にアンロックされていない魚を釣ることもできますが、ゲームの作りとしては、アンロックされた順番で狙うのを推奨しています。

――魚を釣り上げるシステムは、どのようなものを採用しているのでしょうか?

和田
 これまでの釣りゲームは、魚がヒットした後、特定のタイミングでボタンを押して釣り上げるようなものが多かったと思います。ですが本作では、魚との駆け引きを楽しめるようにしたかったので、魚の動きに合わせてラインのテンション(張り具合)をコントロールすることで釣れるシステムを考えました。

 リールを巻くとラインが張って切れやすくなりますが、切れない程度にうまく引っ張ると魚が嫌がってジャンプするんですね。ジャンプすると魚が疲れてくるので、リールを巻き上げて釣り上げることができるというわけです。

 当初は魚がジャンプするタイミングを表示していなかったのですが、このままではわかりにくいという意見があったので、ファイト中は魚の形をしたアタックゲージを表示することにしました。このゲージが最大まで溜まると魚がジャンプします。
――魚とのファイトでは、いかにジャンプさせて疲れさせるかが重要になるのですね。

和田
 ただ、魚は自分でジャンプすることもあるんですよ。そのときは針を外そうと思ってジャンプするので、竿を下に倒して針を食い込ませる操作が必要になります。テンションを管理しながら、リールを巻いて引き寄せるというシンプルな駆け引きですが、魚によってテンションの管理が難しいものや、アタックゲージが溜まりにくいものもいるので、ターゲットによって奥深い駆け引きが味わえますし、苦労した魚は釣り上げたときの達成感もひとしおだと思います。
――先ほど名前の挙がったイトウやピラルクーといった大型の魚は、体力があるぶん、釣りにくいといった個性があると。

和田
 大型の魚はめちゃくちゃ釣りにくいですね。長期戦になりますが、1匹釣り上げるのに何十分もかかるゲームにはしたくなかったので、手ごわい魚でも4~5分で釣れるようには調整しています。

――場所や釣具のほかに、釣果に影響する要素はありますか?

和田
 時間や天気、季節なども影響します。夜に釣れやすい、雨だと釣りやすいといったように、魚にはそれぞれ特徴があるので、ゲームにも反映しています。あとは、水の深さも影響していて、仕掛けを深く沈めないと釣れない魚もいます。ちなみに、浅瀬にいる魚は魚影が見えるので、魚影目がけて仕掛けを投げることもできますが、浅瀬にいる魚からは主人公も見えています。しゃがんで近づかないと警戒されて釣りにくくなるといった要素も実装しています。

――リアルな釣りと同じような、魚との駆け引きが体験できるのですね。時間や天気を調整することはできますか?

和田
 最初のうちはリアルタイムに時間が進み、夜になると家に戻されるのですが、とあるあやかしの呪いを解いてあげると、恩返しとして時間や天気を操れるお札が使えるようになります。ちなみに、呪われた魚は、ぬしを釣って釣り場の呪いを解くと釣れなくなりますが、お札を使って呪われた状態に戻すことで狙えるようになりますよ。

――ストーリーを進めることで、図鑑を埋めやすくなっていると。公開されている映像や画像では、浮き釣りのほかにルアーフィッシングも楽しめることが確認できました。川釣りだと、ほかにフライフィッシングや鮎の友釣りなどが考えられますが、これらは実装されていますか?
和田
 本作にはフライフィッシングと鮎の友釣りは実装していませんが、変わり種としてリールを使わない日本の伝統的な渓流釣りを実装しています。ちなみに、フライフィッシングは企画の段階では考えていましたが、今回はシンプルな魚との駆け引きを目指したこともあって、竿の操作が難しくなりそうなフライフィッシングは断念しました。もし、本作が多くの方に受け入れられるのであれば、フライフィッシングだけではなく、海釣りや海外での釣りなどにもチャレンジしたいですね。

――釣具はどれくらい収録されているのですか?

和田
 竿は20種類、ルアーは30種類、エサは30種類くらいだと思います。リアルの釣りだと、ひとつのエサでいろいろな魚が釣れるのですが、本作では“架空魚”専用のエサもあるので、数が多くなっています。種類は多いので、釣具をコレクションする楽しみも感じてもらえるとうれしいですね。
――釣具はお店で購入できるのでしょうか?

