自然がいっぱいのオープンワールドをフレンドと散歩しながら、「あの辺なんかあるね?」と向かった先でパズルを解いて、「今度はあっち行ってみない?」と森の先に進んでいく。『Big Walk』は、そんなユルい体験がめちゃくちゃ面白い、マルチプレイのパズルアドベンチャーゲームだ。 2026年8月4日にNintendo Switch 2/プレイステーション5/PCで2300円で発売される本作のレビュー版をプレイしたので、その魅力をご紹介しよう。なおPS5ではPlayStation Plusの8月度のフリープレイタイトルにもなっている。
オープンワールド散歩ゲーと協力型パズルのミックス
さて冒頭で書いたように、『Big Walk』はオープンワールド散歩と協力型パズルがミックスされたゲームだ。チュートリアルエリアを兼ねたロビー部分を出たらもう、目的の説明や「◯◯をしろ」的な指示が一切ないので、まずは適当に歩きだすことになる。
オープンワールドゲームとしてのサイズはそこまで大きくないんだけども、ゲーム世界は自然がいっぱいで(開発元House Houseの地元オーストラリアのものだろう)、鳥や虫の鳴き声を聞きながら世間話や近況報告しつつしばらく散歩するだけの広さは十分にある。敵や戦闘などの危険やプレイヤーを追い立てるものは何もないので、本当にチルい散歩だ。

「お、あそこの赤いとこ行ってみようぜ」「どこだよ?」「あの森の切れ目んとこ」みたいな会話をしながら進んでいく。
散歩ゲーとしていいのが、ボイチャ必須な上に、謎解きとは必ずしも関係ない“遊べる道具”がいろいろ用意されていることだ。ランプ代わりにもなるボールを蹴ってみたり、先導役がカウベルをカランカラン鳴らしてみたり。
それ自体がどうこうってことはないんだけど、「ボール拾ってくるからちょっと待って」とか「うるせー」とか会話も発生するし、まったりした所にそういうちょっとした遊びが入ってくると丁度いい感じの刺激になって楽しいんだよね。『Untitled Goose Game』の開発らしいすっとぼけたかわいさと遊びの感覚は流石といったところ。

チュートリアルエリアではひと通りの操作を学べる。アイテムもいろいろ置かれてるので、試して遊んでみよう。興味本位で遊ぶことが後で役立ったりもする。
求められるのはパズル力よりも、好奇心と仲間とのやり取り
で、そうこうするとやがて、謎のボタンやレバーやパネルなどが置かれた場所にたどり着くだろう。旅の始まりがそうだったようにそれが解くべきパズルであるということも示されないので、最初はまったく謎の施設に見えるはずだ。
でも『Big Walk』のパズルは仲間と一緒に解くためのコミュニケーションを軸にしていて、難解な手順を見つけ出すパズル力はそんなに必要ない。コミュ力の方も、仲間と一緒に試行錯誤するだけの意思疎通ができれば十分だ。
なのでお互いが情報を出し合って「ってことは、こっちがコレしたらそっちがソレすればいいんじゃない?」と仮説が立ったら、とりあえずやってみりゃいい。リトライが簡単で気楽に失敗できるのも本作のいいところだ。

横のパネルは何? なんで2部屋を繋ぐ窓がある? そもそもふた手に分かれるのは正解? 新しいパズルを見つけて周囲を観察する時が一番楽しい。

謎のボタンがあったらとりあえず迂闊に押しちゃうぐらいでいい。
「1枚目は“だんご3兄弟”のやつで」「アレね」
どんなパズルがあるかの具体的なネタバレはあまりしないようにするけど、協力して何かを運んだりタイミングを合わせたりといった物理的なものもあれば、“一方のプレイヤーに示された情報をもう片方のプレイヤーに伝える”というタイプの問題もあって、バリエーションに富んでいる。
真骨頂だと思うのは情報を相手に伝えるタイプの問題だ。でもコレ、伝えなきゃいけないのが変なマークとか音とか抽象的なものなので、仮に自分がふたりいたら簡単に解けるのに、別の人間同士でやってみると意外と簡単じゃない。「こう言えば当然アレってわかるだろ」と思った表現が相手にとっちゃさっぱり理解不能だったりする。