和田
 ぶんぶく茶釜の“ぽこみ”というあやかしがいて、お金代わりのどんぐりを渡すと釣具を入手できます。どんぐりは、化け猫の“うすぐも”に釣った魚を持っていくと、魚と交換してもらえますよ。交換してもらえるどんぐりの量は、魚の種類やサイズによって変わります。
――どのような釣り場があるのかも気になります。

和田
 見晴川という中流域の川からスタートして、湖や池、渓流などの8つの釣り場を用意しています。釣り場は景観はもちろん、水の状態なども異なっていて、釣り場の生態に合った魚が生息しています。日本のような世界ではありますが、密林を流れるような川で釣りをすることもできますよ。
――日本のような世界観にした理由は?

和田
 『ぬし釣り』シリーズへのリスペクトと、絵本やあやかしの設定を取り入れるにあたって、“和”の世界観が合うと考えたからです。
――魚のグラフィックと、自然音など音楽のこだわりもお聞きしたいです。

和田
 実在する魚に関しては、できるだけリアルに再現してもらっています。ただ、“架空魚”に関しては、あえて目を星型にするなど、かなり遊びを取り入れたデザインにしていますので、どんな魚が登場するのか、ぜひご期待ください。

 自然音は、ノイジークロークさんのライブラリーに似たような音があるにも関わらず、現地を訪れるなどして新たに収録してくれました。渓流のせせらぎや鳥の鳴き声など、すべて現地で音を収録してゲームで使ってくれていますが、密林を流れるような川など、取材することが難しい釣り場に関しては、いろいろな道具を使って再現してくれました。
――オーシャンドラムで波の音を再現するように?

和田
 そうですね。ノイジークロークさんのスタジオの一室がヒミツの道具部屋みたいになっていて、そこで道具を組み合わせていろいろな音を作ることができるので。

――見学してみたいですね(笑)。本作には図鑑や魚拓のほかに、どのようなやり込み要素があるのでしょうか?

和田
 図鑑は魚の情報のほかに、最大サイズの魚を釣り上げると金冠マークが記録される要素もあります。単に図鑑を埋めるだけではなくて、すべての魚種で最大サイズを釣るのもやり込み要素になっていますね。一度釣った魚は一本釣りできる時間短縮の機能も用意していて、最大サイズの魚がかかったときだけファイトが楽しめるようにしています。

 また、やり込みというほどではありませんが、クリアーした釣り場に戻ると、“◯秒以内にこの魚を釣り上げよう”といったタイムアタックにチャレンジできます。これを達成すると、どんぐりがもらえるので、いわゆる金策も兼ねた要素にもなっていますね。あと、やり込みではないかもしれませんが、本作は『ぼくと釣り日記』ですよね。ゲームを進めると、日記がどんどん書き溜められていくので、それを読むのもひとつの楽しみだと思います。

――日記は、主人公が書いているんですか?

和田
 話すとちょっとややこしいのですが(苦笑)、本作は少しだけメタが入った世界観になっていて、遊ぶ人(=プレイヤー)とゲームの中の人(=主人公)の間に、じいじがいる構造になっているんですね。だから“ぼくの釣り日記”ではなく、『ぼくと釣り日記』なんですよ。

――“ぼく=プレイヤー”ですよね?

和田
 はい。

――それなのに『ぼくと釣り日記』になっているということは、プレイヤーではなく、ほかの誰かが書いた日記であると。

和田
 そうなりますね。

――プレイしてからのお楽しみになりそうですね(笑)。これもネタバレになってしまうのでお答えしにくいかもしれませんが、『ぬし釣り』シリーズに登場した“影のぬし”、いわゆる隠しボスは……?

和田
 “影のぬし”ではありませんが、いちばん呪われた魚が登場します。本作のストーリーは、クリアーするだけなら7、8時間くらいで終わると思います。でも、その段階で図鑑は30%くらいしか埋まっていないはず。図鑑をすべて埋めようとすると、40時間くらいはかかると思いますし、その中でいちばん呪われた魚に挑むことになるでしょう。

――図鑑を埋める楽しみが増えました! 最後に、本作の発売を心待ちにしているファンや読者に向けて、メッセージをお願いします。

和田
 本格的と聞くと、ハードルが高いと感じてしまうかもしれませんが、親子で楽しめる釣りゲームを作りました。本作に入れ込めなかったアイデアがたくさんあるので、できるだけ多くの人に遊んでいただき、つぎの作品につなげられるといいなと思っております。釣りゲームが好きな方はもちろん、親子で楽しめるゲームを探している方たちにもプレイしてもらえるとうれしいです。

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