なんかものすごい大掛かりな施設になっていることも。凝ってて楽しい。
言葉で正確に伝えにくいものをどうやって相手に言葉で説明するか? さらに言葉でのコミュニケーションが封じられたら今度はどうするか? 『Big Walk』はこのあたりの設計がうまい。
たとえば二手に分かれてプレイするような場所でも、事前にお互いのエリアをチェックして相手がどういう状況になるのかを確認できたり、同じ仕掛けの別バージョンの問題が何度も出てきたり、あえてゆるめに作ってあることで共通認識を高めていけるようになっている。
なのでどんどんプレイして共通認識が高まっていくと、「あー、最初は“だんご3兄弟”(っぽいマーク)」「オッケ、アレね」という具合に、自分たちの間だけで伝わる独自表現とかサインができていく。
しまいにはボイスチャットが通じない状況でも、身振り手振りやポーズだけで「コイツがこうしてるってことは多分“*”だな」とか伝わるようになる。この阿吽の呼吸ができていくのが本当に楽しい。

ボイチャの音が通らないステージとかが出てくると、“イエス”・“ノー”の意思表示をどうするかといった問題も出てくる。両腕それぞれで指差し・腕上げを行えるので、工夫のしがいがある。
ボイチャはゲーム内蔵のものを使うべし。外部ボイチャはシンプルにチート
ちなみに、謎解きの一環として“遮音されていたり距離が遠くてボイスチャットが通じない”状況をどう乗り越えるかがキモになっていることもあるので、Discordやプラットフォーム側に組み込まれたボイスチャットなど、ゲーム内の距離や遮蔽関係を考慮しないゲーム外部のボイスチャットを使うのはチートになってしまう。
同じように、Switch 2を持ち寄ったりしてお互い近い距離でプレイする時も、できるだけ直接声が聞こえないように工夫してプレイするのがオススメだ。筆者の場合は同じ部屋でPCとPS5でプレイしたのだが、普段はヘッドフォンを貫通するほど声がデカいので声量を抑えるようにした。

事情的に声をあまり出せない状況のプレイヤーは、日本語入力可能な近接テキストチャットやホワイトボードを代用することになるだろう。ただし視界に入ってない時は気付きづらいので、置いてかれそうな時などは注意すべし。
2人プレイでもまったく問題なし。無理に人を集めるより同じペースで長く遊べるのが優先
さて本作、オンラインマルチプレイは必須で、プレイ可能人数は2人~12人。クロスプレイに対応しているので、異なるハードのフレンドとも一緒にプレイ可能だ。ホストプレイヤーがゲームを開始したら、ゲストプレイヤーはフレンドリストから進行中のゲームに参加するか、ホストに発行される参加コードを入力して加わる形になる。
最小構成の2人で遊ぶのでもまったく問題なく楽しめるが、ソロプレイはほぼできないし(周囲の探索はできるがほとんどの謎は複数人数が必要)、野良でランダムに参加できるマッチング機能もないのは注意。
またプレイの進行はホスト側のセーブに記録される形でゲスト側にデータは残らないので(トロフィーなどは取れる)、無理に人を集めるよりも長くプレイできるフレンドと着実に進めていけるようなプレイ体制がいいだろう。

人数が増えてカオスになるのもそれはそれとして面白い。8人プレイ以上なら2チーム編成で探索していくこともできるが、意思統一をどうするかが問題。無線機やトランシーバーでの連絡役を作ったり、“信号弾を撃ったら集合”とか決めるといいかも。
なおゲームの謎解きは2人用・3人用・4人以上用の3種類の設定があって、ホストがゲームを立ち上げる際に毎回選択できる。「この前は4人用でやったけど、今日は集まり悪いから2人用でちょっと続きを進めとこう」といったことも可能だ。

人数設定をプレイ中に変えることはできないので、「今日は3人いるけどひとり早く落ちなきゃいけないんだよな」というような時は3人でも2人用を選んでスタートするか、ひとりが落ちる時にゲームを2人用で立て直す形になる。
必要な条件は多いけど、それでもやるべき唯一無二の体験
というわけで本作、オンラインマルチプレイ必須でボイスチャットもほぼ必須、さらにクリアーまでにかかる時間も結構長いので若干ハードルは高いのだが、それでも友達や家族と遊ぶと本当に特別な経験ができる唯一無二の作品だ(あと配信者がワチャワチャ喋りながら配信するのとかにも向いてる)。
一応のエンディングまでは、以前開発者に聞いた公称は12時間ぐらい、実際にやってみたら16時間ぐらい。でも慣れてきたあたりで驚かされるような展開もあって、最後までダレずに楽しめた。プレイ時間を合わせるのはちょっと大変かもしれないけど、ぜひトライしてみて欲しい。